goo

●映画&小説・・ 「ゼロの焦点」..(2)

Photo

 記事巻頭(冒頭)の画像写真は、2009年公開の映画版「ゼロの焦点」の1シーンの画像です。中谷美紀さんも広末涼子さんも綺麗な女優さんですね。「ゼロの焦点」..(1)というタイトルの前回記事の続きの今回記事の「ゼロの焦点」..(2)なんですが、何故か続編(2)は、この間、というか先月11月26、27日に二夜連続で放送されたフジ系のスペシャルドラマ「球形の荒野」についての話から始まります。という訳で‥。

 フジTV系列で11月下旬に二夜連続放映されたスペシャルドラマ「球形の荒野」は、ドラマ全編は見ませんでしたが、他番組とチャンネルを切り替えつつ見まして、後半、二夜目ですね、は、物語終わりまでのクライマックス1時間は多分、ほとんど鑑賞したと思います。膨大な作品数を誇る戦後昭和の文豪、松本清張さんですが、僕は高校時代けっこう読みました。遅読きわまりない僕ですから知れてますけど、それでも思い出すままに、長編小説で、「蒼い描点」「影の地帯」「黒い樹海」「わるいやつら」「時間の習俗」「Dの複合」「点と線」‥。16歳から18歳までにはけっこう読んでますね。あと、「波の塔」というのもあって、これも新書判のカッパノベルスで読んだんだけど、この小説はミステリーというよりも、もろ恋愛小説で、それは清張さんだからミステリー味もあるしサスペンス味も入ってはいるんだけど、社会派風味ももちろんあったが、これは文句なく恋愛小説で、僕にはダメでした。一応ムリムリ読み上げはした記憶はありますけど。僕はもう高校生時代から恋愛小説というのがダメでした。小説の内容はね、あんまりよくは憶えてないんですよ。何しろ読んだのは僕が高校生の頃ですし。多分、3年生になってたと思うけど。この間、というか、今年は春から晩夏に掛けてNHK連続TV小説で「ゲゲゲの女房」を大人気放送してたでしょ。あのドラマの中で主人公の水木しげる夫妻が住居を構えて生活していたところが調布市内で、ドラマの背景によく深大寺という有名な社寺が出て来てたんですよね。僕は「波の塔」の物語内容はほとんど忘れながらも、小説の中の一つの背景に深大寺付近が出ていたのだけはしっかり覚えてたんですよ。だから「ゲゲゲの女房」のドラマの中で深大寺背景がよく出ていたのは、「ああ、深大寺とはこういう雰囲気の場所だったのかあ」と何だか懐かしいような気持ちで、ちょっと感慨がありました。僕は若い頃、東京で生活していた時期がありますが、その時代には調布市なんて行ったことはなかったですから。厳密に言えば一回だけ、仕事中で、社有車で営業移動中、運転する職場先輩の主任が、時間があるから自分の親戚を訪ねる、と調布市内のとある団地の一つのお宅にお邪魔したことがある。僕は関係ないんだが、自動車内で待っているのも何なので一緒に、お宅に上がらせてもらって昼飯をご馳走になった。だから一度だけ、調布市内には入ったことはある。話を「波の塔」に戻すと、この作品はミステリサスペンス性が弱くて、男女の三角関係とか不倫とか純愛とか、単行本になる前の初出掲載が女性週刊誌連載だっただけに、メインがもうドロドロ恋愛物語で、僕にはたまらなかったのですが、我慢して完読しましたが脳味噌に内容が残りませんでしたね。

 僕が、ムリムリ読んで何とか読み通して完読したけど、脳味噌に全然残らなかった本、というと、僕の人生では19歳頃読んだ、トルストイの「アンナカレーニナ」ぶ厚いの全3巻と、スタンダールの「パルムの僧院」が思い起こされる。19歳とか20歳の頃の僕は、有名な外国文学を読んでたんですねえ。あの時代の世界文学全集にスタンダードで入っているよーなヤツ。ほとんど文庫本でだけど。で、ジイドとかラディゲとかラクロとか長編でも比較的短いヤツは、まあまあ納得しながらというか、けっこう僕なりに解りながら読んでたんだけど、「アンナカレーニナ」と「パルムの僧院」は、はっきり言って活字追ってただけみたいな感じだった。まあ、形は完読はしたことはしたんだけど。要するに僕にはつまんなくて。話が飛んだなあ。で、「波の塔」は僕には面白くなかったけど、ミステリサスペンス味的につまんなかったけど、多分、文学性という意味ではけっこう優れた作品だったんじゃないでしょうか。はい。今さらながら、深大寺は、東京在住中に行っとけば良かったなあ。

 で、「波の塔」ではなくて、「球形の荒野」はどーも僕は読んではいないようでした。「球形の荒野」というタイトルは知ってました。僕が高校生の頃では、松本清張は大ベストセラー作家だったし、清張さんは、あの時代でも既に膨大な作品数を誇っていた。売れるから文庫では新潮でも角川でもいっぱい出てたし、後続の講談社文庫や文春文庫、中公文庫でも清張作品は、いっぱい刊行された。何よりも新書のカッパノベルズには清張さんの書いた作品は、膨大な作品数全部といっていいくらいに揃っていた。で、高校2、3年生時の僕はもう松本清張にはメチャメチャ興味があったから、本屋さんの棚にある本のタイトルは全部憶えるくらい見ていた。貧乏だったから見るばかりだったけど。ただ、当時は五木寛之も大好きでファンだったからねえ。清張ばっかし読んでた訳でもなかった。遠藤周作の小説も面白かったし、野坂昭如にはかなり影響されたし。そして何よりも遅読だから毎日毎日深夜読んでても、冊数読むのはそれ程は進まない、進めない。ま、元々アタマ悪いから遅読なんだけど。15歳からの僕はかなりの貧乏少年だったし、別に学校というところは好きじゃなかったし、多分、基本的にあんまりヒトツキアイしたくなかったからなんだろうけど、部活とかも入らなかったから、金持ってないんで、放課後は毎日、街の本屋さんに行って本をパラパラ眺めてた。街の本屋さんを3件じっくり回ってから帰宅する。そして深夜に五木寛之や松本清張を読書。

Photo_2

 TV番組のドラマで見た「球形の荒野」で、鑑賞後ズバリ一番に感じたのは“ハードボイルド”ですね。田村正和扮するメインの謎の人物が解るに連れ、思い至ったのは“ハードボイルド”でした。僕が子供の頃や若い頃にイメージ定着していた“ハードボイルド”というのは、少々筋肉質の腕っぷしの強い、けっこうハンサム顔のタフガイが、卑怯な相手サイドに罠に掛けられ、始めはやられっ放しで形勢不利でも、クライマックスでは逆転し、悪いヤツラをこてんぱんに一網打尽、やっつけてのしてしまうカッコイイヒーロー、というものだと思い込んでいたんですけど、“ハードボイルド”というのは、もっと精神的なものですね。大人になって歳喰った今解ります。ドラマ「球形の荒野」で、一番スポットライトの当たる謎の人物、ドラマの鍵、田村正和扮する一方の主役の男こそが“ハードボイルド”でした。その行動、生き方。昔イメージしていた肉体的強靭さではなく、もっと、ずっとずっと精神的なストイックな強さ、ですね。しかし、TVドラマと小説は違いますからね。原作小説を読むとまた受ける印象も大きく違うのでしょう。多分。まあ、いいんです、別に。これはタイトル「ゼロの焦点」で書いている記事ですから。はっきり、僕は、昔々読んだ松本清張作品の数々でも、「球形の荒野」は読んでませんね。

 あ、“ハードボイルド”で書いときたい。昔読んだ、劇画なんですけど、漫画作品ですけどね、確か原作者が居て、原作は小説家だったように思うんだけど、何という題名の劇画だっけか、原作も漫画家も忘れたけど、その中の1場面で主人公の吐く言葉。これがカッコイイ。「ハードボイルドっていうのは日本語に直すと何て言うか知ってるか?痩せ我慢って言うんだ」。このセリフですね。正に“ハードボイルド”とはこれだと思います。

 あ、そうそう、思い出したんですけど、僕は、16歳のとき、高校二年生の一学期の始めに転向して来た不良の文学少年から借りた何冊かの文庫本から読書を始めた、とタイトル「ゼロの焦点」の記事1回目で書き記しましたけど、まあ、それが松本清張ミステリと五木寛之中間小説だった訳ですが、正確には僕は、このM君から借りた清張文庫本より前に、光文社カッパノベルズで松本清張のジュブナイル作品となる「高校殺人事件」を読んでいるんです。何でも松本清張のジュブナイル小説はこの1作だけなんだとか。確か、昔々の高校生向け学習雑誌、何々時代とか何々コースとかそういう高校学年誌に連載された読み物の、まとめた単行本ですね。どうしてこれを読んだのかというと、僕は小中学校と学力非常に芳しくない劣等生で読書はあんまりしたことがない超遅読アタマパー少年だったので、この不良の文学少年M君が貸してくれた大人向け文庫本を読めるかどうか自信がなかったんですね。だからウォーミングアップのつもりで、もっとずっと読み易そうな清張作品を本屋さんで捜して読んだ、と。だから、せっかく最初、文庫本を2冊貸してくれたM君に「おまえ、おっせーなあ、おまえ読むのホント遅えなあー」と随分、文句を言われた。けれど、無事、「高校殺人事件」も「点と線」や「張り込み」も読み終えて、僕は松本清張の虜になり、五木寛之大ファンとなり、目出度く僕が独り籠もりきり没頭し、ひたすらどっぷり浸水(心酔)しきる悦楽の、僕だけの世界を見つけ、精神的には見事ここに引き籠もった訳です。あくまで、まあ、精神的に、ですけど。

 という訳で今回の「ゼロの焦点」の(2)は目出度く終わり、次回「ゼロの焦点」..(3)へと続く。この記事は続きます。タイトル「ゼロの焦点」の(3)へと続いてしまう。

◆(2010-11/19)映画&小説・・ 「ゼロの焦点」..(1)
◆(2010-12/16)映画&小説・・ 「ゼロの焦点」..(2)
◆(2012-08/25)映画&小説・・ 「ゼロの焦点」..(3)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする