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オフィス北極星

 日本の損害保険会社所属のアメリカ駐在員、時田強士は占い師・シャーに「北極星の目を持っている」と告げられて気持ちを動かされ、保険会社を辞めて独立し、アメリカ国内でリスクマネジメント事務所「オフィス北極星」を立ち上げる。事務所設立に際して雇った事務員の女性は有能だったが、その後、弁護士になる夢を叶えることを決意し、大学へ入学するために事務所を辞める。次に雇った、同性愛者でベジタリアンの二人組の女性コンビの事務員も、二人揃えば有能だが、二人揃わないと調子が狂うという欠点を持つ。その二人組がヘッドハンティングされて辞めた後、事務所に来たブラジル移民の女性も仕事ができる。さらに、時田強士のリスクマネジメントの仕事を進める中で度々タッグを組む、ハーバード大学ロースクール出身の有能な女性弁護士、バーバラ・アンは法廷では強気だが、恋に臆病。時田強士のアメリカ生活では、その周りに、個性豊かなアメリカ人たちがいっぱい登場し、みんなから“ゴー”の愛称で呼ばれて親しまれる。日本人ビジネスマン時田強士を中心に、物語はバラエティー性に富んでスリリングにユーモラスに進んで行く。異文化摩擦の難解なトラブルに果敢に挑んで行くゴーと、敵・味方の個性的なアメリカ人との交流や戦いを描く、海外舞台のホットなビジネスコミック。 

 「オフィス北極星」は、講談社の青年コミック誌「週刊モーニング」に、原作は真刈信二氏、作画は中山昌亮氏のコンビで、1993年29号から1998年40号まで連載されました。物語のテーマは、アメリカ訴訟社会に於ける企業の取り組み方、乗り越え方ですね。主人公が日本人なだけに、主にアメリカ進出した日本企業が陥る、文化の違いに寄るトラブルに、在米日本人主人公・時田強士がアメリカ訴訟社会を舞台に、日本企業を助けるためトラブル解決に、悪戦苦闘しながらも全力で取り組んで行く姿を描いてます。見方に寄っては法廷劇画的な面も強いです。物語を通して法廷での攻防が描かれるシーンが多い。

 僕は講談社の青年コミック誌「モーニング」は読んでなかったので、「オフィス北極星」は講談社コミックスで全巻読みました。コミックス初版発行が1巻が1994年、10巻が98年になってますから、だいたいその当時全10巻読みました。僕の30代半ばから後半の時代ですね。僕個人的には絵のタッチがそれほど好きな絵柄じゃなかったけど、ダイナミックな絵柄で、ストーリーも舞台は、全く知らないアメリカ訴訟社会だし、僕としては自分の知らない海外の情報が知れて新鮮でした。日本では常識的なことや許されてることが、アメリカ社会では訴訟問題となりうるという、この文化の違いに驚き、また、人種のるつぼと言われるアメリカ社会での、人々の生活様式からビジネス界の内容まで、新鮮な情報として受け止めて面白かった(“ビジネス界の内容”というほど詳しく網羅されてる訳でもないけど)。

 そういえば僕は講談社系の青年コミック誌を定期購読したことがないんですね。僕が青年コミック誌を読み始めたのってだいたい20歳の頃からですが、当時から小学館・双葉社・秋田書店・少年画報社の青年コミック誌ばかりで、とりわけ小学館と双葉社の青年誌が多かったですね。講談社の青年誌のラインナップは、ヤングマガジン・モーニング・イブニングなどですが、ときどき買って読むことや、洋食屋やラーメン屋などの食堂や喫茶店などに入って飯のついでに読むことはあっても、続けて買って読むことはなかったですね。コミックス単行本は別ですけど。

