goo

「ケンカの聖書-バイブル-」原作·梶原一騎,作画·石井いさみ

 

  キラー·キラー、ダブルキラーの吉良旭。「ケンカの聖書-バイブル-」の主人公、吉良旭というロサンゼルスの下町を拠点とする、いわば不良少年の若者·吉良旭は壮絶な過去を経験しているらしく、そのため精神的にかなりねじくれた考えの持ち主。しかしケンカの天才で、ことストリートのケンカに際しては無限の危険な技のアイデアがあり、一切の格闘技スポーツの経験がないにも関わらず、抜群の運動神経も手伝って、ストリートのケンカがムチャクチャ強くて百戦錬磨のケンカの腕を持つ。

 吉良旭は精神的にも生活面も荒んだ境遇で生きていて、ロサンゼルスの裏町を徘徊して回っているように毎日暮らしている。 あるとき吉良旭はアメリカ大都会で落ちぶれた空手家·甲賀正清と知り合う。甲賀の経営するオンボロ道場はどうにかやっと食べて行く程度の規模だった。

 甲賀正清は都会のストリートで、細工をしたビール瓶や煉瓦を用いてインチキ破壊をし、道場入門生の勧誘を行っていたが、地元マフィアの息の掛かるプロレスラーに邪魔をされる。酒浸りで空手実力のなくなっている甲賀は絶対絶命のピンチ。

 そこへ現れたケンカの天才·吉良旭がケンカの凶器ワザでいとも簡単に巨漢プロレスラーを撃退してしまう。仲間のマフィアから逃げる吉良旭を追う甲賀。安全な地域の教会に潜り込んだ吉良旭を甲賀は空手道場の用心棒にスカウトする。

 一方、エロさ興味が売り物の当時のアメリカ女子プロレス界で、正統派レスリングの技で勝負する美人プロレスラー、ダイアナ·ローザはその洗練されたレスリング技術を持ってしても反則ワザ自慢の悪役レスラーに負けてしまう。

 ある面、マフィアの支配するアメリカのプロレス興行界で、悪役レスラーとそのバックに居るマフィアを敵に回した吉良旭。

 ダイアナ·ローザは反則ばかりの悪役レスラーにも勝てる強さを得るために、不本意ながらもケンカの天才·吉良旭に弟子入りして、旭にプロレスでは反則になるケンカの極意を教わる。

 プロレス界に飛び入りして覆面悪役レスラーを、ケンカ殺法で血祭りに上げる吉良旭。プロレス興行の会場でマフィアに追われる吉良旭だが、控え室に居たダイアナ·ローザに助けられる。

 次々と悪役レスラーたちを、その天才的アイデアのケンカ殺法で倒して行く吉良旭の前に、正統派レスリングの傑物である正義派レスラー、プリンス·スターが立ちはだかる。

 千の技を持つ男と呼ばれるプリンス·スターと、ケンカ仕込みの反則殺法オンリーの吉良旭の抗争が始まり、結局、アメリカでのプロレスの試合では吉良旭が勝つのかな?

 その後、プリンス·スターは日本に渡り、日本のプロレス興行界で悪役レスラーに転身して活躍する。プリンス·スターを追って、自分が捨てた自分の出生地·日本に戻って来る吉良旭。

 日本に帰って来ると、日本のプロレス興行界には一人の絶対的なカリスマのプロレスラーが居た。日本プロレス協会を取り仕切るプロレスのスーパースター、力王山。ケンカ殺法の吉良旭とカリスマ·プロレスラー力王山との確執が生まれ、吉良旭と日本プロレス協会は対峙する。… …

 僕が「ケンカの聖書-バイブル-」を週刊少年サンデー誌上で読み始めたのは14歳の終わり頃で、連載の前半部しか読んでなく、後々コミックスで読み返してるんですが、これも前半部だけで、結局、後半部、物語はどうなったのか、物語をどう締めくくったのか解らず終いなんです。

 日本に戻って来た吉良旭の前に、日本プロレス界のカリスマ、力王山が立ちはだかるところは何となく覚えているんだけどな。力王山は姿形·相貌も、その立ち位置もモデルは、実在した日本プロレス界の父、力道山です。力道山は、日本プロレス協会の初代の会長で、日本プロレス界の生みの親です。ジャイアント馬場やアントニオ猪木を育てた人で、戦後日本の当時のスーパースターだった人です。漫画の方の力王山の時代背景は、力道山がスーパースターとして活躍した戦後じゃなくて、漫画が連載されてた1970年頃だと思います。

 「ケンカの聖書-バイブル-」は、週刊少年サンデー1971年新年第1号から始まって71年の最終刊53号まで調度1年間連載されました。原作ストーリーはこの時代の劇画原作の王者、梶原一騎氏で、作画担当は石井いさみ氏です。

 「ケンカの聖書」の連載が始まったとき、僕は中学三年生でこの年の四月から高校生に上がりました。小学校低学年から小·中学校時代通して、児童漫画の虜のように漫画が何よりも大好きな子供だった僕は、小学生時代は空想科学冒険·探偵漫画のロボットやサイボーグや超能力宇宙少年に熱中してましたが、中学生になってからは梶原一騎原作のスポ根漫画や熱血学園漫画や格闘技漫画に熱中してました。

 この時代の僕は、梶原一騎氏の描く、スポーツや学園ヒーローに憧れてたなぁ。小学生の頃は、「鉄人28号」「鉄腕アトム」「エイトマン」「サイボーグ009」「電人アロー」などなどのスーパーロボットやサイボーグなどのSF ヒーローたちに憧れてましたが(『鉄人28号』は正太郎少年が操縦してたんだけど)、少年雑誌界の人気看板漫画を梶原一騎原作の熱血感動漫画が独占するや、梶原一騎氏の描く熱血少年ヒーローに憧れて夢中になりました。

