小沢一郎氏は、1月23日、土地疑惑問題に関し、東京地検特捜部の事情聴取に応じた。4時間半に及ぶ事情聴取を終えた小沢氏は記者会見し、初めて自ら事件について説明した。
小沢氏は、土地購入には自己資産4億円を貸し付けた、資金の事務処理や収支報告書の虚偽記載については関与していない、銀行口座への入金、土地代金の支払いなどはすべて担当秘書が行い、具体的な処理は分からない、と述べた。また不正な裏金など一切もらっていないと断言した。
これに対し、今朝の全国紙、産経、読売、毎日、朝日の各紙は、社説に「なんら潔白の証明にはなっていない」(産経)「なお多くの疑問が残る」(読売)、「秘書任せは疑問が残る」(毎日)、「まだ残る数多くの疑問」(朝日)と書いている。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100124/stt1001240304001-n1.htm
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100124-OYT1T00096.htm
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100124k0000m070093000c.html
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
今回、東京地検が小沢氏の聴取を要請した目的は、次の点を明らかにする必要によると見られる。
小沢氏がこの容疑にどの程度かかわっていたのか。小沢氏が貸し付けたというこの資金を小沢氏はどこから工面したのか。特にゼネコンからの資金が入っていたのかどうか。土地取引に絡む複雑なカネの動きは、一種の資金洗浄だったのではないか。
これら三つのポイントは、朝日が社説で挙げたものだが、わかりやすにので、ポイントごとに、各紙の記述を整理してみよう。
●小沢氏が、この容疑にどの程度かかわっていたのか。
産経は 「(小沢氏は)銀行口座への入金、土地代金の支払いなどは「すべて担当秘書が行い、具体的な処理は分からない」と述べた。16年の土地購入の所有権移転日を17年とした点も関知していないとした。実務はすべて秘書の判断で行われ、複雑な資金操作などにかかわっていないことを強調したものだが、手持ち資金があって必要のない融資を受けるなど強い疑念が残っている。」と書いている。
毎日も、「(小沢氏は)「金融機関からの融資や、報告書の虚偽記載は「事務処理に関与していないので分からない」「全く把握していない。報告を受けたこともない」とした。この説明には疑問が残る。資金管理団体の代表として、土地購入に伴うこれだけ巨額の政治資金の出入りをすべて秘書任せにすることがあり得るのか。小沢氏本人も、記者団への説明資料で「常々、担当秘書には、政治団体の収支についてはきちんと管理し、報告するように言っていました」と述べている。」と書いて、疑問を呈している。
●小沢氏が貸し付けたというこの資金を、小沢氏はどこから工面したのか。特にゼネコンからの資金が入っていたのかどうか。
朝日は 「小沢氏は会見で、こう説明した。資金は自宅を売却した残金や家族名義の口座から引き出し、事務所の金庫に保管していた4億数千万円の一部だ。資金の事務処理や収支報告書の虚偽記載については関与していない。 しかし巨額の資金を長年、現金で置いていたことは常識では理解できないし、家族名義の預金のもとの出どころも不明だ。多額の利子負担を顧みず、4億円の預金を担保に銀行の融資を受け、それで土地代金を払ったように見せかけたことも知らなかったという。」 と書いて、疑問だとしている。
産経は「特捜部は購入原資がゼネコンからの裏献金だったとの疑いを強めているが、小沢氏はゼネコンからの裏献金は一切ないと否定した。だが、岩手県の胆沢ダム建設をめぐり、重機土木大手「水谷建設」の元幹部が資金提供について具体的な証言をしている。」と書いている。
●土地取引に絡む複雑なカネの動きは結局、一種の資金洗浄だったのではないか。
朝日は「東京地検は、小沢事務所が東北の公共工事をめぐり、ゼネコン談合組織の受注調整に強い影響力を持ち、多額の政治献金を集めていたとみている。 岩手県の胆沢ダム建設工事を下請け受注した中堅ゼネコンの元幹部から、石川議員らに計1億円を提供したという供述も得ているという。このうちの5千万円は土地取引の前に石川議員に渡され、その直後に陸山会の口座に同額が入金されているという。 資金洗浄を疑わせるカネの動きは、こんな疑惑を隠すためではなかったのか」と疑問視している。
以上3点のほかに、読売は、小沢氏の過去の発言と、今回の説明の違いを突いている。「資金管理団体による不動産購入が問題視された3年前には「政治献金」、今回の疑惑が発覚した昨年10月には、資金管理団体の定期預金を担保にした「金融機関からの融資」だった。党大会での釈明や聴取後の説明通りなら、不動産購入が問題となった3年前、記者会見で契約書なども示しながら語った内容は、一体何だったのか。3年前の会見では、不動産購入は、「献金した人の意思を大事にし、有効に使う方法だ」と述べ、支援者の浄財を購入資金に充てたとしていた。しかも、会見時の資料の一部は、作成日を偽って直前に作ったことが判明している。」と。
上記のように、産経、読売、毎日、朝日の各紙は、小沢氏の説明に対し、多くの疑問が残ることを指摘している。産経は小沢氏に「国会や国民へのさらなる説明責任を果たしてほしい」と述べ、読売は「今度の説明こそ真実、と国民が納得できる根拠を示すべきだ」と要望している。毎日は野党の小沢氏の国会での参考人招致に対し、「民主党は積極的に対応すべきではないか」と書き、朝日は「民主党はこれで一件落着とせず、(野党の説明要求に)堂々と応じるべきである。」と主張している。
重点の置きどころや要望の内容に違いはあれ、日本のマスメディアがこれほど共通した論調を示すことは珍しい。メディアの論調は、国民の意思を反映するとともに、国民の判断に影響を与える。小沢氏、及び民主党を政権へとのし上げた潮の流れが、はっきり変わった。日本人の多くの良識が働き出した。小沢氏は、特捜部聴取後の記者会見で、強気に言い切っていけば、大衆はそれを信じると考えたのかも知れないが、天を恐れず、民を侮る独裁者は、自らの言動によって自滅するものである。
小沢氏はウソをついている。産経の記事が、小沢氏の4つのウソを告発している。「収支報告書に記載していない収支」「土地代金を装った融資」「陸山会の所有権を主張した『確認書』」、ゼネコンからの裏献金を否定ーーこの4つである。国会では、これらのウソを徹底的に追及してもらいたい。以下、記事のクリップ。
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●産経新聞 平成22年1月24日
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100124/crm1001240036000-n1.htm
【小沢氏聴取】資金の流れ追及、「3つのウソ」
2010.1.24 00:30
昨年3月の全面対決から約10カ月。民主党の小沢一郎幹事長と東京地検特捜部の攻防は23日、小沢氏の任意聴取という“直接対決”に発展した。「政治資金に関してはすべてオープンにしている」。ことあるごとにこう胸を張り続けた小沢氏。聴取では自身の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件について関与を否認したとみられる。しかし、捜査の過程でこうした小沢氏の言葉は覆されつつある。特捜部は国民を欺き続けた「政治家のウソ」という構図を描こうとしている。
■偽装
昨年3月4日午前。小沢氏は全身にカメラのフラッシュを浴びていた。前日に、小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規容疑者(48)が西松建設の違法献金事件で逮捕されていた。
「政治資金についてはすべてオープンにしている。収支を全部公開しているのは私だけではないか」
民主党本部で開かれた記者会見で、小沢氏は国民に向かってこう強調した。この言葉が「ウソ」だったことが後に判明する。陸山会の土地購入をめぐる事件の捜査をきっかけに、政治資金収支報告書に記載していない収支がいくつも出てきたのだ。
同事件の逮捕容疑だけを見ても、平成16年分は土地代金の原資4億円の収入と土地代金約3億5千万円の支出、19年分は小沢氏への返済金名目の4億円の支出…。
