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ウルトラQ-キュー-(60年代特撮&漫画)

 早川書房が1959年12月から発刊し続ける歴史ある日本のSF専門誌、「SFマガジン」2015年1月号は特集メイン記事を「円谷プロダクション×SFマガジン」として、円谷特撮の歴史そのものの特集でした。円谷特撮の歴史の紹介、円谷特撮に関する昔の記事の再録や円谷特撮に関するエッセイ、そして現代日本SF作家陣に寄る円谷特撮に対するオマージュ作品の短編小説。

 このSFマガジンのグラビア後の巻頭に、現代SF作家に寄る円谷特撮へのオマージュ短編小説が何篇か続きました。そのSF短編の最初の作品が“初代ウルトラマン”放送の第八回「怪獣無法地帯」のお話をベースにして、「ウルトラQ」のヒロイン、江戸川由利子を主人公に持って来たSF掌編、円谷TV特撮最初期の「ウルトラQ」「ウルトラマン」への、日本現代SFを代表する作家の一人、山本弘氏のオマージュ作品です。

 小説のタイトルは「多々良島ふたたび」、“初代ウルトラマン”第八話「怪獣無法地帯」で五大怪獣が大暴れする多々良島は、気象庁の観測所しかない、ほとんど無人の火山島。そこに調査隊の船に密航した、「ウルトラQ」のヒロインの女性カメラマン、江戸川由利子が 調査隊の面々と共に訪れる…。というところからお話が始まる掌編な訳です。

 僕が、漫画版の「ウルトラQ」を初めて読んだのは、当時の月刊児童漫画雑誌「少年ブック」1966年5月号の本誌読みきり掲載でだ。作画は川崎のぼる氏でお話はTV放映本編「ウルトラQ」の66年4月19日放送分、「ガラモンの逆襲」のコミカライズ。登場怪獣は宇宙怪獣ガラモン。ガラモンは怪獣というよりも宇宙人の作ったロボットなのかな?漫画版の第一作は中城けんたろう氏の作画で、「少年ブック」の66年春休み大増刊号に掲載されたようですね。

 僕の少年時代、戦後何年かの内に創刊された月刊の児童漫画雑誌は六誌あって、創刊間もなくは少年向けの記事や小説、絵物語がメインだったのですが、じょじょに漫画の掲載が増えて行き、昭和30年代には完全に漫画主体の編集になりました。昭和40年頃までは、少年雑誌にも少年向けの小説が掲載されていた。「ウルトラQ」も児童向け小説版が講談社の月刊誌「ぼくら」に連載されていた。

 月刊誌「ぼくら」掲載分の小説版「ウルトラQ」の連載期間は65年3月号から66年7月号までとなっていますね。僕は小学生当時「ぼくら」をほとんど毎月購読してたから、この「ウルトラQ」の小説版は記憶してます。ただ、デキの悪い子供だった僕は、絵物語ふうに挿絵イラストの多い連載とはいえ、活字ばかりの物語は苦手で読まなかったから、毎月この連載を見てはいても読んではいなかった。活字の少ない漫画だったら読むんだけど、馬鹿ガキだった僕は子供時分、小説は全く読まなかった。絵物語でもどうにか読むか読まないかくらいのものだった。だから小説版「ウルトラQ」はイラストは見てるんだけど物語は読んでないですね。

 僕は子供時代、6歳から11歳くらいまで近所の貸本屋に毎日通ってたんですが、多分66年の初夏頃だと思う、この貸本屋が店じまいした。僕は毎月の少年月刊誌六誌の四誌くらいをこの貸本屋から借りて来て読んでいた。「少年ブック」も毎月この貸本屋から借りて来てた。ところが貸本屋は閉店してしまった。僕が小学生時代購読してたのはだいたい「少年」か「ぼくら」かときどき「まんが王」だ。

 川崎のぼる氏作画の「ウルトラQ」の掲載された66年5月号の「少年ブック」をどうして僕が読んだのかというと、まぁ、僕がその「少年ブック」を購入したからだけど、多分、当時の少年月刊四誌の発売が毎月六日で、調度四月の半ば頃に小遣いが入り、本屋に漫画本買いに行ったら「少年ブック」がたった一冊しか残ってなくて、普段は買わない「少年ブック」を買って帰ったんだと思う。ということは66年の4月にはもう近所の貸本屋は閉店してたのかな?

