ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

教育再生は社会総がかりで2

2007-02-09 08:55:24 | 教育
●全国民への呼びかけ

 教育再生会議の報告書は、「公教育の機能不全」を指摘し、「社会総がかり」での取り組みを訴えている。その点に直接触れているのが、2の「「美しい国、日本」を目指して」の一節である。

 「かつて家族や地域社会が持っていた温かい人のつながりが希薄になる中、家族、地域社会、企業、団体、官庁、メディアなどあらゆる層の人々が、自分たちも「教育の当事者」であるという自覚を忘れ、行動を起こさず、非教育的でさえあることが、現在の教育荒廃を招いた大きな原因の一つであると深刻に受け止めています。子供は大人の背中を見ながら育ちます。大人一人ひとりが子供の目標となるよう誠実に努力する必要があります。子供の健全な成育に背を向ける身勝手は許されません。今こそ「社会総がかり」で教育を再生しなければなりません。」
 
 ここでは、現在の教育荒廃を招いた大きな原因の一つに、大人が「自分たちも「教育の当事者」であるという自覚を忘れ、行動を起こさず、非教育的でさえある」ことがあることを指摘し、大人が「誠実に努力する」必要があり、「身勝手」は許されないと言い切っている。そのうえで、「今こそ「社会総がかり」で教育を再生しなければなりません。」と呼びかけている。
 続いて、3の「第一次報告に当たって」では、「公教育再生への第一歩として、義務教育を中心に初等中等教育に関する基礎学力、規範意識などを当面の課題として焦点を絞り、学校はもとより教育委員会、家庭、地域社会、企業等が緊密に連携しながら、文部科学省はじめ政府も一体となって「社会総がかり」で取り組む方策について提言を行うことにしました。」とある。
 このように、この報告書は、「「社会総がかり」で取り組む方策」について提言するものであることを述べている。そして、4の「今後の検討と迅速な実行」では、教育再生のために政府が一丸となって取り組むよう求めるとともに、全国民に対して、以下のように訴えている。
 「保護者の皆様をはじめ、全ての国民の皆様におかれても、教育再生は自らの問題であるとともに、地域、社会、国全体の緊急課題であると捉え、勇気と覚悟を持って一緒に取り組んでいただくことを切望します。」と。

 私は、国民に「教育再生は自らの問題である」と自覚を促し、「地域、社会、国全体の緊急課題である」という認識を求め、「勇気と覚悟を持って」「一緒に」取り組んでもらいたいと望んでいるところを、国民一人一人が受けとめることが大事だと思う。特に「勇気と覚悟を持って」という一句は、今日、家庭や学校や地域で、子どもの問題、教育の問題に取り組むために、心にとどめるべき言葉だと思う。

●7つの提言と4つの緊急対応

 報告書は、「教育再生のための当面の取組」として、「7つの提言」と「4つの緊急対応」を挙げている。
 「7つの提言」は、初等中等教育を中心としたものである。高等教育については、第2次報告で提出されるだろう。今回の提言では、7つのうち、1~3は「教育内容の改革」に関するもの。4は「教員の質の向上」、5~6は「教育システムの改革」、7は「「社会総がかり」での全国民的な参画」に関するものとなっている。
 「教育内容の改革」に関する提言としては、「1.「ゆとり教育」を見直し、学力を向上する」「2.学校を再生し、安心して学べる規律ある教室にする」「3.すべての子供に規範を教え、社会人としての基本を徹底する」の三つが提示されている。
 「教員の質の向上」に関しては、「4.あらゆる手だてを総動員し、魅力的で尊敬できる先生を育てる」、「教育システムの改革」に関しては、「5.保護者や地域の信頼に真に応える学校にする」「6.教育委員会の在り方そのものを抜本的に問い直す」、「「社会総がかり」での全国民的な参画」にかんしては、「7.「社会総がかり」で子供の教育にあたる」が提示されている。

 7つの提言は、それぞれ具体的な提言内容を列記し、実現を強く訴えている。方針や姿勢、方策・手段等が混在したまま発表されたのは、それだけ事態が切迫しているからだろう。
 報告は、提言を迅速かつ確実に実施することを求める。それだけでなく、「4つの緊急対応」として、以下の対応を強く求めている。

(1)暴力など反社会的行動をとる子供に対する毅然たる指導のための法令等で出来ることの断行と、通知等の見直し(いじめ問題対応)【18年度中】
(2)教育職員免許法の改正(教員免許更新制導入)【平成19年通常国会に提出】
(3)地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正(教育委員会制度の抜本改革)【平成19年通常国会に提出】
(4)学校教育法の改正(学習指導要領の改訂及び学校の責任体制の確立のため)【平成19年通常国会に提出】

 次回に続く。