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「水濃徃方」の解読 54


(新タマネギのマリネ)

新タマネギを頂いたり、息子が産直で買ってきたり、たくさんあるので、何か料理をと、ネットで調べた「新タマネギのマリネ」を作ってみた。レシピ通り、パプリカはマーケットで買ってきた。タマネギの輪っかが、ばらばらにならないようにするのに苦労した。パプリカも我が家の食卓には乗らない野菜である。少し歯ごたえがあったが、美味しく頂けた。

マリネとは、肉・魚(スモークサーモン、ニシンなど)・野菜(タマネギなど)等を、酢やレモン汁などからなる漬け汁に浸す調理法という。(ネットより)

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「水濃徃方」の解読を続ける。 

親の前では、猫が肴(さかな)引いても、これはしたりとばかり云って、薪ざっぱ投げたり、足拍子(びょうし)踏んだりする事まで、ちと差し扣えして、夜も火の元見廻って、親仁様のお譲りなされた跡を、拡げると云う事は、何として、私どもが手際では参らぬ事、どうぞ減らさぬ様に致したい、と口に云うに違いのう。
※ したり ➜ 失敗したり驚いたりしたときにいう語。しまった。やりそこなった。
※ 薪ざっぱ(まきざっぱ)➜ 薪にするために切ったり割ったりした木切れのこと。

(よろず)内輪(うちわ)に心を付け、十年も二十年も、同じ調子にやることは、余程辛抱のよい人でなければ、なりにくい。たとへ学問は有る、無いと、不思儀の感応(かんおう)がなくとも、左様の人は孝子(こうし)と称して、唐の二十四孝の講中(こうちゅう)へ入れても、大事ない事で御座る。
※ 感応(かんおう)➜ (神仏の)ご加護。信心が神仏に通じて、その加護があること。
※ 孝子(こうし)➜ 親によく仕える子。親孝行な子。
※ 講中(こうちゅう)➜ 仲間。

道は近きに有り。足元の物、置いて、外を求むるは、天狗の軍配団扇持ちたがる様な物。ちと咄(はな)しが長くなるが、これに限らず、有り合うた物で事を済ますを、淳朴(じゅんぼく)の古風と云いて、昔から五節句の菜の物や、正月の取肴(とりざかな)、常に少々奢(おご)る時より、却って質素なと云うは、何故なれば、祝ひの物と云いて家風を改めず、百年も五十年も嘉例(かれい)、欠かさぬ古風残りて、数の子、酢午房(すごぼう)、三月の浅葱(あさつき)、鯰(なまず)、五月の煮物、何方(いずかた)も蕗(ふき)に、かさご、笋(たけのこ)。九月の節句、なすび。欠かさぬものと云い伝えし。秋なすびの賞翫(しょうがん)芋の名月栗の良夜。これで昔の質素を知るがよい。皆なこれ下々(しもじも)相應の有り合いもので祝う事に、青前(さごし)のあんかけの、卓袱(しっぽく)の、と云い高じた事は、無いわいの。
※ 際(ざい)➜ 身のほど。分際。
※ 軍配団扇(ぐんばいうちわ)➜ 中世末から近世、武将などが用いた指揮用の具。
※ 淳朴(じゅんぼく)➜ かざりけがなく素直なこと。
※ 嘉例(かれい)➜ めでたい先例。吉例。
※ 浅葱(あさつき)➜ エゾネギを分類上の基本種とする変種。ネギよりも色が薄く、食用とされるネギ類の中では、最も細い葉を持つ。
※ 賞翫(しょうがん)➜ 味のよさを楽しむこと。賞味すること。
※ 芋の名月(いものめいげつ)➜陰暦八月十五日の名月をいう。新芋(サトイモ)を掘り、水炊きのまま月前に供えたりして収穫を祝った。
※ 栗の良夜(くりのりょうや)➜「良夜」は、月の明るく美しい夜。「栗の良夜」は栗名月(旧暦九月十三日)のこと。
※ 青前(さごし)➜ 青前魚(さごし)の略。サワラの幼魚
※ 卓袱(しっぽく)➜ 中国料理や西欧料理が日本化した宴会料理の一種。
(「水濃徃方」つづく) 

読書:「野盗薙ぎ 無言殺剣 4」 鈴木英治 著
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