 僕が中学生の頃は、週刊誌·月刊誌のほとんどの少年雑誌の看板漫画は、梶原一騎氏原作の漫画作品だったというような状況でした。当時の僕は全ての梶原一騎原作漫画に熱中してたような状態でしたが、中でも一番好きだったのは、「巨人の星」も「あしたのジョー」も熱中して読んでましたが、当時の月刊冒険王連載の「夕やけ番長」と「虹をよぶ拳」が大好きで夢中になって読んでました。

 月刊冒険王の看板漫画を四、五年間張り続け、また初期の少年チャンピオンの看板漫画だった、熱血学園感動格闘·スポーツ漫画「夕やけ番長」は秋田サンデーコミックスで全17巻の大長編人気学園漫画で、僕はこの時代一番好きな漫画作品でした。

 並外れた運動神経の持ち主「夕やけ番長」の主人公、赤城忠治は、それこそ超人みたいな運動神経の持ち主で、さまざまな学園スポーツで活躍して行くし、中には格闘技関係で、独学独習のキックボクシングや学校スポーツのアマチュアレスリングとアマチュアボクシングでも桁外れの才能を見せますが、「夕やけ番長」初めの頃は、何の格闘技経験も持たない“ケンカの天才”として、数々の強敵たちとストリートファイトのケンカで戦って行きます。

 “ケンカの天才”赤城忠治は、その強さのベースに並外れた運動神経を持つものの特に空手や柔道などの格闘技を習った経験を持たず、ただケンカの強さだけで勝負して行く。ケンカのアイデアが次から次と出て来るケンカの頭の良さで、どんな強敵にも対応して行くんですね。ここが特にカッコ良くて、当時の中学生の僕は赤城忠治にぞっこん惚れ惚れしていた。

 何の格闘技経験もないのにストリートのケンカがもの凄く強い、という設定に無類のカッコ良さを感じていた、中学生当時の僕でしたが、中三の冬場に週刊少年サンデーで梶原一騎原作の新しい熱血格闘漫画が始まった。しかも作画担当は「のら犬の丘」の石井いさみ氏。僕は石井いさみの絵柄が好きだったんですよね。主人公は初期の「夕やけ番長」と同じくケンカの天才。タイトルも「ケンカの聖書-バイブル-」と、めちゃカッコ良い。

 漫画の連載が始まると毎号ワクワク楽しみに読んでましたが、途中から、あれ?これプロレス漫画じゃん、って思ってちょっと興醒めしちゃったかな。ケンカの天才の青年がロサンゼルスの裏町で街のゴロツキやプロレスラー崩れをケンカの腕で叩きのめすのは爽快でカッコ良いのですが、途中からアメリカのプロレス界VS ケンカの天才青年という対立構図になり、主たる舞台はプロレス興行のリングの中になっちゃった。

 漫画は面白いんだけど、アメリカ舞台のストリートのケンカファイトの無差別格闘漫画かと思ってたら、途中からプロレス漫画になってしまったんで、何かね、ちょっとガックリ来た感じもあったかな。物語がプロレスのワクの中に納まって進んで行ったから。もっとこう、暗黒街の用心棒とか、ヘビー級ボクサー崩れとかとアメリカの治安の悪い下町や貧民窟みたいなストリートでケンカファイトを重ねて行く漫画かと期待してたんですけどね。結局、後半は日本に帰って来て日本プロレス協会と抗争する話になるし。まぁ、僕は後半はあんまり読んでないんだけど。終盤は全然読んでない。

 小学生の頃から、貝塚ひろし先生、荘司としお先生、石井いさみ先生の絵柄は似てるな、と思って少年漫画を読み続けて来ましたけど、三人の先生の絵柄はみんな好きなんだけど、僕は特に石井いさみ先生の絵柄が好きでしたね。「ケンカの聖書」に見られるような都会の背景はそうでもないんだけど、「くたばれ涙くん」や「のら犬の丘」に見られる、田舎の田畑と山々を描いた背景の絵、これが石井いさみ漫画に随所に挟まれていて、何ていうか牧歌的で郷愁みたいな気持ちを起こさせてくれて好きでした。「のら犬の丘」の少年院の建物の端っこと遠くに見える田畑と山々。あのタッチの絵は好きだったなぁ。

 石井いさみ先生というと代表作はやっぱり、週刊少年チャンピオンに9年間も連載が続いてコミックスが全50巻にまでなった「750-ナナハン-ライダー」かな。僕が一番好きなのは真樹日佐夫氏が原作を書いた青春巨編「のら犬の丘」かな。「のら犬の丘」は青春漫画の名作です。週刊少年サンデーに連載された、佐々木守氏が原作の「竜が斬る」とかも好きだったな。

ケンカの聖書(バイブル) 1 Kindle版 梶原一騎 (著), 石井いさみ (著)

ケンカの聖書(バイブル) 2 Kindle版 梶原一騎 (著), 石井いさみ (著)

ケンカの聖書〈3〉 (1979年) (パワァコミックス)  – 古書 梶原 一騎 (著), 石井 いさみ (著)

「ケンカ」の聖書(バイブル)―一般市民のための護身術実践ハンドブック 単行本 真樹 日佐夫  (著)

◆ケンカの聖書(バイブル)大合本 1 Kindle版 梶原一騎;石井いさみ (著)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする