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●小説・・「じじごろう伝Ⅰ」狼病編..(22)

22.※(今回は全力シモネタ小説)

 大佐渡真理は事務室のドアをノックして開けた。六つの机を組んだ奥のひときわ大きなデスクに副施設長が座っている。真理は奥の副施設長に向けて、ペコリと頭を下げた。向かい合う四つの机に座る事務員は黙って下を向いたままだ。黙って下を向いたまま何か事務作業をしているだけなのに、何故か四人の事務員たちには緊張感が立ち込めている。

 事務室の中の四人の事務員の周りの空気は、恐怖感にも似たような緊張感が支配し、部屋の奥の副施設長は泰然と構えているというか、むしろ傲然とした雰囲気で座っている。

 頭を上げた真理は、奥の副施設長に向かって神妙な態度で言った。

 「副施設長先生、お話があるのですが」

 悠然としている副施設長は気軽に「おうっ」と応えると、椅子から立った。副施設長が大机から離れて動く際も、四人の事務員は下を向いたままシンとして黙ったままだ。物音一つ立てない。

 副施設長は顎で、大佐渡真理に応接間に入れと示した。真理は事務室の中のパーティションのドアを開けて、先に応接間に入った。後ろから入って来た副施設長がソファーに座るのを待って、真理はソファーに腰掛けた。

 副施設長を目の前に緊張する真理は、固くなって小さくなっていた。震えでも起こしそうな雰囲気である。膝の間というか下腹のところで両手で握り締めるように一通の封筒を持っている。

 前に座る副施設長は悠然とした態度で、片腕をソファーの背もたれに掛けてリラックスしている。様子が対照的な二人が向かい合った中で、真理がいつ話を切り出そうかとびくびくしていたら、おもむろに副施設長が上着の半袖ポロシャツの裾をたくし上げた。

 突然、気が付いたように立ち上がった副施設長は、応接間の窓のブラインドを降ろしてしまい、外側から応接間を見えなくした。副施設長の態度を真理はいぶかしんだが、それどころでなく真理は緊張していた。

 ソファーに座りなおして降りてしまっているポロシャツの裾を、副施設長はもう一度上げて、ズボンを引っ張り上げ片手でズボンのファスナーの摘まみを探すと、副施設長は一気にファスナーを降ろした。

 真理は副施設長の一連の動作を、いったい何をしてるんだろうとポカンと見ていたが、その直後、悲鳴を上げそうになるくらい驚いた。副施設長はズボンのチャックを降ろした、いわゆる社会の窓から、片手で自分の一物を摘まみ出したのだ。

 小さな応接テーブルを挟んで、真理の向こう側に見えるズボンの開いた股間には、だらりと男性の一物が現れている。黒ずんだ見るもおぞましい力なくぶら下がった男性器だ。真理は顔を真っ赤にして思わず下を向き、それが視界に入らないようにした。

 「これを見るんだ、大佐渡君!」

 力強い言葉で副施設長が言った。これを見るんだと言われても、真理もそんなもの、まじまじと見る訳にもいかない。下を向いていた真理は首を上げたがパーティションの壁の方へ顔を向けた。

 「どうしたんだ?大佐渡真理君。このワシの物をしっかりと見なさい」

 なおも副施設長は、真理に自分の股間を注視するように強制する。真理の方は、突然の副施設長の変質者的な行為に、この人は頭がおかしいんじゃないかと思った。

 真理はパーティションの壁の方に顔を向けたまま、小さく「いいえ」と答えた。

 「ふんっ。先ずワシのこれを見て貰わないと話が進まないんだがな」

 うら若き女子職員の前でとんでもない行動に出た、イイ年した立場ある男性とは思えぬ、副施設長の態度は落ち着きはらい悠然としている。開いたズボンの両股からだらりと自分の男性器を出したまま、両腕を伸ばしてソファーの背もたれを掴み、部下を前に傲岸不遜な態度で居る。

 真理は呆れと怒りが同時に頭の中を巡っていた。普通、二十歳そこそこの女子職員の真ん前で立場のある社会福祉施設の副施設長ともあろう人間が、性器を剥き出しで出して見せるかあ!?と胸の内では怒りの感情と共に思っていたが、口には出さなかった。

 怖かったが真理は勇気を持って副施設長に向かって行った。

 「副施設長先生、困ります。副施設長先生のそれをしまってください」

 真理が顔を紅潮させながらも怒りを含んだ様子が見てとれたので、副施設長も態度を軟化させた。副施設長は背もたれの両腕を前に持って来て背を丸め、やや前屈みになって顔に少し笑顔を浮かべた。

 「まぁ、そう怒った顔をするな、大佐渡君。ワシも深刻な悩みなんじゃよ」

 幾分柔らかい雰囲気になって副施設長が言う。相変わらずズボンのチャックからは一物をだらりと出したままだ。真理が黙っていると副施設長は話を続けた。

 「大佐渡君、見てのとおりワシの自慢の息子もこのとおりだ。昔は元気が良くて働き者じゃった。そりゃあ女を泣かしたものだ。しかし今はこのとおり、元気がない」

 副施設長は自分の性器を片手で摘まんで上下に振って見せ、真理に指し示した。このとおりと言われても真理はイイ年した男性の性器などまじまじと見る訳にもいかない。もっとも施設で働く真理は男性障害者の介助なども経験があるので、男性性器は別に見慣れてはいる。しかしこの場合は別だ。

 「このワシの息子もな、三年くらい前まではまだ元気だったんじゃ。それが近頃はとんと駄目になってしまった」

 話を続ける副施設長は自分の性器を摘まんだままだ。

 「どうだね真理君、触ってみんかね?」そう言って副施設長はハハハと豪快に笑って見せた。

 真理自身はいったい何と応えていいのか訳が解らなくなっていた。真理君と下の名前で呼ばれるのも不快だった。副施設長の態度と言動に呆れを通り越して、この場から逃げ出したかった。

 「それで真理君、職員たちのウワサ話を聞いたんだが…」

 副施設長はズボンの股間から一物を出したまま話を続ける。態度は悠然としたままだ。真理は顔を上げて前面の副施設長の方を見ると、どうしても副施設長のそれが目に入るのでうつむいたままだ。

 「何でも君のオマ×コの中はエラい熱いらしいねぇ」

 副施設長が露骨に女性性器のスラングな呼び方を恥ずかしげもなくさらりと口にしたので、真理は驚いて顔を上げた。しかも真理が今一番気にしていて苦悩している事柄だ。真理の顔は真っ赤になっている。

 「実はワシは、その君の熱い熱いとウワサのオマ×コを試させて欲しいんじゃよ」

 副施設長までが、真理のとても恥ずかしいウワサを知っている!真理は絶望感にも似た気持ちを抱いた。それは、1ヶ月くらい前の宿直当番の夜のことだ。後になって思えば不覚にも、同僚の蟹原友宏とあの晩行為に及んでしまった。卑劣漢·蟹原友宏はあの夜のことを施設中の職員に話して回ってるのだ。何という卑劣極まりない男だろう。真理は同僚·蟹原友宏を憎悪した。

 「ほれ、町の整形外科医院なんかに行くと温熱療法とかいって、患部を何やら機械使って温めてるだろう?あれじゃよ、真理君。あの療法でワシのちんぽも蘇らせて欲しいんじゃ」

 真理の気持ちも知らずに副施設長は勝手に自分のことを話し続けている。

 「君のマ×コにワシの息子を入れて温めることを続ければ、このワシの可愛い息子もまた元気を取り戻すんじゃないかと、こう思うんじゃよ」

 真理は悲しい絶望感とモヤモヤとする怒りの感情がない交ぜになっていた。うつむいた真理の小さな肩が小刻みに震えている。膝に置いた両の拳を握り締め、片手に持った封筒は真ん中をぐしゃりと握り潰している。

 そんな真理の思いなどまったく気が付かず、副施設長は呑気な態度で自分の話を続けている。真理の様子にもまるで感づかないようだ。相変わらず股間の一物は出したままだ。

 「とにかく今のワシの望みはこのワシのちんぽを生き返らせることだ。そのために是非とも協力してくれ、真理君。勿論、それには特別手当を給料に着けるし、ワシのちんぽの快方具合によっては主任に昇格してやってもいい」

 絶望と怒りの中でも副施設長の話は真理には聞こえていた。要するにこのイカれたオヤジは私に愛人になれ、と言っているのだ。しかも目の前に自分の性器をモロ出ししながら、露骨に性器の名前を口に出しながら。そう理解すると、絶望感よりも怒りの感情の方が強くなった。

 突然、真理は立ち上がり、応接テーブルに封筒を叩き着けた。バンッという激しい音がした。握り締めていた封筒は真ん中でくしゃくしゃになっている。

 「冗談じゃありません!こんな職場、辞めさせて貰います!」

 真理は叫ぶような大声でそう言うと、勢いよくパーティションのドアを開けて出て、ツカツカと事務室の出入口に向かい、また勢いよくドアを開けて出て行き、バタンッと激しい音をさせてドアを閉めた。

 事務室を出た真理は泣いていた。絶望感と怒りの涙だ。特に蟹原友宏と今の副施設長への怒りの感情でいっぱいだった。この職場の全員が敵に回ったような不信感さえあった。真理は泣きながら施設利用者居住棟の廊下を走り抜けて、非常口から外へ出た。誰も居ないところで思いっきり泣きたかった。

 大佐渡真理が事務室を出て行った後の副施設長は怒りに打ち震えていた。握った両の拳がワナワナと震えている。テーブルの上の真ん中がクシャリと握り潰された封筒を拾い上げると、封筒の前面に『退職願い』と読み取れる。副施設長は怒りに任せて封筒をチリヂリに破いてしまった。

 パーティションドアを開けて副施設長が出て来ると、事務員たちは雰囲気で副施設長が激怒していることが解り、場が凍りついたように静まりかえっている。みんな下を向いたまま、シンと黙ってカチカチになっているようである。四人の内、一番若い女の子の手が震えている。

 事務員たちは機嫌が超悪くなっている副施設長が、八つ当たりでいつ自分にカミナリを落とすかと怯えているのだ。いつも機嫌が悪いときの副施設長は生け贄を見つけ、生け贄となった部下の一人に先ず大声でカミナリを落とした後、ネチネチといびり続ける。このいびりが長くて、相手を人格的に否定し続け心理的に大きなダメージを与える。

 この副施設長のいびりを受けた部下たちは、自信をなくし悲しくなり、悔しくもあるが落ち込んでしまう。副施設長の方はいびりを済ませば、後は全て忘れてケロッとしている。副施設長に取って部下を怒りいびるのは自分のストレス発散でもあるのだ。部下をいびり倒した後は、副施設長は上機嫌になっていることが多い。

 日頃から勤続の短いヒラの職員なぞ、虫けらのように思い“替え”はいくらでも居る、と思いながらオーナーサイドとして管理職に就いている副施設長は、雇用してやって三年にも満たぬ小娘が、自分に逆らったことが我慢ならず悔しくて悔しくて怒りに打ち震えている状態で、自分がズボンの社会の窓からチンチンを出したままであることを忘れていた。

 副施設長は頭が怒りでいっぱいになったまま、チンチンをぶら下げて事務室の中をうろうろと行ったり来たりしていた。つまり机に向かう四人の事務員の周りを歩き回っていた。

 普通なら事務員たちも、副施設長などと立場のある上司がチンチンをぶらぶらさせながら歩き回っていたら苦笑や失笑したり呆れるところだが、とてもそんな雰囲気ではなく凍りついたままピクリとも動かず下を向いていた。一番若い女子事務員などは、今にも泣き出しそうなくらい緊張して手が震えていたが、鳴き声でも上げようものなら大声で怒鳴り付けられると必死で泣くのをこらえていた。

 暴君の副施設長はこの職場を恐怖で支配していたのだ。

 ズボンから一物をぶらぶら出したまましばらく室内を歩き回っていた副施設長だったが、何を思ったか突然ドアをガチャリと開けて廊下へ出て行った。副施設長が事務室から出て足音が遠ざかると、室内の空気が一気に緊張が解けて変わった。四人の事務員はそれぞれが大きな溜め息をついて、全身の緊張を緩め、机に突っ伏したり大きく伸びをしたり思いきり背もたれに身体をあずけたりして精一杯弛緩した。

               *

 その少し前、ここは施設利用者男子居住棟廊下を非常口へと向かった、一番奥に設けてあるリネン庫の部屋。その中には、施設現場職員の仕事をあら方終えた三人の男子職員が居た。

 三名は、大学新卒この施設四年目の蟹原友宏、大学新卒一年目の山崎征吾、そして中途採用だが三十代半ばの年齢で主任職の宇羽階晃英である。

 一番若い山崎征吾は、室内業務でのユニフォームとなる白いポロシャツに黒色のジャージズボンの格好で居るが、あとの二人は何と、上は白のポロシャツで同じだが下は何も穿いてなくスッポンポンであった。二十代半ばと三十代半ばのイイ大人の男性二人が下半身丸出しで、向かい合って立っているのだ。

 蟹原友宏は子供の頃から剣道の稽古に通い、大学生時代は地域の大会で優勝するなど、剣道でならした武道の猛者で体格も良い。けっこうタッパもあってガッチリしていて、剥き出しの下半身にぶら下げた一物もかなり長くて太い。

 片や、向かい合って立つ宇羽階晃英は30代半ばでやや長身で体格もしっかりしてるが、蟹原友宏のようにガッチリしている訳ではない。眼鏡を掛け頭髪も短く整髪している。同じく剥き出し下半身で蟹原友宏のように太くはないが長い一物をぶら下げている。

 「ではお二人とも準備はいいですか?」

 向き合う蟹原と宇羽階の前に山崎征吾が立った。蟹原と宇羽階が片手に持ったスマホを覗く。二人のスマホ画面には全裸女性の姿が映っている。蟹原の画面に映っているのはアダルトビデオの裸男女の絡みシーンのようだ。片や宇羽階の画面には無修正の全裸の若い女性の静止画が映っている。

 向かい合う蟹原と宇羽階の下腹部の一物が自然と見る見る内に膨らんで来た。二人はエッチな動画や静止画を見て興奮して来たのだ。

 二人の前に立つ山崎征吾が片手を上げて、少し大きく声を上げた。

 「レディ~!」

 どうやら山崎征吾は、何らかの試合をタイで行う蟹原友宏と宇羽階晃英のジャッジ役のようだ。蟹原の一物が角度を上げて長く太く膨張している。宇羽階の一物も天を突く勢いで上方に伸びている。

 山崎が空手チョップの形で上にあげていた片手を振り下ろして叫んだ。

 「ゴオッ!」

 向かい合う二人の男は背中側にいっぱいに腰をひねると、勢いよく腰を戻して互いに怒張した己れのチンチンをぶつけ合った。

 バチーン!とぶつかる音がして、蟹原友宏と宇羽階晃英は苦悶の表情を浮かべた。二人は少し離れると痛そうに顔をしかめている。両者のチンチンも天を突き上げるような勢いがあったのが、角度が下がって来て床面と平行になってしまった。

 この施設の男子職員たちは誰が始めた訳でもなく、男子トイレで一緒に用を足すときに、ついお互いの息子を覗き合って比べたりしていた。そして中には「勝ったね!」とちんぽの大きさでマウントを取る者が現れ始めた。そこから自然発生的に施設男子職員間によるチンチンの大きさ比べの、トーナメントというより総当たりリーグ戦が始まった。

 中には負けず嫌いな職員も居て、平常時の息子の大きさで劣ったものだから、その場で片手の指や掌で摩擦刺激を与えて、興奮させて大きくし再度挑む者も出て来た。

 若い職員の一人、坂戸善文なども男性としては小柄で身体相応の下半身の持ち主なので、平常時比べでは負けることが多い。負けず嫌いな面もある坂戸青年はトイレで指や掌を使って刺激するが思うように興奮しない。そこで坂戸はトイレのタイル壁に剥き出しの自分の一物を押し当てて、腰を上下に連続して細かく動かして刺激を与えた。しかし押し当てる力が強く、激しく腰を振り続けるので、刺激が強過ぎて、直ぐに興奮し発射してしまった。

 余談だが、男子職員間チンポ比べ競争で結果が出せず、失意にあった坂戸善文は、坂戸の体液で汚れたトイレの壁をそのままにしていたので、後で、衛生的に悪いと主任に怒られた。

