goo

どうして今、円がこんなに強いのか

(我が家の日除け-アサガオ、ゴーヤ、ツルムラサキの競演)

今日、政府、日銀は4ヶ月ぶりの円売り・ドル買いの市場介入を行なった。その結果、一時1ドル80円まで円安に振れたが、現在は79円台で推移している。この介入がどこまで効果があるのか、持続するのかどうか。今回の日本の単独介入では、市場の流れを変えるには至らないと言うのが、市場の見方のようである。

どうして、円ばかりがこんなに強いのであろうか。戦後、零いやマイナスからスタートして高度成長を続けて、安かろう悪かろうの製品から、日本製が高品質の代名詞になるまで、頑張り続けてきた。国民は海外から稼いだお金を無駄に消費せずに貯蓄に励んできた。確かにバブルがはじけて大きな痛手を蒙ったけれども、資産を大きく減らしただけで、依然として日本が持つ資産は巨大なものである。

日本がバブルがはじけて苦しんでいるころ、アメリカも住宅ローンバブルが進行していた。また、ヨーロッパではEU加盟国の通貨がユーロに統一されて、経済的に弱小なユーロ加盟国はその恩恵で大いに潤った。しかしそれは投資マネーが一時的に流入したためで、経済の実質が伴なっているわけではなかった。国民は喜んだのであろうが、国としてじりじり借金が増えていることに気付いていなかった。そんな言葉はないけれども、いわばユーロバブルが進行していた。

それがリーマンショックで一気に弾けた。各国は大恐慌を防ぐために莫大な財政を支出した。財政赤字がうなぎのぼりに増えて行った。

膨大な財政赤字は日本にもあるけれども、赤字を埋める国債はそのほとんどを日本の金融機関が引き受けている。つまり、日本人が持つ金融資産で赤字を埋めていることになる。もし、国債の信用不安が生じても、日本の場合は他国へ影響することはない。ところが、他の国の財政赤字は、他国からの借金でまかなっている。つまり国債を外国へ売って赤字を埋めているのである。

そんな違いが日本円を他通貨より強くしている。ドルやユーロに不安が走るたびに、比較的安全として、「金」や「スイスフラン」とともに「円」が買われ続けるのである。東日本大震災が起ったけれども、投資筋にとってはその影響はわずかなものと見切っているようである。

しかしながら、日本円の強さは過去の蓄積資産だけを評価しているわけではないと、自分は思う。かつて日本円は1ドル360円の固定相場であったものが、今や76円と5倍近くに上がっている。日本の企業は円高になるたびに、大変な努力で円高を克服して、さらなる成長に繋いで来た。そういう実績があるから、投資筋は安心して円買いにシフトできるのであろう。また、現在製造部門で最も勢いのあるアジア諸国へ、加工機械や生産技術、特殊材料など、重要な部分を供給しているのが日本であることも、評価の中に入っているのであろう。

そんな訳で、日本に大きな経済危機が発生するか、あるいはアメリカやEUの抱える財政赤字の削減や景気回復がない限り、現在のような円高水準はしばらく続くと覚悟しなければならないと思う。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )