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ツルモク独身寮

 四国·高知の高校を卒業して上京し、ツルモク家具という木工家具製造会社に就職した主人公、宮川正太は会社の独身寮に入る。独身寮の各居室は12畳くらいある広いひと部屋に四人制で、正太の入る部屋には二人の先輩が居た。

  イケメンでモテモテの軟派師·杉本京介と、見るからにダサくて女にモテそうになく、粗っぽい雰囲気の田畑重男。正太たち三人は寮で過ごす冬場はいつも、広い部屋の真ん中の炬燵に入って飲み食いしながらダベり合っている。後にこの部屋には正太の後輩となる、平田はじめが入室して四人部屋になる。

 ときどき風俗にも通っている田畑重男の趣味は、寮の屋上からの、隣接したツルモク家具の女子寮を覗き見することで、入寮早々、重男の趣味に付き合った正太は、女子寮の一室で着替えをしている下着姿の、姫野みゆきと目が合ってしまう。同じくみゆきと目が合ったと勘違いした重男は恋心を抱き、のぼせ上がってしまう。

 本当は家具デザイナー職に憧れていた正太だったが、実際の仕事は工場でのラインに着いての流れ作業で、家具の部分部分を作る単純な作業の連続だった。姫野みゆきは工場内の総務課の事務員で、容姿端麗で魅力があり、正太は一目惚れのような感情を抱いてしまう。 

 宮川正太は地元の高校生時代、同じ学校の一年後輩の女子、桜井ともみと付き合っていて仲の良い恋人どおしだった。上京した正太はいつもともみのことを思い、故郷に頻繁に電話を掛けていた。ともみも翌年、正太を追って上京することを誓っていた。

 姫野みゆきへの一目惚れからの恋心も抱きつつも、故郷のともみを忘れられない正太。部屋の先輩二人を連れて高知へ休暇帰郷して、ともみが地元の男友達と仲良くしているのを目にしたり、社内でしょっちゅう会っている内に姫野みゆきとの仲も進んで行く。二人の女性の間で気持ちが揺れ動き迷う正太。一年が経ち、桜井ともみが上京して来て、別の会社に就職する。

 家具製造工場で働き、会社の寮で暮らす主人公の青年、宮川正太が恋する、会社同僚の美人OL 姫野みゆきと、高校の後輩で上京して来た、学生時代からの恋人の美少女·桜井ともみ。二人の恋人の間で揺れ動く、気持ちは純情な勤労青年·宮川正太の恋模様を描きつつも、社員寮で過ごし、工場で働く社会生活の中で出会う、様々な人たちの人間模様を描く青春群像劇。会社勤めの若者たちの日々をリアルに描く、仕事コミックでもあるかな。

 リアル社会生活を描いたストーリー漫画だけど、コメディタッチで描いており、ギャグ調もふんだんに盛り込まれた青春漫画。特に寮の部屋の先輩、田畑重男はギャグ要員。ギャグ調のときはかなりデフォルメされたタッチも使われる。また、途中から出て来る大金持ちの令嬢で、プライド高いが超絶ブサイク顔の白鳥沢レイ子、とかもギャグ要員ですね。

 僕が漫画雑誌を毎号毎号欠かさず購読してたって、90年代までかな。週刊ビッグコミック·スピリッツは、創刊号の1980年10月の第1号から購読し始めて、人気連載の青春柔道コメディ漫画、浦沢直樹氏の「YAWARA-ヤワラ-」の連載が終了する頃まで、多分毎号欠かさず、購読し続けた。「ヤワラ」のスピリッツ連載終了が93年の初夏くらいですから、その時期にスピリッツ購読をやめて、そこから以降は漫画雑誌を毎号毎号続けて購読することはなかった。ただタマに、ビッグコミック·オリジナルなどを単発的にとか、何号か続けて購読することはあった。でも90年代も後半以降は漫画はコミックス·単行本で読むばかりになって、雑誌を買って来て漫画を読むことはほとんどなくなったな。2000年代以降、入院してた間に、ひまつぶしで病院の売店で漫画雑誌を買うことはあったけど。

 「ツルモク独身寮」がビッグコミック·スピリッツに連載されていたのは、88年16号から91年の21·22合併号までの約3年間ですね。僕は「ツルモク独身寮」をスピリッツ連載で読んでます。スピリッツは毎号購読していたから多分、全編読んでますが、正直なところ言うとそんなには印象に残ってないかな。コミックス·単行本で読み返しは全然してないし。

 「ツルモク独身寮」は、普通の生活をしている等身大の若者たちを描いた、主人公は居るけど青春群像劇かな。青春ものと言っても学園ものじゃなくて、働いてる若者たちの日常を描いている、というか実際の若者たちの生活でありそうなエピソードを、ユーモアを交えて描いた等身大若者·生活·青春漫画ですね。

 “仕事漫画”っていうジャンルがあるけど、確かに主人公たち主要登場人物は家具製作工場で働いてるけど、仕事内容をこだわってコアに描いてる訳じゃないし(中にはそういう部分もあるけど)、仕事漫画ジャンルじゃなくて、けっこうふんだんに若者の恋愛模様も含んだ、若者·生活·青春ドラマのコメディー劇ですね(勿論シリアス味もあるけど)。

 「ツルモク独身寮」作者の漫画家、窪之内英策さんは「ツルモク独身寮」の主人公と同じく高知県出身で、作者本人も実際に、高卒で家具製造会社で働いていた経験があるようですね。僕は窪之内英策さんの漫画作品は「ツルモク独身寮」しか読んだことないし、他の作品は知りません。86年、週刊少年サンデー誌上でデビュー以来、2000年代まで小学舘の雑誌の連載が多いようです。特にビッグ·スピリッツには続けて長期連載を描いてますね。

 漫画趣向的に僕は、窪之内英策さんが描くような作風のジャンルは、好んで読まなかったですからねぇ。僕は、ハードアクションとかSF やサスペンスとか怪奇幻想とか、人の普通の生活から掛け離れたようなお話が好きですからねぇ。少なくとも、エピソードの中に殺人事件がないと読まないかなぁ。等身大の普通の人たちの、本当の実社会の日常でよくありそうなエピソードの内容とかは、あんまり食指が動かないかなぁ。だから「ツルモク独身寮」みたいな世界観のドラマの漫画は、あんまり読んで来てない。仕事漫画とかもあんまり読んでないなぁ(仕事漫画でも職業・殺し屋の生態を描いた漫画とかなら好んで読むんだろうけど)。

 だから、スピリッツに長期連載された聖日出夫さんのサラリーマン漫画「なぜか笑介」なんかも、スピリッツ連載当時は毎号読んでたけど、コミックス·単行本で読み返したことはないし、岩重孝さんの「ぼっけもん」も毎号読みはしてたけど、あんまり印象に残ってないし単行本での再読もしてない。

 変わり者の登場人物もいっぱい居たが、普通の等身大の登場人物ばかりの漫画でも、高橋留美子さんの「めぞん一刻」は別で、「めぞん一刻」は連載中も大好きな漫画で、コミックス·単行本で何度も読み返している。ラブコメの青春漫画でしたが「めぞん一刻」は大好きだったなぁ。「めぞん一刻」は別。

 「ツルモク独身寮」が連載されてた時代のビッグ·スピリッツの連載漫画陣って、先ず浦沢直樹「ヤワラ」、柴門ふみの「東京ラブストーリー」なんかも乗ってたなぁ。『何ピトたりとも俺の前は走らせねぇ!』が決めゼリフの六田登「F-エフ-」、国民的くらい有名なグルメコミックの雁屋哲·花咲アキラ「美味しんぼ」、楳図かずおの大長編SF ホラー「14歳」。楠みちはるの「湾岸ミッドナイト」ってこの時代のスピリッツに載ってたんだなぁ。何かあんまり印象にないな。六田登の「F」は好んで読んでたけど、同じレーサーコミックでも「湾岸ミッドナイト」はあんまり趣味ではなかったのかなぁ。「F」もコミックス・単行本での再読はしていない。

 相原コージの「くまのプー太郎」もこの時代か。何てったって、ギャグだけど話題となって、世間に旋風を巻き起こしたのは吉田戦車の「伝染るんです」。「ぼっけもん」に続く岩重孝の長編連載「ジバング少年」。四コマ「じみへん」もこの時代か。聖日出夫の「なぜか笑介」もまだ続いてたんだなぁ。劇画村塾出身の女流漫画家·中村真理子が狩撫麻礼の原作で描いた「天使派リョウ」も、内容とか記憶してないが漫画はうっすら覚えてるな。安定の長期連載「気まぐれコンセプト」。高橋春男の四コマも載ってたんだなぁ。この時代のスピリッツは、ナンセンスギャグ系四コマ漫画が多いな。くじらいいくこ「マドンナ」とか全く記憶にない。

 ビッグ·スピリッツを毎週続けて購読してたのは、小池一夫·池上遼一コンビの「傷負い人」~「クライングフリーマン」を毎号楽しみにしてたのもあったのだが、この時代のスピリッツには、小池一夫·池上遼一ゴールデンコンビの劇画作品は連載されてないですね。原作-史村翔の池上遼一-作画「サンクチュアリ」はビッグコミック·スペリオールの連載だったんですね。「サンクチュアリ」は雑誌で読んだことなくて、全編コミックス・単行本で読んでる。

 

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ツルモク独身寮 (Volume7) (小学館文庫) 文庫 窪之内 英策 (著)

 ネットを回って見てると、「ツルモク独身寮」がスピリッツに連載されてた当時、作品をリアルタイムで愛読していた、あの時代に就職を見据えた学生だった人たちや若きサラリーマンだった人たちに取って、バイブルと言ってしまうと大袈裟だけど、「ツルモク独身寮」は、いつまでも忘れられないような印象深く心に刻まれた漫画だったようですね。

 スピリッツ連載からもう30年くらい経って、当時愛読していた若者たちも50歳前後になる訳ですからね。地方から出て来て大都市の会社に就職した若者たちに取って、「ツルモク独身寮」という作品は、大きな共感を覚えて愛読した漫画作品だったのでしょう。何しろ「ツルモク独身寮」に出て来るたいていの登場人物は、地方から上京して来て大都会で働き生活している人たちだし、ヒロインの姫野みゆきも愛知出身でツルモクの女子寮生活者だし。

 僕はスピリッツ誌上で「ツルモク独身寮」をリアルタイムで読んでいた当時、そんなにこの漫画に思い入れを抱かなかったけれども、この年齢になって、ネット漫画でパラパラ読み返すと、昔を思い出して何だか感慨めいたものが心に起こります。

 僕自身も初めて社会人になったとき、上京して会社に就職し、会社の独身寮に入りましたから、自分の昔々を思い出して感慨深いですね。独身寮の中の勝手はツルモク独身寮とはだいぶ違いますけどね。僕が入った寮は六畳間二人ひと部屋だったし。寮の規律も雰囲気も違う。

 まぁ、こう爺さんになって来ますと、「ツルモク独身寮」なんかパラパラ見ると、はるか昔のもう二度と戻れない若き日々を思い返して懐かしく、あの若さに戻って若さの持つ元気やエネルギーに任せて、またいろんなことをやってみたいなぁ、って叶わぬ望みを抱いてみたりしますね。コミックスで読み返す人たちも、そういう気持ちで読み返して懐かしさの感慨に耽るのかも知れない。

 

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地下鉄にのって

 

