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●漫画・・ 「寄生獣」..(2)

 90年代前半、大人気を博したSFサスペンス漫画の傑作、「寄生獣」の連続TV放送アニメ版、「寄生獣-セイの確率-」が2014年10月から、全国各局深夜ワクで放送開始され、アニメ作品は全24回完結予定ですから、2015年2月末時点で放送は第19回とか20回くらいまで来てて、多分3月いっぱいか、放送局に寄っては4月まで入るかも知れませんが、来月再来月までには「寄生獣-セイの確率-」の放送は終了するのでしょう。実写劇場映画版は、2部構成で、映画「寄生獣」が2014年11月末公開、続編「寄生獣-完結編」が2015年4月下旬公開予定ですね。

 アニメ版は、登場人物の細かな設定で多少のアレンジはありますが、ほぼ原作に忠実に物語進行しています。ま、原作漫画「寄生獣」とストーリーは同じ、と言ってしまって良いと思います。まだ、一般的視聴者はアニメ版のクライマックスから終盤を知らないから、お話をどう決着つけるのか、終わり方が原作漫画どおりかどうか知らない訳ですが、このまま行くと多分、アニメ版の終わり方も原作どおりなんでしょうね。

 漫画「寄生獣」の物語の中の核となる、中心的存在、人間を主食として捕食し、生きるための栄養源とする怪物、パラサイトですが、この怪物はある日突然、卵のように小さな球状で天から無数に降って来て、玉が割れて幼虫のような状態で地を這い、人家に入り、人間の各部分から体内に入って来て、脳を奪い、奪うというか多分、もともとあった人間の脳部分を食べて、多分頭部全体を乗っ取って、寄生した人間の、あとの全身をコントロールして、その人間に成り代わる。パラサイトはそういう怪物の寄生生物な訳ですが、物語の中でのこの怪物の最大の欠点は、実は、次の世代ができないことですよね。

 パラサイト側の重要な登場人物、田宮良子/田村玲子は、同じ被寄生人間Aとの間に子供を設けるけど、この子供は普通の人間の子供ですしね。「寄生獣」の物語の中では、パラサイトの遺伝子を後世に残して行く、という生物としての最も基本的なシステムが語られてない。ある日突然、天から無数に降って来たパラサイトの卵。その一代だけで、この生物は終わってしまうのか? 生物としてはあまりにも大きな欠陥ですよね。どうやって次の世代へと続いて行くのか? その方法が全く語られてないし、想像も着かない。成体パラサイトはどこかの時点で、次の代となるパラサイトの卵を作らないと、パラサイトの種はその一代で終わってしまう。こんな不完全な生物はない訳でして。

 そもそもどういう訳で、ある日突然、パラサイトの卵が空から降って来たのか? 物語の後半部の重要なシーンで、パラサイト側のキーパーソンとなる登場人物、田宮良子/田村玲子が新一に向かって吐くセリフ、「我々は何処から来て、何のために存在するのか‥」だったかな、そういうセリフ。この言葉は物語中でも重要な一言ですね。物語の最初の方で、田宮良子が新一に向かって言うセリフ。「我々が寄生して、自我の意識を持ったとき、頭の中にこだました言葉は、『人間を喰い殺せ!』だ」というような一言がありますね。この通りのセリフではないけど。漫画を調べれば解るんですけど、面倒くさくて。どうも済みません。押入れ捜して本出さないといけないし。まあ、そんなセリフでした。

 こういう物語中の言葉から考えると、この、人間を捕食する寄生生物は、神が遣わせた、地球上で増え過ぎて、母なる地球に取って害になってしまっている人間という種を、いわば“間引き”するために、地球を支配する神の如き自然が、人間の天敵として地上に送り込んだ、という考えも想像できる訳でして。進化した人間には天敵が居なくて、地球上で好き放題やり放題やってどんどん数が増えて行ってる。人間の天敵にはまだ細菌やウイルスが居る訳ですが、それも人間の科学力で一つ一つ凌駕して行ってる。母なる自然は考える。何とか人間の数を減らさないと。そこで、人間の間引きの役目を負って、地上に送り込まれたのが、新たなる人間の天敵、寄生生物=パラサイトです。ま、こういう見方もできる訳ですね。作者、岩明均さんの真意は、僕には解りませんけど。

 人間が神を語るとき、神に取って人間は特別な生き物ですよね。でも、ひょっとしたら神の側からしたら、人間以外の他の動物も植物も魚類だって昆虫までも、神の子、なのかも知れない。そう考えると、母なる地球を増え過ぎたがために汚染しまくってる人間は何とかしなくちゃならない、と神が思うのかも知れない。人間が増えれば他の地球上の生き物が減って行く、というのはまぎれもない事実でしょうから。現に人間が文明を持ってから、加速度的に他の生物の種が絶滅して行ってるし、また種に寄っては数が激減している。人間の文明が発展すればするほど。人間が戦争を起こしてるとき、犠牲になってるのは弱い市民だけじゃない、戦場やその近隣に生息する動物たちも同じく犠牲になってるでしょうからね。僕には、作者・岩明均さんがどういう考えをテーマに持って来て、この物語を紡いで行ってたのか、はっきりしたことは何も解りませんけど。

 ネットの書き込みの中で、「寄生獣」のパラサイトの頭が割れて怪物になって、人間を飲み込むのは「遊星からの物体X」のパクリだ、という意見があった。僕も昔、SFホラー洋画「遊星からの物体X」は劇場で見てるんだけど、初めて「寄生獣」の漫画読んでから何度再読しても、そういうコトには気が付かなかった。みんな、よく見てて細かいコトに突っ込んで来るなあ、と感心した。僕が「遊星からの物体X」見たのって、80年代前半のいつ頃かの名画座だったと思う。「遊星からの物体X」日本ロードショー公開は1982年11月だから、僕が見たのは何館落ちかで名画座3本立ての内1本だったのだから、多分、85年か86年頃じゃないかなあ。はっきりしないけど、何かおぼろげに池袋の名画座だったような気がする。でも確かな記憶じゃない。SFというよりも、もうホラー映画でしたね。「エイリアン」もそうだけど、あの手のモンスターSFは、完璧ホラーですね。限られた空間の中で、閉鎖空間ですね、凶暴な怪物がいつ出るかいつ出るかって恐怖におののく、お化け屋敷的なホラー映画。

 「遊星からの物体X」のクリーチャーも、はっきりしない形態の怪物だったから、「寄生獣」の怪物、パラサイトが正体見せたときの頭部分がグニョグニョ気持ち悪く延びるのは、ちょっと似てるカモ、ですね。パラサイトが人間を襲うとき、パカッて頭が割れて、最初グニョグニョが二分割で伸びて行きますからね。82年の「遊星からの物体X」という映画は、もともと1951年制作という古い映画「遊星よりの物体X」のリメイク作品になりますが、2011年公開の映画に「遊星からの物体X-ファーストコンタクト」という、続編というより「遊星からの物体X」本編の前日譚というSF映画がありますね。これは僕は2015年2月現在まだ見てませんけど。

◆漫画・・「寄生獣」..(1)[2014-10/31]

◆漫画・・「寄生獣」..(2)[2015-02/27]

◆漫画・・「寄生獣」..(3)[2015-03/23]

 

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