ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

小沢氏の説明の矛盾と謎

2010-01-21 12:00:01 | 時事
 小沢一郎氏を「剛腕」と褒め称え、その活躍に期待を寄せて書く記事は、昔からよく目にしたが、小沢氏の疑惑に取り組み、巨悪を暴くこうとするジャーナリストは、少なかった。もの書きにとって、相当の覚悟のいることなのだろう。
 私の知るところ、松田賢弥氏は徹底的に小沢氏の金銭疑惑を追及し、国民に伝えてきた。氏の著書「小沢一郎 虚飾の支配者」(講談社)は、週刊現代の連載をまとめたものだが、今日明らかにされつつある小沢氏の不正蓄財の実態に、最も早くから迫っていたのが、松田氏だった。
 もう一人、私が感心するのは、産経新聞社の阿比留瑠比記者である。同記者は、ブログに「小沢一郎氏の初当選からの言動を振り返る」という連載を書き、小沢氏の言動や論理には矛盾や無理が多いことを、詳細に明らかにした。一流の新聞記者の仕事は鮮やかである。
 その阿比留記者が、小沢氏の土地疑惑問題について、「遺産」「秘書寮」「単純ミス」という三つのキーワードを挙げて、わかりやすく分析している。今朝の産経新聞から転載する。

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●産経新聞 平成22年1月21日

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100121/stt1001210010001-n1.htm
ここがおかしい小沢氏の説明、陸山会の不動産 「遺産」「秘書寮」「単純ミス」、その矛盾と謎…
2010.1.21 00:09

 自身の政治献金問題をめぐる小沢一郎氏の発言と実態(1-2) 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」が保有する不動産は10数件、計約10億円に上るが、小沢氏のこれまでの説明は不可解そのものだ。記者会見では「違法なことはしていない」の決まり文句を連発し、強気な態度で追及を煙に巻いてきたが、いつまでもそれが通用するだろうか。「遺産」「秘書寮」「単純ミス」の3つのキーワードをもとに、矛盾と謎を追った。(阿比留瑠比)

遺産の有無

 小沢氏の元秘書で衆院議員の石川知裕容疑者らが東京地検特捜部に逮捕されたきっかけは、小沢氏の私邸にほど近い東京都世田谷区の3億4千万円の土地購入問題だった。
 調べに対し、石川容疑者はこの土地購入の原資を「小沢氏の父親からの相続財産」と供述し、小沢氏は16日の民主党大会で「積み立ててきた個人資産」と説明した。
 ゼネコンからの裏献金ではないと印象づけたいのだろうが、小沢氏は自民党総務局長当時の昭和58年1月、産経新聞のインタビューでこう語っていた。
 「私の亡父(佐重喜元建設相)も票田こそ残してくれたが、遺産はなかった」
 鳩山由紀夫首相は長年にわたり、実母から年1億8千万円の「子ども手当」をもらいながら「全く承知していなかった」と語った。小沢氏も同様に億単位のカネですら「遺産のうちに入らない」という感覚の持ち主なのか。

必要ない秘書寮

 「秘書に宿舎(寮)を提供してやろうと買った」
 小沢氏は問題の土地の購入理由をこう説明してきた。また、国民の税金である政党助成金を含む政治資金の使途に関し、「(事務所の)賃貸はよくて購入はよくないという論理は分からない」とも述べている。
 とはいえ、総務省に届け出のある現職国会議員の資金管理団体のうち、土地を保有するのは陸山会だけ。小沢氏と同期(衆院当選14回)で40年余の国会議員歴を持つ民主党の渡部恒三元衆院副議長も10日のテレビ番組で「政治家が、政治資金で土地を買ったという話は生まれて初めて聞く」と明言した。
 そもそも秘書寮が本当に必要だったのか。
 「そんなもの必要なはずはない。陸山会の収支報告書には載っていないが、小沢邸から歩いていけるところに前から秘書が住んでいる複数の一軒家がある」
 元秘書の一人がこう語る通り、小沢邸から徒歩3~4分の場所には、小沢夫人名義で秘書らが住む複数の戸建て住宅がある。優に10人以上は住めるスペースはすでに確保されていた。
 小沢氏を自民党旧田中派時代から知るベテラン秘書は「故人を含めて小沢氏の秘書はたくさん知っているが、みんなひどい待遇だった。大金をかけて自分名義の土地を買い、寮を建てるぐらいならば給料を上げてやればよいのに」と憤る。