 川崎のぼる氏コミカライズの「ガラモンの逆襲」の巻は、ほとんどTV ドラマに忠実にストーリーを追って描いていたと思う。TV ドラマ「ガラダマ」の物語の続きのお話で、「ガラダマ」で描かれたガラモン操縦の宇宙人の電子頭脳の小さいガラダマ=人間が抱えるくらいの大きさのゴツゴツ岩石状の物体、を謎の覆面男が保管されてある施設の金庫から盗み出し、携帯電話くらいの大きさの操縦器で操って持って行ってしまう。そしてヒッチハイクを続けて多分、群馬県の山中のとある湖までガラダマ操縦器を持って行く。

 

 一方、無数のガラダマ本体が宇宙からやって来て日本中に落下し、ガラダマが割れてロボット怪獣ガラモンが現れる。都市に落下したガラダマから現れたガラモンはビルや高速道路を破壊して回る。日本中でガラモンが暴れて破壊行動をして日本の危機が訪れる。ガラダマを盗んだ謎の男を追い掛ける主人公たちは、山中の湖の傍で電子頭脳ガラダマを奪い取ることに成功する。謎の男は湖の岸辺で正体を現す。男の正体は宇宙人=セミ人間だった。湖の中央から現れた円盤はミッションを失敗したセミ人間を怪光線で始末する。円盤は飛び去って宇宙へ帰って行った。日本中を破壊していたガラモンは停止し、口から液体を吐き出しながら動かなくなった。宇宙人の侵略活動は失敗して地球危機の大事件は解決し物語は終わる。

 「少年ブック」の66年例月号連載や別冊分掲載の中城けんたろう氏作画の「ウルトラQ」はその後コミックス化され、2000年代に入ってマンガショップから復刻版が出ましたが、この川崎のぼるの描いた読み切り一作だけは、その後コミックスなどに収録されることはありませんでした。多分、未だにこの分の再録は一度もされてないと思います。

 僕は記憶してないんだけど、集英社から66年に「少年ブックコミックス“ウルトラQ”」という、これは「少年ブック」の別冊版になるんでしょうね、B5雑誌タイプの「ウルトラQ」特集本が出版されているようですね。僕はこの本を読んだ記憶はありません。この雑誌に収録されている「ウルトラQ」の各エピソードは全部、中城けんたろう氏作画のようです。「少年ブックコミックス“ウルトラQ”」という雑誌は66年に6月号・7月号・8月号と三回出版されていて、収録の「ウルトラQ」作品は中城けんたろう氏が各号二話づつ描いているようです。

 

 「ウルトラQ」の放映は「ウルトラマン」の前番組だから、「ウルトラマン」の放送は1966年7月から始まったから、単純に「ウルトラQ」は1965年に放送が始まった番組と勘違いしてた。調べると「ウルトラQ」の初回放送は1966年1月2日なんですね。何か単純に「ウルトラマン」と「ウルトラQ」の間には3ヶ月くらいの間が開いてたように思ってた。「ウルトラQ」の最終回の放送が1966年7月3日で、本当はその翌週から新番組の「ウルトラマン」が始まる筈だった。それが初回放送が間に合わなくて「ウルトラマン」第一回は翌々週の66年7月17日の放映だった。「ウルトラQ」と「ウルトラマン」の間の週は、特別番組で「ウルトラマン前夜祭~ウルトラマンの誕生」というタイトルの舞台イベントの中継録画が放送された。これは会場に子供たち主体の大勢の観客が集まっていて、舞台に「ウルトラマン」の登場人物たちが出て来て紹介や寸劇、舞台挨拶を行うというイベントだった。途中「ウルトラマン」本編の映像などを交えて、翌週から始まる新番組「ウルトラマン」の内容紹介する宣伝イベントだった。舞台に科学特捜隊の隊員役の俳優やウルトラマンや二種類の怪獣の着ぐるみが登壇して寸劇などを行っていたと思う。

  ここの記事文頭でタイトル紹介した「ウルトラマン」「ウルトラQ」オマージュのSF短編「多々良島ふたたび」の作者である、山本弘先生は日本の現代SFを代表する作家の一人でありますが、この記事を書いている普通一般人トーシローの僕は同世代になります。僕なんかが同世代と並べて語るのも超おこがましいし、畏れ多いと恐縮するものですが、同じ子供時代を生きて「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」などのTV特撮で、幼少期から少年時代にSFの洗礼を受けたのだと思います。

 「ウルトラQ」を子供時代に強い影響を受けたTV番組だと語る、だいたい僕と同世代から前後の著名人も多く、俳優の佐野史郎さんやミステリ作家の綾辻行人さんなどが、番組やエッセイなどで語っています。綾辻行人さんなどは、幼少時に見たケムール人が怖くて怖くてトラウマになったと書いてました。生まれた年から計算すると「ウルトラQ」放映時は六歳くらいですもんね。

  僕には小学生当時、近所に幼馴染みの二人の友達が居て、クラスは違うが同学年で学業成績優秀なMM 君とFT 君なのだが、彼らは劣等生の僕とよく一緒に遊んでくれて、よくFT 君の家にお邪魔した。僕の家やMM 君の家よりFT 君の家に集まることが多かったように思う。

 ひと頃は毎日のように僕とMM 君·FT 君、二人の各々の弟と一緒に遊んでいた。彼らの弟やMM 君の従兄弟も僕らの二コか三コ下で同級生だった。

 僕はものごころ着いた幼少時からTV 番組の勧善懲悪ヒーローものが大好きで、超人的な覆面ヒーローに大いに憧れていた。僕の10歳11歳当時に「ウルトラQ」「ウルトラマン」の放映があった訳だが、僕は怪奇SF でダークファンタジー風味の、大人の鑑賞にも堪えうるような内容の「ウルトラQ」よりも、変身巨人ヒーローの「ウルトラマン」の方が何倍も好きだった。僕は幼稚だったのだ。僕は少年時代ずうっと幼稚だった。

 「ウルトラQ」の放映が終わって、ひき続き「ウルトラマン」の放送が始まったばかりの頃のある時、FT 君の家にみんなで集まっていて、僕は、変身巨人ヒーローという新たな特撮ヒーローものの「ウルトラマン」に興奮していて、「ウルトラマン」の番組が如何に凄いかという僕のワクワク感を、多分熱く語っていて、MM 君FT 君からヒキぎみというかちょっと馬鹿にされた感じで話を聞かれていて、何かこの時FT 君に「ウルトラマン」の内容が如何に幼稚で、ダークファンタジーSF の「ウルトラQ」の方が如何に内容のレベルが高くて面白いか、と諭されたという思い出がある。

 まぁ何でもない僕の昔々の思い出エピソードだが、「ウルトラQ」というとこのエピソードを思い出す。MM 君FT 君共に一学期のクラス委員に選ばれるような成績優秀な、利発な子供で、僕だけがクラスで後ろから指折り数えて幾つかの劣等生で、考えてみれば僕の小学校のクラス内での遊び友達は、当時の友達には失礼だが同じようなあんまり学業成績のよろしくない子供が多かった。どういう訳か家の近所の遊び友達は、MM 君FT 君という優等生たちだった。

「少年マガジン」「ぼくら」「たのしい幼稚園」オリジナル復刻版 ウルトラQ画報 コミックス – 円谷プロダクション  (監修), 講談社 (編集)

ウルトラQ彩色版 (単行本コミックス) コミックス – 藤原カムイ STUDIO 2B (著), 円谷プロダクション (監修)

昭和のテレビコミック・ウルトラQ(上) (マンガショップシリーズ) (マンガショップシリーズ 433) コミックス – 中城健太郎 (著), 円谷プロダクション (著)

昭和のテレビコミック・ウルトラQ(下)(完) (マンガショップシリーズ) (マンガショップシリーズ 434) コミックス – 古城武司 (著), 円谷プロダクション (著)

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