ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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尖閣への中国の出方と対抗策~石平氏

2012-09-18 10:40:03 | 尖閣
 昨17日中国から漁船千隻が出航し、同日中に尖閣周辺に到着と報じられた。領海侵犯による不法操業が常態化しているので、その動きとみられる。中国国内では、現在、政府と軍によって操作された反日デモが行われているが、反日デモを使って日本政府に圧力をかけながら、尖閣略取を目指す行動を起こしてくる可能性がある。昨年6月17日に予定されていた民間人国際団体の行動は、大震災で延期されたが、計画実施に移ることを想定し、注意すべきである。尖閣略取の行動では、相当人数が尖閣に上陸して居座る可能性がある。わが国がこれを排除しようとして、事態が進むと、中国が軍事行動を起こすおそれがある。
 8月29日海上保安庁法が改正案が成立した。だが、施行は9月25日以降である。現時点では、まだ尖閣に不法上陸する外国人らを海上保安官が警察官に代わり捜査・逮捕することはでない。自衛隊は自衛隊法82条に海上警備行動が定められており、発令の前例がある。ただし、93条により権限は警察官職務執行法・海上保安庁法の準用と規制されている。自衛官の武器の使用は警察官に係る規定に準ずるとされており、海上警備行動では限界がある。内閣総理大臣は戦後初の防衛出動を命じる覚悟をしていないと、いざとなってから検討するのでは、後手に回る。早く領域警備法を制定し、いわば防衛出動を常時発令した状態にしないと、即応できない。しかも最大の問題は、憲法第9条で、交戦権を否認していることである。わが国の現状は、自縄自縛の状態である。

 さて、尖閣国有化をめざす野田政権は、9月11日、地権者と売買契約を締結したが、これに先立つ9月9日、中国の胡錦濤国家主席は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際、野田首相との立ち話で、次のように語ったと新華社が報じた。
 「中日関係は釣魚島(尖閣諸島の中国名)問題で厳しい局面を迎えている。日本側のいかなる島の購入計画も不法かつ無効で、中国は断固反対する。日本側は事態の重大さを十分認識して誤った決定をせず、中国側とともに両国関係発展の大局を維持してほしい」
 わが国の固有の領土に関し、政府が地権者から土地を買うのは、純然たる国内問題である。これを「不法かつ無効」だという胡主席の発言は、ひどい内政干渉である。
 だが、中国の傍若無人ぶりは強まる一方である。中国外務省の洪磊報道官は同9日の記者会見で、尖閣国有化決定について「必要な措置をとって、国家の領土・主権を守り抜く」と発言した。対日経済制裁や各種交流の停止、尖閣周辺海域での国家海洋局監視船の行動拡大や軍事演習などが検討されているという。また、10日には中国政府は尖閣諸島周辺を中国の「領海」とする基線を発表し、中国外務省が日本非難の声明を出すなど、対日強硬姿勢を強めている。
 野田政権は、東京都が購入するのではなく政府が購入すれば、中国の非難を抑えることができると考えたのかもしれないが、まったく甘い。尖閣を国が持とうが、都が持とうが、個人が持とうが、中国には関係ない。中国は確実に尖閣略取を進めてくる。時間は限られている。わが国政府が尖閣を守るための具体的な措置を至急進めなければ、わが国の領土と主権が侵される。
 中国は今後、尖閣略取をどのように仕掛けてくるだろうか。今秋開催予定の第18回中国共産党大会で習近平氏が党の最高指導者に昇進する。シナ系評論家の石平氏は、8月31日の産経新聞「China Watch」に、これに関連して次のように書いた。
 「来年3月の全国人民大会では習氏はさらに国家主席に就任する予定である」「中国政府は『尖閣が中国の領土・核心的利益』だと主張してきた手前、日本側の尖閣の土地購入の実行に対して『習近平政権』は強硬姿勢に打って出るしかない。さもなければ、国民と軍部から猛反発を食らって誕生したばかりの新政権がいきなり、つまずくことにもなりかねないからだ。それを避けるために習近平政権はおそらく必死になって日本側の動きを封じ込めようとするのであろう。場合によっては来年の4月を待たずにして、今秋に習近平氏が党のトップとなったときに、日本に対する攻勢が早くも始まってしまう可能性がある」と。そして、石氏は「ありもしない『領土問題』を外国に突きつけられた以上、『撤退』はない。そして、彼我の力の対比や日米同盟の現状と今後の変化などの要素から考慮すると、今のうちに決着をつける方向で動いた方が日本にとって有利である。日本が国家として“尖閣決戦”にどう立ち向かうか。そろそろ『覚悟』を決めるときであろう」と述べている。
 一方、わが国では今月、民主党の代表選、自民党の総裁選が行われ、秋の臨時国会が開会されるや、11月以降に衆議院選挙が行われる可能性が高い。選挙期間中は、政治的空白を生じやすい。短期間に尖閣防衛のための法整備や具体的措置を進めるには、厳しい日程である。各政党は、選挙で尖閣防衛を争点に挙げ、国民に政策を訴えるべきである。また新政権を担う政党は、尖閣防衛策をしっかりまとめておき、新政権スタート後、速やかに実行する準備をしておいてもらいたい。