 この、何日間かに渡って施設内男子トイレで行われた、施設男子職員チンポ比べ総当たりリーグ戦で、文句なくぶっちぎりのデカさで優勝したのは、蟹原友宏だった。彼の平常時でもボンレスハムのような異常な大きさを誇るデカチンに、太さでも長さでも叶う男性なぞ居なかった。

 もう、この施設内での男子職員チンポ比べ競争での蟹原友宏の優勝は決まったも同然だった。しかしここに“待った”を掛けた男が居た。三十代半ばの主任、宇羽階晃英である。宇羽階主任のチンチンは太さこそたいしたことはないが、異様に長かった。そして興奮させて勃起させると長さも伸びて硬いのである。興奮時のその状態は天をも突く勢いである。しかも誰が触っても硬さを実感する。宇羽階本人も『俺の一物は鋼の硬さだ。日本刀の名刀だ』と豪語していた。

 宇羽階晃英は『チンポの優秀さを決めるのは見てくれの大きさでは断じてない。中身の機能だ』ともの申したのである。この主張に対し、施設全男子職員間で急遽、“職員間男性器比べ総当たりリーグ戦協議委員会”が開かれ、宇羽階主任の申し立てを受け入れ、チンポの見た目の大きさでは圧倒的に蟹原職員だが、“中身の機能を重視する”宇羽階と蟹原の王者決定戦をやることになった。

 宇羽階のいう“中身の機能”とは、社会福祉施設内のことでもあり当然異性との性行為などではなく、チンポの硬さや勃起時の角度、またどれくらい長時間興奮状態を保てるか、という内容であった。

 チンポ比べ協議委員会は決定戦の内容を『お互いのチンチンをぶっつけ合うことで先に萎えた方が負け』という勝敗付け方法にするように下した。

 最初は意見として上がった『水のたっぷり入ったやかんをお互いの竿にぶら下げてどれくらい耐えれるか』にしようという方法に決まり掛けたが、両決勝戦進出者が『ぶつけ合う痛みに耐えて男の根性を見せる勝負にしたい』との意向もあり、チンポ·フルコンタクトの試合と決まった。

 社会福祉施設の中でこんなハレンチなことが男子職員間で密かにトイレで行われていることなぞ、施設の幹部や管理部門、全女子職員などは全く知らないことであった。なのでチンポ王者決定戦も秘密裏に、職員の昼間の日常業務があら方終わって暇になった夕方頃、こっそり隠れて、狭い空間ではあるがリネン庫で行うことになった。

 狭いリネン庫の中で小柄な山崎征吾を前に比較的上背のある二人の大人が向かい合い、お互いに片手に持ったスマホのエロ画面を見ながら、自分の自慢の息子をムリムリ興奮させ、怒張して来ると精一杯腰をひねりタメを作って、同時に一気に腰を振る。

 ブンッと振った腰に乗って二人のちんぽが激しくぶつかり合う。バチーン!という鞭で叩いたような音。二人の大の男が顔をしかめて痛みを堪える。

 二回目の衝撃を受けた二つのちんぽは、蟹原のまるで太いゴムでできた棒のような弾力のあるちんぽも竿の真ん中辺りが赤くなっていて、片や宇羽階ちんぽも硬さを誇るとはいえ、もともと浅黒い竿の色が赤みを帯びて赤黒く変色している。

 身体の向きを変え背を屈めて、歯を喰い縛って痛みに耐える二人。それを見て痛さを共感して顔をしかめる、ジャッジ役の山崎。二人の一物を見るとまた角度が下がり幾分小さくなって見える。

 二人の顔を交互に覗き込みながら山崎が訊く。

 「ヘイユー、ギブアップ?ギーブアァップ?」

 歯を喰い縛る二人は「まだまだ」と答えて再び向き合った。

 蟹原と宇羽階は片手に持ったスマホ画面を顔の前まで持って来て、興奮しようと試みるが、ジーンと残り続ける痛みになかなか息子がゆうことを聞いてくれない。二人は残る片手で股間に刺激を加え始めた。

