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「水濃徃方」の解読 68



(散歩道のキウイフルーツ(上)とヤマモモの実(下))

キウイフルーツは食べられるのはまだまだ先であるが、ヤマモモはもう食べられそうだ。食べる人がいないのか、歩道にたくさん落ちて、つぶれていた。ああ、もったいない。

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「水濃徃方」の解読を続ける。 

並居る出入、朋輩ども、膝をつき、目まぜをして、仙人の正筆とは珍しい事の、もそっと早う存じたら、秩父辺の山寺から、何ぞ霊宝(れいほう)に出しそうな掛物あらばと尋ねておこしたものを、と笑えば、お肴屋の鯛八、行き過ぎ者にて、知れた事さ、宝と云う字の大黒か、刷毛書きの恵比寿殿で御座ろう。茅場町の薬師や、神明前によくあるやつで御座ると、小声になってさゝやくを、
※ 目まぜ(めまぜ)➜ 目で合図をすること。目くばせ。
※ 霊宝(れいほう)➜ 霊妙な宝。社寺などの秘宝。
※ おこす ➜ よこす。
※ 行き過ぎ(れい)➜ 度を超えて物事をすること。また、そのさま。

さすが、大家(たいけ)の役人とて、それは奇特なる存じ付き、仙人の筆と律義(りちぎ)に思うて居やれば、それが則(すなわち)仙人、唐土(もろこし)にも貴殿の様な篤実(とくじつ)な百姓があって、手前の畠の芹(せり)を喰うて、これほどなむまいものを、どうぞ国王へ献上したいと、背負ていた者もあると、何やらに書いて御座った。名画、名筆に御不足はなけれど、貴殿の志を御悦び遊ばすで御座ろう。まず暫(しば)し、ゆるりと酒でもまいれ。鯛八、今日は会所とは違う。遠慮なしに過ごしてくりゃれと云いつゝ、御前へ上られけるが、
※ 存じ付き(ぞんじつき)➜ 気づいたこと。考えついたこと。思いつき。
※ 律義(りちぎ)➜ きわめて義理堅いこと。実直なこと。
※ 篤実(とくじつ)➜ 真心がこもっていること。誠意があること。
※ むまい ➜ うまい。
(「水濃徃方」つづく)
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