●産業資本を成長させた商業資本・銀行資本
近代資本主義は、産業革命によって、真の意味での資本主義となった。産業化した資本主義の主体は、産業資本である。マルクスやウェーバーに依拠する経済学者・経済史学者の多くは、産業資本を近代資本、それ以前の商人資本や高利貸し資本を前近代的資本とし、前近代的資本からは近代資本主義は発達しなかったという。
私はこれに異論がある。産業資本が近代資本主義をもたらした資本の形態であることは、そのとおりである。しかし、産業資本は生産、商業資本は流通、銀行資本は金融において価値増殖を行う資本である。生産を行う資本は、流通・金融の資本と結びついてこそ、生産力を発揮できる。作ったものを売る商人がいなければ、産業資本は維持も発展もできない。また、産業資本に投資したり信用を扱う銀行家がいなければ、大きな事業を展開できない。これらの役割を軽視すべきでない。
産業資本の発生においては、プロテスタントが主要な役割をした。私は、マックス・ウェーバーの説を基本的には承認する。しかし、出来た製品を売ったり、産業資本家に金銭を工面したり、為替で外国貿易を支えるところでは、ユダヤ人が重要な役割をした。ユダヤ人を中心とした商業資本・銀行資本なくして、産業資本はこれほどの発達はできなかったに違いないというのが、私の見方である。14~15世紀にはイタリア諸都市やスペイン、ポルトガルで、17世紀にはオランダのアムステルダムで、17世後半からはイギリスのロンドンで、ユダヤ人は才能を発揮した。ヨーロッパ経済また資本主義システムのその時々の中心地で、ユダヤ人は活躍した。
18世紀後半の産業革命以後、19世紀の近代後期に入ってからの資本主義世界経済において、ロスチャイルド家を筆頭とするユダヤ人を中心とした商業資本・銀行資本は、産業と貿易の大規模化、国際化、情報化等を推進した。それなくして、今日に至る欧米諸国の政治的・経済的な発展はなかったと私は考える。20世紀から今世紀の世界で覇権国家となっているアメリカにおいても同様である。
19世紀後半から産業資本は株式会社化し、銀行が株式の発行を引き受け、銀行資本と産業資本は結合した。それが金融資本である。金融資本によって、近代的な形態の資本が完成する。これが21世紀の世界で価値増殖運動をしている資本の主要形態である。資本は、もともと物を作って売るのが目的なのではない。利潤を上げることが目的なのである。それゆえ、必ずしも物を生産しなくとも、金銭や信用によって利潤を上げられれば、資本の目的は達せられる。物を作る労働に汗を流すより、金銭を動かすことで利潤を上げるファンド・マネージャーが、グローバルな情報金融資本主義の主役となる。
●近代化=合理化の進展と人類の危機
15世紀半ば以降の西欧文明の過程を一言で言えば、近代化である。近代化とは、マックス・ウェーバーによれば、生活全般における合理化の進展である。近代化は、文化的・社会的・政治的・経済的の4つの領域で、それぞれ進展した。西欧における近代化、換言すると西欧発の近代文明の発達は、15世紀末から他文明の支配と、それによる収奪の上に起こったというのが、本稿の強調するところである。
さらに、17世紀に起こった科学革命による諸発見が、18世紀の産業革命によって、資本主義的な産業経営に応用されるようになった。また17世紀前半に形成された近代主権国家が同世紀後半以降の市民革命を経て、国民国家となり、資本主義世界経済の担い手となった。資本と国家、富と力の一体化が進んだ。これが物質科学を生産、戦争、管理等に活用した。資本と国家と科学という三要素の結合が、近代西洋文明にかつてない機能を与えたのである。
かくして人類史上、最も強力な文明が欧米において確立した。この近代西洋文明が、現代世界をおおっている。21世紀の世界に広がっているグローバルな資本主義は、経済と情報が結びついた思想・政策であり、世界の隅々までを資本主義化し、近代化し、西洋化しつつある。私はこの資本主義化、近代化、西洋化は、同時にユダヤ的なものの普及でもあると考えている。
西洋近代文明の発達の結果、人類は未曾有の繁栄を謳歌するとともに、深刻な危機に直面している。その危機の始まりは、産業革命だった。今日、人類が危急の課題としている核の問題は、産業革命で機械工業化した産業が、兵器を改良させて生み出した核兵器の使用による人類自滅の危機である。核兵器の開発には、多数のユダヤ人が参加したことが知られている。また、産業革命後に、近代世界システム、近代西洋文明は、化石燃料の大量消費によるCO2の大量排出を続けてきた。それにより、地球の温暖化が進行している。利益の追求を至上目的とするユダヤ的な原理は、持続可能な成長への道を阻んでいる。物質科学に偏った発展を遂げている近代西洋文明は、発展の半面に破壊を伴い、発展すればするほど破壊を広げ、今日もまだ物心の調和、自然と人間の調和を実現できていない。これを是正し、人類にとって真に益する文明を創造することが、現代人の存亡を賭けた課題である。
次回に続く。