 再び、生気を取り戻したように角度を上げて伸び上がる二つのちんぽ。もう一度、とお互いに背中側に腰をひねってタメを作ったところで、ガラガラとリネン庫のドアが開いた。

 『しまった!鍵を掛け忘れてた』と驚きと共に自分のうっかり過失を嘆き慌てる山崎征吾だったが、開いたドアから覗いた顔にそれ以上に驚いた。山崎は思わず「あっ!」と声を上げてしまった。

 狭いリネン庫の中に副施設長が入って来た。蟹原友宏も宇羽階晃英も驚いて身体が固まってしまい、声も出なかった。

 山崎が副施設長の下半身に気が付いた。スラックスのズボンの社会の窓から一物を出したままなのだ。山崎の視線に気が付いた副施設長は自分のズボンを見て「おおっ」と声を出し、一物を中に押し込んでファスナーを引き上げた。

 突っ立ったままの蟹原と宇羽階は、チンチンの興奮も解けて股間にだらりとぶら下げたままだ。大きな一物を持つ蟹原はまるで股間に大きなヘチマがなっているようである。宇羽階はさしずめ長い真っ直ぐなキュウリか。

 「うむ。頑張っとるな。感心、感心」

 副施設長の言葉に、三人の男子職員は驚いた。そしてホッとした。社会福祉施設の現場職員が夕方とはいえまだ日のある内から、下半身まる裸で男性器を出して向かい合って立っているのだ。カミナリを落とされて怒られると思ったのだ。とはいえ副施設長自体も自分の性器を出したまま入って来たのだが。

