ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

教育再生は社会総がかりで6

2007-02-14 13:06:32 | 教育
 教育再生会議が対応を求めている第一の領域は家庭だった。第2~第4は、地域社会、企業、社会全体である。

●地域社会の取り組み

 第ニの領域である地域社会における対応について、教育再生会議の要望を見てみよう。

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(2)地域社会の対応 -学校を開放し、地域全体で子供を育てる-
【放課後子どもプランの全国展開、地域リーダー(教育コーディネーター)の活用】

 子供たちは、健全な生活習慣の中で、よく学び、よく遊んでこそ育つものです。子供のいる人もいない人も地域社会の全ての人たちは、子供たちと積極的にかかわり、学校との連携を深め、地域住民が教育に参画することが必要です。
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 こういう説明のもとに、以下のような具体的な対応策が提示されている。

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○ 「放課後子どもプラン」(注)は、異年齢交流や集団活動により、子供を心豊かにたくましく育てるための「根っこ」となるものであり、学習意欲と学力・体力・創造力の向上に資するところも大である。さらに、地域の生活環境の改善、地域活性化の起爆剤ともなるものである。
 本事業においては、学校のほか自治体、スポーツ団体、ボランティア、地元企業等が連携して、多様なプロジェクト(地域の祭りなどの伝統・文化活動、スポーツ活動、演劇などの芸術活動、自然体験活動など)に取り組む。そうすることで、家庭や学校とは異なる子供たちの「居場所」を確保し、様々な体験を通して、地域社会と交流を深め、対人関係能力の向上を図る。省庁の縦割りを排して現場中心の取組とするため、地域リーダーの協力を得て、実効ある実施体制を設けるなど、各自治体が責任をもって取り組む。
※「放課後子どもプラン」については、7頁参照。
○ このような活動を推進し、新たな地域コミュニティーづくりに成功している自治体等の好事例を紹介し、全国的な国民運動として拡大する契機とする。
○ 地域の教育資源を効果的に活用し、体系的で充実した子供の学習・体験活動につなげていくため、地域の教育活動で活躍しているNPOや企業などの民間主体をコーディネーターとして活用する。
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 どれも実現してもらいたい対応策だと思う。ただし、こうした対応は、今まで何もやっていなくて、まったく新たに始めようというものではない。「大人が変われば、子供も変わる」という標語がある。社団法人青少年育成国民会議によるものである。この団体のもとに、「大人が変われば、子供も変わる」運動が行なわれている。
http://www.nayd.or.jp/

 青少年育成国民会議は、昭和41年(1966)に発足した。今日も活動を続けている。青少年育成国民会議は、次ぎのように言っているーー青少年がのびのびと健やかに成長することは、すべての大人の願いである。それを実現するためには、子どもが育つ第1の場~家庭、第2の場~学校、第3の場~地域社会が手をつなぎ、協力体制をつくりながら、親や大人、子どもや青年も参加する地域ぐるみの取組を進めていくことが必要である、と。
 こうした地域ぐるみの取組を全国に広げようと発足したのが、この団体である。47すべての都道府県に青少年育成都道府県民会議があり、全国の約7割の市町村に市町村民会議が結成されている。内閣府・警察庁・法務省・文部科学省・厚生労働省・NHK・日本民間放送連盟が後援している。

 これだけ多くの省庁やマスメディアがバックアップしているのであれば、国民の間に、周知されていてもおかしくない。
しかし、青少年育成国民会議も「大人が変われば、子供も変わる」運動も、その存在を知る人は少ないはずである。それは、それは、行政やメディアの推進が弱いからだろう。また、一方では、地域の子どもたちの教育に参加して、自ら取り組んでいる人は少ないためだと思う。私自身、民間で青少年の教育に関わるようになってから、自分で調べてこの団体・運動を知った。だが、その後もめったにその活動に触れることがない。

 「大人が変われば、子供も変わる」という標語は、本質を突いている。教育再生会議は、なぜこの標語を生かさないのか。いろいろなプランやプロジェクトを提案するのはいいことだが、もっと一人ひとりの心に訴える呼びかけが必要だと思う。
 大人が変わることなくして、子供は変わらない。一個の人間として、各自、自分を省みて、少しでも子供の手本となれるよう努めたい。地域の子供は、地域のみんなで守り育てるという気持ちを持ちたい。身近な子供たちにあいさつするなど気軽に声をかけたり、他人の子でも良いことはほめ、良くないことは注意できるような、「やさしくて恐いおじさん、おばさん」「やさしくて恐いお兄さん、お姉さん」になれるよう目差したい。
 一人ひとりがそういう行動を始めてこそ、教育再生会議が要望する方策が現実のものとなるのではないか。

 次回に続く。