ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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慰安婦問題:高校教科書の記述を訂正すべき

2014-09-24 09:43:06 | 慰安婦
 朝日新聞は、吉田清治証言に関する記事の取り消しを行ったが、下村博文文科相は、「現行の教科書には、吉田証言に関する記述がない」として、教科書会社に記述の訂正を求めない姿勢を示した。しかし、慰安婦問題の核心は日本の官憲による強制連行があったかどうかにあり、吉田証言は強制連行を行ったという虚偽の証言によって重大な誤解を生んだ。それゆえ、文科相は教科書会社に慰安婦問題に関する記述に関して訂正を勧告すべきである。
 教科書に慰安婦問題が登場したのは、平成2年から新検定制度が実施されたことによる。この時の新制度で、文部省(当時)が執筆者の意向を大幅に許容する姿勢に変化した。その結果、昭和40年の家永裁判の第1次教科書訴訟以来、争点となっていた大東亜戦争に関する偏向した記述が、フリーパスで素通りした。まず高校教科書に、「従軍慰安婦」をはじめ、関東軍731部隊(細菌戦部隊による生体実験)、「南京大虐殺」、朝鮮人の強制連行等の学界で論議を呼び、事実認識が確定していない事柄が、そのまま教科書に掲載された。
 慰安婦問題は、続いて中学の歴史教科書にも掲載された。これは平成5年の河野談話がきっかけだった。河野談話は、吉田証言の虚構が明らかになった後に出されたものである。吉田証言は、平成4年3月、歴史家の秦郁彦氏が済州島に現地調査し、虚構らしいことを確認していた。それにもかかわらず、河野洋平官房長官が、慰安婦に関し強制性があったという認識を示した。その影響で、平成7年度検定の中学歴史教科書に一斉に慰安婦問題が記述された。義務教育で慰安婦について教えることは極めて不適切だった。
 これには国民の批判が多く、平成18年から使用する中学の教科書は、各社版すべてに記載がなくなった。約10年かかった。だが、本丸は高校の教科書である。高校の教科書の多くには、今も「若い女性が強制的に集められ、日本兵の性の相手を強いられた人たち」「女性のなかには、日本軍に連行され、『軍』慰安婦にされる者もいた」「朝鮮人女性などの中には従軍慰安婦になることを強要されたものもあった」等の記述がされている。
 「強制連行」という文言は使われていないが、「強制的」「連行」「強要」等の文言を文科省がパスしている。これは、おかしい。慰安婦には、親が娘を売った場合や朝鮮人業者にかどわかされた場合があっただろうが、それが本人の「意に反して」いたとしても、日本の官憲とは直接関係ない事柄である。日本の官憲による強制連行があったかのように誤解させる文言を、放置してはいけない。下村文科相は教科書会社に慰安婦問題に関する記述に関して訂正を勧告すべきである。
 以下は関連する報道記事。

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●産経新聞 平成26年9月13日

http://sankei.jp.msn.com/life/news/140913/edc14091322130005-n1.htm
【朝日慰安婦誤報】
高校教科書記述どうなる 一部出版社「訂正を検討」
2014.9.13 22:13

 朝日新聞の報道で国内外に広がった日本軍による慰安婦の強制連行説。国内では一時、全ての中学歴史教科書に「慰安婦」が掲載されるなどの大きな影響を与えた。高校ではいまだに「連行」「強いられた」といった軍による強制連行を強くうかがわせる記述が横行しているが、8月の朝日の「誤報」表明を受け、記述の訂正を検討する教科書会社も出てきた。(河合龍一)

15冊中13冊に
 平成23、24年度に教科書検定に合格した現行の高校日本史教科書は6社15冊あり、このうち13冊に慰安婦に関する記述がある。
 「若い女性が強制的に集められ、日本兵の性の相手を強いられた人たち」。実教出版の「高校日本史A」は「軍が関与した慰安婦問題」との見出しをつけて慰安婦について説明した。
 清水書院の「日本史A」は「女性のなかには、日本軍に連行され、『軍』慰安婦にされる者もいた」、山川出版社の「新日本史B」は「朝鮮人女性などの中には従軍慰安婦になることを強要されたものもあった」などと、各社差はあるが、いずれも日本軍による強制連行があったかのような印象を与える記述ぶりだ。

河野談話契機
 強制連行説は朝日が昭和57年に「若い朝鮮人女性を『狩り出した』」などとする自称・元山口県労務報国会下関支部動員部長、吉田清治氏の講演記事を掲載し、この「吉田証言」をキャンペーン報道したことから国内外に広がった。
 朝日報道を受け、韓国メディアも集中的に報道し、慰安婦問題は政治・外交問題に発展。日本政府は平成5年、強制連行説には立たないものの「本人の意思に反して行われた」などの表現で慰安婦募集の「強制性」を認めた「河野談話」を出さざるを得なくなった。
 これを契機に、7年度検定の中学歴史教科書では、7冊全てで一斉に「慰安婦」「従軍慰安婦」「慰安施設」が記述された。その後、義務教育段階で教えることへの是非などが議論となって、記述する教科書はなくなった。
 そんな中、朝日は今年8月、吉田証言について「虚偽だと判断し、記事を取り消します」として誤報だったと認めた。強制性を認めた河野談話についても、6月に公表された政府の談話作成過程検討チームの報告書で、「強制連行を直接示す資料はない」との政府見解が再確認された。

各社に温度差
 高校日本史の教科書会社では記述内容の訂正を検討する社も出てきた。産経新聞の取材に対し、山川出版社は「朝日新聞の誤報の問題などを受け、これから検討する」、東京書籍も「慰安婦関係を含め編集委員会で検討する」と回答した。一方、清水書院は「吉田証言をベースに記述していないので訂正する予定はない」、第一学習社も「事実のみを記述しており、現時点では訂正は考えていない」。実教出版は「取材には答えられない」とした。
 慰安婦と教科書問題に詳しい拓殖大学の藤岡信勝客員教授は「慰安婦問題は、吉田証言を基に言論界や政界に圧倒的影響力を持つ朝日新聞が報じなければ存在せず、教科書にも掲載されることはなかった。朝日新聞が吉田証言を嘘だと認めた今、慰安婦問題そのものが崩れたわけで、高校の全教科書から記述を削除すべきだ」と指摘している。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/140913/edc14091322160004-n1.htm
【朝日慰安婦誤報】
文科省の検定すり抜け…「強制連行」×、「連行」○
2014.9.13 22:16

 高校の日本史教科書で、日本軍による慰安婦の強制連行を強くうかがわせる記述が教科書検定に合格するのはなぜなのか。
 文部科学省教科書課によると、慰安婦の記述についての主要な検定スタンスは、河野談話と「強制連行を直接示す資料はない」とする政府見解の2点。
 具体的には、軍が無理やり連れ去ったことはないが、民間業者が集めた女性を軍の船やトラックで移送した事実はあったので「強制連行」はアウトだが、「連行」だけならセーフ。「強いられた」「強要された」なども、「日本軍によって」と記述しなければセーフといった形だ。
 ある文科省幹部は「検定は明確な間違いでなければ修正を求めることはできないため、各社、主語を消すなど“言葉遊び”で検定をすり抜けている状態だ」と明かす。
 今回、朝日新聞が吉田証言の誤報を認めたが、下村博文文科相は「現行教科書には、吉田証言に基づく強制連行の記述がない」として、教科書会社に記述の訂正を求める必要がないとの考えを示している。だが、拓殖大学の藤岡信勝客員教授は「吉田証言は慰安婦問題の根幹。文科相は訂正勧告すべきだ」と訴える。
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関連掲示
・拙稿「教科書を改善し、誇りある歴史を伝えようーー戦後教科書の歴史と教科書改善運動の歩み」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion06c.htm