 「副施設長先生、お疲れさまです!」

 声を揃えてしっかりと、三人の職員が頭を下げて言った。

 「あの、副施設長先生、申し訳ありません、これには訳が…」

 三名の職員とも緊張して固くなった中で、慌てて主任職の宇羽階が言う。

 「いや、いいんだ、いいんだ。なかなか元気があってよろしい」

 副施設長はゆったり鷹揚に構えて、機嫌は悪くない。微笑さえ浮かべている。

 「実はな、おまえたち三人にワシから相談があってな…」

 副施設長の言葉に、直立不動に近いような姿勢の三人は、またも声を揃えて「はっ!」と返事をした。

 「蟹原」

 「はいっ!」

 「おまえは大佐渡真理と付き合ってたらしいな」

 「はい、昔のことであります」

 「じゃあ大佐渡の熱々オ×ンコのことは知っとるんじゃろ?」

 「はい、別れた後ですが一度だけ、とっても熱いのを試したことあるであります」

 「で、良かったのか?」

 「はいっ、とても良かったであります」

 「熱々なのにか?」

 「熱々なのにとっても気持ち良かったのであります」

 「そうか。蟹原、実はワシも試して見たいんじゃ」

 蟹原は返事をしなかった。何と応えていいのか解らなかった。

 副施設長は宇羽階主任の方を向いた。

 「宇羽階、実はワシは今、大佐渡に試させてくれと直接頼んだんじゃ」

 宇羽階も何と応えていいのか解らず、黙っていた。副施設長は話し続ける。

 「ワシもな、見てくれではおまえたちにはとても叶わんかも知れんが、以前はワシのちんぽもそれはたいしたもんだったんじゃ」

 三人は黙って副施設長の話を聞いている。直立不動で固まっていた姿勢は幾分緊張が解け少々リラックスしている。

 「じゃが、この歳でな、最近は元気がない。大佐渡真理の特殊なオ×ンコを使って温熱療法でワシのを甦らせてみたいんじゃ」

 三人の部下は声を出して返事はしなかったが、同時にこっくりと頷いた。

 「そこでこの副施設長のワシが頭を下げて大佐渡に頼んだ訳だが、あの小娘め、このワシの頼みを拒絶しおった」

 副施設長は憎々しげに話す。

 「いいか。この施設で二番目に偉いこの副施設長のワシの頼みを、あの入って二、三年の小娘が蹴ったのだ」

 副施設長は怒りで堪らないという様子で握った両の拳をプルプルと震わせた。二十歳そこそこの小娘にナメられたと思い、よっぽど悔しかったのだろう。

 「そこでじゃ。この施設内で副施設長に逆らったらどういうことになるか思い知らせてやらねばならない」

 三人は黙って聞いているが、不穏な空気に再び緊張していた。

 「宇羽階っ」「はいっ」「蟹原」「はいっ」「山崎」「はいっ」副施設長が個々に名前を呼ぶと、三名はキリリと返事を返した。

 「ワシは大佐渡真理を強姦することにした」

 副施設長の話を聞いていた三名の部下は、驚いて返事ができなかった。三人とも血の気が退いたように蒼くなっている。

 「おまえたち三人に頼みとはワシを手伝って欲しいのだ。四人の力を使えばあんな小柄な小娘を拉致して山にでも連れて行くのは簡単なことじゃ」

 三人は蒼ざめたまま返事ができないで、黙って突っ立っている。なおも副施設長は話を続ける。

 「そこでワシら四人で交互に熱々のオ×ンコを味わうんじゃ。蟹原おまえは最後だぞ。おまえの規格外の大根みたいのが入ったらブカブカになるからな。うん?待てよ。おまえと付き合っておったということは既にブカブカなのか?」

 「いや、彼女は小柄だから元に戻って大丈夫と思うであります。もう別れてだいぶ月日が経つし、この間の一回も、もうかれこれひとつき前だし」

 蟹原が答えた。副施設長は自分の計画を話し、満足そうな様子で顔に微笑さえ浮かべている。

 山崎征吾も何やら嬉しそうな態度が見て取れる。山崎は若いがとんでもない女好きのスケベだ。仮に副施設長や宇羽階主任の後になったとしても、夢にまで見た熱々オマ×コが味わえるのだ。思わず山崎の顔に笑みがこぼれる。

 「おう、山崎。嬉しそうだのう」

 「あ、はい。ヘヘヘ…」

 蟹原友宏は複雑な心境だった。確かに1ヶ月前の、浴室の脱衣場でのあの一回は熱くて火傷しそうだったが、とても気持ち良く得も言えぬ喜びがあった。できればもう一度味わいたいと願ってた。しかし職場の同僚を無理やり拉致して強姦するとなると、そんなことして果たしていいものだろうかとも思っていた。ましてや大佐渡真理は以前は恋人だった女だ。蟹原は内心悩んだ。

 「どうした、蟹原?浮かない顔しとるな」

 「はっ。いいえ」

 「気にするな、蟹原。四人でやるんだ。ほら、昔からよく言うじゃろう。1本の矢は折れても3本の矢なら折れんと。この場合は強姦じゃから各々のちんぽじゃ。1本のちんぽでは無理なことも4本のちんぽが合わされば何でもできる。どーんと構えておれいっ!」

 「はっ。ありがたいお言葉、誠にありがとうございます、副施設長先生様」

 「よしよし。ボーナス、考えといてやるからな」

 宇羽階晃英は暗い顔になって突っ立っていたのだが、副施設長は宇羽階の様子には気が付かなかったのか何も言わなかった。

 「よし、決まったな。これは我々この施設の選ばれし四人の極秘裏のプロジェクトだ。とにかく他には誰にも漏れんようことを進める。今日の常勤者の業務が終了した後に集合を掛ける。そのときに細かい打ち合わせを行おう」

 副施設長が最後に話をしてリネン庫のドアを開けた。三人の部下が気を付けの姿勢で頭を下げる中、副施設長が悠々とリネン庫を出て行った。

 山崎征吾が嬉しそうにはしゃぎ気味な中、蟹原友宏と宇羽階晃英は茫然と突っ立っていた。裸の下半身に一物をぶら下げたままで。二人ともいつもは自慢のものも元気がなく見える。それでも蟹原のものは大きなものがだらんとぶら下がっているが、宇羽階のそれはふだんよりも縮こまっていた。

 宇羽階は内心かなり悩んでいた。

 「勝負の続きをやりますか?」

 「そんな気分にゃあならねえよ」

 ジャッジ役の山崎の問いに蟹原が応えた。

 「あぁ~、もうやめだやめだ」

 そう言って蟹原がリネン庫の隅のパンツとジャージズボンを取って、そそくさと穿き始めた。

 「山崎、もう直ぐ引き継ぎの終礼だろ。行くぞ」

 「はい」と返事して山崎がリネン庫を出ようとする。山崎が下半身まる出しで突っ立ったままの宇羽階主任を見て怪訝な顔をした。蟹原が宇羽階に声掛けた。

 「主任、行かないんすか?」

 「ああ。君たち先行ってろ。俺も直ぐ行くから」

 二人が出て行った。リネン庫に一人残った宇羽階晃英の顔は蒼ざめていた。チンチンをぶら下げたまま茫然と立っていた。

 今、宇羽階の頭の中に浮かんでいたのは、中途採用の彼がこの職場に来てから辞めて行った何人かの顔だった。男子も女子も宇羽階からすればイイヤツらだった。だが彼らは自己主張が強く、時にオーナーサイドに逆らっていた。

