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スキップとローファー

 石川県の地方の過疎化が進む田舎の小さな町で生まれ育ち、学業成績がメチャメチャ優秀で神童と呼ばれた女の子、岩倉美津未は中学生で、将来は東大法学部を主席で卒業して日本社会のために働く官僚になる、という明確なビジョンを抱き、東京都内の指折り高偏差値の超難関校に主席で入学し、地方出身の都内の高校一年生となる。

 美津未は東京では、やり手のデザイナーなのかな、女装の叔父のマンションに居候というか、同居させて貰う。オネエ的な若い叔父は、美津未を“オミツ”と呼ぶ。オネエ叔父さんは稼ぎが良いらしくて高級マンション暮らしみたい。仕事のできる、自分を持ったしっかりしたオネエ叔父さんですね。30歳くらいだろうか?

 都内の超優秀高校入学式の登校一日目、完璧主義の超秀才、美津未は頭の中に描いたシミュレーションをこなすだけと、優等生らしく、失敗やミスは絶対しない、楽勝と学校へ向かうが、大迷路のような地下鉄で迷い、うじゃうじゃいる人の波に気分が悪くなりトイレで戻す。大幅遅刻になると焦る中で、奇跡的に同じ高校の新入学生、志摩聡介と出会う。聡介は登校初日の入学式から学校サボるつもりだったが、岩倉美津未が面白いので一緒に学校へ向かうことにする。

 入学式に遅刻したくないし、もう間に合わないがせめて少しでも遅刻時間を縮めたい美津未は学校まで裸足で全力で走る。聡介はそれを追って走る。

 名門高校に主席で入学した美津未は、新入学生代表として挨拶スピーチの役目があったが、入学式はとっくに始まっており、代表生徒が来ていないと先生たちは慌てている。

 大遅刻で裸足で入学式会場に走り込んで来た美津未は、何とか新入学生代表の挨拶スピーチをやり遂げる。神童と呼ばれただけのことはあり、カバンにスピーチ原稿を忘れたがソラでたんたんと淀みなく話して終える。しかし、初登校までに起こった数々のことごとや緊張から、担任女教師の前まで行くと気持ち悪くなって、女教師のスーツに顔を埋めてゲロを吐いてしまう。

 ここで岩倉美津未は断崖絶壁から落ちたように落ち込んでしまい、登校初日の夜は一睡もできない。・・・

 地方出身で大都会の学校に来たから、方言とかイロイロ馬鹿にされてハブられると思いきや、例の志摩聡介がすごーく良いヤツで、直ぐに美津未の友達になってくれて、美津未を決して馬鹿にせずハブらずの友達も何人かできる。

 まぁ、志摩聡介もそうだけど、みんなみんな心の中に何か抱えてるんだよね。美津未の仲良しグループができたり、リスペクトする先輩に出会えたりと、学園生活は楽しく進むね。

 親友となった、ちょっと変わり者のイケメンで良いヤツで人気者の志摩聡介とは、恋愛に発展するや否や。まぁ、紆余曲折ありながらも多分、恋愛に行くんだろうけど。

 まだ僕はコミックス単行本3巻までしか読んでないからなぁ。

 親友→恋人?の志摩聡介はイケメンだけど、主人公の岩倉美津未は抜群に学業成績が良いけど、決して美人ではない。美少女は美津未のクラスメートで仲良くなる友達にいる。主人公·美津未が美少女に描かれてないのも良いですね。

 

 学園漫画「スキップとローファー」の世界観は、ヤンキー学園漫画の対極にある内容。ヤンキー学園漫画って、今、新規に創作された作品で雑誌連載中のものって存在するのか?今の漫画作品を網羅してる訳ではないので、僕はよく解らないが、今の雑誌連載漫画シーンでは、ヤンキー学園漫画ってないのではないか。と僕は思うけど(どうだろう?知らない)。

 ヤンキー不良·学園漫画の全盛期って1980年代かな。長く見ても70年代後半~90年代だよな。2018年·秋期の連続ドラマで人気番組だった「今日から俺は」の原作漫画が雑誌連載されてたのって、1988年~97年のことだったし、当時は大人気のヤンキー学園漫画だった。

 今も中学生~高校生、特に高校生の不良は存在するんだろうけど、不良の形態がよく解らないなぁ。昔は、特異な学生服でペッタンコの学生カバンで解りやすかった。学生服もチョウランとかメチャ裾の長い、膝まで裾のある、異常に詰襟の高い学ランにラッパズボンや、やたら短くてへそ下くらいまでしかない学ランに裾の搾ったズボンやら、かなり特徴的な格好してた。

  今は学ランが制服の高校って少ないだろうからなぁ。ほとんど学校の制服はブレザーになってるだろうし。高校生がネクタイしたりしてるからなぁ。ブレザー制服って、改造し難いだろうしなぁ。ブレザー改造して裾を膝まで長くとかしたら可笑しくて着てらんないだろうし。学校の校則が厳しくもなってるのかな?

 80年代はヤンキー学園漫画ブームだったけど、僕はもう20代後半だったし、趣味的にヤンキー不良·学園漫画は好みじゃなかった。だから代表的な作品、きうちかずひろ氏の「ビーバップハイスクール」も読んだことない。「ビーバップハイスクール」は青年誌の週刊ヤングマガジン連載だったんですね。何作も劇場版映画になったりして当時は大人気の漫画作品だったけど。「ビーバップハイスクール」連載期間は1983年~2003年と何と20年間も続いたんですね。凄いな。講談社コミックス全48巻。

 僕は、ヤンキー学園漫画ブームのときから今日まで、ずーっと学園·ヤンキー不良漫画は読んだことないですね。ギャグ漫画だったら、週刊漫画アクションに連載されてた、どおくまん氏の「嗚呼·花の応援団」をアクション誌上で読んだり、コミックス単行本を二、三冊くらい読んだことあるけど。「嗚呼·花の応援団」はギャグ漫画であり、そもそも舞台が大学だからなぁ。学園ヤンキー漫画はほとんどが高校舞台だし。

 僕自身が学生時代にヤンキー·不良ではなかったし、そもそもヤンキー·不良キャラではないし、ヤンキー·不良に絡まれたり脅されたり暴力振るわれたことも皆無だし、どっちかっつうとヤンキー·不良は嫌いですね。勿論、憧れたこともないし。だからヤンキー·不良学園漫画は趣味ではないと。

 こういう言い方は失礼になるし、ごめんなさいだけど、ヤンキー·不良生徒がいる学校って、まぁ、だいたい偏差値の低い高校じゃないですか。中学校なら公立だと成績の良い子も奮わない子も混ざってる訳だけど、高校はだいたい偏差値で別れる。

 お笑いコンビ·サバンナの高橋茂雄さんが昔、番組で言ってたんですけど、公立小学校のとき苛めに合っていて、小6で頑張って受験勉強して私立の高偏差値中学校に進学したら、もう苛めに合うことはなかったという話でした。だいたい苛めをやる連中ってヤンキー·不良というイメージですしね。中には稀に成績良いのに苛めやるヤツもいるでしょうけど。

