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「水濃徃方」の解読 73


(梅雨真っ只中、今日の夕焼け)

朝、お宮さんの掃除。昨日の雨で、草取りがしやすかった。小さな草まで抜いた。まあ、すぐにまた生えるだろうが。

歴史のS先生より電話があり、先日お渡しした家康の秀次への書状の解読をチェックした結果を知らせて頂いた。6ヶ所ほどの指摘があり、解読力の未熟さを改めて思い知る。戦国時代の文書はなかなか難しい。歴史を理解していないと、満足な解読も出来ないものだと、改めて知った。

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「水濃徃方」の解読を続ける。

(おきな)、常々申せしは、商賈(しょうこ)の業、瑣細(ささい)なりといへども、衆力(しゅうりょく)和合せざれば、成就せざるものなれば、その道、少しく君子に似たる所あり。善く産を治むる者は、能く人を擇(えら)んで時に任すといえり。己れ壱人の智を用い、小利を見んと欲する者は、貪賈(たんこ)賤丈夫(せんじょうふ)のなす所、大商人の腹中にあらず。大小尊卑、道異(こと)なれども、人を愛し人を得るより急務なし。人を愛する者は、人これを愛すとは、誰も知りたる様なれども、その意味を知る人まれなりと申しき。
※ 商賈(しょうこ)➜ 商売。あきない。商人。あきんど。
※ 瑣細(ささい)➜ 些細。小さなこと。 わずかなこと。 たいしたことではないこと。
※ 衆力(しゅうりょく)➜ 多くの人の力。集団の力。
※ 貪賈(たんこ)➜ むさぼる商人。
※ 賤丈夫(せんじょうふ)➜ 身分のいやしい男。また、心のいやしい男。

この教えに基づきて、書き置し物、侍(さぶろ)うとて、大福帳と云うもの壱冊を奉る。殿様御手に取らせられ、くり返し御覧あつて、黄金満籝(まんえい)を遺さんは、一書にしかずとは、この事なりとて、かず/\御褒美の賜(たまもの)拝領して、御前を退去したりける後、夫婦ともに、生国亀山の山中に隠居して、静かに生涯を送りしとぞ。世に亀山丈人(きさんじょうじん)と称せしは、この蓬莱屋が事なりと云えり。
※ 満籝(まんえい)➜ かごいっぱい。
(「水濃徃方」つづく) 

読書:「情愛の奸 御広敷用人 大奥記録 10」 上田秀人 著
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