 まぁ僕は、社会人になってからは、漫画本を読むのが最大の趣味みたいなもんだったから、講談社の雑誌に連載されてコミックス単行本になった漫画は、面白い作品は積極的に購入して読んでましたから、講談社の青年誌連載の漫画もコミックスでけっこう読んでる訳ですが。あ、そうだ。月刊アフタヌーンは何回か購読してますね。アフタヌーンには、「ガンスミスキャッツ」や「砲神エグザクソン」、「寄生獣」や「ああ、女神様」とか、真刈信二氏原作になる「勇午」とか載ってましたからね。キムタク主演の時代劇で2017年4月公開のGW 映画「無限の住人」も、原作劇画はアフタヌーン掲載ですね。

 「オフィス北極星」はハリウッド映画を見てるような雰囲気がありましたね。アメリカ訴訟社会というものを知りたいという知的好奇心もあって、けっこう面白く読んでた。主人公のゴーも個性豊かな主役だけど、脇に出て来るアメリカ人たちが白人や移民出身の人たちなど、日本人とは違う、日本人に比べると突き抜けて個性豊かな登場人物が多く、勿論普通に常識的な登場人物も居る訳だけど、ドラマの雰囲気が日本舞台で日本人ばかりの登場人物の物語に比べて、お話を真面目に描いていてもダイナミックでユーモラスで、漫画の内容が新鮮で面白かったですね。

 

 漫画が面白かったから「オフィス北極星」全10巻読んだんでしょうが、当時、読んでたときは物語の世界に憧れもあったんでしょうね。アメリカ大都会の厳しいビジネス社会で有能に活躍するカッコ良い主人公への憧れ。英語がペラペラ喋れてアメリカ現地の社会でビジネスのやり取りができる、というカッコ良さ。人種のるつぼのアメリカ社会で、白人も移民も、明るく陽気でアクティブで、お互い自己主張し合いながらもユーモアで摩擦をかわして交渉を進める、ホットな社会で力強く生きる人々と熱く交流して行く、有能で明るく面白い主人公のキャラクターとその活躍への憧れ。

 内気で心配症で人見知りが強くて引っ込み思案で神経質で、人に気を遣い過ぎて、発達障害みたく物忘れなどイロイロ欠点を持ち、無能で頭の悪い僕としては、現実には、アメリカ社会で生きて行くなんて先ず絶対無理で、アメリカの大都会の厳しいビジネス社会で余裕でユーモアたっぷりに明るく生きて、ときにビジネス戦線で果敢に戦って行く主人公への、「ああ~、俺もこんなふうにアクティブに活躍して生きてみたいなぁ」という憧れで読んでたのでしょう。面白い漫画は、漫画の世界観への憧れ、というので読むというのも大いにありますね。

     

オフィス北極星(1) (モーニングコミックス) Kindle版 真刈信二 (著), 中山昌亮 (著), 中山 昌亮 (イラスト)

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勇午(1) (アフタヌーンコミックス) Kindle版 赤名修 (著), 真刈信二 (著), 赤名 修 (イラスト)

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スパイの家(2) (アフタヌーンコミックス) Kindle版 真刈信二 (著), 雨松 (著)

スパイの家(1) (アフタヌーンコミックス) Kindle版 真刈信二 (著), 雨松 (著)

 講談社コミックス「オフィス北極星」全10巻は今手元に持ちません。2013年頃の深夜の情報バラエティー番組の中で、さる大手の新古書チェーン店を特集してて、その番組の中では中古品のコミックス単行本を高額で買い取っていたので、調度その当時僕はお金に困っていたので、僕の持っている中古コミックス単行本の比較的いらないものを、その時都合ダンボール三箱分、TV で紹介してた件の新古書チェーン店に売ったのですが、ダンボール三箱ぎっしり詰めたコミックス単行本は、何と全部で三百円に満たない額でした。正に二束三文。

 今でも貧乏はしてますが2013年頃は本当にお金に困っていて、何とか食費を稼がなければならないと、ネットオークションに僕の持っている古雑誌や昭和時代に購入したコミックス単行本を売って僅かなお金を得てました。コミックスよりも古い雑誌や写真集の方が比較的高く売れたな。雑誌は特にアダルト系というか、女性のヌードグラビアが満載した雑誌は、昭和時代のものですが、けっこう高く売れました。まぁ高いってせいぜい高くて2000円越えくらいのものですが。