「ウソ」は土地代金の原資についてもあった。この土地購入が問題となった後の19年2月、小沢氏は会見で「土地購入の原資は銀行からの融資だった」と述べた。
しかし実態は、融資は土地代金の原資4億円を隠すための偽装工作だったとされる。融資を受ける直前に土地代金を支払っていたからだ。小沢氏は偽装工作が発覚すると、今月16日の党大会で「私どもが積み立ててきた個人の資金」と「ウソ」を修正した。
さらに、同じ19年の会見で、小沢氏は「確認書」なるものを報道陣に提示している。登記上の所有権は小沢氏個人の名義だが、事実上の所有者は陸山会-というものだった。
確認書の作成日付は陸山会が収支報告書に土地購入を記載した17年1月7日。ところが、実際に作成した日付は会見の直前だった。土地購入が問題となり、慌てて帳尻あわせをしたとみられる。これも偽装工作といえるものだ。
「収支報告書に記載していない収支」「土地代金を装った融資」「陸山会の所有権を主張した『確認書』」…。小沢氏が偽装と気付いていたかは不明だが、自らの言葉で事実上、3つの「ウソ」を付いていたといえる。
■裏金
聴取の焦点となった土地代金の原資。小沢氏は今月16日の党大会で「何ら不正なお金を使っておるわけではありません。個人資金でございます」と強弁した。
しかし、特捜部の目は“ゼネコンからの裏献金”に向いている。党大会での言葉を4つ目の「ウソ」とみているのだ。
小沢氏の地元、岩手県奥州市で進められている胆沢(いさわ)ダム工事をめぐり、水谷建設元幹部らが土地購入があった16年10月に民主党衆院議員の石川知裕容疑者(36)に裏金5千万円を渡したと供述しており、これらの供述が詳細を極めているからだという。
また、水谷建設元幹部らは17年4月に大久保容疑者に5千万円を渡したとも供述している。同年3~5月には小沢氏から陸山会に4億円が入金され、同額が戻されるという不自然な資金移動があった。
石川、大久保両容疑者は水谷建設を含めたゼネコンからの裏献金を否定しているとされる。しかし、特捜部は土地代金の原資に裏献金が含まれていたとみて、ゼネコン捜査を継続している。
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小沢氏は、土地購入には自己資産4億円を貸し付けた、資金の事務処理や収支報告書の虚偽記載については関与していない、銀行口座への入金、土地代金の支払いなどはすべて担当秘書が行い、具体的な処理は分からない、と述べた。また不正な裏金など一切もらっていないと断言した。
これに対し、今朝の全国紙、産経、読売、毎日、朝日の各紙は、社説に「なんら潔白の証明にはなっていない」(産経)「なお多くの疑問が残る」(読売)、「秘書任せは疑問が残る」(毎日)、「まだ残る数多くの疑問」(朝日)と書いている。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100124/stt1001240304001-n1.htm
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100124-OYT1T00096.htm
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100124k0000m070093000c.html
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
今回、東京地検が小沢氏の聴取を要請した目的は、次の点を明らかにする必要によると見られる。
小沢氏がこの容疑にどの程度かかわっていたのか。小沢氏が貸し付けたというこの資金を小沢氏はどこから工面したのか。特にゼネコンからの資金が入っていたのかどうか。土地取引に絡む複雑なカネの動きは、一種の資金洗浄だったのではないか。
これら三つのポイントは、朝日が社説で挙げたものだが、わかりやすにので、ポイントごとに、各紙の記述を整理してみよう。
●小沢氏が、この容疑にどの程度かかわっていたのか。
産経は 「(小沢氏は)銀行口座への入金、土地代金の支払いなどは「すべて担当秘書が行い、具体的な処理は分からない」と述べた。16年の土地購入の所有権移転日を17年とした点も関知していないとした。実務はすべて秘書の判断で行われ、複雑な資金操作などにかかわっていないことを強調したものだが、手持ち資金があって必要のない融資を受けるなど強い疑念が残っている。」と書いている。