 ヤンキー·不良っつうたら、喧嘩、暴力、恐喝のカツアゲ、おとなしい子への苛めっていうイメージですしね。

 高橋茂雄さんの例えで行くと、高偏差値学校は比較的、苛めはない。苛めをやるのは学業不振な生徒だ、ということになる。中には頭の良い不良もいるでしょうけどね。でも稀だろうなぁ。

 「スキップとローファー」の主人公、岩倉美津未ちゃんは故郷·田舎の過疎地みたいな小さな町で神童と呼ばれるくらい、学業成績優秀な子供で、上京して都内の高偏差値進学高校に通う。

 高偏差値進学高校だから、生徒はみんな一定レベル以上の成績=頭の良さを持っていて、勿論、ヤンキーや不良はいない。「スキップとローファー」は一応、学園漫画だけど、物語の中にヤンキー·不良·DQNは出て来ない。

 主人公·岩倉美津未は、過疎化の進む石川県の中の小さな町から上京して、東京都内でも有数の進学高、つばめ西高校に主席で入学したとありますから、日本でも指折りなくらいの超高偏差値高校ですね。公立なのか私立なのかよく解らないけど。

 だから学園生活にも、あからさまな暴力的な苛めやカツアゲや、殴り合いの喧嘩や口汚い罵り合いなどは皆無です。勿論、教師に対しても、目上の師に対する態度も身分を弁えて礼儀正しい(イマドキの若者感もあるだろうけど)。友達どおしの付き合いも柄の悪いところは全然ない。夏休みに友達どおしで集まれば、先ずみんなで教科書や参考書を広げて勉強をする。子供たちが品行方正ですね。

 勿論、イマドキのティーンだからファミレスに集まるし街のブティックなど店舗で買い物するし、通りでファーストフードを買って食べながら歩くし、みんなでカラオケ店に入って盛り上がる。女の子どおしでもデートでも遊園地や動物園に行く。

 全国指折りクラスの超高偏差値高校だから、不良が皆無でみんな一応、一生懸命学業の勉強してる(この後必ず一流~二流の大学進学が控えてるから・三流·Fらんに行くことはない)。あからさまな苛めもなければ、そんなに目立って意地悪する子もいない。あとは普通にミドルティーン·ハイティーンの学園生活ですね。やっぱり自然とクラスの中でも仲の良い子が集まってグループ分けされてる。お昼に一緒に弁当とかパンとか食べてる3~5人くらいのグループとかね。これが帰り掛けに一緒にカラオケ行こうか、ってなったらグループが重なって、行かない子も出て、新たに8~11人くらいのグループができたり流動的。やっぱ子供どおし合う合わないもあるしね。

 だいたい、こういう高偏差値進学校は家庭が中流~上流の子供ばかりになるね。公立でも私立でも有名·名門大学に進学するのが当たり前で入って来た高校だし。底辺って言っちゃ悪いけど、比較的貧乏な家の子は来ていない。シングルマザーの家の子でもお母さんがキャリアで高所得だとか。

 だから、「スキップとローファー」の世界は、学業勉強が優秀な頭の良い子で、家庭も高所得で経済的に安定してる家の子ばかりの、学園青春ドラマですね。コメディータッチで描くミドルティーン·ハイティーンの割りとほのぼのした、ハイクラスの子供たちの等身大·日常·青春物語。「スキップとローファー」の紹介文の漫画カテゴリ分けは“ヒューマンドラマ”ってなってるけど。

 まだ、コミックス3巻までしか読んでないけど、登場人物の子供たちに、そんなに大きな激しい変動のドラマはない。それは各々、心に何か悩みを抱えているけど、例えば恋愛の三角関係の嫉妬だとか、家庭環境で親が離婚した家庭に継母が入って来てて家の中の生活がギクシャクしてる子だとか。でも、人生変わってしまうような、そんなに大きな問題がテーマとして出て来る訳ではない。

 僕は、この漫画を読んで、この漫画世界で描かれる“青春”に憧れましたねぇ。“青春”というか学園生活というか学生時代というか。良いなぁ、比較的高い知能で学業の勉強、学校の勉強が優秀で、国内屈指の高偏差値高校に通って、有名·名門の公立·私立大学目指して勉強してるのが中心にある、暴力喧嘩や暴力苛めがなくDQN的不良のいない学園生活の青春。そこにスポーツとか友情を含む友達付き合いに、初恋を含むミドルティーン·ハイティーンの恋愛がある。

 こんな高校生時代に憧れるなぁ。みんな、家庭は比較的裕福で、例え片親家庭であっても、親は知的で一定レベルの教養もあり高収入で経済的に安定しており人格者。僕の高校生時代には欠片もなかった青春模様だもの。

 僕の高校生時代は家庭が大貧乏だったからなぁ。僕自身も本当は憂鬱で無気力で夢も希望もなく、人生目標もなく毎日ダラダラ生きてたし。学校の勉強なんて全くしなかったし毎日の学校の授業も聞いてなかったし。最低の学園生活送ってたなぁ。小遣い作るために昼飯抜いて、6時限の授業が終わると真っ直ぐに家に向かう帰宅部で、昼抜いてるから空腹で帰って直ぐに朝の残りの味噌汁に卵1個入れて温めて、それをどんぶり飯にぶっかけて掻き込んでた。夜中は寝ないで文庫本の大衆小説読んで過ごしてた。

 中三で家が破産して巨額借金背負った親父は愛人の元へ行き、残った家族は大貧乏生活で、僕は何とか公立高校通ってたけど夢も希望もなく無気力だったなぁ。毎日毎日憂鬱な日々を送るだけ。学校ではクラスメートたちと明るく陽気に付き合ってたけど、本心は真っ暗なのに演技の仮面を被って学校生活を送ってた。悲惨な青春時代だったよ。

 全然しなかった学校の勉強だが、もっとちゃんとしっかり学校の勉強して、というかもっともっと本気で頑張って勉強して、読書も大衆小説ばっかり読まずに文学書や教養書や学術書を読めば良かったのになぁ。運動関係も学校の部活なんて入らなくてもいいから、空手の道場とかに週ニ、三回とか通って修練すれば良かった。もっと若い時代を一生懸命生きれば良かったなぁ。

 いやぁ~、「スキップとローファー」の世界には憧れますねぇ。僕も十代後半をしっかり夢と希望と将来のビジョンと旺盛な知的好奇心を持って、何事も逃げずに、直ぐ逃げることを考えずに、困難の壁だって向き合って、何事も一生懸命取り組んで、何事も諦めずに根気よく頑張って努力もして充実して、青春期を生き抜けば良かったなぁ、とつくづく思う。もう、ホント後悔ばかりの中身のない青春時代だった。

 僕は小学生時代は学業大不振の大劣等生で、中学校に進級してこれではいかんと母親が家庭教師を雇って週2回、英語と数学を家庭教師に習った。すると中学校の科目で英語と数学は僕としてはぐんと伸びた。家で英語と数学の勉強してると不思議なもので、他の教科の成績も割りと伸びた。無論、もともと脳ミソ自体がたいして良質ではない僕が、英語と数学の家庭教師が着いただけで、成績が学年で20番以内に入るとかなる訳ない。でも30番以内には入ってた。

 社会科は割りと好きだったしね。特に世界史は。日本史はそれほどでもなかったかな。でも成績が学年で30番以内くらいにいたんで満身して、多分、中二の始め頃だと思う、母親に頼んで家庭教師を解任して貰った。そうしたら、もともと学校の勉強が嫌いで何でも努力するのが苦手な性質で、見る見る成績が落ちた。それでも中二の頃は学年で50番以内とか70番以内とかにいたんじゃないかな。中三になったらもっと落ちた。

 僕ん家の親父は電力会社に勤めていて、僕の小学校·中学校時代は親父は電業所という電力会社の事務所を任せられていて所長職身分で、僕はあの時代としてはまあま、坊っちゃん坊っちゃん育っていた。それが中三の三学期の終わり、家が破産する。

 親父は大借金を背負って愛人のもとへ出て行き、残った母親と子供たちは盛大に雨漏りして冬は寒風吹き込む、ひどいあばら家に引っ越して大貧乏生活に入る。

 僕の中三の高校受験勉強時代は、家の中で毎晩のように親父の作った巨額借金の債権者会議が徹夜で開かれていた。家の中はメチャクチャだった。僕は果たして高校進学なんてできるんだろうかと不安で仕方なかった。

 まぁ、何とか公立高校の普通科に受かって進学する。僕は貧乏高校生時代、何か夢も希望もなく虚無的に生きていた。学校のクラスの中では友達に対して明るく陽気そうにふるまってはいたけれど、本当は中身は何か真っ暗だったなぁ。

 僕の当時通っていた公立高校の普通科は、先生が「公立高校としては最低ラインぎりぎりのレベルしかない」と嘆いていた。僕の通ってた高校の普通科の偏差値は昔は52くらいだったらしいが、僕の通ってた当時は偏差値47だった。先生によるとこの偏差値47が当時の公立高校最低線ぎりぎりのレベルだったらしい。

 この頃はYouTube動画ばっかり見て過ごしてるが、ある動画の中で偏差値50が偏差値のど真ん中で偏差値50の子が一番多いらしい。偏差値50は子供の頭の良さの平均値なのだ。頭の良い悪いを学業成績だけでおおざっぱにバッサリ割ると、僕の通ってた高校の偏差値47は頭の悪い方に入ってしまう。

 「スキップとローファー」の主人公、岩倉美津未ちゃんの通う有名進学校は多分、高校の偏差値が65以上は間違いない学校ですね。ひょっとしたら偏差値70くらいある高校かも知れない。

 知能指数=IQ で考えると、IQ 100 が、まぁ、平均値でIQ 100 の人間が一番多い。もの凄くおおざっぱにバッサリ分けると、IQ 100 以上が頭が良い人でIQ 100 以下が頭の悪い人ということになる。偏差値も同じことで偏差値50の生徒の数が一番多くて、偏差値50以上が頭の良い子供、偏差値50以下が頭の悪い子供ということになる。

 ひょっとしたら、知能指数=IQ や偏差値に関しての僕の認識は間違っているのかも知れません。ちゃんと調べてなくてごめんなさい。

 まぁ、頭の良い悪いもいろいろな方向性がありますからね。学校で習う勉強の偏差値的な頭の良い人、一流のシェフやパテシィエの腕前、昔々から日本が誇る職人たちの繊細な腕、抜群な運動神経を使いこなす一流スポーツ選手、画家、ミュージシャン、お笑い芸人、営業セールスマンとして一流の人とか、もうさまざまな世界に達人が存在して、それは別に学校の勉強がどれくらいできたか、とは関係ないですからね。しかもどのジャンルの達人もやはり脳を使ってる訳だし。そのジャンルに特化した素晴らしい脳ミソを持っている。

 2015年頃、話題になった、ミリオン越えのベストセラー·ノンフィクション書籍「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」は、映画にもなってヒットしました。この本と映画の略称「ビリギャル」は当時、流行語のように有名になりました。あの主人公の女の子は確か、最初は偏差値30だったんですよね。それが勉強次第で偏差値70近い慶應大学の学部に受かる。勉強のやり方と努力でしょうが。

 僕が偏差値47の公立高校普通科に通ってたのは、何十年も前の昔の昭和の時代でまだまだ子供の数も多かったから、高校進学を目指しても公立高校の受験でふるい落とされる子供もいっぱいいた。その子たちは私立高校に入学した。高校受験も運·不運もあればそのときの状況もあるしね(家庭の事情が受験勉強できる状況じゃなかったとかイロイロ)。子供の数が多いから、あの時代は私立高校ってけっこういっぱいあったなぁ。

 学校の勉強の試験で良い点数取る頭の良さと、社会に出て仕事で活躍する頭はまた別ものだしね。

 80年代以降、年追うごとに少子化が進んで行って、今なんて超少子化時代でしょ。高校受験したい子は全入でもいいくらいの状況になってるんじゃないかな。だから何十年も昔の僕らの頃のように、公立高校の試験に落ちて私立高校に進学するんじゃなくて、公立高校の定員イコール受験生人数くらいのことになってるから(定員割れする公立高校も統合された公立高校も多いと思う)、低偏差値の私立高校って非常に少なくなってるんでしょ。今の私立高校は逆に偏差値的には公立高校よりもレベルが高い。

 まぁ、超少子化は今の日本社会の一番の大問題だなぁ。

  女性アイドルグループ·日向坂46のメンバー、2001年生まれ、2023年1月現在21歳、影山優佳ちゃんは、まだ大学進学してなくて筑波大学付属高校の出身だけど、筑波大学付属高校の偏差値が78もあるんですね。ムチャクチャ高偏差値の学校ですね。架空の高校だけど、岩倉美津未ちゃんの通うつばめ西高校も偏差値70以上くらいあるのかなぁ?どうだろう、偏差値70はありそうな名門進学校みたいだな。多分、毎年東大に何人も合格者を送り込んでる態の高校なんでしょう。

 2022FIFAワールドカップ·カタールでは、実況中継番組の日本スタジオMC陣スタッフで、影山優佳さんはプロのサッカー専門スポーツ評論家顔負けの解説をやってのけて、番組スタッフや視聴者·サッカーファンを驚かせて見せたほどの、メチャ凄いサッカー通でしたが、僕は見たことないけど、テレビのクイズ番組でも大活躍らしいですね。

 影山優佳さんはこの度MENSA=メンサの会員になったんだとか。ということは人類の知能の一番高いところ、上位2%の高知能の人たちの集まりらしいですけど、そこの試験に合格してメンサ会員と承認された訳ですね。つまり、影山さんあなたは天才です、と証明されたようなもんですね。

 タレントだとお笑い芸人のクイズ王、ロザン·宇治原史規さんとかメンサ会員らしいですね。あとは東大卒の学者で、茂木健一郎さん·中野信子さんとか。他にもけっこういっぱいいるんでしょうけど。単純に計算すると、上位2%って100人に2人でしょ。日本人1億人だと200万人もいることになる。

 メンサ会員はIQだと145以上だっけ?135以上だっけ?何かそのくらいの高知能の人になるんですよね。IQ判断だと天才の域。ギフトって呼ばれる人たちはだいたいIQ140以上くらいありますよね。高い人だと160とか180とか聞きますけど。影山優佳はメンサの試験受けて、IQはいくつって出たんだろう?

 「スキップとローファー」の主人公、岩倉美津未ちゃんも幼い頃から神童と呼ばれ、東京都内の屈指の進学校に主席で入るくらいだから、多分、かなり高いIQの持ち主の筈ですね。美津未と友達になるクラスメートの1人、村重結月も、確か帰国子女じゃなかったかな?家が資産家の美少女だけど、彼女もIQ高そう。まぁ、創作物の世界だけど。

 岩倉美津未は石川県の過疎化が進む田舎の小さな町で育ったから、小·中学校も多分、このご時世、分校みたいな極端に生徒の少ない学校通ってたんだろうけど、上京するときや夏休みに田舎に帰郷するときに友達と触れ合うけど、自分だけ飛び抜けて頭が良いのに、さまざまな友達と普通に仲良くやってますね。そこが良いんだけど。

 美津未ちゃんは素直で純粋だから天然扱いされることが多い。どんな人とも別け隔てなく人付き合いするし。ほとんど下衆の勘繰りみたいな真似はしないし、相手~他人の気持ちを考えて行動し話すし、それで悩んだりもする。スーパー秀才なのに集団の中の人付き合いが偉い。自分の細かな損得勘定で人付き合いしないところも偉い。

 よくテレビ番組の特集でギフトの子供や青年を扱って、ギフトの当人たちがあまりにも知能が高過ぎて、周囲の平凡な子供たち~人たちと合わせてうまく人付き合いするのが難しく、当人たちが困惑し悩んで生き辛くなってるというのを、問題視して番組放送してるじゃないですか。ギフトを扱った映画もそう。

 知能が高過ぎると盆百の人々と人間関係をうまくやって行くのが大変で日々戸惑い人疲れしてしまうと。

 僕のような平均よりも劣るかも知れないようなチンパンジー的人間からすると羨ましい限りの悩みだけど。実際、本人は平均よりも劣っている実感があるんだけど。憧れるなぁ、ギフトに。ギフトになってギフトの知能~思考で世の中を見て人生を歩んでみたいよ。こればっかりは馬鹿レベル人間にはさっぱり解らないもんなぁ。

 「スキップとローファー」の岩倉美津未は漫画読んでると、その生活の送り方がギフトっぽくないなぁ。もう全然フツーの女の子ですね。ガリ勉秀才かな?でもガリ勉秀才で都内屈指の進学高校に主席で入学できないよなぁ。かなり知能自体高くないと。まぁ、物語の世界だけど。

 日向坂46在籍の、秀才というか天才、影山優佳さんはどうなんだろう?人付き合いで苦労はしてないのかな?学校のクラスでもアイドルグループ内でも集団の中で浮いた存在にならなかったのか?見るからにフツーに若者生活送ってる感じだけど。

 まぁ、頭良い人は自分の内面は見せないで社会で集団にみんなに状況に合わせて演じてうまくやってくんだろうし。

 高松美咲さん作画の明朗学園漫画「スキップとローファー」は、講談社の月刊アフタヌーンの2018年10月号から連載が始まり、僕の読んだコミックス第3巻の発売が2020年2月です。「スキップとローファー」は2023年1月現在、コミックス第8巻まで出てて、連載はまだ続いてますから、僕のブログのカテゴリ分け、「2020年代漫画作品」でもいいのですが、僕が読んだのがまだコミックス3巻までで、コミックス3巻掲載分が描かれたのが2010年代中になるから、ブログのカテゴリ分け、「2010年代漫画作品」としました。

スキップとローファー(1) (アフタヌーンKC)

スキップとローファー(2) (アフタヌーンKC)

スキップとローファー(3) (アフタヌーンKC)

 

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「マッシュルーム」-小池ノクト・作画-

 「マッシュルーム」は幻冬舎コミックスが刊行していたコミック雑誌·月刊バーズに2015年4月号から2017年3月号まで連載された、小池ノクト氏·作画のSFホラー漫画です。

 人間を遺伝子レベルから変えて行く薬品によって、実験体となった人間が怪物化して一般人を襲う、SFホラーの物語で、もう、ぶっちゃけ言ってしまうと映画の「バイオハザード」ですね。

 ゾンビと言ってしまっていいのかどうか、まぁ、普通の人間が感染してゾンビになるのと同じ設定で、それを少し複雑にしている形ですね。

 映画「バイオハザード」とよく似てる点は、感染して怪物になっちゃうのと、「バイオハザード」のミラ·ジョボビッチ扮するアリスは普通の人間の姿形で超人的強さになったけど、主役側にもそういう登場人物がいる。そのスーパーマンと化け物になった複数の実験体が戦うのも同じ。

 南海の未開のジャングルの孤島に、新薬開発のタネとなる植物や昆虫を捜索に来た探検隊チームの者たちが島で遭難し、そして直ぐに場面は何年後かの大都会·東京のひと区画に移る。

 孤島のジャングルで未知の菌類に侵された探検隊の1人が、東京に怪物化する菌類を体内に宿して持ち帰り、東京で感染者が出る。

 一方、大掛かりな犯罪組織がこの新種の菌類を研究開発して、普通の人間を超人化して無敵人間兵器にしようと策謀している。東京のとあるビルの中で何人もの人間に薬剤を注入して、菌類感染させて何体もの怪物人間を作り出している。このビル内は怪物兵器を作り出す実験施設となっていた。

 主役チームは、孤島探検隊の生き残りの学者と、探検隊メンバーの遺児が成長した少年、そして学者の娘なのかメンバーの遺児なのか、美少女が一人。菌類に感染して怪物化した化け物を秘密裏に始末して回っている。

 感染体の化け物人間に噛まれて感染した少年は、何故か怪物体にならずに普通に人間で意識も元のままだけど、超人になっていてメッチャ強い。この少年も主役側、つまり正義側に加わって一緒に化け物退治に向かう。

 新種の菌類が人間に感染して人間の中で増殖し人間体を乗っ取ってDNAレベルで作り替えてしまい、怪物か超人に変化させてしまう。元は菌類でキノコみたいなものだから、退治する側の主役たちは、感染者を「マッシュルーム」と呼ぶ。

 マッシュルームは時間が経つと一人の人間から増殖して分離する。怪物たちは勝手にどんどん増えるし世代が進むごとに変化して行く。主役側の少年にも分離体のそっくり超人がいる。

