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「水濃徃方」の解読 69


(散歩道のキョウチクトウ)

排気ガスに強い木として、よく道路わきで目にするはなであるが、これほど近づいて見たことはなかった。中々きれいな花である。ところが、花、葉、枝、根、果実、すべての部分に毒がある。周辺の土壌も、生木を燃やした煙も有毒だというから徹底している。そうそう、その腐葉土にも1年間は毒性が残るというから要注意である。推理小説の植物由来の毒殺に、トリカブトに次くらいによく出てくる。余り庭には植えたくない木である。 

ワクチン、キャンセル待ちしていた、かかりつけのS医院にキャンセルが出て、明日打つ予約が取れた。但し自分一人分だけである。

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「水濃徃方」の解読を続ける。

(しばら)くあって立ち出でて、何れも御祝儀披露致せし処、上にも殊の外御満足、有り難いと思やれ、お歴々様方の御作と一所に、軸の物に仰せ付けらるゝ。さて長右衛門、上げられたる掛物、有様は我等も胡散(うさん)に存じた故、不調法な挨拶して面目ない。幸い御前に、狩野氏も居られて、申し上げらるゝは、筆意(ひつい)は雪舟に似て、気象(きしょう)遥かに高き所あり。無類の能画(のうが)、殊に新筆、かようの絵、当代に有らんとは存じ寄らずと、殊の外称美(しょうび)
※ 胡散(うさん)➜ 疑わしいさま。 怪しいさま。
※ 筆意(ひつい)➜ 筆を運ぶときの気構え。また、書画のおもむき。ふでづかい。
※ 気象(きしょう)➜ 気性。生まれつきの性質。気質。
※ 能画(のうが)➜ 上手に描かれた絵。すぐれた絵。
※ 称美(しょうび)➜ ほめたたえること。賛美。

左右の墨跡も、この方どもは不案内なが、上にはちと書学も御好きで、よう遊ばすげなが、筆勢高古(こうこ)尓して、奇代(きだい)の名筆と、きつい御褒美。その上、この暁富士を御夢に御覧ありて、御悦びの折から、この画を得させられ、御夢に符合する事、さて/\不思義の至り。ついては御直(おじき)に御礼も仰られたし。尋ねさせらるゝ筋もあれば、老人の苦労(くろう)ながら、いざ同道致そうと、連れて御前へ出られける。残りの者どもは、明いた口を塞ぎもせず、握った様な入札の、余所へ落ちたる心地して、手持なくこそ見えにける。
※ 高古(こうこ)➜ けだかくて古風なこと。
※ 奇代(きだい)➜ 希代。世にもまれなこと。非常に珍しい、驚嘆すべきこと。
※ きつい ➜ 物事の程度がはなはだしい。
※ 苦労(くろう)➜ せわをかけること。せわ。
※ 手持なし(てもちなし)➜ 手持ち無沙汰で、間がもてない。
(「水濃徃方」つづく) 

読書:「母恋わんたん 南蛮おたね夢料理3」 倉坂鬼一郎 著
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