近代資本主義は、産業革命によって、真の意味での資本主義となった。産業化した資本主義の主体は、産業資本である。マルクスやウェーバーに依拠する経済学者・経済史学者の多くは、産業資本を近代資本、それ以前の商人資本や高利貸し資本を前近代的資本とし、前近代的資本からは近代資本主義は発達しなかったという。
私はこれに異論がある。産業資本が近代資本主義をもたらした資本の形態であることは、そのとおりである。しかし、産業資本は生産、商業資本は流通、銀行資本は金融において価値増殖を行う資本である。生産を行う資本は、流通・金融の資本と結びついてこそ、生産力を発揮できる。作ったものを売る商人がいなければ、産業資本は維持も発展もできない。また、産業資本に投資したり信用を扱う銀行家がいなければ、大きな事業を展開できない。これらの役割を軽視すべきでない。
産業資本の発生においては、プロテスタントが主要な役割をした。私は、マックス・ウェーバーの説を基本的には承認する。しかし、出来た製品を売ったり、産業資本家に金銭を工面したり、為替で外国貿易を支えるところでは、ユダヤ人が重要な役割をした。ユダヤ人を中心とした商業資本・銀行資本なくして、産業資本はこれほどの発達はできなかったに違いないというのが、私の見方である。14~15世紀にはイタリア諸都市やスペイン、ポルトガルで、17世紀にはオランダのアムステルダムで、17世後半からはイギリスのロンドンで、ユダヤ人は才能を発揮した。ヨーロッパ経済また資本主義システムのその時々の中心地で、ユダヤ人は活躍した。
18世紀後半の産業革命以後、19世紀の近代後期に入ってからの資本主義世界経済において、ロスチャイルド家を筆頭とするユダヤ人を中心とした商業資本・銀行資本は、産業と貿易の大規模化、国際化、情報化等を推進した。それなくして、今日に至る欧米諸国の政治的・経済的な発展はなかったと私は考える。20世紀から今世紀の世界で覇権国家となっているアメリカにおいても同様である。
19世紀後半から産業資本は株式会社化し、銀行が株式の発行を引き受け、銀行資本と産業資本は結合した。それが金融資本である。金融資本によって、近代的な形態の資本が完成する。これが21世紀の世界で価値増殖運動をしている資本の主要形態である。資本は、もともと物を作って売るのが目的なのではない。利潤を上げることが目的なのである。それゆえ、必ずしも物を生産しなくとも、金銭や信用によって利潤を上げられれば、資本の目的は達せられる。物を作る労働に汗を流すより、金銭を動かすことで利潤を上げるファンド・マネージャーが、グローバルな情報金融資本主義の主役となる。
●近代化=合理化の進展と人類の危機
15世紀半ば以降の西欧文明の過程を一言で言えば、近代化である。近代化とは、マックス・ウェーバーによれば、生活全般における合理化の進展である。近代化は、文化的・社会的・政治的・経済的の4つの領域で、それぞれ進展した。西欧における近代化、換言すると西欧発の近代文明の発達は、15世紀末から他文明の支配と、それによる収奪の上に起こったというのが、本稿の強調するところである。
さらに、17世紀に起こった科学革命による諸発見が、18世紀の産業革命によって、資本主義的な産業経営に応用されるようになった。また17世紀前半に形成された近代主権国家が同世紀後半以降の市民革命を経て、国民国家となり、資本主義世界経済の担い手となった。資本と国家、富と力の一体化が進んだ。これが物質科学を生産、戦争、管理等に活用した。資本と国家と科学という三要素の結合が、近代西洋文明にかつてない機能を与えたのである。
かくして人類史上、最も強力な文明が欧米において確立した。この近代西洋文明が、現代世界をおおっている。21世紀の世界に広がっているグローバルな資本主義は、経済と情報が結びついた思想・政策であり、世界の隅々までを資本主義化し、近代化し、西洋化しつつある。私はこの資本主義化、近代化、西洋化は、同時にユダヤ的なものの普及でもあると考えている。
西洋近代文明の発達の結果、人類は未曾有の繁栄を謳歌するとともに、深刻な危機に直面している。その危機の始まりは、産業革命だった。今日、人類が危急の課題としている核の問題は、産業革命で機械工業化した産業が、兵器を改良させて生み出した核兵器の使用による人類自滅の危機である。核兵器の開発には、多数のユダヤ人が参加したことが知られている。また、産業革命後に、近代世界システム、近代西洋文明は、化石燃料の大量消費によるCO2の大量排出を続けてきた。それにより、地球の温暖化が進行している。利益の追求を至上目的とするユダヤ的な原理は、持続可能な成長への道を阻んでいる。物質科学に偏った発展を遂げている近代西洋文明は、発展の半面に破壊を伴い、発展すればするほど破壊を広げ、今日もまだ物心の調和、自然と人間の調和を実現できていない。これを是正し、人類にとって真に益する文明を創造することが、現代人の存亡を賭けた課題である。
次回に続く。
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