単純ミス?

 陸山会の政治資金収支報告書は、石川容疑者が土地購入資金として「平成16年10月上旬に小沢氏から受け取った」と供述した4億円の記載がなかった。
 これについて、小沢氏は「単純なミスのような話」「計算上のミス」と主張し、「一点のやましいところもない」と強調するが、言葉通りには受け取り難い。陸山会の収支報告書では他にも奇妙な部分が指摘されてきたからだ。
 例えば、秘書寮の所在地については産経新聞が指摘するまで「深沢6丁目」と記載していたが、実際は「深沢8丁目」。他にも港区に3320万円で購入した土地・建物に関して「港区青山」という存在しない地名を記していた。
 その一方で陸山会は、保有している複数の土地・建物に関し、「居住する秘書のセキュリティーなどのため」として不動産地番の号数を省いて記載する周到さを見せている。
 少なくとも、小沢氏が繰り返し自賛してきた「政治資金の透明性」は陸山会にそぐわない。

●小沢語録

 金銭資産関係ーー阿比留記者のブログから抜粋

・昭和58年1月20日産経夕刊、自民党総務局長、愛読書に関連して
 「(前略)最も人間的に好きなのが西郷隆盛である。(中略)西南の役では前途有為な人材を多く失い、政治家としての見通しが悪かったのも確かだ。だが、逆に情に流される西郷に人情政治家の捨てきれない魅力がある。『子孫のために美田を残さず』との言葉も味わい深い。私の亡父(佐重喜元建設相)も票田こそ残してくれたが、遺産はなかった」

・昭和61年2月1日読売、自治相、資産公開のコメント
 「閣僚のうちで不動産が二番目に多いとは知らなかった。世田谷の土地は、最近、湯島の家を売って買い換えたもので、両親が残してくれた土地の資産価値が出ただけだ。普通預金はあるにはあるが、公開しなくてもいいというので出さなかった。政治家には資産を持っている人もそうでない人もいるが、肝心なのは、どのように行動していくかであって、資産があるかどうかは、政治家の在り方に、直接かかわりはないと思う」

・平成2年2月24日朝日、幹事長、自民党三役に聞く
「私は個人的には、政治献金をすべてやめるという考えだ。個人からの献金なら良いという話があるが、献金する規模が小さくなればなるほど利害が絡む。ただ、政治家個人ではなく、政党への献金ならいい。との議論はあるかも知れない」

・平成2年12月31日朝日、幹事長、党三役インタビュー
「政治にカネがかからないのがいいことで、かかるのは悪いとマスコミ的な仕分けをするのは非常におかしい。僕はカネのかからない政治を目指す、とは一度も言ったことがない。国民が求めているのは、きちんとしてカネが集まり、きちんとして使われ、それがオープンになることだ。オープンでないところに問題がある」

・平成4年7月24日産経、政治改革を聞く
「(献金は)『小口でたくさん』と言うが、とても集まらないのが実態で、それは幼稚園の作文みたいな話です。そういうのはいけない。カネを出す単位はできるだけ大きい方がいい。単位として一番大きいのは税金です。(中略)だから僕は、『政治活動にかかる金は税金で出しなさい。こんなに安上がりなものはない。いろんなスキャンダルが起きたり、疑われたりするこのロスとコストを考えてみなさい』と言っている」
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