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「夕やけ番長」-影の大番長·編-

  昭和の、秋田書店発行の月刊児童漫画雑誌「冒険王」の1967年10月号から71年3月号まで大長編連載された、梶原一騎·原作-荘司としお·作画の熱血感動学園漫画「夕やけ番長」を、あの時代に少年だった僕は大好きで、熱中して漫画を雑誌連載リアルタイムで読んでました。あの時代、一番好きだった漫画作品だと思います。

  「夕やけ番長」は僕の小学六年生時に連載が始まって中学三年生時いっぱいまで連載されて終了しました。僕はこの時代の雑誌「冒険王」をほぼ全冊購読しています。当時の「冒険王」に連載されてた「夕やけ番長」と「虹をよぶ拳」を読みたかったからです。

  「夕やけ番長」は、最初期の「少年チャンピオン」の看板漫画でもありました。1969年7月に創刊された秋田書店の月二回刊雑誌「少年チャンピオン」が週刊誌になる手前の70年6月頃まで、「夕やけ番長」のサイドストーリーというか別エピソードが連載されてました。僕は最初期チャンピオンを創刊号から「夕やけ番長」の連載が終了するまで購読しました。当時は「冒険王」「少年チャンピオン」ともども「夕やけ番長」をワクワクしながら愛読してましたね。

  雑誌連載が終了した後も、秋田サンデーコミックス全17巻や、サンケイコミックス「梶原一騎傑作全集・夕やけ番長」全15巻などで何度も読み返してます。その都度、何度も泣いてますねえ。僕は、漫画「夕やけ番長」を読んで読む度に感動して涙して来ました。

 地域一の不良校で通称“木曽中クソ中不良中”の悪名で呼ばれる木曽中学校の生徒、青木照夫はその異名とは真反対の勉学に秀でた真面目中学生。母子家庭の家は貧しくてオンボロ長屋に住んでいる。ある日、照夫は他の中学校の生徒に絡まれていた。

 木曽中学校には“木曽中クソ中不良中”の悪名の元であり学校のガンである、“番長連合”がある。地域の他の中学校の生徒たちは日常的に、この番長連合にカツアゲされたり脅されたり暴行されたり被害に合っている。他校の生徒たちは照夫のような普通の生徒で弱い木曽中生を見つけると、日頃の被害の復讐をやりたくなるのだ。

 弱い木曽中生と出会った他校の三人組は、照夫に絡み三人掛かりで殴る蹴ると暴行する。日頃の仕返しだ。そこへ小柄な少年が現れて暴行を止める。三人の生徒はこの少年に対しても暴力を試みるが、あっと言う間に三人はのされてしまう。三人は現れた少年を番長連合の者だと勘違いして一目散に走って逃げる。

 照夫は初めて見るその少年が木曽中学校の生徒ではないと思い、礼を言う。他校の三人組に対して木曽中生ではないととぼければ被害に合わずに済んだのに、ちゃんと名乗った青木照夫のことを気に入ったと話す少年だが、夕焼けを見てしんみりとした少年は立ち去って行く。

 木曽中学校を牛耳る番長連合とは、各学年各クラスに番長が居て、三年生にそれを統括するような存在、大関番長が居る。一年生の青木照夫のクラスの番長は小兵の小瀬小次郎だ。小兵というかチビで腕力的にもたいしたことない劣等生の小瀬小次郎は、コバンザメ体質のタイコモチで正に番長連合という虎の衣を借りるキツネである。

 照夫のクラスの学級担任で柔道三段の荒木先生が、クラス朝礼に転校生を連れて教室に入って来た。照夫は驚いた。転校生は昨日、他校の生徒に暴行される自分を助けてくれた少年だったのだ。少年はクラス中に響き渡る大声で自己紹介し、荒木先生も含めクラスメート全員を驚かせた。

 少年の名は赤城忠治といい、お調子者の小瀬小次郎は担任教師のアダ名“荒木又右衛門”と合わせて、まるで時代劇だと面白がって笑う。小瀬小次郎はいつも教室で番長連合の不良行為の自慢話を武勇伝として大袈裟に話し、クラスの真面目な生徒たちからは忌み嫌われている。

  大長編熱血感動学園漫画「夕やけ番長」の主人公、赤城忠治は勇敢な少年だが冷静で、番長連合の下っ端·小瀬の挑発にも乗らない。体育の時間に並外れた運動神経の良さを披露して見せるが、赤城忠治は机に着いての勉強はからっきし駄目な劣等生である。

   赤城忠治を気に喰わない小瀬は忠治を挑発し続け、ついに番長連合本体を動かし、転校生·赤城忠治に番長連合からの制裁を加える。

  橋の欄干の上に立っての、番長連合の頭目·大関番長との戦いで、巨漢の大関番長は橋から落下し川の水の中で失神する。忠治は喧嘩相手を救うべく、欄干から川に飛び込み泳いで、敵の大関番長を助けて陸に上げる。

  河原で、残りの番長連合全員対赤城忠治の、一対十数人の戦いが始まり、忠治の頭脳戦で番長連合は全員、忠治一人に倒される。しかし何処からともなく聞こえて来る、響き渡る声。番長連合の一番上位の頭目は大関番長ではなかった。“木曽中·クソ中·不良中”を影から支配する、謎の存在“影の大番長”が居た。

  改心した大関番長は“影の大番長”のことを話そうと、赤城忠治のチンチン電車ハウスを訪ねる。“影の大番長”の秘密を話すつもりだったが、“影の大番長”への恐怖心から赤城の家から逃げ帰る。

  謎の存在“影の大番長”は、裏切り行為に及ぼうとした大関番長に制裁を加え、一撃のもとに失神させる。そして夜勤の守衛仕事に出掛ける、忠治の祖父を襲撃する。“影の大番長”は恐怖の空手ワザを使うが、故流柔術の達人である忠治の祖父は難を逃れる。

  赤城忠治に近付いて来る、近隣の優秀名門校·白亜学園の優等生でブルジョア家庭育ちの紅小路弘。貧乏育ちで劣等生の忠治は、天と地の違いのある紅小路に憧れに似た気持ちを抱く。一片の穢れなき存在にも見える、温室育ちのお坊っちゃま·紅小路と友達になれたことを、ことのほか忠治は喜ぶ。

  しかし紅小路弘の隠れた実体は、紅小路弘こそが“影の大番長”だった。山奥·田舎育ちの貧乏家庭·劣等生、赤城忠治に親しみを籠めて近付き、上流階級育ちの穢れなき優秀な親友となり、忠治に憧れを抱かせたところで正体を現し、清潔なまばゆい友情に浮かれる忠治を、一気に絶望の底に突き落とすのだ。

  上流階級で育つ紅小路弘は、父親は仕事に忙しくいつも不在で母親は暇をもて余すブルジョア奥様として、昼間は観劇からさまざまな習い事から上流の付き合いと家に居ない。弘は有り余る小遣いで邪道空手の達人を雇い、豪邸の地下室で殺人空手を習得していた。

  最初から騙されていた友情の裏切りに涙する忠治を、残忍に嘲笑う紅小路。ねじくれた根性の弘は、素直で伸び伸びと育ち真っ直ぐで明るく見える、田舎者の赤城忠治が大嫌いなのだった。

  岩をも砕く紅小路の殺人空手だったが、“ケンカの天才”赤城忠治の頭脳作戦に、いつしか紅小路は劣勢に回る。しかし邪道空手の必殺技“虎騙し”で忠治の視力を奪い手刀脳天割りで失神させて、紅小路が勝利する。

  その後、紅小路弘は家出する。失明した忠治、クラスの親友の青木照夫、水之江洋子と共に紅小路の豪華な屋敷に行って見ると、弘の母親が取り乱していた。父親は仕事仕事で家庭をかえりみず、母親はブルジョア付き合いでロクに家に居ない。勉強部屋の弘と母親はインターホン越しに連絡を取り合うだけ。忠治は紅小路を「おまえも寂しいヤツだったんだなぁ」と同情する。

  行方不明の紅小路弘を探し、目の見えぬ状態で夜の繁華街を回る忠治。途中、街中でチンピラ不良に絡まれるが、三人をあっという間に手玉に取り、盲目の剣客·机竜之介みたいだ…と恐れられる。紅小路の行きそうなところを見当を着ける忠治。

  紅小路弘はチンピラなどヤクザ連に“若大将”と担がれていた。「やはりそんなことになっていたか」と弘の身の上を危ぶむ忠治。弘はとあるスナックのような飲み屋でヤクザ連の仲間入りしたお祝いパーティーを開かれていた。

  スナック飲み屋店内にて紅小路弘·殺人空手対赤城忠治·ケンカ殺法の第二戦が始まる。盲目の忠治はウムを言わせず弘の片手に手錠を嵌めて、チェーンデスマッチに持ち込む。

  わずか1メートル足らずの鎖で繋がれた紅小路は、鎖で相手の動きを読み、鎖を引いたり放したりする忠治により、空手で一番大事な下半身の安定を崩されバランスが取れなくて、思うように空手技を繰り出すことができない。

