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●漫画・・ 「ゼロ戦レッド」

 貝塚ひろし先生の戦記漫画「ゼロ戦レッド」は、昭和の月刊児童誌「冒険王」の1961年7月号から連載が始まり、66年4月号まで長期連載が続きました。太平洋戦争末期を舞台とした、当時の戦闘機空中戦アクション漫画です。主人公たち、わずか六名個別部隊が、孤島の滝の裏側に秘密基地を作り、表側を赤色、裏側を青色に塗装した独自のゼロ戦に乗って、グラマンなど敵米軍の戦闘機と空中戦を戦う、熱血感動戦記漫画ですね。

 僕が秋田書店の月刊誌「冒険王」を読み始めたのは、多分、63年初頭からですから、「ゼロ戦レッド」はよく憶えてます。「ゼロ戦レッド」は当時の「冒険王」の看板漫画で、毎号、巻頭カラー掲載で毎回、別冊ふろくへと続きました。この当時の「冒険王」は、表紙をめくって最初の巻頭カラー漫画が貝塚ひろし先生の「ゼロ戦レッド」、次の二番手掲載のカラー漫画が関谷ひさし先生の「ジャジャ馬くん」でした。少年野球漫画「ジャジャ馬くん」は後半に入ってからタイトルを「ジャジャ馬球団」に変えて、内容も、ちょっと変わります。「ジャジャ馬くん」も、本誌から別冊付録へと続くスタイルの人気連載でしたね。

 「ゼロ戦レッド」の連載開始が、61年だったとは知りませんでした。だから、僕が「冒険王」誌上で「ゼロ戦レッド」を目にしたときには、内容は既に物語がかなり進んでからだったんですね。正直言うと僕は、当時の「冒険王」では、実は「ゼロ戦レッド」はあんまり良く読んではいません。子供の頃の僕は戦争漫画が嫌いで、この当時の児童漫画誌では人気があり、だいたいどの児童漫画誌にも掲載されてた、当時の戦争(戦記)漫画はあんまり読まなかった。しかし、当然といえば当然なのかも知れませんが、僕はこの時代の、「小学三年生」とか「たのしい一年生」とかの学年誌では、戦争漫画は見たことがありません。小学生読者対象の児童漫画誌では人気があっても、出版社の倫理観として、学年誌に戦争漫画を載せるのはちょっと違うだろ、という判断なんでしょうね。当時の戦争漫画は、「少年画報」や「少年マガジン」には当たり前に掲載されてたんだけど。

 漫画超大好きな小学生だった僕は、この時代、漫画雑誌は月に何冊か購読してましたが、漫画の大部分は当時、家の近所にあった貸本屋さんで借りて読んでました。僕が貸本屋に通っていたのは、小一から小五までの四年半くらいですかね。当時の主な少年月刊誌は五誌ありまして、その中の「ぼくら」や「まんが王」や「少年」などは本屋で購読することが多くて、この時代、「冒険王」は貸本屋で借りて来て読んでた。当時の貸本は基本一泊二日ですから、「ぼくら」や「少年」の掲載漫画は何度でも読み返せたが、他の「冒険王」などに掲載された漫画は一晩一回こっきり読むだけだから、後々それ程は記憶に残らない。細部まで細かく覚えてない、という意味ですけど。

 僕が「冒険王」を本屋で購読するのは、中学生になってからですね。当時の「冒険王」の看板漫画の「夕やけ番長」と「虹をよぶ拳」が読みたくて読みたくてたまらなくて、貧乏でろくに小遣いもない中、毎月買って来て「冒険王」読んでました。

 僕が戦争漫画、60年代に当時の少年誌各誌に掲載された、太平洋戦争が舞台の、主にゼロ戦の対米戦闘機空中戦の戦記漫画ですが、まあ、中には「紫電改のタカ」みたいなゼロ戦じゃない戦争漫画もありましたけど(『大空のちかい』は“隼”か)、当時の僕は戦争漫画好きでなかったから、僕が少年誌の戦争漫画を面白く読み始めたのは、68年から週刊少年サンデーに連載された「あかつき戦闘隊」からですね。だいたい小学生時代の僕は、正義のロボットと悪のロボットが戦うロボット同士バトル漫画は大好きだったけど、例えば小沢さとる先生の「サブマリン707」みたいな、舞台が第二次世界大戦時ではなくて、当時の現代や近未来が舞台でも、戦争関係の漫画は好きではなかったなあ。「サブマリン707」とかは戦争というより、対大規模(犯罪・テロ・侵略)組織だったんだろうけど。

 2015年一年の後半の話題は、もうこれ一色と言っても過言ではないように、いわゆる改正安全保障法案、2015年5月に第三次安倍内閣が閣議決定して国会へ上程した、平和安全法制に関係するニュース、ムーブメントで持ちきりでしたね。2015年一年には勿論、地域的な大きな自然災害や、現代社会が抱える問題に起因する事件など(傾きマンション基礎手抜き工事問題もありました)、重大なニュースもいっぱいあった訳ですけど。反対派が“戦争法案”と呼んだ、平和安全法制は結果、2015年9月に国会で成立した訳ですが、この「安保法案」に関する一連の動向は、2015年の新語流行語大賞のノミネート選50の中にも、幾つかランクインしてました。大賞は逃しましたが、国民の動向としてはこの一年で一番、大きくて重要な事柄・ニュースだったのではないでしょうか。今も続く、反安保法デモですが、夏場の国会前のデモは毎日、日夜凄かったですね。夏場の一時期は、デモの参加人数が何万人と言われました。このムーブメントは東京の国会前や繁華街のみでなく、地方都市でも行われて大きなニュースとなりました。

 安倍政権が2015年9月に国会で可決して成立した、平和安全法制に対して、安倍政権が国会に法案を提出した五月から、反対運動を行い続けていた、時の有志の大学生や若者を中心とした政治行動グループ、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)の代表者の学生や、他メンバーの若者がtwitter で呟いた事柄、日本の太平洋戦争末期に旧日本軍が敢行した戦法、いわゆる「特攻」に対して、「戦争や日本の未来なんかに一ミリも関係のない無駄死にだらけだった」という内容の、SEALDs代表者のツイートと、他メンバーの賛同ツイートが物議をかもし、ネットの反SEALDs思想サイドの意見や、太平洋戦争で戦死された方々を英霊と崇めて思う人々や、いわゆる右派の考えの人たちの意見、この方たちの多くの反発意見が爆発して炎上状態になり、この時、世間で話題になりましたが、特にネットで炎上事案として盛り上がった訳ですが、僕が今回、Kenの漫画読み日記。のタイトルに「ゼロ戦レッド」を取り上げたのは、実は、このSEALDsの「特攻」否定ツイートの内容から、「ゼロ戦レッド」を思い起こしたからです。それと、12月にアップする漫画記事として、1941年12月8日が太平洋戦争の開戦日であるから、戦争を舞台や題材にした漫画をと、戦記漫画「ゼロ戦レッド」にしました。まあ、12月8日といえば、今となっては世界の平和の象徴となった、ジョン・レノンの命日でもある訳ですが。

 「ゼロ戦レッド」の主人公たち、少年飛行兵六名は、軍の新たな作戦である“特攻”の命令を受けるが、飛行機で飛んで行って敵艦にそのまま飛行機ごとぶち当たり、勿論、乗務兵も死んでしまうが、敵の軍艦にも大きな打撃を与える、という戦法“特攻”作戦を否定し、命令を拒否する。そして在籍する日本軍基地からゼロ戦ごと、主人公以下六名で逃亡し、孤島に自分たちの基地を作り、自分たちだけは、特攻という戦法で一回飛んで行っただけで死ぬことはせずに、何処までも生き延びて、敵軍とは、自分たちだけの作戦で個別に戦う、という日本軍軍規や作戦を離れて、自分たち独自の戦法を取る、という内容の漫画です。自分たちで名告ったのか、敵軍がそう呼んだのか、ゼロ戦レッドの六名は、この当時の、いわゆる鬼畜米英の戦艦や戦闘機と敵対して戦うことは同じですが、旧日本国軍の軍規に叛いて個別行動に出てる訳です。

 漫画上のお話ですが、独自のチームである“ゼロ戦レッド”部隊は、メンバーが超優秀で、日本軍パイロットが一人一人、敵軍艦に飛行機ごと体当たりするよりも、はるかに戦果を上げる訳ですが、でも、日本軍の軍規に叛いて命令違反だし、軍法会議で最も重い罪で処罰されるような内容でしょう。「特攻」作戦は、一度の出撃で飛行機が操縦できるパイロットも、一回で失えば、貴重な飛行機も一回で失ってしまう。それに引き換え、もし優秀なパイロットが居るんなら、何度でも出撃して、その都度戦った方が良いに決まってる。でも「特攻」は戦局の最終場面の、いわばヤケクソみたいな戦法ですよね。「特攻」なんかやってて戦争に勝てる訳がない。太平洋戦争の終盤、兵器を作る材料も無ければ、燃料も無いし、弾薬を作る材料も無かったでしょう。軍人・兵隊はおろか、本土の国民も疲弊しきった状態で、「特攻」は最後の最後の作戦ですよね。絶滅作戦みたいなもんでしょう。当時の軍部中枢の司令部首脳部は、「特攻」を何度も何度も続けて行く内に、勝機が掴めるとか思ったんでしょうか?まさか、ね。「特攻」は自滅作戦でしかない。

 貝塚ひろし先生も、日本の戦争の終戦(敗戦)から16年経った時点での、自分の戦争漫画で、よくこういう発想で漫画作品を構成しましたね。「特攻」を拒否して日本軍基地を逃亡し、敵は同じ米英連合国軍だけど、自分たち独自の戦い方で、とにかく生きて、生き延びて戦う、先ず生きることを優先して、敵と戦うやり方で、日本軍司令部に支配されずに、英米軍を攻撃してダメージを与えて行く、なんて戦法。凄いな、と感激しました。これは正しく戦後の発想ですよね。日本軍の基本精神は、「生きて虜囚の辱を受けず、死して罪過の汚名を残すことなかれ‥」ですからね。いわゆる“戦陣訓”というものですね。「自決」も「特攻」も、この精神から出て来たのかなあ。敵の捕虜になるくらいなら自決せよ、でしょうからね。敗戦間近の沖縄での集団自決とか、南洋の前線で敗色濃厚なときに、日本兵に、捕虜になるくらいなら自決せよ、と軍本部は命令した訳ですからね。兵士の場合は“玉砕”ですね。

 そこから考えるとこの「ゼロ戦レッド」の、とにかく生きれるだけ生き延びる、という考え方は良いですね。今から考えると素晴らしい。でも、この考え方で居ると、当時の軍では懲罰ものでしょう。とにかく生きて生き延びて‥、なんて言おうものなら、エライこと殴り叩かれ蹴られ痛め付けられて、懲罰房入りですね。間違いない。当時の基本的な考え方は、お国のために死ぬ、でしょうからね。戦争負けて、民主主義がやって来て良かったな。こんなこと書いてると、「貴様、何を言う。おまえそれでも日本人か!」という批判コメントが来そうで怖いけど。

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 1960年代の貝塚ひろし先生の作品には、戦記漫画もけっこう多い。「ゼロ戦レッド」の連載終了が66年春ですが、その後、週刊少年キング誌上で、67年初夏頃から「ゼロ戦行進曲」の連載を始める。「ゼロ戦行進曲」もやはり太平洋戦争末期が舞台ですが、このお話は最初の日本軍内での、戦闘機パイロット訓練から描かれている。主人公たち少年兵は海軍のエリート訓練兵で、日夜、パイロットの特訓を受ける。そしてエリート戦闘機特殊部隊の一員として、日本国本土を焼き尽くしに迫って来るアメリカの大型爆撃機B-29などに対抗し、本土防衛の任務にあたる。また、こっちのストーリーでは、主人公たちは「特攻」の隊員ではなく、特攻作戦の成功のために、特攻機が目当ての敵艦にぶち当たれるように、特攻機を援護して、特攻機の周囲でグラマンなど敵機と戦う。まあ、非情というか、ひどい話ですね。エリート特殊部隊パイロットはあくまで生きて、特攻機の成功のために、特攻機カウンターで飛んで来る敵機を、特攻機の邪魔させないために空中戦で戦う訳ですから。特攻機の隊員は初めから死ぬために飛行機に乗っている。成功即ち死、な訳だし。隊員をスムースに成功して死なせて上げるために、主人公たちは特攻機を守って敵機と戦う。いや~、ひどい話だ。けれど、これが戦争なんでしょうね。戦争とは即ち死ぬことだ、と言えるような極限事態ですね。戦争は怖いし、嫌だなあ。戦争状況下になんか、絶対入りたくない。殺すのも殺されるのも嫌だ。戦時下で、戦闘機に乗ってても、戦車に乗ってても、軍艦に乗ってても、前線で銃器構えてても、怖いだろうなあ‥。

 僕は「ゼロ戦行進曲」もよく憶えてます。前述したように、僕は戦争漫画はあんまり好きじゃなかったから、当時の人気戦記漫画、「ゼロ戦レッド」「ゼロ戦太郎」「ゼロ戦はやと」「大空のちかい」「紫電改のタカ」などは、少年誌で熱心に読んでない。小学校低中学年時の僕は、ほとんど読み飛ばしていたんじゃなかろうか。だから、「ゼロ戦行進曲」も漫画はよく知ってて憶えてますが、あんまり熱心には読んでないですね。「ゼロ戦行進曲」が少年キングに連載されてた、67年から68年というと、僕は小六から中一くらいの時代ですが、マガジン・サンデーに比べると、キングはそんなに毎週毎号読んでいた訳ではないので、あんまりよくは読んでないですね。「ゼロ戦行進曲」はその後、秋田書店サンデーコミックスからまとめたものが発刊されてるけど、それもどうだろう、多分読んでないか、読んでるけど、印象に残ってないか、という感じですね。その点、サンデーの「あかつき戦闘隊」はけっこう面白く読んでいた記憶がある。