 マッシュルームを秘密裏に駆除する主人公·少年たちに大掛かりな国際犯罪組織が絡んで来て、これから物語は本格的に躍動して来る-というところでお話は突然終わらせられる。打ち切り的にムリムリお話終了させられる。

 全4巻読み終えてるんだけど、どういうお話の無理やり終わらせ方してたのか、忘れちゃったなぁ。まぁ、相当中途半端に物語は締め括られたと思う。

 幻冬舎コミックス発行の月刊バーズは2018年8月号をもって休刊となったから、掲載誌がなくなるのでムリムリ終わらせたのかな?とも思ったが、「マッシュルーム」の月刊バーズ連載終了は2017年3月号だった。

 映画「バイオハザード」シリーズを連想させる、小池ノクト氏のSFホラー漫画「マッシュルーム」は、大掛かりな国際犯罪組織が特殊菌類をベースに人間を怪物化させて超人兵器を作るなんて、壮大なSF風味クライムサスペンス·ホラーの物語になってたから、大長編コミックになりそうな勢いだったけど、漫画は中途半端に終わってしまった。

 連載の打ち切りっぽい終わり方だったな。コミックス単行本も全4巻で物語オシマイだし。

 でも、ホラー劇画として小池ノクト氏の描画力は迫力あって、絵の力で読ませますね。ホラー·アクションの劇画だから、スプラッター的に残酷シーン満載で、迫力満点でアクションシーンを描ききってます。

 SFホラー·アクション映画「バイオハザード」みたいな迫力を劇画描写で再現し、ハラハラドキドキ次が気になって読ませます。面白いですね。でも僕個人的には、ホラーで終わらせた方が良かったかなと思う。大掛かりな国際犯罪組織が超人兵器開発のために未知の菌類から作った薬剤で人間を大量に怪物に変えている、とか話を壮大に拡げ過ぎない方が良かった気がする。

 孤島の生き残りの人たち数人が、警察や自衛隊の協力を得てもいいけど、多くても数十人の化け物たちを退治して終わりにしたくらいの方が。

 まぁ、打ち切りで漫画は中途半端に終わっちゃってるんだけど。

  

◆「マッシュルーム」第1巻 バーズコミックス 小池ノクト・作画

◆「マッシュルーム」第2巻

◆「マッシュルーム」第3巻

◆「マッシュルーム」第4巻

 

 「マッシュルーム」の作者、漫画家·小池ノクトさんのデビューは2007年なんですね。小池ノクト氏もこれまでに描いた作品数の多い漫画家さんで、作風はだいたいホラー劇画ですね。迫力ある恐い絵の画力で読ませる、ホラー·バイオレンス劇画。

 小池ノクト氏の漫画作品で僕が読んだのは、まだ、この「マッシュルーム」全4巻と「蛍火の灯る頃に」全4巻と、「シリアルキラーランド」の1·2巻まで、だけですね。

 「蛍火の灯る頃に」は、異世界滑り落ちもの、というのか家族と親戚で父親の故郷の山々に囲まれた盆地のド田舎に帰省したら、そこは実家はあるものの他に人間がいなくて風景はそのままだが、田舎の中身が地獄に変わってしまっていた。というところから家族·親戚の十人足らずでの地獄地帯のサバイバルが始まる。

 「蛍火の灯る頃に」は2016年のコミックス発刊ですね。僕が読んだのは電子書籍漫画で2019年かなぁ。全編読んでるけど細かい内容は忘れてるなぁ。途中で地獄異世界を探るカギとなる、1人の若い女性が登場して、この異世界で見る人間は主人公たち家族の他はこの女性だけなんだよね。

 けっこう面白く全編読み終えてるけど、最終的に物語にどうオチを着けたのか忘れてしまった。生き残った家族は普通の現実世界に戻って来たのかなぁ。戻って来て、まあま、ハッピーエンドで話を閉じたのかな?何か忘れてしまった。

 「シリアルキラーランド」も面白かったなぁ。今年8月にコミックス1巻2巻が発行されてまだまだお話は続くんだけど、面白かったんで3巻も楽しみ。勿論、この漫画もホラー作品です。

 小池ノクトさんは北海道出身のご兄妹のタッグチームの漫画家さんらしいですね。だから“小池ノクト”は漫画家ペンネームですね。ほとんどの作品はバイオレンス·ホラー劇画ですね。2007年から活躍中で著作·作品数は中編·長編いっぱいあります。絵が上手くて画力で読ませますよね。

 そういえば「マガマガヤマ」という、山々の中の森林の中にまつわる怪異に特化したオムニバス短編集のコミックスを途中まで読んでたな。あれも小池ノクト氏·作画のホラー漫画だ。深い山々の中を通る道路に出る幽霊とか、山中の伝説的な恐ろしい山神さまとか、山の中の底なし沼の池にまつわる怪異だとか。そういう短い話のオムニバス短編が続くホラー漫画。

 SFホラー·アクション漫画「マッシュルーム」の物語の中心テーマは、南洋の孤島で発見した新種の菌類が、人間の中に入り込むと、つまり感染すると、その人間を乗っ取って怪物に変える。怪物はしばらくすると勝手に増殖するし進化して変体して行く。人間時の知能とか記憶とかも残ってるけど本能的で残忍になる。

 漫画「マッシュルーム」の中の被感染怪物を物語中で“マッシュルーム”と呼ぶ訳ですが、この漫画作品も広義の“ゾンビもの”ですよね。

 “ゾンビもの”の創作物には、自然の中にあるウイルスとか細菌、あるいは宇宙から隕石とかロケットにくっついてきた未知の微生物、それと科学開発の上でできあがった薬剤、こういうもの由来で普通の人間がゾンビになってしまう物語設定ですよね。自然のウイルスや細菌を科学実験の上、人間をゾンビに変える薬物を開発した、という設定もあるけど。

 1980年代90年代2000年代にシリーズで作られたアメリカのゾンビもの映画で「バタリアン」というコメディタッチのホラー映画があったけど、あれはゾンビになってしまう由来が、アメリカの軍部で極秘開発されたガス兵器が、死体をゾンビとしてよみがえらせるという設定でしたね。

 だいたいゾンビものって、漫画「マッシュルーム」もそうだけど、ゾンビ化した怪物が普通の人間を噛んじゃうと血液感染して、噛まれた人間もゾンビになってしまうという設定ですよね。ゾンビになると人間を食べたくてしょうがなくなる本能が働いて人間を襲って食べるけど、やたらただ人間を襲って噛むだけ、っていう設定もありますね。

 人間を食べないゾンビは何処から活動するエネルギーを得ているのか不思議ですけど。まぁ、動きがのろのろしてるから活動にそんなにエネルギーは使わないかも知れないけど。でものろのろでも活動する限りエネルギーは消費するから、何か栄養分みたいの摂らないと動かなくなってしまうものだろうけど。

 