 ♪地下鉄にのって という曲は作詞は岡本おさみさんだったんだな。70年代は吉田拓郎の曲で作詞·岡本おさみの黄金コンビだった。「地下鉄にのって」は70年代の人気フォークグループ「猫」の一番ヒットした曲だった。吉田拓郎·作曲の曲で後にアルバムで自身がセルフカバーしている。
 
 
 「猫」の曲はその前にヒットした、同じく吉田拓郎が作った曲♪雪 で、「猫」というフォークグループを知った。「雪」は吉田拓郎の最初期のアルバムに入ってたんで知ってたけど、印象的に覚えたのは「猫」が歌ったバージョンだ。
 
 
 「猫」は吉田拓郎の作った曲ばっかり歌う印象だったので、多分音楽仲間なんだろうなと思っていたが、拓郎初期ライブのバックバンドだった。吉田拓郎のライブアルバム「LIVE 73」の録音の中で拓郎が喋ってる「田口なんか手だけ動かしてギター弾いてませんが」というセリフの“田口”は、「猫」のメンバーの田口清だ。
 
 
 ♪雪 も♪地下鉄にのって も好きな曲だったなぁ。70年代後半も聴いたけど、この二曲を特によく聴いたのは90年代かな。どっちかというと吉田拓郎版でよく聴いたかな。猫バージョンも良いんだけど。
 
 
 「地下鉄にのって」を聴くと東京で生活していた若き時代を思い出すなぁ。文字どおり、毎日国鉄や地下鉄の電車に乗ってたからなんだけど。毎日の通勤で乗り換えて国鉄と地下鉄と羽田空港勤務時代はモノレールも利用してた。特に保谷駅前徒歩5分のアパートで暮らしてたときは、私鉄·西武線で池袋に出てから、勤務地によって山手線か丸ノ内線か有楽町線を利用してた。
 
 
 「地下鉄にのって」の歌詞を改めて読み返すと、一人称で語る自分に取っての“君”は、僕はずっと電車の中で近くで見掛けた、知らない女の娘、だと思ってたんだが、車内で向かい合ってる付き合ってる女の娘、とも取れる歌詞だな。どっちなんだろう?付き合ってる娘だったら別れ話でも出てるのかな?やっぱり知らない女の娘に対しての一人称自分の妄想かな?妄想というか甘い空想(?)。
 
 
 僕も、勿論個々の詳しいエピソードなんて覚えてないし、ないけど、東京勤務の若き時代、都内の電車や地下鉄の中で、自分の近くに可愛いとか綺麗な女の娘が立っていたら、無論話し掛けるとかはしないけど、その娘をチラ見しながらも、イロイロ空想したりしてたんだろうな。妄想っちゃ妄想だけど。何か懐かしいね。朝の通勤ラッシュのギュウギュウ詰め満員電車も。疲れて乗る帰路の夜も9時10時の電車も。酔っ払って乗る終電も。
 
 
 「地下鉄にのって」の歌詞に出て来る駅から、この路線は地下鉄·丸ノ内線ですね。僕の若かりし頃、旧保谷市に住んでいて、当時の勤務地が羽田·新橋·芝浦·築地と変わって行き、よく丸ノ内線を利用していたので、「地下鉄にのって」を聴くと当時を思い出して懐かしいです。
 
 
 まぁ今の時代、電車の中で自分ら女性をチラチラ見ながら妄想してる男なんて、電車利用してる女側からしたら、気持ち悪い存在だろうけどなぁ。
 
 
 直木賞他数々の文学賞を受賞している紫綬褒章巨匠小説家、浅田次郎氏に同名の小説作品があり映画化もされてますが、あちらはタイトル「地下鉄に乗って」で地下鉄を“メトロ”と読ませて“メトロに乗って”ですね。
 
 
 僕自身は浅田次郎さんの小説は一編も読んだことがなく、浅田次郎さんの作品を原作とした「地下鉄に乗って」や「鉄道員-ぽっぽや-」とかの映画やTV ドラマ化された映像作品も一つも見たことはありません。“メトロに乗って”は設定がタイムスリップものなんですね。
 