 意外だったのが昭和時代アイドルの写真集はそれほど高値は着かなかった。まぁ僕の持ってたアイドル写真集は昭和も終わり頃のものが多かったですからね。だいたい僕はアイドル写真集はそれほどは持ってなかったし。

 古いGORO とか日活ロマンポルノ写真雑誌·映画の友とかは、まぁま高値だったかな。高値といってもせいぜい2000円台ですけど。僕は田舎からネットオークションで売ってたから、案外都会の専門店に持って行ってたらもっと高く売れてたのかも知れませんが。ネットオークションで売ったコミックス単行本も二束三文でしたね。コミックの方は比較的巻数の少ないコミックス全巻揃いで、80年代90年代のものでしたが。昭和時代に買った大量のコミックス単行本は引っ越しの度に廃棄してたし。

 ネットオークションで売った漫画本はほとんど二束三文でしたが、アダルト系というかエッチな雑誌はまぁま高値で売れた。アダルト誌、昭和時代の雑誌、写真集と雑誌はイロイロ売りましたね。昭和の日活ロマンポルノ女優の写真集を何冊か持ってたけど、これが比較的高値で売れた。一番高いので3000円くらいで売れたかな。こういうのも都会の専門店に持って行ってたらもっと高く買い取ってくれたのかも。

 ネットオークションは僕の持ってる雑誌やコミックス単行本で値が着きそうなものをあらかた売って、もうネットオークションに出すものがなくなったんで止めといたときに、TV の深夜番組で新古書チェーン店の紹介特集見て、ダンボール都合三箱分出して、番組の中の情報からだいたい二千円くらいは行くだろう、とか獲らぬ狸の皮算用してたら、何と振り込まれたのは三百円に満たない額。

 詐欺だと思いましたね。僕は昔は古本屋はよく行ってたんですが、新古書チェーンって行ったことなくてよく知らなくて、コミックス単行本とかはシミとか着いてたり本が黄色い方に変色してたりしたら駄目なんですね。ダンボール三箱ぎっしり詰めた漫画本はほとんどが一冊1円でした。あの時はガックリ来ました。新古書チェーン店は本のビンテージ価値とか骨董的価値を見ないんですね。

 変色もそれほどひどくはなかったのに。90年代後半に買った全巻揃いの「オフィス北極星」も十年ちょっとしか経ってないのに、多分一冊5円や1円だったと思います。僕は昭和時代に買った漫画本も持ってるものもあるんですが、この時一緒に出した昔の漫画本も1円か0円だったでしょう。新古書屋は本の骨董的価値を全く見ない。「まんだらけ」とか持ってったらもっと高く着いたんだろうけどなぁ。

 まぁ新古書屋も引き取り輸送費は会社持ちですからね。本のダンボール三箱分はかなり重量ありますが、宅配業者が引き取りに来て、その費用は向こう持ちだし。まぁよく知らなかった僕が悪いか。でも深夜番組での新古書屋の引き取り価格は誇大広告だったと思います。あの時は売る本の状態の話はしなかったんだもの。番組ではコミックス単行本みんな一冊50円から100円とかで買い取ってたんだもの。経年劣化本の話はしなかったし。

 あの時出した漫画本で「オフィス北極星」はそんなに惜しいとは思わないけど、昭和時代に買ったコミックス単行本は出さなきゃ良かったと後悔してますね。みんな1円か0円だったし。柴田昌弘さんの「斎女伝説クラダルマ」とか全巻揃ってなかったけど、10巻以上あったし、12冊くらい送ったと思うがあれも二束三文だったし、僕はけっこう「クラダルマ」の漫画は好きだったので今思うと勿体ないことしたな、と思います。もう一度読み返してみたかったな。「クラダルマ」は90年代の漫画だからコミックスも当時買ったものです。

 

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