ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

食と健康と日本の再建8

2007-02-27 09:58:08 | 教育
●薬物依存をやめ、医食同源へ

 前回、西洋医学への過信について書いた。その続きを書く。
 病院に行けば、ほとんど必ず薬を与えられる。渡された人は、単純にそれが薬であり、薬を飲めば病気はよくなると信じている。しかし、薬とは本来、①病に適したものを、②適量に用い、③その病が治る瞬間だけが薬である。薬は病に効いてこそ薬であり、誤り用いる時は、毒に変ずるものである。
 市販されている薬について、①②③を考えてみよう。

①市販薬は鉱物性のものが多い
 西洋医学の薬は、鉱物性のものが多い。鉱物性の薬は、体内に残留しやすく、長期間の服用は、かえって体の働きを弱めたり、新たな病気の原因となる。薬には主作用と副作用があり、長く服用すると、副作用を生じる恐れがある。

②年齢による平均値で適量を決めている
 統計による平均値で使用量を決める仕方は、人それぞれ抵抗力や体質が異なっているので無理がある。アルコールでも、一笑飲んでも平気な人があれば、少量でも真っ赤になる人がいる。薬の特定成分に過剰に反応する人の場合、平均値による量を与えられると、ショックを起こすことがある。

③健康保険制度により過剰投与の傾向がある
 現在の健康保険制度では、薬や注射に応じて点数を決め、使用量による出来高払いとなっている。そのため、医者は病院経営のために、薬を多く出す傾向がある。昔、医学は仁術と言われた。人への愛を行う方法である。しかし、今、医は仁術から算術になったといわれる。

 さらに重要なことは、病気というものは、薬が治すのではなく、我々の体に自然治癒力があるから治るのである。
 薬は、その自然治癒力の働きを補助するものに過ぎない。自然治癒力が低下していたり、自然治癒力の働きを妨げるものがあったりすれば、それを取り除くことが必要である。それらの条件をそのままにして薬だけを用いても、効果には限界がある。薬もその他の治療方法もみな、その人の自然治癒力を補助するものであって、補助にすぎない。大切なことは、いかに自然治癒力を活発にするかである。
 逆に言うと、普段の生活において、自然治癒力、言い換えれば生命力が活発に働くような生活をしていれば、めったなことで病気にかからない。かかっても治りが早いということである。
 ここに重要な要素の一つとなるのが、食のあり方である。東洋では、医食同源という。病気を治すのも食事をするのも、生命を養い健康を保つためであり、その根源は同じだということである。私たちの先祖は、医食同源という知恵を持っていた。病気にならないように食生活に注意する。また、もし病気になったら、食事のあり方を正すということが行なわれていた。

 ところが、戦後の日本人は、西洋医学を過信し、薬物に依存することによって、病院や製薬会社のよいお得意さんになってしまっている。このことと、食の乱れによる国民の健康状態の悪化は、深い関係があると私は見ている。日本人は、薬物依存から医食同源へと生活の仕方を変える必要がある。

●病気の原因を把握し、健康に留意する

 病気の原因について、現代の私たちは大きく考え違いをしている点があると思う。真の日本精神を啓蒙されてきた大塚一先生は、多くの人を健康に導いてきた方でもある。先生は、病気の主な原因として三つ挙げておられる。
 一つは心の持ち方、二つ目は体の使い方、三つ目は環境である。この三つのどれかが自分の抵抗力以上に負荷がかかると病気が生じてくるということを、大塚先生は説かれている。

 心の持ち方とは、例えば、ものすごい心配事があると一晩で髪の毛が真っ白になってしまうということが現実にある。ひどい場合には、驚きのあまりショック死するということさえある。東洋では、病気とはその文字が示すように、気を病むことと考えられた。気持ちは、体に影響する。西洋医学では、ストレスの研究によって、この点が明らかにされている。ストレス学説を唱えるカナダの生理学者、ハンス・セリエは、病気の7割はストレスによるといい、「何事に対しても感謝すれば、病気は半減する」と説いている。
 次の体の使い方とは、どんなに丈夫な人でも、無理をすると病気になる。過労や睡眠不足、不規則な生活がそれである。運動不足も生理機能を低下させ、病気にかかりやすくなる。
 最後の環境には、健康によくない環境におかれると、心身ともに健康な人でも病気になる。四日市喘息等、環境汚染による病気がそれである。

 食については、東洋医学では、食は環境の中の一要素だと昔から考えられてきた。人間は、環境から必要なものを取り入れ、不必要なものを排出する。空気、水についで、食べ物がそれである。食は人間と自然のかかわりそのものだから、環境というとらえ方が、ふさわしいのかもしれない。

 これらに加えて、先天的な原因もある。先祖から受け継いだ体質、家系的な要素、遺伝的な要因である。先天的な原因は、しばしば後天的な条件と結合して、病気となって現れる。

 心の持ち方、体の使い方、環境の三つを、病気の主な原因に挙げたが、逆に健康な生活を送るためには、心の持ち方、体の使い方、環境に気をつければよいことになる。
 心を明るく、ゆったりとし、適度の運動と規則正しい生活を心がけ、健康によい環境に住む。そのうえで、食についても気をつけることが必要である。食事の在り方一つで、病気にもなれば、健康な生き方もできる。健康な生活を送る一つの鍵が、食である。知恵を働かせてうまく食生活を行っていくことが、私たちの健康を維持していく基本の一つだと思う。

 なお、本稿は、食育を主題としているので食に焦点を合わせているが、実は私は食を第一の要素と考えているわけではない。経験上、精神的な面と先天的な要因の重要性を認識しているが、本稿では立ち入らない。本稿の主題は、食育のことだからである。

 次回に続く。