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地震取調集 その3 - 古文書に親しむ

(散歩道の深紅のカンナの花)

先週の土曜日午後、金谷の「古文書に親しむ」講座に出席した。先月に引続き、安政の大地震を記録した「地震取調集」を解読した。

一 大井川辺西東両側(べり)とも、堤落ち崩れ為す事、平地同様に相成り、地震後即刻御普請これ有り、又々去ル安政二乙卯年の孟春にて、御普請残らず先規の通り出来栄えこれ有り候
※ 孟春(もうしゅん) - 春の初め。初春。

季節の表わし方に、「孟春、仲春、晩春」という言い方がある。「孟春」が春の初めで「仲春」が春半ば、「晩春」は言うまでもない。同じように各季節で、「孟夏、仲夏、晩夏」、「孟秋、仲秋、晩秋」、「孟冬、仲冬、晩冬」と呼ぶ。手紙の冒頭などで使用されているのを見る外、「仲秋」は「仲秋の名月」などという使われ方がされる。

一 東海道駿府中駅、御城内大破に及び落城の事、並び市中は凡そ三分一程も破落に相成り、是を以って焼失し、男女多く死す、同国田中本多殿御城大破に及び、諸家中ども数多(あまた)潰れ、町家は白子町より上伝馬町辺は軽き揺れ入り、それより下伝馬町裏通り揺れ込み荒く、家作潰れ、即刻焼失致す事

一 遠掛川太田殿御城委(悉-ことごと)く大破と相成り、残らず諸家中ども破落に及び、並び町家も残らず潰れ、剰(あまつさえ)大火と相成り、即刻焼失致す、少々男女死す、それより上へ海道筋五十三驛の内、右同様宿々川の渡船場に至るまで大揺れ、数多潰れ家焼失し、人多く死す事、数知れず候事
※ 剰(あまつさえ)-(別の物事や状況が、さらに加わるさま。多く、悪い事柄が重なるときに用いる。)そのうえ。おまけに。


掛川宿の惨状は、「当国諸国大地震(3)-喜三太さんの記録」及び「当国諸国大地震(7)-喜三太さんの記録」でも、もっと詳しく知ったところである。

一 甲州信州辺、美濃路辺は格別の揺れもこれ無く、総て北国路辺は右同様の事なり
一 当国より東は相州箱根辺を極(き)して大揺れ入り、それより関東江戸方は少々の地震にて、当御在城は勿論、洛中並び在方とも別条無き事
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