 今年に入って、夏ごろに読んだのかな、電子書籍漫画で「町田ゾンビーズ」というゾンビもの漫画を読んだのだけど、イマダリュウジさんて漫画家さんの作品で今年12月現在コミックス5巻まで出てる、東京都町田市が舞台の、やっぱりホラー漫画かな、というより地域パニック漫画かな、夏ごろ4巻まで読んで、ちょっと内容の方向性が変わって来た5巻は11月ごろ読んだのかなぁ、読み始めたらけっこう面白いゾンビ-生活パニック漫画だけど。

 ゾンビがウヨウヨ増えて行ってゾンビ怪物が氾濫すると、世の中そのものが大きな社会現象となり国家規模の大問題となる訳だけど、この漫画は町田市という小さな地域の一家族や個人個人にスポットが当てられて物語が進み、ゾンビ氾濫社会になると、個人の生活がどうなるか、が語られて行く。だからゾンビ物語だけど、社会的に大きく捉えて語るんじゃなくて、身近な個人の生活のパニックとしてストーリーが個人的に語られる。

 「町田ゾンビーズ」は5巻からかな、4巻の後半くらいからかな、物語の方向性が大きく変わる。主人公たちが二次的な難問題に入ってしまう。ゾンビがウヨウヨ氾濫という社会の中で普通の人々がサバイバルを強いられて、何とか生きようとして行く訳だけど、人間ってとても大きな困難が目の前に現れると、人間どおし集まってチームとなって、その困難に立ち向かうじゃないですか。そのチームには自然とリーダーも生まれて来るし。

 パニック社会というかサバイバル社会というか、どうしようもないくらいの危険と隣り合わせの世界で精一杯生きて行こうとする中で、人間は集まりチームを作るけど、自己中で残忍で支配的な人間がチームのリーダーとなり、その集団を手段を選ばず拡大して、その大きな集団の王となろうとする場合も出て来る。

 自己中で残忍なリーダーは集団の中の人間が何人も死んでしまおうが構わない。ゾンビ世界の中でこういうリーダーの集団に狙われたり捕らえられたりしたら、やっかいな二次的被害となる。

 「町田ゾンビーズ」のお話は、花沢健吾氏のゾンビ世界漫画「アイアムアヒーロー」にも似てるかな、と思う。物語の設定とストーリーの進行具合がですね。

 アメリカの大ヒットドラマシリーズの「ウォーキングデッド」も「アイアムアヒーロー」もそうだけど、必ず災厄から避難する人々が大勢集まり、集団やコロニーを作り、ゾンビ世界の中でその集団の中で人間どおしの問題が起こったり、その集団そのものが問題だったりしますね。

町田ゾンビーズ 1巻: MACHIDADEAD

町田ゾンビーズ 6巻

 

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「限界集落(ギリギリ)温泉」1~3巻

 「限界集落-ギリギリ-温泉」は、KADOKAWA-エンターブレインが発行する月刊雑誌「コミックビーム」に2009年7月号から2012年3月号まで連載された鈴木みそ氏作画のストーリー漫画。コメディタッチで描きながらも地方の限界集落とその復興という、現実にある難しい問題をテーマの柱にして、ネット時代のサブカルチャーをふんだんにあらわしてストーリー漫画世界を形成している秀作コミック。

 「限界集落(ギリギリ)温泉」の作者、鈴木みそ氏の名前はペンネームで、漫画「限界集落温泉」の舞台は伊豆半島の山村の過疎地ですが、鈴木みそさん自身も伊豆半島の下田市出身です。だから作品の内容にだいぶ思い入れがあるようです。

 鈴木みそ氏は高校生の頃から雑誌投稿し、大学浪人時代は雑誌の編集のアルバイトをしていたようです。またその時代にプロの漫画家のアシスタントも経験している。20歳で東京芸大に入学してるから凄いですね。

 東京芸大に通いながらもゲーム雑誌の編集の仕事をしていて、ゲーム誌関係の仕事があまりに忙しく大学の出席日数が足りなくて除籍処分になったとか。東京芸大の学歴勿体ないですが。入っただけでも凄いけど。多才な方ですね。

 漫画を描いて雑誌に発表し始めたのが20代半ば頃からで、そこからゲーム雑誌や麻雀雑誌、一般青年コミック誌などに続けて漫画を描いて行ったようですね。本当に多才ですね。

 ここからはネタバレになります。この間、コミックス3巻まで電子書籍で読んで、けっこう内容記憶してるんで、割りと細かくお話の流れを書き込んでます。これから漫画「限界集落-ギリギリ-温泉」を読もうと思っていらっしゃる方はこの先は読まない方が、漫画を楽しめるかも。先に割りと詳しいお話の流れを知っていても漫画を楽しめる方はどうぞお読みください。

 都会の仕事生活が嫌になり逃亡したゲームクリエイター·溝田とおるは、伊豆半島のとある山村のかつては賑わった温泉地でホームレスとなり、山の中の洞窟でサバイバルみたいに暮らしていた。

 温泉地は限界集落化していて廃れ、幾つか残った温泉旅館も客が全く来なくて寂れた温泉地となっている。その一つの温泉旅館は廃墟化していて幽霊屋敷の噂が立っている。

 電気も止められた真っ暗な温泉旅館に暮らす小学生·山里龍之介は、いたずら好きでホラを吹いて友達をからかったり、自分から自分の住む廃墟旅館を幽霊屋敷だと噂を流したりして、友達を驚かせたりしている。しかし小学生ながら利発で賢い子である。

 龍之介の父親で廃墟化した温泉旅館·山里館の主、山里康成は基本ネクラ·ネガティブで心配性の後ろ向き思考、経営の才がなく大借金を作り、山里館はその抵当に入り取り壊しが予定されている有り様。女房に死に別れ、一人息子·龍之介は父子家庭育ち。文学青年然として中年に差し掛かり、小説を書いているが勿論、全く芽が出てない。

 ひょんなことから洞窟で暮らす溝田とおると、小学生の山里龍之介が知り合い、溝田とおるは電気の点かない山里館にやって来て、まだ充分使える温泉に入って楽しむ。溝田は山里父子と打ち解け、山里館の事情を知る。

 都会での仕事に追われる生活に疲れきって逃亡して来た溝田だったが、限界集落温泉·山里館の再生に興味が湧いて来て、失ってた“やる気”が出て来る。

 一方、そこに同じく逃亡して来た地下アイドルが現れる。コスプレイヤーのネットアイドル·アユはメンヘラ気質で建て前、死に場所を求めて伊豆の田舎の過疎地の山村へと流れ着いた。

 精神的に病んで都会のアイドル仕事から逃亡して来たものの、自分のブログなどに自殺をほのめかす書き込みをして、また、ファンたちに知れるように逃亡先などの大量のヒントをネット上に残す。

 絶望的気分のアユだが、いざ自殺となると、自分のファンたちに心配して貰って遠路止めに来て欲しい気持ちが潜む。メンヘラ気質のアユは山村の廃墟化している温泉地をさまよう。