 
 食わず嫌いみたいなもので、読めば浅田次郎作品も面白かったり感動したりするのかも知れませんが、何か感じとして何となくだけど、僕の趣味に合わないような気がして、今まで一編も読んでないし映像化作品も見ていない。まぁ、古今東西の小説作品はもの凄い数ある訳だから、誰の作品も読むって不可能ですしね。ましてや僕は遅読マンだし。自分で選んで読んでいるようで本も人生のめぐり合いかな。
 
 
◆地下鉄(メトロ)に乗って THXプレミアム・エディション [DVD] 堤真一 (出演), 岡本綾 (出演), 篠原哲雄 (監督) 形式: DVD
 
◆鉄道員(ぽっぽや) [Blu-ray] 高倉健 (出演), 大竹しのぶ (出演), 降旗康男 (監督) 形式: Blu-ray
 
◆THE BEST Neko 猫 形式: CD
 
◆吉田拓郎 THE BEST PENNY LANE SHM-CD, Double CD 吉田拓郎 形式: CD
 
◆永遠の フォーク ニューミュージック 旅の宿 今日までそして明日から 地下鉄にのって 秋でもないのに 時には母のない子のように 白いブランコ 竹田の子守唄 冷たい雨 酒と泪と男と女 初恋 恋人よ SACHIKO DQCL-2014 Compilation, Special Edition よしだたくろう (アーティスト), & 10 その他 形式: CD
 
 
 僕が上京して会社に就職し独身寮に入ったとき、都内の同じ勤務地配属で同じ寮住まい、同期同年代にK 君という職場仲間が居た。彼は吉田拓郎の熱狂的なファンでギターが得意で、暇さえあれば寮内で吉田拓郎の曲をポロポロやりながら歌っていた。
 
 
 吉田拓郎は高校~大学と郷里の広島でバンドをやってたのだが、大学最終年くらいの頃、広島のアマチュアバンド三つを集結させて、吉田拓郎が東京でプロのポピュラー音楽家デビューする前に、またそのきっかけとなった“広島フォーク村”というのを結成した。この“広島フォーク村”は吉田拓郎がプロになったことで弱体化して少しして解散した。その後も何度か復活して活動したらしいのだが。
 
 
 この“広島フォーク村”のムーブメントは全国的に広がり、各地でフォークソング愛好の若者たちがバンド活動をやって、各地域の「フォーク村」を名乗っていた。K 君も高校生時代、故郷の田舎でフォークソング愛好の友達とバンドをやっていて、自分たちの基地を作り地元の「フォーク村」と名乗っていたらしい。
 
 
 K 君はギターもうまく、吉田拓郎の歌を器用に歌いこなしていた。けどプロになりたいというまでの気持ちはなくて、いつもいつも故郷を思い返して「田舎に帰りたい」と嘆いていた。ホームシックが強くときには故郷への思いで泣いてることもあった。
 
 
 結局、K 君は半年くらい経って会社を辞めて故郷へ帰ってしまった。
 
 
 あの時代は本当に吉田拓郎ブームで当時の若者はみんな、と言ってもいいくらいに吉田拓郎のレコードを持っていた。特に♪結婚しようよ が収録された「人間なんて」、♪旅の宿 が収録された「元気です」、それと「ライブ73 」「伽草子」「人生を語らず」くらいまでのアルバムは持ってたなぁ。「元気です」はあの時代の大ベストセラーアルバムだった。当時の若者はみんな、吉田拓郎の何枚かと井上陽水の「氷の世界」のアルバムは買って持っていた印象。
 
 
 井上陽水の曲は少し難しかったのか、当時のギター趣味の知人でも吉田拓郎のコピーを練習してる若者は多くても、井上陽水の曲をコピーで練習してる人は見掛けなかったなぁ。まぁ、プロを目指していたような若者は別だろうけど。
 
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