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●漫画・・「でこちん」

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 山根あおおに氏作画のギャグ漫画、「でこちん」は、少年画報社の月刊児童誌「少年画報」に、1961年6月号から1969年8月号まで、長期に渡って連載が続きました。当時は、このジャンルは「ギャグ」という呼び名でなく、統一して「ゆかいまんが」と呼んでいました。このジャンルを、「ギャグ漫画」と呼ぶようになったのは、だいたい1965年か66年くらいからですね。僕が漫画を読み始めたのが、62年の終わりから63年初頭頃ですから、僕が初めて月刊誌「少年画報」を読んだ時には、連載漫画陣には既に「でこちん」がありました。

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 ブワアッと前に突き出て、異様に膨らんだ大きなおでこの主人公、でこちん。お父さんも、同じおでこにチョコッとバーコードで、鼻髭が生えている。妹は、普通に可愛らしい女の子の、ちびちん。友達は、ひょろりとのっぽの、“ほそちん” とぶくぶく横に太った “でぶちん”。この「ほそちん」と「でぶちん」は、学生服姿なんですよね。主人公でこちんはトレーナーか長袖Tシャツみたいのに短パン穿いて、小学生なんだけど、ほそちん・でぶちんは、学生帽まで被っててモロ中学生姿。他には、多分、でこちんと同級の小学生だろう、短気で喧嘩早い、「おこりちん」とか居ますね。妹の「ちびちん」は、小一か小二くらいか。

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 「でこちん」の作者、山根あおおにさんは、あの「のらくろ」で、戦前・戦中また終戦後昭和に一世を風靡した、田河水泡氏の内弟子だった漫画家さんですね。双子の兄弟で、弟さんの山根あかおにさんも同じく、田河水泡氏の弟子でした。僕は子供の頃、山根あかおにさん作画の「よたろうくん」が大好きでしたが、後々作品を見てみるに、山根あおおに氏の作画作品の方が、有名な漫画が多い気がする。山根あおおに氏の作品をざっと挙げると、「でこちん」の他に、「なるへそくん」や「おやじバンザイ」なんかがあるし、週刊少年キングに連載されてた「なるへそくん」は、アニメ化される予定だった作品ですね。結局アニメ化はならなかったのかな。「おやじバンザイ」も、週刊少年キング誌上で人気があったギャグ漫画で、けっこう長く連載が続いてましたね。「ゲテゲテ学園のズレタン」という漫画も記憶してるんだけど、何の雑誌の掲載かまでは憶えてない。弟さんの山根あかおにさんの方は、僕は「よたろうくん」以外、あんまり記憶に残ってないなあ。「でこちん」も、連載当初は山根青鬼・赤鬼兄弟共作ですが、直ぐに山根青鬼氏単独作画になった。1963年の週刊少年マガジンに連載された、「ヒッチのもへい」も、お二人の共作漫画ですね。ご兄弟とも、絵柄が非常によく似てますが、作風が若干違うようです。漫画評論の文なんか読むと、山根赤鬼氏は「ほのぼの」ゆかい漫画で、山根青鬼氏は「スラップスティック」系ギャグ漫画だと論じてますけど、僕には赤鬼先生の「よたろうくん」を、単純に“ほのぼの”とは思えないんだけどなあ。あの、僕が小学生時代時には大爆笑して楽しく読んだ、大好きだった「よたろうくん」が、評価が単純に“ほのぼの”だけとは思えない。だとしたら、「何だ!?」って突っ込まれそうですけど。大爆笑面白漫画。

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 正直言うと、小学生時代の僕は、それほど「でこちん」のファンでもなかった。勿論、月刊誌「少年画報」が手に入れば読んでいたけど、当時のギャグ漫画の中では、大好きな部類でもなかったなあ。月刊誌「ぼくら」の「よたろうくん」は大好きだったけど。1950年代後半から60年代前半の主流だったギャグ漫画カテゴリ、「生活ゆかい漫画」という意味では、「よたろうくん」の方が生活ゆかい漫画だったかなあ。「でこちん」の方が、舞台が抽象的、というとまた違うのかな、何て表現すればいいのか、単純にドタバタでもないし、“スラップスティック” 一言で表現できるんだろうか、まだまだ「生活ゆかい漫画」域だけど、現実的じゃないというのか、すぐに話がぶっとんじゃって、設定が地に足が着いてない的(場面変換で時々、等身大子供生活を超越する‥)な、かな。どーも表現しにくい。極端に言えば、赤塚不二夫氏の「おそ松くん」が登場する前段階か。「もーれつア太郎」の世界観の方が近いか。まあ、いいや。まあ、あの時代のギャグ漫画の中の、一つの形でしたね。益子かつみ氏の「快球X現る」とか「サイコロコロ助」とかが、見方に寄っては同じタイプのギャグ漫画とも言えなくもないか。ちょっと違うけど。「味」が全然違うけどね。でもまあ、この時代、「でこちん」は基本は、「生活ゆかい漫画」ですけど。