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●産経新聞 平成24年8月30日

http://sankei.jp.msn.com/world/news/120830/chn12083011130001-n1.htm
【石平のChina Watch】
“尖閣決戦” 「習近平政権」強硬姿勢は必至
2012.8.30 11:12

 香港の活動家たちによる尖閣諸島上陸・領土侵犯事件を契機として、日中間の緊張は一気に高まった。今後、両国間の攻防はさらに激しさを増していくだろうと予想される。
 まず日本側の動きからみると、現在、東京都が進めている尖閣の土地購入計画が予定通り進めば、実行されるのは来年の4月となっている。また、国も国有化の意思を示している。
 一方、中国側の今後の政治日程は、今秋開催予定の党大会で習近平氏が党の最高指導者に昇進し、来年3月の全国人民大会では習氏はさらに国家主席に就任する予定である。
 つまり来年の3月までには政権交代の日程がすべて終了し、習近平政権が正式に発足することとなる。都が購入した場合は、そのタイミングはちょうど、日本における尖閣の土地購入の実行と重なり合う。
 尖閣諸島は日本の固有領土だから、東京都や国が土地を買おうか買わないかは日本の内部問題であり、中国は何の関係もない。
 だが、中国政府は「尖閣が中国の領土・核心的利益」だと主張してきた手前、日本側の尖閣の土地購入の実行に対して「習近平政権」は強硬姿勢に打って出るしかない。
 さもなければ、国民と軍部から猛反発を食らって誕生したばかりの新政権がいきなり、つまずくことにもなりかねないからだ。
それを避けるために習近平政権はおそらく必死になって日本側の動きを封じ込めようとするのであろう。場合によっては来年の4月を待たずにして、今秋に習近平氏が党のトップとなったときに、日本に対する攻勢が早くも始まってしまう可能性がある。
 その際、中国はどんな手を打ってくるか。
 外交的圧力と恫喝(どうかつ)のエスカレート、経済カードを使っての心理戦の展開、日本内部の団結を瓦解(がかい)させるための宣伝工作…。
 2年前に漁船衝突事件が起きた際に日本企業の社員を“人質として拘束”するような汚い手段、偽装漁民による尖閣諸島への大挙上陸、巡視船などによる準軍事的な実力の行使等々、いざとなったときには「無法国家」が使える手は実にいろいろとあるのだ。
 そのとき、日本がどう対処すべきなのかが問題である。
 もちろん、中国が猛反発するからといって、今さら尖閣の土地購入計画を放棄するようなことは絶対してはならない。実効支配強化の観点からしても、東京都の尖閣購入あるいはその国有化はおおいに進めるべきであろう。
 その上で、中国からのあらゆる攻勢に対処して尖閣を守っていくためには、日本国政府と東京都が、それこそ一致団結して、国家レベルでのさまざまな対策を用意しておかなければならないのだ。
領土侵犯に厳しく対処するための法の整備、海上保安庁の力の補強、目に見える形の尖閣に対する実効支配体制の強化など、急いでやっておくべきことは山ほどある。
 そして何よりも重要なのは、日本国家として、どんなことがあっても自国の領土である尖閣諸島を守り抜くとの決意を中国側にきちんと示していくことである。
 ありもしない「領土問題」を外国に突きつけられた以上、「撤退」はない。そして、彼我の力の対比や日米同盟の現状と今後の変化などの要素から考慮すると、今のうちに決着をつける方向で動いた方が日本にとって有利である。
 日本が国家として“尖閣決戦”にどう立ち向かうか。そろそろ「覚悟」を決めるときであろう。
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