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「ストップ!にいちゃん」-忍者·南郷勇鬼 参上 の巻-

 スポーツ万能で人並み外れた運動神経の持ち主、南郷勇一少年は第五中学校で野球部のキャプテンを勤める活発な中学生で、気性は曲がったことが嫌いで一本気、正義感の強い少年だ。だが少々短気で、早とちりでオッチョコチョイな面もあり、騒動に捲き込まれることも多い。

 そんな活発な中学生、南郷勇一君が珍しく自分の部屋に閉じ籠ったきり出て来ない。勇一兄ちゃんのいつもと違う様子に心配した、小学生の弟、賢二君は隣の家の、勇一少年の幼なじみで同じ中学の同級生、サチコさんに声を掛け、二人で部屋に閉じ籠った勇一兄ちゃんの様子を見に行く。

 勇一兄ちゃんの部屋を訪ねた賢二とサチコ。勇一少年は日曜日の早朝から部屋に籠って忍者小説を書いていた。勇一が小説なんて書いてることに驚く賢二とサチコ。勇一が忍者小説の出だしのストーリーを言うと、賢二が自分も登場させろと言って来る。その内、サチコも小説に登場させろと言って来る。

 サチコが女忍者かお姫様かと迷っている内にストーリーは進み、勇一と賢二の兄弟忍者は忍びの里のお頭の命を受けて旅立つ。サチコさんの役は捕らわれのお姫様に決まった。兄弟忍者はとあるお城に閉じ込められた姫を救出に向かうこととなる。

 明朗学園漫画「ストップ!にいちゃん」はコメディタッチのユーモア少年漫画なので、お城に入って行くにもイロイロとドタバタが起きる。勇一の描くストーリーに不満たらたらな賢二とサチコ。

 賢二とサチコが勇一のストーリーにイロイロと注文を着ける。勇一の考えたストーリーがどんどん変わって行く。サチコの牢に捕らわれたお姫様も勝ち気で超ワガママだし、勇一がストーリー作りに手を焼く。

 賢二が城の中でも敵サムライ相手の見せ場が少ないと文句を言い、サチコさんがおとなしいお姫様では嫌だ、私も女忍者として活躍したいと言い、南郷勇一の忍者小説はドタバタ劇になって行く。

 腹を立てたサチコが勇一の小説原稿を投げるんだっけか?小説原稿が風に舞って南郷家の外まで飛んで行く。怒った勇一がサチコを追い出すのかな。原稿を拾い集めに道路へ出ると、近所に住む有名なプロ小説家が勇一の原稿を拾って読んでて、勇一に向かってボロクソにこきおろす。

 勇一は腹を立てて家に戻る。どういうお話の締めくくり方だったか忘れちゃったけど、ドタバタ·コメディのお話でしたね。漫画としての描き方は、勇一の書く小説原稿の中のストーリーを漫画のコマコマとして描いて行く。先ず勇一のオリジナルストーリーが漫画で描かれ、賢二やサチコの文句でそれが改変されて漫画で描かれる。この回のお話は特殊でしたね。

 上記が、昭和の児童雑誌「少年」で人気を博した、明朗学園漫画「ストップ!にいちゃん」の「忍者南郷勇鬼参上の巻」編のざっとのストーリーです。

 関谷ひさし先生の明朗学園漫画「ストップ!にいちゃん」は、光文社発行の昭和の児童月刊誌「少年」に1962年1月号から、雑誌「少年」が休刊(事実上の廃刊)した最終号の68年3月号まで、6年間もの長きに渡って大人気連載されました。毎月の「少年」誌上ではいつも本誌巻頭近くのカラーページから別冊付録へと続く、看板漫画扱いの作品でした。

 “五中のスーパーマン”の異名を持つ少年、南郷勇一は自身の通う中学校では、運動神経バツグン、どんなスポーツもトップレベルでこなすスーパー運動能力の持ち主で、正義感が強く一本気な性格だが、喜怒哀楽が激しくオッチョコチョイで早とちりなところがタマにキズ。

 猪突猛進型の南郷勇一に「ストップ!」を掛ける、一言多くて細かくうるさく、けっこう調子の良い利発な弟、賢二。多分、中学三年生の勇一に対して弟·賢二は小学校四~五年生くらい?隣に住む勇一の幼なじみのサチコは勝ち気で、言いたいことをはっきり言って突き進むタイプの女子中学生。多分、勇一と同級生。他に、物語中よくあちこちケガをする勇一の身体を荒療治で手当てをする、腕の良い整骨院の主、柏鵬堂さん。「ストップ!にいちゃん」の終盤に登場する、下級生女子だけど野球の才能がバツグンで、野球部のコーチを引き受けるウマイさん。その他に野球部の面々や、ボクシング部·柔道部のキャプテン、校長先生や中学校の各教師。

 多彩な登場人物がユーモラスに描かれ、勇一少年のオッチョコチョイな早とちりで騒動が巻き起こる。強い正義感で猪突猛進、突っ込んで行く勇敢な南郷勇一に「ストップ!」を掛けるのが、冷静で思慮深い弟·賢二。幼なじみの男子·女子でいつも大喧嘩してるのが隣家のサチコ。

 大長編の人気学園漫画「ストップ!にいちゃん」の中の「忍者·南郷勇鬼参上の巻」のお話は、雑誌「少年」の1964年の9月号10月号に掲載されました。昭和の東京オリンピックが開催される一ヶ月前の雑誌掲載ですね。僕は小学校三年生でまだ8歳ですね。

 僕が雑誌「少年」を愛読し始めたのは多分、1963年の1月号か2月号くらいからで、僕はまだ小学校一年生ですね。「少年」看板漫画の「鉄人28号」と「鉄腕アトム」が大好きでした。雑誌「少年」を愛読し始めた頃は「ストップ!にいちゃん」はほとんど興味がなく、まともに読んでなかったと思います。スーパー中学生が主人公の学園漫画は、小学校一、二年生には内容が難しかったんでしょう。

 僕が「ストップ!にいちゃん」をまともに読み出したのは小学校三年生くらい、8才9歳になってからかな。だからこの「忍者·南郷勇鬼参上の巻」は僕が8才当時だから印象深く覚えています。このお話は面白いって楽しんで読んでますね。このお話はもっと後だったかと思ってたけど、64年、オリンピックの年だったんですね。

 小学生時代の僕のお気に入りは雑誌漫画ならSF 漫画、モロSF ヒーロー漫画ですね。正義のロボットや超能力者、宇宙少年、正義サイドの子供が操る巨人ロボットとかが、悪の犯罪組織とか悪のマッドサイエンティスト、地球侵略を企む宇宙人とか凶悪チームと戦い、危機に陥りながらも最後は敵をこてんぱんにやっつけるヒーローもの漫画でしたね。

 だからね、僕の小学生時代に雑誌「少年」に連載されてた明朗学園漫画の「ストップ!にいちゃん」は8歳9歳からはちゃんと読んでたけれど、毎回そんなに面白いと思って読んでた訳でもない。その内、雑誌「少年」はなくなっちゃったし。

 1968年に「少年」の休刊(事実上の廃刊)と共に6年間連載が続いた「ストップ!にいちゃん」も終了したけど、70年頃に当時の虫プロ商事から虫コミックスで全13巻で発刊されました。僕は多分70年か71年頃、この新書判コミックス「ストップ!にいちゃん」13巻を通して読んでます。

 このときはユーモア感覚バツグンのコメディタッチ学園スポーツ漫画「ストップ!にいちゃん」を大変面白く、コミックス13巻をあれよあれよと続けて完読しました。このときはホントに面白く楽しく読んだのを覚えてます。

 僕が小学校一年時からほとんど毎日通ってた近くの貸本屋が小五のとき店じまいし、大通りを挟んだとなり町の貸本屋も多分中二くらいのとき店じまいし、戦後の貸本が68年頃には終焉を迎え、歩いて行くにはちょっと遠い貸本屋が新書判コミックスの貸本をやって商売を続けてて、僕はときどきそこまで自転車に乗ってコミックスを借りに行ってた。虫コミックスの「ストップ!にいちゃん」全巻もそこの貸本屋で借りて読んだんですね。

 僕が中学卒業するまで電業所の裏続きの社宅に住んでて、裏庭にはけっこう広い倉庫があり、そこに商店街の洋服屋が店舗間連絡の往き来用に自転車を置いてた。僕が中一の頃、電業所が閉店して親父は地域の本部に通ってた。電業所閉店で、それまで何人かの部下を持つ所長職身分だった親父は、会社通勤の普通のサラリーマンになった。しかも窓際。

 電業所取り潰しまで僕たち家族は社宅に住んで、近所の洋装店は電業所倉庫に自転車置いてた。僕はときどきその自転車を勝手に借りて乗って遠くの貸本屋までコミックス借りに行ってた。

 親父の放蕩が僕が中二くらいの頃から本格的に激しくなり、家計が苦しくなって来た。小学生の頃乗ってた小さな自転車は既に壊れていて、中二·中三時はとても新しい自転車を購入する金銭的余裕なぞなかった。

 僕の中三時は親父の借金が凄い額に膨れ上がり、毎日借金取りが家に来るは何度も親族会議や債権者会議がウチの中で徹夜で行われるは、大変な事態だった。僕はコミックス読みたさに無断で洋服屋の自転車勝手に使っては、洋服屋の従業員のお姉さんやおばちゃんに文句を言われてたが、ウチの母親は僕に何も言わなかったな。自転車タダで置かせてやり代くらいに思ってたのかな?あの当時の母親はそんなことどころじゃなかったろうが。

 そういえば「ストップ!にいちゃん」の大事なサブキャラを忘れてた。毎回、常に何処かで登場してた、南郷家の飼い犬、ボス。秋田犬的な日本犬の大型犬で毛色はモノクロ画面だとアミだから、濃いグレイに見えるが、カラーでは黄土色か黄緑ぽいような色で、性格は穏やかでどっしりというかもっさりというか呑気に構えた大きな犬で、間抜けな面も大きいが調子の良い面もある。勿論、犬だから喋らなくて吠えるだけだけど、非常に人間ぽいですね。いつも勇一に怒られてるユーモラスな大型犬。危機に際して勇猛果敢な面も見せる。

 「ストップ!にいちゃん」で描かれる背景が昭和30年代半ばから昭和40年代アタマの、一戸建て家屋の家並みや板塀や垣根なので僕らの世代には懐かしくノスタルジーですね。学校も木造校舎だったりするし。南郷勇一少年の家は昭和30年代後半の東京の高級住宅地なのかな。あの時代のゆかい漫画やコメディタッチの少年漫画の背景は、板塀に囲まれた平屋の一軒家で居間·客間·子供部屋の揃った、あの時代の都会の高級住宅地の家屋が多いですね。

     

      

ストップ!にいちゃん〔完全版〕二学期【中】 (マンガショップシリーズ 268) コミック – 関谷 ひさし  (著)

ストップ!にいちゃん〔完全版〕二学期【上】 (マンガショップシリーズ 267) コミック – 関谷 ひさし  (著)

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 「ストップ!にいちゃん」の主人公、南郷勇一君が中学三年生とは多分はっきりは書いていなかったと思うんだけど、勇一君は野球部のキャプテンをやってるので多分、中三なんだろうな、と思ってます。ひょっとしたら長期連載の何処かで南郷勇一は中学何年生とか何歳とか表示した箇所があったのかも知れないけど、多分はっきりの表示はなかったんだろうと思います。

 「ストップ!にいちゃん」のたくさんのエピソードの中で、勇一君はよくバイクを運転してるんですよね。単独でバイクに乗ったり、弟の賢二君を後ろに乗せてツーリングに出掛けてる。あの時代でも中三-15歳ではまだ自動二輪の免許は取れないと思うんだけど。

 バイクでツーリングに出掛けてトラブルに捲き込まれてドタバタになるようなお話はけっこうありますね。基本ストーリー漫画だから、ギャグ漫画みたいなドタバタじゃなくて、あくまで世間でありそうな見ていて愉快なエピソード。

 愉快なコメディ調の漫画でもあるけれど、一本気で正義感の強い勇一君の活躍でスカッとする痛快な面も大きいですからね。スポーツ万能“五中のスーパーマン”南郷勇一は格闘させても強いし。

 ボクシング部や柔道部のキャプテンと戦ってラクに勇一君が勝っちゃって、急遽、部の助っ人となって対校試合に出て強豪校の選手と戦うエピソードも多いし。

 懐かしいなぁ、雑誌「少年」を毎月読んでいた時代。「ストップ!にいちゃん」も小学校三年生時の後半頃からはちゃんと読んで行ってたし。人気漫画の「ストップ!にいちゃん」は雑誌「少年」の月例毎号、本誌巻頭付近のカラーページ掲載から別冊付録に続いてた。親戚の家に泊まりに行くと僕よか幾つか年上の従兄弟の兄ちゃんが漫画「ストップ!にいちゃん」の話したりしてた。

 毎月の雑誌「少年」のお目当ては「鉄人28号」「鉄腕アトム」「電人アロー」などのSF ヒーロー漫画だったけど、小四くらいからは「ストップ!にいちゃん」も楽しく読んでたな。15歳の頃、虫プロ商事の虫コミックス全13巻で全編読み上げたときは、本当に面白く読んだと記憶している。

 

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