毎日も、「(小沢氏は)「金融機関からの融資や、報告書の虚偽記載は「事務処理に関与していないので分からない」「全く把握していない。報告を受けたこともない」とした。この説明には疑問が残る。資金管理団体の代表として、土地購入に伴うこれだけ巨額の政治資金の出入りをすべて秘書任せにすることがあり得るのか。小沢氏本人も、記者団への説明資料で「常々、担当秘書には、政治団体の収支についてはきちんと管理し、報告するように言っていました」と述べている。」と書いて、疑問を呈している。
●小沢氏が貸し付けたというこの資金を、小沢氏はどこから工面したのか。特にゼネコンからの資金が入っていたのかどうか。
朝日は 「小沢氏は会見で、こう説明した。資金は自宅を売却した残金や家族名義の口座から引き出し、事務所の金庫に保管していた4億数千万円の一部だ。資金の事務処理や収支報告書の虚偽記載については関与していない。 しかし巨額の資金を長年、現金で置いていたことは常識では理解できないし、家族名義の預金のもとの出どころも不明だ。多額の利子負担を顧みず、4億円の預金を担保に銀行の融資を受け、それで土地代金を払ったように見せかけたことも知らなかったという。」 と書いて、疑問だとしている。
産経は「特捜部は購入原資がゼネコンからの裏献金だったとの疑いを強めているが、小沢氏はゼネコンからの裏献金は一切ないと否定した。だが、岩手県の胆沢ダム建設をめぐり、重機土木大手「水谷建設」の元幹部が資金提供について具体的な証言をしている。」と書いている。
●土地取引に絡む複雑なカネの動きは結局、一種の資金洗浄だったのではないか。
朝日は「東京地検は、小沢事務所が東北の公共工事をめぐり、ゼネコン談合組織の受注調整に強い影響力を持ち、多額の政治献金を集めていたとみている。 岩手県の胆沢ダム建設工事を下請け受注した中堅ゼネコンの元幹部から、石川議員らに計1億円を提供したという供述も得ているという。このうちの5千万円は土地取引の前に石川議員に渡され、その直後に陸山会の口座に同額が入金されているという。 資金洗浄を疑わせるカネの動きは、こんな疑惑を隠すためではなかったのか」と疑問視している。
以上3点のほかに、読売は、小沢氏の過去の発言と、今回の説明の違いを突いている。「資金管理団体による不動産購入が問題視された3年前には「政治献金」、今回の疑惑が発覚した昨年10月には、資金管理団体の定期預金を担保にした「金融機関からの融資」だった。党大会での釈明や聴取後の説明通りなら、不動産購入が問題となった3年前、記者会見で契約書なども示しながら語った内容は、一体何だったのか。3年前の会見では、不動産購入は、「献金した人の意思を大事にし、有効に使う方法だ」と述べ、支援者の浄財を購入資金に充てたとしていた。しかも、会見時の資料の一部は、作成日を偽って直前に作ったことが判明している。」と。
上記のように、産経、読売、毎日、朝日の各紙は、小沢氏の説明に対し、多くの疑問が残ることを指摘している。産経は小沢氏に「国会や国民へのさらなる説明責任を果たしてほしい」と述べ、読売は「今度の説明こそ真実、と国民が納得できる根拠を示すべきだ」と要望している。毎日は野党の小沢氏の国会での参考人招致に対し、「民主党は積極的に対応すべきではないか」と書き、朝日は「民主党はこれで一件落着とせず、(野党の説明要求に)堂々と応じるべきである。」と主張している。
重点の置きどころや要望の内容に違いはあれ、日本のマスメディアがこれほど共通した論調を示すことは珍しい。メディアの論調は、国民の意思を反映するとともに、国民の判断に影響を与える。小沢氏、及び民主党を政権へとのし上げた潮の流れが、はっきり変わった。日本人の多くの良識が働き出した。小沢氏は、特捜部聴取後の記者会見で、強気に言い切っていけば、大衆はそれを信じると考えたのかも知れないが、天を恐れず、民を侮る独裁者は、自らの言動によって自滅するものである。
小沢氏はウソをついている。産経の記事が、小沢氏の4つのウソを告発している。「収支報告書に記載していない収支」「土地代金を装った融資」「陸山会の所有権を主張した『確認書』」、ゼネコンからの裏献金を否定ーーこの4つである。国会では、これらのウソを徹底的に追及してもらいたい。以下、記事のクリップ。