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七十五羽の烏

 12月23日のTVのニュースで、22日に福島県下のさる町の公立高校周辺で多数のカラスの死骸が見つかり、その死骸を解剖したが、24日現在死亡原因が解らず、鳥インフルエンザ検査も陰性であったとの報道があった。原因不明のカラスの死骸をカウントしたところ、その数は75羽だった。カラスの数が調度75羽だったということで、僕は往年の傑作エンターティンメント小説・量産作家、都筑道夫氏の本格推理小説の名作、「七十五羽の烏」を思い出した。

 

 「七十五羽の烏」を僕が読んだのって、僕が東京の会社に勤めていたサラリーマン時代で、まあ、その後も地方で勤め人だった訳だから、基本、ずっとサラリーマンを続けた訳だけど、東京中心で関東圏で生活した時代の、さる大企業の埼玉・熊谷営業所勤め時代に読んだ本ですね。僕の20代後半時代で、だから、正直、「七十五羽の烏」のストーリーはほとんど記憶していません。僕は基本、読んだ本の再読はしない人ですし、何しろ読んだのって何十年も昔の話ですから。

 

 でも、まあ、その小説がとても面白いミステリ小説だった、というのはよく覚えています。謎解き主体のいわゆる本格推理小説ですね。物語の舞台がど田舎で、地方の、いわゆる田舎の旧家とかそういう、昔ながらの田舎の由緒ある名家みたいな大きな田舎屋敷ですね。親族とか縁戚関係の繋がりが強くて、けっこう莫大な財産を持った大きな家と複雑な親族。一番解りやすい例は、横溝正史の「犬神家の一族」みたいな、おどろおどろな世界観の舞台かな。名探偵・金田一耕助が活躍するシリーズの世界観で、「七十五羽の烏」他、都筑道夫先生のこのシリーズは割りとユーモア味も加味されているから、横溝・本格・金田一シリーズのパロディー要素もあるのかも知れません。

 

 ミステリ小説「七十五羽の烏」は、名探偵・物部太郎が謎解きして行く本格推理小説ですが、この物部太郎シリーズは全部で長編が三作続いていて、僕は当時の角川文庫で三作とも読んでます。読んだのは、多分、1981~3年頃ですね。けっこう好きな物語世界でした。面白かった。正体不明の連続殺人の怖さと、ところどころ味付けされたユーモア感。探偵・物部太郎がエライ怠け者で、とにかく凝っと寝転がってて動かないような大変なモノグサで、別名モノグサ太郎と異名を取る名探偵です。だが、もの凄く頭が良くて、ひとたび興味を持てば頭脳フル回転で謎を解いて行く‥、みたいな探偵キャラですね。このモノグサ太郎を動かすのが、ワトソン役の、名前忘れた、もう一人、シリーズレギュラーの登場人物が居て、この人は都筑道夫の他のミステリ小説にも探偵役で出てるんだけど、名前忘れた。このワトソン役さんが何とか、物部太郎の重い腰を上げさせて、難事件場所へ連れて行く。放っとくと物部太郎はすぐに横になって怠けるので、太郎の尻を叩いて、何とかモノグサ探偵を動かしながらも、事件解決に向かわせる。そういう、探偵コンビ設定の謎解きミステリですね。

 

 都筑道夫先生は、僕の生まれた年に早川書房に入社し、エラリークインズ・ミステリマガジン初代編集長を務めた方で、出版社退社後はプロの作家になられ、その作風はミステリ小説主体ながらバラエティー性に富んでいて、ミステリなら、本格推理からユーモアもの、ハードボイルド、サスペンス、パロディーまで、そして、本人がエッセイの中で書いていた、「僕は日本で一番幽霊小説を書いた小説家と言われるような作家になりたい」というような、そういう一文のように、ホラー小説もいっぱい書いています。そしてまた、SF作品も多い。正に小説職人とでも呼びたくなるような作風です。エンタティンメント小説の分野だったら、何でもござれ、あらゆるジャンルを網羅している、と言っても過言でないような才人です。その他にも、評論やエッセイ集も書いているし。また、戦後昭和のまだモノクロ映像だった時代のTV黎明期の、スパイアクションドラマのストーリー作りの仕事もされています。正に、物語を作り文章を書く分野では、八面六臂の活躍をされた鬼才の方ですね。あ、そうだ、都筑道夫先生はあらゆるジャンルの小説を書いたけど、恋愛ものとかホームドラマみたいな作品はありませんね。パロディー風推理小説の登場人物たちのやり取りが、一見、ホームドラマ風とかならあるのかも知れない。最初の頃は漫画原作の仕事もやってるし、キャラ設定のミステリ小説もけっこう多いですね。物部太郎だって、キャラといえばキャラだし。

 

 件の、現実の、七十五羽の烏のニュースですが、その後、多分、烏の死骸の発見数も、もっと増えたんだろう、と思いますが、この文を書いている現在は「七十五羽の烏」とは言えず、ひょっとして百羽を越えてるのかも知れませんが、ネットなどでは、一部、死骸が見つかった場所の地域が地域なだけに、放射能と関連付けて考える書き込みもあったようです。この文章を書いている現在、まだ烏の死因は特定されておりません。福島のとある町の公立高校の周辺、という限られた地域での烏の大量死骸発見のニュースの、その烏の死因は、今のところ、解っておりません。しかし、放射能渦が原因なら、カラスみたいな大型の鳥に被害が及ぶ前に、もっと、雀のような野生の小鳥に兆候が出るでしょうし。小型の鳥類や、その前に、昆虫などのもっと小さな野生の生き物に。河川の魚類などにも。カラスの死よりも、そういう小型の生き物の方が先だと思います。さらには、海岸べりの海ですね。長期に渡って、あれだけ汚染水が漏れ出して海に溶け込んでいるのですから、陸地の生き物よりもまず先に、海に棲む生き物に兆候が出るでしょうからね。はっきりしたことは言えませんが、放射能渦はないんじゃないかなあ。野生のカラスが、毒になるような物を食べたか食べさせられたか。というのもあるけど、解剖の結果、カラスの消化器とかから毒物の痕跡は出て来なかったのか?イロイロと考えられますね。このカラスの大量死は今後も続くのか?とかね。国内のカラス被害の実態も、あちこち非常に多いですからね。カラス被害に、困り果てたり腹を立てたりした個人が、勝手にカラス駆除をした、なんてことも考えられないか(?)。でも実際、福島の原発事故被害地域とその周辺の、植物や昆虫や小型の鳥類などの検査はどうなってるんだろう?何か放射能被害の兆候が見られるんだろうか?多くの学者たちが調べてはいると思うんだけど、あれから四年と半年以上経つけど、どうだろう、何か少しでも異変が出ているのか?気にはなりますね。

 

 もうすっかり忘れていた「七十五羽の烏」の小説の内容ですが、ちょっとネットで調べてみたら、事件の発端は、平将門の娘・瀧夜叉姫の祟りで伯父が殺される、とかいう探偵依頼内容の事件に、サイキック・デティクティブ-心霊探偵を標榜する物部太郎が、名コンビで助手役の片岡直次郎に叱咤され、重い腰を上げさせられて、おどろどろな怪奇ムード全開の連続殺人事件に取り組む、というお話のようですね。このシリーズは全部で三作で、どれも文庫で分厚い長編小説です。「朱漆に血が滴る」も、お話の雰囲気は似た感じかな。「最長不倒距離」は地方の雪山のスキー場が舞台ですね。どれも抜群に面白く、物語世界を堪能できたことだけは、何十年も経った今でも、その感じだけはよく憶えてるつもりです。

 

 

 
 

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◆朱漆(うるし)の壁に血がしたたる 光文社文庫 [Kindle版]

 
 

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 25日朝のニュースでは、23日24日に同じく鏡石町の岩瀬農高周辺で、同じようなカラスの死骸が何羽も発見され、22日までに見つかったカラスの死骸75羽に数が追加され、この時点でのカラスの死骸の合計が85羽になっている。新たに発見された死骸に関しては、インフルエンザ検査は行われていない。初めの75羽分からは、県は国立環境研究所に検体を送り、遺伝子検査している。

 
 

 29日の新聞ニュースに、この時点で見つかったカラス死骸86羽で、何羽かの検査で消化器の内容物から農薬の成分が検出されたって、出ていたようですね。カラス死骸の近くにこの農薬成分と同じものが混入された油揚げが見つかったけど、カラスの胃からは油揚げは出て来てない、とかよく解らんみたいです。いづれにしろ、放射能や病原体ウイルスでなく、人間の仕業が濃厚な感じ。

 
 
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