ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

教育再生は社会総がかりで5

2007-02-13 09:48:18 | 教育
●家庭での対応

 教育再生会議は、四つの領域における対応を求めている。第1は、家庭での対応である。前回書いた構図の中ではあるが、以下のように書いている。

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(1)家庭の対応 -家庭は教育の原点。保護者が率先し、子供にしっかりしつけをする-
【「家庭の日」を利用しての多世代交流、食育の推進、子育て支援窓口の整備】

 家庭は教育の原点であり、基本的な生活習慣や感性などの基礎は家庭で培われるものです。家庭の教育力は、子供に対する愛情の上に、保護者がその責任を自覚することから始まります。保護者は教育を学校任せにせず、厳しさと愛情を持って子供としっかり向き合わなければなりません。
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 至極まっとうなことが書かれている。特に保護者は「厳しさと愛情を持って子供としっかり向き合わなければなりません」と書いて、「厳しさと愛情」「しっかり向き合う」という言葉を入れているのがよい。
 次に、報告書では、具体的に6点の対応内容が挙げられる。

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○ 国・教育委員会・企業等をはじめとする全ての関係者が、保護者が家庭教育に責任を持つこと、及び保護者としての責任を果たせる環境づくりが何より重要であるという価値観を社会全体で共有し行動するよう努める。
○ 家族が集う正月、盆、彼岸などにおいて、家族、ふるさとの価値・すばらしさ、生命継承の大切さを考える気運を高める。44都道府県で行われている「家庭の日」なども活用し、多世代交流をすすめる。知恵や人生経験の豊かな高齢者は、特に主役である。
○ 早寝早起き朝ごはん運動の推進、挨拶の励行、食育、睡眠の大切さの普及などを通じて、子供たちの生活習慣の改善に努める。また、家庭学習の習慣をつけるよう各家庭でも努力する。
○ 核家族化により祖父母の子育て経験が世代間で受け継がれにくくなっている状況を踏まえ、教育委員会、自治体、関係機関は、子育て・家庭教育に関する相談・支援窓口の整備など子育て支援を充実する。また、一人親家庭や経済的・時間的に子育てに困難を伴う家庭への支援策を講じる。
○ 乳幼児期の子供の親やこれから親になる人たちが、子育てについて学べる機会を拡充する。
○ 子供の発達と成長、育児環境の在り方などを考えるため、脳科学者、児童精神科医、小児神経科医、小児科医や療育の専門家を含めた、科学的知見を発信する国レベルの学際的な会議を開催し、親が子供の発達と成長などについて理解を得られる機会を提供する。
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 ここでも大切なことが挙げられている。5点目、6点目は、「親学」に関するものである。この報告書では、提言の第三「すべての子供に規範を教え、社会人としての基本を徹底する」に親学という用語が使われている。すなわち、その「(1)社会人として最低限必要な決まりをきちんと教える」の四番目の対応内容に、「○教育委員会、自治体及び関係機関は、これから親になる全ての人たちや乳幼児期の子供を持つ保護者に、親として必要な「親学」を学ぶ機会を提供する。」とある。
 また、「教育の再生のための今後の課題」の第4「社会総がかり」での全国民的な参画」には、②として「家庭における生活習慣の改善や、乳幼児期の子供の親やこれから親になろうとする人が育児について学ぶ「親学」や親を支援する諸制度の充実などの方策」が挙げられている。

 これは、もっと重視すべきことである。実は今日の「公教育の機能不全」の大きな原因の一つは、親がまともな子育てをできていないことにある。いじめや校内暴力、少女売春、麻薬使用等の問題も、家庭に問題があったり、親の対応が弱かったりする事例が多いようだ。
 顕著なのは、小学校1年生、新入学児童の学級崩壊である。学校で公教育を始める前に、崩壊してしまうクラスがある。しつけができていないからである。1年生どころか、全国の保育園・幼稚園で、3歳児崩壊と呼ばれる状態が起こっている。胎教や乳児教育段階で、非常に重要な問題が生じているのである。公教育以前のところに改革の開始点を置かなければ、目的は達成できない。
 公教育の再生のためには、家庭の再生が不可欠であり、家庭の再生こそが、公教育の再生の要なのである。そのことを、全国の親に、大人に、その一人一人に直接訴えるべきである。

 私は、今後、教育再生会議が第2次報告、最終報告を検討するにおいては、家庭教育の重要性、親の責任と役割の大きさをもっと掘り下げ、報告書に積極的な形で表現するよう強く要望したい。

 次回に続く。