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●産経新聞 平成22年1月24日
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100124/crm1001240036000-n1.htm
【小沢氏聴取】資金の流れ追及、「3つのウソ」
2010.1.24 00:30
昨年3月の全面対決から約10カ月。民主党の小沢一郎幹事長と東京地検特捜部の攻防は23日、小沢氏の任意聴取という“直接対決”に発展した。「政治資金に関してはすべてオープンにしている」。ことあるごとにこう胸を張り続けた小沢氏。聴取では自身の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件について関与を否認したとみられる。しかし、捜査の過程でこうした小沢氏の言葉は覆されつつある。特捜部は国民を欺き続けた「政治家のウソ」という構図を描こうとしている。
■偽装
昨年3月4日午前。小沢氏は全身にカメラのフラッシュを浴びていた。前日に、小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規容疑者(48)が西松建設の違法献金事件で逮捕されていた。
「政治資金についてはすべてオープンにしている。収支を全部公開しているのは私だけではないか」
民主党本部で開かれた記者会見で、小沢氏は国民に向かってこう強調した。この言葉が「ウソ」だったことが後に判明する。陸山会の土地購入をめぐる事件の捜査をきっかけに、政治資金収支報告書に記載していない収支がいくつも出てきたのだ。
同事件の逮捕容疑だけを見ても、平成16年分は土地代金の原資4億円の収入と土地代金約3億5千万円の支出、19年分は小沢氏への返済金名目の4億円の支出…。
「ウソ」は土地代金の原資についてもあった。この土地購入が問題となった後の19年2月、小沢氏は会見で「土地購入の原資は銀行からの融資だった」と述べた。
しかし実態は、融資は土地代金の原資4億円を隠すための偽装工作だったとされる。融資を受ける直前に土地代金を支払っていたからだ。小沢氏は偽装工作が発覚すると、今月16日の党大会で「私どもが積み立ててきた個人の資金」と「ウソ」を修正した。
さらに、同じ19年の会見で、小沢氏は「確認書」なるものを報道陣に提示している。登記上の所有権は小沢氏個人の名義だが、事実上の所有者は陸山会-というものだった。
確認書の作成日付は陸山会が収支報告書に土地購入を記載した17年1月7日。ところが、実際に作成した日付は会見の直前だった。土地購入が問題となり、慌てて帳尻あわせをしたとみられる。これも偽装工作といえるものだ。
「収支報告書に記載していない収支」「土地代金を装った融資」「陸山会の所有権を主張した『確認書』」…。小沢氏が偽装と気付いていたかは不明だが、自らの言葉で事実上、3つの「ウソ」を付いていたといえる。
■裏金
聴取の焦点となった土地代金の原資。小沢氏は今月16日の党大会で「何ら不正なお金を使っておるわけではありません。個人資金でございます」と強弁した。
しかし、特捜部の目は“ゼネコンからの裏献金”に向いている。党大会での言葉を4つ目の「ウソ」とみているのだ。
小沢氏の地元、岩手県奥州市で進められている胆沢(いさわ)ダム工事をめぐり、水谷建設元幹部らが土地購入があった16年10月に民主党衆院議員の石川知裕容疑者(36)に裏金5千万円を渡したと供述しており、これらの供述が詳細を極めているからだという。
また、水谷建設元幹部らは17年4月に大久保容疑者に5千万円を渡したとも供述している。同年3~5月には小沢氏から陸山会に4億円が入金され、同額が戻されるという不自然な資金移動があった。
石川、大久保両容疑者は水谷建設を含めたゼネコンからの裏献金を否定しているとされる。しかし、特捜部は土地代金の原資に裏献金が含まれていたとみて、ゼネコン捜査を継続している。
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