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●漫画・・ 「ザ・シャドウマン」

 「ザ・シャドウマン」も僕が子供時分、大好きだったヒーロー漫画でしたねえ。僕は、もう、幼少時からヒーロー大好き、大憧れの馬鹿ガキでしたから、この漫画が雑誌に連載されていた当時、11歳から12歳当時ですが、改造サイボーグが悪の犯罪組織と戦う、この「ザ・シャドウマン」という少年漫画にも痺れていました。“改造サイボーグ”といっても「ザ・シャドウマン」のヒーローは、人体改造して機械と組み合わせたサイボーグなどではなく、どちらかというと“肉体強化人間”の超人でしたね。

 石ノ森章太郎先生の昭和のヒーロー大作は、「サイボーグ009」に始まり、「仮面ライダー」や「人造人間キカイダー」など、物語のヒーローが元々は、大掛かりな悪の犯罪組織の科学技術に寄って作られた、試作品のサイボーグやロボットの設定が多い。その後の日本のヒーローものも、この設定を踏襲した物語が多いですね。昭和のさいとうたかを先生のヒーロー劇画、「ザ・シャドウマン」もこの設定で、主人公のヒーローも、悪の犯罪組織のマッドサイエンティストの天才科学者が、犯罪用に作り上げた、試作品の超人サイボーグです。だいたいこのパターンのSFヒーローものは、試作品主人公が我に返り、組織を抜け出し、犯罪組織の追っ手と戦って行く。このストーリーが定番。

 たいてい主人公は最初の試作品だから、まあ、言ってみれば“できそこない”で、次々と襲い来る追っ手たちの中の、中心刺客は、2号3号の完成品な訳です。当然、試作品の主人公よりも、ぐんと性能が良い。この優れた追っ手の刺客たちと、能力的に劣るヒーロー主人公が、知恵と勇気と運で、如何に戦って行くか、というのがこのパターンの物語の醍醐味ですね。途中、ヒーロー主人公を助ける、科学者や技術者、正義側の組織のメンバーたちが出て来る訳ですが。石ノ森章太郎先生の作った、SFヒーロードラマの王道パターンですね。定番。 

 「ザ・シャドウマン」の主人公、片桐毅は元々は新聞記者で特ダネを取るために、世界征服を狙うという大掛かりな犯罪組織に潜り込んでいたが、敵に捕まり、マッドサイエンティストの、超人兵士を作るという科学実験の実験台にされてしまう。我に返って、組織の基地を逃げ出すが、科学実験の試験台にされた片桐毅は、中途半端なスーパーマンになっていた。

 普段は普通の人間で、超人の力を出せるときは全身が真っ黒になり、頭髪だけ真っ白の“シャドウマン”になる。シャドウマンのときは不死身の超人だが、普段は普通の生身の人間で、迫り来る追っ手は、超人兵器実験の完成品の超人2号や、何と、透明サイボーグの超人3号までも送り込んで来る。組織に追われる中で、片桐毅は、凶悪犯罪組織“レリッシュ”の悪辣な企みを防ぐ、正義の国際組織“エンゼル”と接近し、エンゼルを助けて共闘し、“シャドウマン”の超人的な力を振り絞って、凶悪犯罪組織壊滅のために戦う。

 というのが、だいたい大まかな「ザ・シャドウマン」のストーリーですね。上記の説明だと多少、エピソードが前後してるかも知れませんが、まあ、大筋はこういった内容の、当時のさいとうたかをプロダクション力作のSFアクション劇画ですね。

 「ザ・シャドウマン」は、コミックス単行本としては、1968年~69年頃に秋田書店サンデーコミックスで、全3巻で刊行されました。その後、さいとうたかを系列の出版社、リイド社から「劇画座招待席」として、コミックス全2巻で刊行されています。この刊行年月もはっきりしないんですが、2000年か2001年頃だろうか。サンデーコミックス以降に、リイド社以外で、何処かの出版社でコミックス刊行されたことはあるんだろうか?済みません、よく解りません。雑誌掲載での初出連載は、光文社の月刊誌「少年」の最末期に連載されました。1967年一年間はフルに連載されているんですが、雑誌「少年」の休刊(事実上の廃刊)が68年3月号までであり、多分、「ザ・シャドウマン」はその最終3月号まで掲載されていたと思います。雑誌「少年」での新連載が、誠に済みません、はっきりしないんですが、多分、66年の後半も秋以降からの連載開始じゃないかな、と思います。まあ、雑誌連載は足掛け3年続いているんですね。昭和の月刊誌連載漫画としては、連載期間は長い方に入るんじゃないですかね。雑誌「少年」では“ワイド連載”と謳っていて、毎回、本誌に40ページから45ページくらいの大増ページ掲載で連載が続いてましたね。「鉄人28号」終了後の「少年」の連載漫画陣の中では、人気の高かった漫画作品だったと思います。

 「ザ・シャドウマン」で脳裏に残る当時のエピソードというと、僕が小五・小六時代にツルんでいた、というのか、いつも一緒に居た級友、ME君との、とある一場面で、僕が当時住んでいた自宅の近所の理髪店に散髪に行ってて、友達のME君も付き合ってくれてて、付き合ってというか家が比較的遠いME君は散髪はしないで、僕の髪切りが終わるのを長椅子に座って待っててくれた。その時、待ちながらME君が暇つぶしに読んでたのが、その時の雑誌「少年」で、理髪椅子に座っている僕から、ME君が調度、「少年」掲載の「ザ・シャドウマン」を読んでいるのが見えた。

 僕は床屋のオジサンに髪を切って貰いながら、雑誌「少年」の漫画が気になっていた。特に大好きなヒーローもの劇画、「ザ・シャドウマン」のお話は気になっていた。やがて僕の散髪が終わり、床屋を出ることになったけど、僕はさらにME君を待たせて、今度は僕が「少年」を読む、なんてことはできなかった。僕はもともと小さい時分から外交的な性格ではなく、散髪が終わったのに居座って漫画本を読むなんて厚かましいことはできなかったし、何よりも待たせたME君に悪くて気を遣った。

 理髪店を出て、ME君に「ザ・シャドウマン」の内容を訊いたが、ME君は面倒くさそうに、登場した敵側の犯罪組織の秘密兵器ロボットが、実は中に人間が入ってたと、答えただけだった。ちょっとうるさそうにしてたので、それ以上は訊かなかった。だいたいME君は普段から、漫画本を好んで読む子供ではなかった。長椅子で「少年」を読んでたのは、本当に暇つぶしだったのだ。「ザ・シャドウマン」というと、何故かこのシーンをはっきりと覚えている。

 この時の「少年」掲載分の「ザ・シャドウマン」のエピソードは、組織から逃走した超人1号である、“シャドウマン”こと片桐毅を、組織が血眼で追っていたが、組織の銃武装した構成員でも、「できそこない」であっても超人である、片桐はなかなか捕まえることができず、ついに組織のマッドサイエンティスト博士は、超人2号を作り出した。登場した超人2号は、普通の生身の人間の、改造人間超人ではあるけれども、犯罪を犯すときは何故か、金属製のロボット外装の中にすっぽり入り、いかにもロボットの仕業のように犯罪を起こしていた。その時の床屋に置いていた雑誌「少年」に、掲載されてた「ザ・シャドウマン」のお話は、その犯罪ロボットが初めて登場して、ロボットの格好で犯罪を犯し、警察を振り切って、ロボット外装を取って、中身の普通の人間の顔を出したところ、ですね。多分、そうだと思います。この「ザ・シャドウマン」の「少年」掲載分エピソードから考えて、この時のME君との思い出の断片シーンは、多分、小五の終わり頃か小六の始まったばかり頃なんじゃないか、と思います。

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