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無用ノ介

 マガジンの「無用ノ介」が始まる前に、後から思うと“プレ無用ノ介”みたく、当時のマガジン誌上で、何週かの短期集中連載で掲載された、さいとうたかを先生の時代劇漫画は、僕は「うどん団兵衛」だとばかり思い込んでいたが、「あれ?待てよ‥」と何か引っ掛かるものがあり、調べて見たところ「うどん団兵衛」ではなかった。ネットでなく、昭和のマガジン解説本を繰って調べたら、“プレ無用ノ介”みたく何週か掲載された中篇作品は「刃之介」だった。

 僕が少年時代、毎週毎週本屋さんで買って来て愛読していた週刊少年マガジン誌上で、さいとうたかを先生の大長編活劇・時代劇・劇画「無用ノ介」が連載されていたのは、マガジン1967年38号から70年の第10号までです。約三年間の大長編連載。

 

 「うどん団兵衛」はマガジン掲載ですが、1975年ですね。75年の年では僕はもう漫画本は少年誌を読んでいなかったので、僕が「うどん団兵衛」を読んだのはコミックス単行本でですね。「刃之介」のマガジン掲載は1967年で「無用ノ介」新連載と同じ年ですが、「刃之介」はマガジンの短期集中連載の中篇で、全五回掲載、マガジン67年15~17号と34・35号です。そしてこの年のマガジン38号から「無用ノ介」が始まる訳ですから、さいとうたかをの痛快時代劇「刃之介」は正に大長編「無用ノ介」のプレ掲載作品ですね。

 「うどん団兵衛」の正確なマガジン掲載期間は、1975年の週刊少年マガジン12号から29号まで、一話完結の短編読みきり連作が間歇的に五回、掲載されました。「うどん団兵衛」の主人公キャラは豪放磊落で陽気でユーモラスな剣豪であり、プレ「無用ノ介」作品の短·中編連作である「刄之介」もまた「うどん団兵衛」と似たような比較的陽気な剣豪でしたが、大長編時代活劇となった「無用ノ介」の主人公キャラは暗くて重い。

 「無用ノ介」の主人公、無用ノ介は通称“用無し犬”と呼ばれる賞金稼ぎ。生い立ちも賞金稼ぎの浪人者の父親と遊女の間に、“無用の子”として生まれ、賞金稼ぎとして旅する父親に着いて回っていた幼い内に、目の前で父親が斬り殺される。確かそうだったと思うんだけど。その後は孤児として育つ。無用ノ介は剣豪であり、もの凄く強いけど、設定ではあの強さは正統な流派を習ったものではなく、我流の野良犬剣法なのかな。まぁ、幼少時、賞金稼ぎの親父の剣での戦闘場面を見ながら育ったんでしょうけど。

 時代劇アクション劇画としては、「刄之介」も「うどん団兵衛」も「無用ノ介」も、正義の味方的な立ち位置の主人公の剣豪が、冷血·残忍な悪い奴らを斬って斬って斬りまくって、悪の側の最後に残った強敵や首領を斬って倒して大団円を迎える。読んでる読者はワクワク手汗握って読んで、悪が全部倒れて爽快な気分を味わう。面白かったですね。「無用ノ介」が暗い·重いと言っても、漫画そのものがそういう雰囲気な訳じゃない。暗いのはあくまで無用ノ介の出生·生い立ちエピソードで、チャンバラの活劇描写は迫力あって、無用ノ介の剣さばきがカッコ良くって、漫画は非常に面白かった。お話も、サスペンス味もあってスリリングに進むエピソードもいっぱいあったし。

 「無用ノ介」は少年時代、毎週毎週購読してた週刊少年マガジンのラインナップの中でも、その迫力ある描写とスリリングなストーリーに、毎号楽しみにしていた漫画作品の一つでしたね。

 「無用ノ介」は講談社コミックス全15巻で発行され、他にも小学館文庫やさいとうたかを関係の出版社·リイド社からコミックス単行本として刊行されてるけど、僕はマガジン連載リアルタイムで毎号、全編読んでるけど、後のコミックス単行本での再読は全部は読んでないなぁ。半分くらいかな。もっとかも。

 通り名を“用無し犬”と呼ばれる無用ノ介は、職業、凄腕の賞金稼ぎで、お尋ね者の賞金首を狙って生きてる訳ですが、大長編のいろいろなエピソード中、用心棒的な仕事をすることも多かったように思う。

 とある村を占拠した無頼のならず者の集団が、村の農民たちを冷酷·残忍に殺して脅し上げ、食べ物食べ放題、酒を飲み放題、村の女を凌辱しまくる。そんなアウトローな連中を無用ノ介が一人また一人と切り捨てて、ならず者集団を退治する。

 こういうエピソードは、無用ノ介が村の農民に用心棒的に雇われて行う悪者退治ではなかったか。あるいは村を占拠したならず者連中がみんな賞金首だったか。村の子供の一人が村を助けて貰うために、用無し犬を連れて来る話もあったな。

 まぁ僕も「無用ノ介」を雑誌連載リアルタイムで読んだのは子供の頃で、数十年も前だし、コミックスの「無用ノ介」も全巻の半分以上は読んでると思うけど、読み返したのは大人になってからとはいえ、それももう何十年前のことだから、各エピソードの詳細はすっかり忘れてますが。まぁ「無用ノ介」のチャンバラの殺陣のシーンは、迫力描写で凄くカッコ良かったのはよく覚えてます。

 無用ノ介は左目が斬り傷で塞がれており、隻眼の剣士ですが、子供の頃は気にならなかったけど、大人になるとつい余計なことを考えて、丹下左膳も柳生十兵衛もそうですが、実際の話、片目で戦うには相当不利だろうな、と思います。視野が半分だし、左側が見えない訳ですから左からの攻撃はなかなか捌けないのではないかと。まぁ毎度毎度の真剣勝負で命懸けで戦ってるんだから、音に対してもの凄く敏感とか、殺気の感じ方が違うとか、隻眼をフォローするだけの超人的な勘の良さを持っているのかも知れませんが。しかしまぁあくまで漫画の世界のお話ですからね。

 

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