 アユが小学生·龍之介と知り合い、廃墟旅館·山里館にやって来て温泉に浸かる。アユと山里康成、溝田とおるが知り合い、アユは山里館に逗留することとなる。

 逃亡したアユがネット上に残したたくさんのヒントを推理し辿って、ネットアイドル·アユのファンたちが大挙して限界集落の山村に押し寄せる。ドルオタは見る限り全部男性かな。

 温泉旅館·山里館の再生に燃える溝田とおるは、アユとアユを追ってやって来たたくさんのファンの男性たちを温泉地の復興の手始めに利用しようと考える。

 廃墟と化して取り壊し目前まで来ている山里館は、アユを追って来た大勢のドルオタたちが入って泊まり、一時的に賑わい復活する。まだ温泉施設(大浴場)自体は生きている。

 かなり高額な借金の抵当に入っている山里館全体の権利を、現在持っているのは、この地域のボスで旅館組合理事の老人·川辺。山里館を壊して入浴施設として建て替え、自治体に売る計画を考えていて、今にも山里館を壊したい意向で山里康成に早急な立ち退きを迫っている。

 アユを追って来たドルオタの中にはさまざまな才能のある連中がいる。売れない漫画家、精巧なフィギュアを作れるオタク、機械に強かったりIT 技術を持っていたりゲームやネットに詳しい者。

 才気あふれる溝田とおるは旅館再生に燃えて、さまざまなアイデアを考え、技能·技術を持つ各オタクを使って、利発な少年·龍之介と相談しながらイロイロと行動を起こす。

 先ず手始めに、超高齢化過疎地の老人ばかりのところだから、自宅にさまざまな骨董があるだろうと見て、ネットのライブ配信でテレビの人気番組の「なんでも鑑定団」みたいなイベントを旅館内で開催し、ネット上に流す。

 今のYouTubeのライブ配信みたいなもんかな。インスタライブとかみたいな。この時代だからニコ動みたいなものだろうか。ネットのライブ配信でこの地域限定の「なんでも鑑定団」をやって全国に流し、メインMC はちょこっと変装した溝田でアシスタントをオタク超人気のコスプレアイドル·アユにやらせる。全国のオタクが番組に喰い付く。

 限界集落農家の家々にはたいした代物はなかったけど、口先三寸·溝田のぺてん師的なお喋り力でガラクタでも売れて行き、農家の爺婆と都会から来たオタクとでイベントは盛況となり、百万円近い稼ぎが出る。

 この稼いだ金を建物の権利を持つ川辺爺ィに渡す。ここには何か溝田のからくりがあるんだよな。古い旅館の山里館には値打ちのある骨董もあって、値打ちのありそうな物はあらかた川辺爺ィが持ってったんだけど、何かそういう品も絡めて溝田が策略を行い、川辺に大金を渡す。それが借金返済の一部となり、一部でも返済したら金を返す意思があると見なされ、建物の売却は一時ストップできる。

 このあたりの仕組みは経済に疎い僕にはよく解らないし、漫画の読み込みが足らなくてあやふやな説明でごめんなさいなんだけど、溝田の活躍で一応、一時的に旅館の解体は免れる。けっこうな人数のオタクが宿泊してるんで旅館は営業できてる。

 それでこのイベントでだったかまたもう一つ先のイベントでだったか、コスプレアイドル·アユにムリムリ歌を歌わせる。これがもうメチャクチャひどい。アユはルックスはメッチャ可愛いが超絶オンチだった。この超ヘタクソ歌唱もネットで全国に流れるんだよね。

 まぁ、アイドル·アユは主食はカップ焼きそばだし中身は変てこりんな女の娘なんだよね。アイドルってネット上で人気だけど、やっぱどっちかというと地下アイドルカテゴリだよな。

 アイドル·アユは自分の歌唱がメチャクチャ·ヘタクソというのがみんなに知れ渡ったことに大いに傷付く。嫌だ嫌だと強く拒否したのにムリムリ歌わされたことにも腹を立てていた。

 傷心のメンヘラ·アユは村の川に飛び込もうとする。これは決行するんだっけかなぁ?龍之介くんと、村役場の職員でアユの大ファンで見た目禿げ上がり掛けたオッサンだけど実は若者の康二の二人に助けられる。龍之介に諭され励まされてアユは、傷心のままだけど、まぁ立ち直る。

 役場職員の康二は村のドン·川辺の手先となって山里館明け渡しに動いているが、性格が優柔不断ではっきりせずどっち着かずなので、溝田率いる山里館オタク·チームと権力者·川辺サイドを行ったり来たりして、二重·三重スパイみたいになってしまう。

 山里館とその周辺に集まってた、アユ目当てでやって来た大勢のオタクたちは、溝田発案の野外のバーベキュー飲み会など楽しんでたが、みんな仕事持ってたり学生も居るしそんなに長逗留もできずぼつぼつ山村から帰り始める。ネットで全国に流れたアユの超絶オンチの歌は意外や意外、話題となる。

 その内、アユも東京に戻るんだよね。再び人気に火が着いて話題になったからだっけか?溝田ともちょっと対立して、本当に死ぬ気があったかどうかの川に飛び込む自殺も失敗したし、機嫌悪くなったアユは山里館を離れて東京に戻る。

 一方、地域のドン·川辺には遊んで暮らしてる次男坊が居て、この伊豆雄という不気味な雰囲気の若い男が性格が悪くて頭がキレる。この物語の悪役ですね。ヒーローが溝田とおるならヴィランが川辺伊豆雄。

 役場職員の康二は気弱でどっち着かずで、イズオの手下となって動いている。優柔不断ではっきりしないから何でもベラベラ喋るし、溝田の言うことも聞いたりしてる。

 アイデアマン·溝田が次々と案を出して龍之介と共に考え、能力を持つオタクたちを使って山里館は再生に向かうが、一番の目玉のアユは東京に戻る。これは確か、悪知恵·イズオの策略でオタクたちが分断·バラバラになって行ったんだよね。

 失意のアユがおっとりして心優しい善人の山里康成とデキてしまうのが理由としてある。アユと康成が良い仲なのが見えてしまってオタクたちが疑い始めて、イズオの策略からオタクたちが山村から離れて行き、人気の復活したアユをヒトノイイ康成がアユ自身のためにと送り出し、アユは失恋気分で怒って都会へ帰って行く。

 

 そして山里館落城の最終兵器として、イズオが美人のお姉さんを山里館へ送り込む。お姉さんって別に川辺の娘じゃなくて川辺親子とは無縁だけど。

 美人のお姉さん·中願寺有希は山里館にボランティアとして入り、率先して掃除や炊事と旅館内で働く。旅館に残った何人かのオタクたちはスタイルの良い黒髪ロング美人の有希の清楚で働き者の性格の良いイメージに参ってしまい、直ぐにも都会に戻るつもりが旅館に残ることにする。

 溝田とおるだけは中願寺有希を全面的に信用せず少々疑いの目で見ている。働き者の有希は山里館に溶け込む。これはもうネタバレしてしまうんだけど、イズオの使者·康二と有希のやり取りを旅館に残ったオタクに立ち聞きされ、有希の正体がバレる。