  盲目でありながらも頭脳を使った忠治のケンカ術が優勢になり、劣勢に回った紅小路は再び邪道空手の必殺技“虎騙し”を仕掛ける。まんまと再度罠に掛かった忠治は弘の一撃を浴びるが、トドメに放った紅小路の脳天手刀を鎖に繋がれた方の紅小路の空いた手で受ける。自分で自分を痛め付け叫びを上げる弘。

  鎖で繋がれたまま飛び上がり、忠治を引っ張って二人もろとも酒場カウンターの向こうに落下した。カウンターの向こうで殴り合う音が聞こえる。酒場に集まってるヤクザ者たちが、自分たちのケンカざたなぞ及びもしない凄まじい戦いだと怖じ気着いている。

  カウンターに這い上がる格好で紅小路の頭と身体が出て来た。チンピラ·ヤクザ者たちは、若大将が勝利したと喜んだが、次の瞬間、血で汚れた顔の弘が青ざめて叫ぶ。鍵をくれ、この戦いから逃げ出したい、と。そして失神する紅小路弘。

  勝利したのは赤城忠治だった。盲目の忠治は気絶したままの弘を担いで、ヤクザ者たちのたむろする酒場を出て行く。

  その後、紅小路弘は改心した。大金持ち·紅小路家の意向で赤城忠治は病院で高額な眼科手術治療を受けた。

  忠治の目の手術が終わり、病院ベッドの回りにクラス担任の荒木先生、クラス親友の青木照夫·水之江洋子、忠治の祖父、紅小路弘とその母が集っている。主治医が目の回りの包帯を取ると忠治は「見えない」と一言。回りの人たちは大騒ぎになり、弘は「自殺してお詫びするゥ~」と泣き叫ぶ。

  照夫が「赤城くん本当に見えないのか?」と訊くと、忠治は「見える見える…」とあの時代に流行ったボールペンCM の流行語でおどける。荒木先生が「ばかもーん!」と激怒し、一同は大喜びする。赤城忠治の視力は回復し、紅小路弘は普通の中学三年生に戻り、母親も親子関係を考え直し生活を改めることにして、ここでこのエピソードはハッピーエンドで終了する。

  一方、“影の大番長”を失った木曽中学校·番長連合は小瀬小次郎の導きで、新たな大番長スカウトに向かう…。

  と、ここまでが「夕やけ番長」最初のエピソード、“影の大番長·編”になりますね。この先も物語は長く長く続く。紅小路弘の次は、少年院上がりの幾つも年上の中学三年生、野生の喧嘩屋·黒部搭介が忠治の前に立ちはだかるし、次から次と強敵が現れる。

  「夕やけ番長」の主人公、赤城忠治のカッコ良いところは、何の格闘技経験もないのに喧嘩がもの凄く強いところ。空手の達人の紅小路などを頭脳プレイの喧嘩術で互角以上に渡り合って行くところですね。その頭脳プレイを可能にする抜群の運動神経の持ち主というところもあるんですが。

  喧嘩の対決シーンばかりでなく、友情の感動シーンや忠治の淡い初恋などさまざまなエピソードもあるんですが、物語の中の主人公·赤城忠治は、最初中学一年生で、物語が進むに連れて番長連合解体後の、木曽中に作られた各運動部の部活対校試合で各スポーツの他校強敵たちと忠治が対決するエピソードのときが多分、中二で、物語終盤は修学旅行舞台のシーンもあるし多分、中学三年生ですね。最後はちょっと悲しいエピソードになりますけどね、赤城忠治は木曽中で中学卒業して故郷へ帰って行き、「夕やけ番長」は終わる。

 物語の中の赤城忠治は、中一~中三の年齢で13歳から15歳のまだ子供なのに、身体は小さいですが精神的には凄い大人びてますね。人格者と言っていいくらいの精神性を持っています。大人の学校教師顔負けの人格者の精神性ですね。

  「夕やけ番長」の主人公、赤城忠治という学園ヒーローは、中学生くらいの子供なのに精神的に身体に一本大きな筋が通った、正義感と、何事にも負けず弱音を吐かない根性の持ち主で、義理人情が厚く、スポーツ万能の抜群の運動神経を備え、決して自らは喧嘩を仕掛けないが売られた喧嘩は買って、ひとたび喧嘩勝負に入ると熱狂的になり、小兵ながら頭脳戦で勝負を優勢に戦って行き、劣勢からも頭を使って逆転し勝利に持って行く勝負師。唯一の弱点は学校の偏差値的な勉強が相当に苦手なところ。ただし状況を俯瞰して捉え、状況を把握し、敵の人格を読んだり心情を察したりするところや、大人びた精神性から見ると地頭は相当良い(本当はIQ·EQは相当高いと思われる)。   

 強い正義感と信念を持つ熱血少年、赤城忠治は夕焼けを見るとそれまでのエキサイトした気持ちが嘘のように、しんみりとしたうら寂しい気分になってしまう中学生だ。赤城忠治少年は雪山の田舎の学校から、“木曽中クソ中不良中”との悪名高い問題中学へ転校して来て、たった一人で木曽中·番長連合との抗争に入り、数々の強敵と戦って倒して行き、番長連合の解体まで持ち込む。

  木曽中の普通の全生徒から毒虫のように忌み嫌われる不良だった元·番長連合の面々を各スポーツ部のキャプテンに据え、明るく素直な普通の健全な学生として生きるべく自信を着けさせるように持って行く。赤城忠治は時に自ずから悪役を買って出て、そうと解らぬよう自然に不良生徒たちを指導して行く。ここが厚い友情ですね(友情どころか父母の肉親愛に近いかも)。

  「夕やけ番長」の“影の大番長·編”は当時、秋田書店から小説版が出ました。豪華箱入りハードカバー上製本。僕は中一の春、五月の地域の大々的なお祭りに母親から貰った小遣いから、この小説版「夕やけ番長」を買いました。小説執筆者は漫画原作の梶原一騎で、ストーリーは漫画本編と全く同じです。紅小路弘の改心と忠治の視力回復のハッピーエンドで小説版は終わってます。

  梶原一騎氏の活字のみ小説本「巨人の星」の第1巻の発売が1968年1月となってるので、同じ梶原一騎氏の小説本「夕やけ番長」の発売は69年だったかも知れませんね。そうだとすると僕が小説版「夕やけ番長」を購読したのは中二の五月かも知れない。

  小説版「巨人の星」は全5巻まで出てるんですね。オリジナル漫画版は当時の講談社コミックスで全19巻の大長編ですから、小説版のストーリーはどの辺まで描かれているのか知りませんが。調べたら、やっぱり小説版「夕やけ番長」の秋田書店発刊は1969年でした。初版発行が何月かまではよく解らないのですが。

  小説版「巨人の星」は当時、中学校の図書館に1巻だけ置いてありました。僕は小説版「夕やけ番長」は購読しましたが、小説版「巨人の星」は本屋の棚で取って少々立ち読みした程度でした。

  作者の梶原一騎氏は1950年代後半からずうっと続けて漫画原作を書いて来た作家ですから、いざ小説本を出すのに文章を書くとやはり漫画原作の文体になってしまうんですね。だから「巨人の星」も「夕やけ番長」も小説として書いてるんですけど漫画原作の文体が出てしまっていて、ちょっと、舞台劇の台本のような戯曲のような文体スタイルが残っている小説になってましたね。かといって漫画原作文ではなくやはり小説ではあるんですけど。

  ここ数年前かに、誰かのエッセイで、書物か雑誌で読んだのかネットで読んだのか忘れたけど、いつのものか、そのエッセイ文書いた人が梶原一騎の小説版「巨人の星」読んだ感想を書いていて、やはり「これは劇画の原作だ」と書いてました。僕が中学生のとき思ったことと同じ感想を持ったんですね。

  80年代後半だったか90年代前半頃だったか、劇画原作を主な仕事とする小池一夫氏が自分の劇画原作のヒット作、作画を小島剛夕氏が担当した傑作時代劇「口役主水-渇いて候」を週刊誌に活字だけの小説として連載されてたときの文体も、やはり漫画原作の文体でした。小説として書いてるんだけど漫画原作の文体が色濃く残っている文体の小説でしたね。梶原一騎先生も小池一夫先生も二十年も三十年も大量に漫画·劇画の原作を書いて来てると、漫画原作原稿の文体が染み着いてしまってなかなか抜けないものなんでしょうね。

  梶原一騎さんの弟さんになる真樹日佐夫氏は漫画原作も小説も書いてましたが、僕も真樹日佐夫氏の武道·格闘技小説は何作か読んでますが、真樹日佐夫先生の小説は普通に小説文体でしたね。漫画原作の台本的文体の影響を受けてなかった。もっとも梶原一騎先生は小説作品は「巨人の星」5冊と「夕やけ番長」くらいですからね。真樹日佐夫氏は漫画原作と平行して小説作品もけっこう書いてたし。梶原一騎先生は少年雑誌に登場した最初はスポーツ記事が多かったですね。50年代末くらいから漫画原作が多くなり「巨人の星」の原作を書き始めた頃はもう漫画原作専業のように仕事してましたね。小池一夫先生の小説作品は僕は「口役主水-渇いて候」だけしか知りません(調べたらどーも小池一夫先生の小説作品は二作品のようですね…)。

  

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(2022-6/1)

 僕が中1か中2の多分5月に近所のアーケード商店街の石川書店で買った「夕やけ番長」の小説版だけど、とにかく当時の僕は「夕やけ番長」という漫画作品がもうメチャメチャ大好きで魅了されてた訳で、小説版の豪華箱入り単行本を買って手に入れたことを誰かに自慢したかった。

 で、通ってた中学校に登校して、誰かクラスメートに小説版「夕やけ番長」の本の話をしたい。当時のことはもうよく憶えてないけど、クラスメートの何人かに話したんじゃなかろうか。まぁ、3人くらいには。

 その中で記憶してるのはエンドーくんだけで、エンドーくんは当時の三坑の元炭住に住んでたか、その下の栄町の住宅に住んでたかして、小学校からの同級生だったがそこまで仲の良い友達という訳でもなかった。

 僕は学校の休み時間に、そこまで仲の良い友達でもないエンドーくんに、つい小説版「夕やけ番長」の話をしてしまった。多分、当時、僕の通う学校で小説版「巨人の星」を図書館に揃えたので、その図書館の小説版「巨人の星」からの話の流れで僕が小説版「夕やけ番長」の話をしたんだと思う。

 そうするとエンドーくんが、僕の持つ小説版「夕やけ番長」を貸してくれと言う。当時の僕に取って小説版「夕やけ番長」の本は大切なものだったから、このときヒトには貸したくなかった。だから遠回しにやんわりと貸したくない旨話し、僕は気持ち断ったんだと思う。そのときの僕には多分、この本は宝物扱いだったのだろう。

 でも、エンドーくんは予想に反して、本を貸してくれと喰い下がった。僕は内心、本当に嫌だったけど、はっきりと断ることができず、エンドーくんの熱意かしつこさに負けてしまった。

 僕は内心嫌々ながら、翌日本を持って来てエンドーくんに貸した。一日で読んだらしく次の日にエンドーくんは本を学校に持って来て返してくれた。

 本を返すときのエンドーくんの態度は、借りるときしつこいくらいで懇願するように貸してくれと言い続けてたのに、僕に本を返すときは、ありがとうの礼も一言もなくフンッという感じで、ただ僕に本を手渡しただけだった。

 僕は何も言わずに本を受け取ったが、大事な宝物を貸してやったのに何だその態度は、と内心凄く腹立たしかった。結局、僕は黙って本を受け取り、もともとそんなに仲の良い友達という間柄でもないので、それはそれで済んだ。そこからも同じクラスだったかも知れないが、特に付き合いもなかったし。

 こういうことを書き込んで、何だおまえはいじましいヤツだったんだな、と思われるかも知れないが、2020年暮れに書いたココの記事を読み返してて、昔々の小説版「夕やけ番長」の本と、当時のクラスメートだったエンドーくんを思い出した。

 ちなみにエンドーくんは見掛けによらず頭が良かった。田舎の中学校でクラス上位くらいはタカが知れてるけど、エンドーくんは学年トップクラスまでは取れないけど、成績はけっこう上位にいたと思う。確か、進学した高校もこのあたりの地域では一番偏差値の高い高校に進学したと思う。

 勿論、生まれてこの方ずーっと劣等生だった僕よりもずっと成績が良かった。僕は中学校までしかエンドーくんを知らない。だからその後エンドーくんがどんな人生を歩んだか全く知らない。多分あっちも僕のその後のことは何も知らないだろう。

 今ごろ、小·中学校時同級生だったエンドーくんを思い出したからって、特に今現在、もう一度会ってみたいとか思ってる訳でも何でもない。ただ、小説「夕やけ番長」を返してくれたときのあの態度は、僕の中にずーっと残り続けてるなぁ。俺はいじましいヤツ。

 

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