●アメリカの模倣で食源病に
日本人の食事が欧米型に変化して行った1960年代(昭和30年代後半以降)、アメリカでは、突然死とガンが急増した。上院栄養問題特別委員会は、昭和52年(1977)に、マクガバン・レポートを発表し、アメリカ人に食事の改善を呼びかけた。
ところが日本人は、こうしたレポートが出された時期に、アメリカの後を追うように、食生活が欧米型に大きく変化したのである。その結果は当然のこととして、ガン、心臓病、脳卒中などアメリカの6大死因となっている病気が、日本でも増えた。マクガバン・レポートは、食生活を改めて病気を予防する以外に先進国民が健康になる方法はないと警告したが、日本人はそれを無視するように、食源病の道を進んだ。
戦後日本は、アメリカを模倣し、欧米に追従した。食生活においても、模倣・追従を続け、国民が健康を自ら損なうという事態にはまり込んでしまった。これには、食生活だけではなく、西洋医学への過信と関係していると思う。私は、戦後日本人の食の乱れと、西洋医学への過信は、一体のものと見ている。食から話が少し広がるが、重要なことなので、触れておきたい。
●西洋医学への過信
現在、多くの人は、病気になれば、医者へ行き、薬を飲み、手術をすれば良いと考えている。医者といえば、西洋医学の医師のことだと理解している。戦後日本では、大病院が続々と建ち、新薬が薬局で売られ、新聞やテレビには薬のCMが氾濫している。しかし、西洋医学には、多くの欠陥のあることが、欧米においてもわかってきた。その欠陥を補うために、シナやインド等の伝統的な医学が研究され、今日では代替医療の発達を見ている。
真の日本精神を伝える運動を唱道された大塚寛一先生は、西洋医学の特徴として、物質的であること、専門細分化されていること、細菌恐怖症に陥っていることを挙げておられる。
①物質的である
西洋医学は人間を物質的に扱い、どこかが悪ければ、すぐ手術で切り取る傾向がある。その結果、手術の後遺症を抱えている人が多い。しかし、人体のどれ一つとってみても不必要なものはない。手術は万止むを得ない場合の非常手段である。人間は肉体と精神・生命の両面から成り立っている。人体を損なわず、生理機能を旺盛にして毒素のみを体外に出すことが最高の医学である。
②専門細分化されている
西洋医学の病院では、内科、外科、小児科、婦人科、耳鼻科等の専門分野に分れている。それそれ専門家がいて、専門の立場から治療にあたっている。しかし、人間の身体はそれぞれの臓器が別々に働いているわけでなく、相互に関連して総合的に機能している。そうした人間の全体を、総合的に見る必要がある。
③細菌恐怖症に陥っている
西洋医学は、病気の原因として細菌やウイルスを追求する。しかし、人類発生以来、人間はあらゆる病原菌に触れてきた。それでも絶滅せず、むしろ人口が増えているのは、人間が細菌に打ち勝っている証拠である。病気になる人とならない人との違いは、抵抗力の違いによる。生命力が活発に働いていれば、細菌に触れても病気にならない。
大塚先生が指摘されるこれらの西洋医学の特徴は、同時に西洋医学の欠陥を示すものでもある。こうした欠陥を補うために、精神の身体への作用に注目したストレスの研究や、生命力を高め病気にならないように努める予防医学が発達してきた。
こうした点は、東洋医学が重視してきたところであって、わが国の伝統的な医学では、「病は気から」と言って、精神面の影響を重視していたし、また食事や生活習慣に気をつけて、健康長寿を願う養生法が推賞されてきた。
戦後の日本人は、伝統的なものは古いというだけで何でも否定したが、医学・健康法の分野でも、それが起こった。今なお、多くの人は、医学迷信、薬物迷信ともいうべき観念に陥っている。人体に内在する生命力・自然治癒力を軽視し、薬物や手術に頼りすぎている。食に関しても、安易な食生活を送って、病気になれば、薬を飲み、手術をすれば良いと考えている人が多い。それが大人だけの話しならどうか知らぬが、子どもたちまでが健康を損ない、健全な成長が出来なくなったら、取り返しがつかない。日本国全体としても、国が傾き、衰える。こんな状態は、早く脱却しなければならない。
次回に続く。
日本人の食事が欧米型に変化して行った1960年代(昭和30年代後半以降)、アメリカでは、突然死とガンが急増した。上院栄養問題特別委員会は、昭和52年(1977)に、マクガバン・レポートを発表し、アメリカ人に食事の改善を呼びかけた。
ところが日本人は、こうしたレポートが出された時期に、アメリカの後を追うように、食生活が欧米型に大きく変化したのである。その結果は当然のこととして、ガン、心臓病、脳卒中などアメリカの6大死因となっている病気が、日本でも増えた。マクガバン・レポートは、食生活を改めて病気を予防する以外に先進国民が健康になる方法はないと警告したが、日本人はそれを無視するように、食源病の道を進んだ。
戦後日本は、アメリカを模倣し、欧米に追従した。食生活においても、模倣・追従を続け、国民が健康を自ら損なうという事態にはまり込んでしまった。これには、食生活だけではなく、西洋医学への過信と関係していると思う。私は、戦後日本人の食の乱れと、西洋医学への過信は、一体のものと見ている。食から話が少し広がるが、重要なことなので、触れておきたい。
●西洋医学への過信
現在、多くの人は、病気になれば、医者へ行き、薬を飲み、手術をすれば良いと考えている。医者といえば、西洋医学の医師のことだと理解している。戦後日本では、大病院が続々と建ち、新薬が薬局で売られ、新聞やテレビには薬のCMが氾濫している。しかし、西洋医学には、多くの欠陥のあることが、欧米においてもわかってきた。その欠陥を補うために、シナやインド等の伝統的な医学が研究され、今日では代替医療の発達を見ている。
真の日本精神を伝える運動を唱道された大塚寛一先生は、西洋医学の特徴として、物質的であること、専門細分化されていること、細菌恐怖症に陥っていることを挙げておられる。
①物質的である
西洋医学は人間を物質的に扱い、どこかが悪ければ、すぐ手術で切り取る傾向がある。その結果、手術の後遺症を抱えている人が多い。しかし、人体のどれ一つとってみても不必要なものはない。手術は万止むを得ない場合の非常手段である。人間は肉体と精神・生命の両面から成り立っている。人体を損なわず、生理機能を旺盛にして毒素のみを体外に出すことが最高の医学である。
②専門細分化されている
西洋医学の病院では、内科、外科、小児科、婦人科、耳鼻科等の専門分野に分れている。それそれ専門家がいて、専門の立場から治療にあたっている。しかし、人間の身体はそれぞれの臓器が別々に働いているわけでなく、相互に関連して総合的に機能している。そうした人間の全体を、総合的に見る必要がある。
③細菌恐怖症に陥っている
西洋医学は、病気の原因として細菌やウイルスを追求する。しかし、人類発生以来、人間はあらゆる病原菌に触れてきた。それでも絶滅せず、むしろ人口が増えているのは、人間が細菌に打ち勝っている証拠である。病気になる人とならない人との違いは、抵抗力の違いによる。生命力が活発に働いていれば、細菌に触れても病気にならない。
大塚先生が指摘されるこれらの西洋医学の特徴は、同時に西洋医学の欠陥を示すものでもある。こうした欠陥を補うために、精神の身体への作用に注目したストレスの研究や、生命力を高め病気にならないように努める予防医学が発達してきた。
こうした点は、東洋医学が重視してきたところであって、わが国の伝統的な医学では、「病は気から」と言って、精神面の影響を重視していたし、また食事や生活習慣に気をつけて、健康長寿を願う養生法が推賞されてきた。
戦後の日本人は、伝統的なものは古いというだけで何でも否定したが、医学・健康法の分野でも、それが起こった。今なお、多くの人は、医学迷信、薬物迷信ともいうべき観念に陥っている。人体に内在する生命力・自然治癒力を軽視し、薬物や手術に頼りすぎている。食に関しても、安易な食生活を送って、病気になれば、薬を飲み、手術をすれば良いと考えている人が多い。それが大人だけの話しならどうか知らぬが、子どもたちまでが健康を損ない、健全な成長が出来なくなったら、取り返しがつかない。日本国全体としても、国が傾き、衰える。こんな状態は、早く脱却しなければならない。
次回に続く。