60~90年代名作漫画(昭和漫画主体・ごくタマに新しい漫画)の紹介と感想。懐古・郷愁。自史。映画・小説・ポピュラー音楽。
Kenの漫画読み日記。
オフィス北極星
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日本の損害保険会社所属のアメリカ駐在員、時田強士は占い師・シャーに「北極星の目を持っている」と告げられて気持ちを動かされ、保険会社を辞めて独立し、アメリカ国内でリスクマネジメント事務所「オフィス北極星」を立ち上げる。事務所設立に際して雇った事務員の女性は有能だったが、その後、弁護士になる夢を叶えることを決意し、大学へ入学するために事務所を辞める。次に雇った、同性愛者でベジタリアンの二人組の女性コンビの事務員も、二人揃えば有能だが、二人揃わないと調子が狂うという欠点を持つ。その二人組がヘッドハンティングされて辞めた後、事務所に来たブラジル移民の女性も仕事ができる。さらに、時田強士のリスクマネジメントの仕事を進める中で度々タッグを組む、ハーバード大学ロースクール出身の有能な女性弁護士、バーバラ・アンは法廷では強気だが、恋に臆病。時田強士のアメリカ生活では、その周りに、個性豊かなアメリカ人たちがいっぱい登場し、みんなから“ゴー”の愛称で呼ばれて親しまれる。日本人ビジネスマン時田強士を中心に、物語はバラエティー性に富んでスリリングにユーモラスに進んで行く。異文化摩擦の難解なトラブルに果敢に挑んで行くゴーと、敵・味方の個性的なアメリカ人との交流や戦いを描く、海外舞台のホットなビジネスコミック。
「オフィス北極星」は、講談社の青年コミック誌「週刊モーニング」に、原作は真刈信二氏、作画は中山昌亮氏のコンビで、1993年29号から1998年40号まで連載されました。物語のテーマは、アメリカ訴訟社会に於ける企業の取り組み方、乗り越え方ですね。主人公が日本人なだけに、主にアメリカ進出した日本企業が陥る、文化の違いに寄るトラブルに、在米日本人主人公・時田強士がアメリカ訴訟社会を舞台に、日本企業を助けるためトラブル解決に、悪戦苦闘しながらも全力で取り組んで行く姿を描いてます。見方に寄っては法廷劇画的な面も強いです。物語を通して法廷での攻防が描かれるシーンが多い。
僕は講談社の青年コミック誌「モーニング」は読んでなかったので、「オフィス北極星」は講談社コミックスで全巻読みました。コミックス初版発行が1巻が1994年、10巻が98年になってますから、だいたいその当時全10巻読みました。僕の30代半ばから後半の時代ですね。僕個人的には絵のタッチがそれほど好きな絵柄じゃなかったけど、ダイナミックな絵柄で、ストーリーも舞台は、全く知らないアメリカ訴訟社会だし、僕としては自分の知らない海外の情報が知れて新鮮でした。日本では常識的なことや許されてることが、アメリカ社会では訴訟問題となりうるという、この文化の違いに驚き、また、人種のるつぼと言われるアメリカ社会での、人々の生活様式からビジネス界の内容まで、新鮮な情報として受け止めて面白かった(“ビジネス界の内容”というほど詳しく網羅されてる訳でもないけど)。
そういえば僕は講談社系の青年コミック誌を定期購読したことがないんですね。僕が青年コミック誌を読み始めたのってだいたい20歳の頃からですが、当時から小学館・双葉社・秋田書店・少年画報社の青年コミック誌ばかりで、とりわけ小学館と双葉社の青年誌が多かったですね。講談社の青年誌のラインナップは、ヤングマガジン・モーニング・イブニングなどですが、ときどき買って読むことや、洋食屋やラーメン屋などの食堂や喫茶店などに入って飯のついでに読むことはあっても、続けて買って読むことはなかったですね。コミックス単行本は別ですけど。
まぁ僕は、社会人になってからは、漫画本を読むのが最大の趣味みたいなもんだったから、講談社の雑誌に連載されてコミックス単行本になった漫画は、面白い作品は積極的に購入して読んでましたから、講談社の青年誌連載の漫画もコミックスでけっこう読んでる訳ですが。あ、そうだ。月刊アフタヌーンは何回か購読してますね。アフタヌーンには、「ガンスミスキャッツ」や「砲神エグザクソン」、「寄生獣」や「ああ、女神様」とか、真刈信二氏原作になる「勇午」とか載ってましたからね。キムタク主演の時代劇で2017年4月公開のGW 映画「無限の住人」も、原作劇画はアフタヌーン掲載ですね。
「オフィス北極星」はハリウッド映画を見てるような雰囲気がありましたね。アメリカ訴訟社会というものを知りたいという知的好奇心もあって、けっこう面白く読んでた。主人公のゴーも個性豊かな主役だけど、脇に出て来るアメリカ人たちが白人や移民出身の人たちなど、日本人とは違う、日本人に比べると突き抜けて個性豊かな登場人物が多く、勿論普通に常識的な登場人物も居る訳だけど、ドラマの雰囲気が日本舞台で日本人ばかりの登場人物の物語に比べて、お話を真面目に描いていてもダイナミックでユーモラスで、漫画の内容が新鮮で面白かったですね。
漫画が面白かったから「オフィス北極星」全10巻読んだんでしょうが、当時、読んでたときは物語の世界に憧れもあったんでしょうね。アメリカ大都会の厳しいビジネス社会で有能に活躍するカッコ良い主人公への憧れ。英語がペラペラ喋れてアメリカ現地の社会でビジネスのやり取りができる、というカッコ良さ。人種のるつぼのアメリカ社会で、白人も移民も、明るく陽気でアクティブで、お互い自己主張し合いながらもユーモアで摩擦をかわして交渉を進める、ホットな社会で力強く生きる人々と熱く交流して行く、有能で明るく面白い主人公のキャラクターとその活躍への憧れ。
内気で心配症で人見知りが強くて引っ込み思案で神経質で、人に気を遣い過ぎて、発達障害みたく物忘れなどイロイロ欠点を持ち、無能で頭の悪い僕としては、現実には、アメリカ社会で生きて行くなんて先ず絶対無理で、アメリカの大都会の厳しいビジネス社会で余裕でユーモアたっぷりに明るく生きて、ときにビジネス戦線で果敢に戦って行く主人公への、「ああ~、俺もこんなふうにアクティブに活躍して生きてみたいなぁ」という憧れで読んでたのでしょう。面白い漫画は、漫画の世界観への憧れ、というので読むというのも大いにありますね。
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