 ここの職場はオーナーサイドへの絶対的服従を強いる。ここの職場ではオーナーサイドへの絶対的イエスマンでしか生き残って行けない。オーナーサイドに逆らった彼らはみんなこの施設を去った。

 オーナーサイドに逆らう者は、先ず勤務部署を変えて閑職や好まない職域に追いやられる。オーナーサイドは直接はっきりと『辞めろ』とは言わないで、なるべく本人から辞表を書くように持って行くのだ。でも、辞めたい意思を示してもなかなか辞めさせてはくれない。あくまで『絶対的服従』を求めて来るのだ。“転向”して絶対的イエスマンとなる者はそのまま職場に残れる。だがほとんどの者は気持ちを変えずに辞めて行った。

 宇羽階晃英には妻子が居て家庭がある。勤め人サラリーマンとして、職場の上層部の言うことはたいていのことは従って来た。その意味ではサラリーマン·宇羽階はイエスマンだ。しかし今回の副施設長の言う“極秘プロジェクト”ばかりは違う。これは間違いなく犯罪だ。

 この施設のオーナーの標すモットーは『私が黒いと言ったら白い物でも部下は黒いと言え』だと言うことだ。だがいくら何でも、オーナーサイドのナンバーツー·副施設長の話す“極秘プロジェクト”だけは二つ返事で従えない。こんなことをして発覚すれば警察に逮捕されてしまう。

 ここの施設の最高位に居る施設長は女性だ。この副施設長の“極秘プロジェクト”のことを話せば、勿論、激怒して副施設長を叱り着けプロジェクトなぞ止めさせるだろう。

 いくらオーナーサイド·副施設長の計画だとはいえ、さすがに『白い物でも黒いと言え』は施設長は適用しないで、副施設長を怒り飛ばすだろう。

 しかし、施設長に告げ口したとなると、副施設長がタダでは済まさないだろう。先ず間違いなく退職に追い込まれる。いくら施設長を味方に付けようとしても、副施設長はネチネチ執念深く嫌がらせを続けて来るに違いない。結局、辞めざるを得ない状況に追い込まれるだろう。

 家庭を持つ宇羽階にはまだローンも残っている。ここで失職することはとても困ったことになる。しかし今の職場で部下として共に働いている女子職員を複数の男性で陵辱するなぞとてもできない。宇羽階晃英は苦悩した。

 引き継ぎ終礼に間に合わなくなると、宇羽階は部屋の出口に向かっておもむろに歩き出して、ドアに手を掛けてハッと、下がフルチンであることに気が付いた。自慢の息子も縮こまってしまい寂しそうにしている。宇羽階はパンツとジャージズボンを拾い上げて、そそくさと穿いて職員室へと向かった。

 副施設長が言い出した“極秘プロジェクト”はいったいどうなるのか?副施設長ら男子職員四人のターゲットとなった、大佐渡真理の運命や如何に!?

※もはや物語進行がタイトルの“狼病”が関係なくなってしまってますが、「じじごろう伝Ⅰ」狼病編22 はここで終わります。この物語はまだ続きます。次回「じじごろう伝Ⅰ」狼病編23 へと続く。待たれよ次回。

 

◆じじごろう伝Ⅰ 狼病編15(2018-2-28)

◆じじごろう伝Ⅰ 狼病編18(2019-5-31)

◆じじごろう伝Ⅰ 狼病編21(2020-10-15)

◆じじごろう伝Ⅰ 狼病編12(2016-2-20)

◆じじごろう伝Ⅰ 長いプロローグ編1(2012-1-1)

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◆じじごろう伝Ⅰ[ 長いプロローグ編・狼病編] 登場人物一覧(2013-5-28)

 

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