 山根青鬼先生には、僕は全然知らなかったんだけど、TVアニメ化された漫画作品で、「名探偵カゲマン」というのがあったんですね。2012年今現在御年77歳になられる、山根青鬼先生の、70年代~80年代に、小学館の「コロコロコミック」に長期連載されて人気を得た作品。どうしてかNHKでのTV化が2001年。あと、思い出すのは、僕が小学校低中学年時代の小学館学年誌にA6かB7大くらいの小さな誌面でけっこう分厚く、別冊付録で付いていた、なぞなぞ・とんち知識ゆかい漫画、「とん子なぞなぞ日記」。あの「とん子なぞなぞ日記」という漫画は、絵柄が間違いなく山根青鬼氏か山根赤鬼氏かのどちらかだと思うけど、タッチや内容的に山根青鬼氏の作画だったよーな気がする。あれもとても懐かしい。僕は6歳とか7歳とか8歳頃だ。

 あ、そーいえば中一の頃、同じクラスのK君が、他の友達から、アダナで「でこちん」と呼ばれてたな。K君は確かにおでこが目立った少年だった。多分、中二中三では他クラスで、僕自身はあんまり付き合いのない同級生だったけど。

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 少年画報社の月間児童誌「少年画報」の休刊(事実上の廃刊)が1971年ですが、児童誌王座に居た最盛期は、別冊付録10冊を誇った「少画」も、最末期には隔週刊(月二回刊)で、クラフト付録・別冊付録なし本誌のみ態勢でした。1961年に始まった「でこちん」は、「少年画報」の月刊誌としての最終刊である、69年の8月号まで連載が続きました。実に足掛け9年の長期連載ですね。少年画報社のコミックス単行本は60年代末頃から、ヒットコミックスとキングコミックスが刊行されましたけど、「でこちん」は当時、キングコミックスから出てるみたいですね。何巻まで出たのか、済みません、僕には解りませんが、多分、多くても2、3巻くらいで、寄り抜きの選集スタイルでしょう。復刻版は、1989年の当時のペップ出版の「ペップおもしろ漫画ランド全10巻」の第6巻、1冊本で刊行されてますね。この本には講談社の月間少女雑誌「少女クラブ」に連載された、山根青鬼氏の連載デビュー作にてヒット作、「めだかちゃん」が1作8ページのみ巻末収録されています。

◆(2010-05/22)漫画・・ 「ヒッチのもへい」

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●漫画・・ 「AMMO 弾 -アモウ- 」..(2)

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 神奈川県警羽羅磯署の若き女刑事、天羽弾(アモウハズミ)はタフでハードボイルドで、拳銃バンバン撃ちまくり、型破り過ぎる捜査で常に上官に疎んぜられる、ナイスバディーなセクシー美女。肉弾戦でもエッチな面でも、身体を張って凶悪犯どもに立ち向かう、女ダーティーハリー。公園の公衆便所で情報屋の男に、脱いだばかりのパンティーを報酬に犯罪の情報を得ようとしたところを、逆に網を張っていた凶悪犯に情報屋ともども銃弾を撃ち込まれ、重症を負った女刑事・天羽弾。ハズミを撃って病院送りにした凶悪犯は、連続婦女銃殺魔で、女性ばかりを狙い銃撃しトドメは女性局部をショットガンで撃ち抜くという、銃撃版切り裂きジャック的変態シリアルキラー。手負いのハズミの反撃に逃走した殺人魔は、入院したハズミにトドメを刺すべく、医師に変装して病室のハズミを再び襲撃する。病室の中でピストルを撃ち合い、格闘し組み合った態勢のまま窓から落下、病院前で待機するパトカーの屋根に落ちる。重症のハズミを人質に取った凶悪犯は、自動車を奪って逃走、自分のアジトへ連れて行き、傷の深いハズミを全裸のまま、ベッドに寝かせ四方を鎖で繋ぐ。絶体絶命のハズミ。

 変態凶悪犯は、素っ裸で拘束された天羽弾の身体を愛撫し、銃創をいたぶり苦しめる。苦痛に悶えるハズミだったがどうすることも出来ずに、ついに強姦されてしまう。僕も、このアクション劇画「AMMO-弾-」を読むまでには、エロ系アクション劇画も数多読んで来ているのですが、主人公や主人公の恋人という美女ヒロインは敵の悪鬼に裸に剥かれるとこまでは行き、あわや陵辱の極めまで‥、というところで間一髪、助かり強姦されるのだけは何とか回避出来るエピソードが多いのですけど、この劇画では、主人公のナイスバディー美女ヒロイン、ハズミが、その、最後の挿入までされてしまうんですね。で、まあ、そこで、ヤルとこまでヤッて油断した変態魔の隙を突いて、拘束を逃れることに成功したハズミが反撃に出る。狭い地下室内での互いの銃撃戦の末、ハズミは敵の憎き局所、要するに凶悪なオチ×チンを銃弾で打ち抜き、反撃不能まで追い込んで勝利して、地下室を素っ裸でライフル抱えて脱出する‥。というのが第1巻第一話のお話です。

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 第二話からは麻薬等違法薬物を扱う組織が敵対相手で、ここでもエッチなシーン、ファックシーンなど過激エロ描写ふんだんで、また、主役のセクシー女刑事ハズミのナイスバディーや盛り上がるデカチチ(胸部)が、コスチューム着けてても、裸かと見紛うようなセクシーファッションで強調して描き込まれています。第二話以降も、犯罪組織や凶悪犯を相手に身体を張って肉弾戦で立ち向かい、時には性的媚薬系麻薬までも打ち込まれ自失し、ふらふらになりながらも拳銃バンバン撃ちまくって凶悪犯罪者どもを退治して行く、天羽弾は魅力的スーパーヒロインです。

 作者の山本貴嗣さんは、あの、小池一夫劇画村塾の第一期生なんですねえ。だから高橋留美子さんや狩撫麻礼氏などとは、村塾の同窓生になりますね。山本貴嗣さんというと、絵柄は全然違うんですが最初は僕は、よく、中央大学の漫研で仲間だったという山田貴敏さんと混同してました。この「AMMO-弾-」第1巻を購入したのは、多分、2000年頃ですが実は僕が、近所の本屋で山本貴嗣さんの作画の漫画単行本を探していたのは、雑誌の漫画批評のコラムか何かの雑文で、山本貴嗣氏の作品の評価として、中国拳法など古来の伝統的武術に造詣が深く、またその格闘シーン描写に長けている、ということだったので、当時はまだ僕が身体を悪くする前で、僕が武術・格闘技オタクだった時代だったから、そういうジャンルの興味で山本貴嗣作品を捜していたら、近所の本屋さん三件くらいを回って、「AMMO-弾-」だけしかなかった。それで第1巻を買って読んだんですね。まあ、本屋さんで注文して取り寄せて貰う手もあったんだけど、結局、山本貴嗣の武術・格闘漫画作品は読まないづくで終わりました。済みません。

 でも、山本貴嗣さんの絵柄は好きです。異論はあるかも知れませんが、何だか、80年代から90年代の細野不二彦さんや三山のぼるさんの絵柄と似ていて。この三作家とも、僕は絵柄が好きなんですね。特に三先生の描かれる美女や美少女ヒロインの絵柄。大好きです。園田健一さんとも似てるかな。そういえば、僕は、96年の「このミステリがすごい」と「週刊文春ミステリベスト」で共に第1位に輝き、第18回吉川英治文学新人賞を取った、馳星周氏の小説デビュー作「不夜城」の、山本貴嗣さん作画コミカライズのコミックス単行本を読んでたな。原作小説は買って来たのに、結局読まず終い。

※ (2012-09/16) 「AMMO 弾 -アモウ- 」 ..(1)

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