 有希はイズオの司令に反発し、自分自身の考えで山里館に居るのだと主張する。実は有希の目的は、自分の信仰する宗教の勧誘でこの山村をボランティアで回っているのだった。後で旅館内でオタクらと人生観や哲学で討論が繰り広げられる。有希はゴリゴリの信者だった。

 都会で再び芸能生活に戻ったアユは人気に火が着いていて、芸能事務所サイドがこの際どんどん売り出して稼ごうとしている。アクの強いゴリ押し剛腕デブ女マネージャーにムリムリ仕事させられ、超ヘタクソな歌を歌うことを強要されて悩むアユ。

 何が何でも歌わせようとするマネージャーから逃げるメンヘラ·アユは、またも死にたくなって伊豆へ逃亡、山里館に戻って来る。

 アユの戻って来た山里館には美人の中願寺有希が居た。山里館再生に燃えてる溝田とおるは再びアユを利用することを考える。

 康二のネット書き込みから芸能事務所サイドにアユの居場所が知れて、剛腕マネージャーがアユを連れ戻しに伊豆に入って来た。これを利用しようとイズオが画策する。しかし溝田がマネージャーと交渉し、一時的にアユを温泉地で活動させる提案で納得させる。

 旅館取り潰しを急ぐイズオと山里館再生に懸ける溝田の頭脳戦の攻防。ここまでが「限界集落(ギリギリ)温泉」の1~3巻までのお話の流れですね。漫画「限界集落温泉」は全4巻だからあと4巻のみです。

    

限界集落(ギリギリ)温泉第一巻 Kindle版 鈴木みそ  (著)  形式: Kindle版

限界集落(ギリギリ)温泉第二巻 Kindle版 鈴木みそ  (著)  形式: Kindle版

限界集落(ギリギリ)温泉第三巻 Kindle版 鈴木みそ  (著)  形式: Kindle版

限界集落温泉 1巻 (BEAM COMIX) コミック – 鈴木みそ  (著)

限界集落温泉 2巻 (ビームコミックス) コミック – 鈴木 みそ  (著)

限界集落温泉(3) (ビームコミックス) コミック – 鈴木 みそ  (著)

限界集落温泉4巻 (ビームコミックス) コミック – 鈴木みそ  (著)

限界集落(ギリギリ)温泉第四巻 Kindle版 鈴木みそ  (著)  形式: Kindle版

Xてんまでとどけ アイゾー版 単行本(ソフトカバー) – 鈴木みそ  (著)

ナナのリテラシー1 Kindle版 鈴木みそ  (著)  形式: Kindle版

銭 壱巻 (ビームコミックス) Kindle版 鈴木 みそ  (著)  形式: Kindle版

僕と日本が震えた日 (リュウコミックス) コミック – 鈴木 みそ  (著)

アジアを喰う―8ケ国ゆらゆら喰って寝るッ! 単行本 – 鈴木 みそ  (著)

  

  漫画「限界集落(ギリギリ)温泉」を読んでて思い出したのは、2015年の冬に放送されたNHK のドラマ「限界集落株式会社」でした。2015年の1月末から2月末までの夜9時から放送された全5回のドラマですね。

 ドラマは過疎化と高齢化で限界集落化した、地方のある農村が舞台で、都会の経営コンサルタントの40歳のある男がやって来て、あの手この手とアイデアを出して農村に特化した地方再生を図る。

 この経営コンサルタントがどうして過疎村にやって来たのか?とか細かな内容は、6年前にドラマを一回見たきりだから忘れちゃったけど、ヒロインとなる松岡茉優扮する農家の娘と、若いとき都会に出て行って戻って来た40歳くらいの、反町隆史扮する再び農業に従事して熱意を持つ、ヒロインの男親と、この、谷原章介扮するやり手の経営コンサルタントが強力して、老人ばかりの地域農業を活性化させて収益が出るように持って行く、地方創生ドラマ。

 でも結局、このドラマもアイデア出してそれに沿って活発に動き回っているのは比較的若い人たちでしたね。漫画「限界集落温泉」でも廃れた温泉地再生に奔走するのは、溝田とアユと龍之介くんとオタクたち、ってみんな若い。小学生から20代·30代の人たちばかりですよね。

 老人ばかりの限界集落も、そこを活性化させて再生に持って行くのは、そこに暮らす老人たちではなく、結局、比較的若い世代なんですね。しかも限界集落には若者が居ないから都市とか他からやって来た若者たち。限界集落に戻って来た若者、というケースも稀にあるかも知れないけど。

 やっぱ根本的問題は少子化だなぁ。進む少子化。毎年毎年年追う毎に出生率は下がって行ってるし。やっぱり社会を動かすのは“若い力”でしょう。日本の社会を支える労働力も足らなくなって何だかんだ理由着けて外国人労働者を補給して行ってるし。

 廃れた温泉地の活性化はもろ観光だし、限界集落農村も結局、観光みたいなもんですよね。他の市や県から大勢の人がやって来てお金を落として行かないと町や村は生き返らない。

 コロナ禍下で痛烈に感じたのは、人が動かないと経済は回らないんだなぁ、ということでした。とにかくね、社会を回すって人が動くことなんですね。改めて思い知った感じです。リモートで仕事するったって業種や職種が限られるし、知れてますもんね。大部分の仕事も観光も遊興も買い物も人が動かないと始まらない。

 ドラマ「限界集落株式会社」の東京から来たアイデアマンの経営コンサルタントの出した手法は村の特産品を作る、これは完全無農薬野菜でしたね、それからもう昔から各地方各地にある“道の駅”みたいな特売所、あと都会の人たちを貸し切りバスで呼んでやる一日農業体験、くらいだったかな。もっと何かあったのかなぁ。産直のネット通販はやるだろうし。やっぱり地方の農業の活性化には特産品は必要ですね。

 田舎の農地に、会社としての大規模農業や農産物の工場を作る、というのもあるけど、雇い入れるとしたらそこに住む多くの老人ではなく比較的若い人たちでしょうからね。企業があれば若い人たちが移住して来るとか、農業やりたい若者の移住とかもあるけど。でも各地の“道の駅”とかで働いている高齢者ってけっこう多いですけどね。

 漫画「限界集落(ギリギリ)温泉」の中では今のネット時代を反映して、廃れた温泉地の村興しに、アイドル、ネット動画のライブ放送、一つの秀でた技能·技術を持つ各オタクたちの活用、などと今の日本中の問題である地方の高齢化と過疎化を問題提起して、ちょっとぶっ飛んでる感もあるけど解決案まで考えて見てる。今の時代にとても良い漫画作品ですよね。

 

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☆最近読んだ比較的新しい漫画

 このところ電子書籍で比較的新しい漫画作品を読んだ。ざっと上げると「蛍火の灯る頃に」1~3巻、「ギフトプラスマイナス」1~3巻、「BIGIN -ビギン-」1~2巻、「ロウヒーロー」1巻、「ダイナー」1巻、「デストロ246」1~2巻、「モンキーピーク」1~8巻、「ドクムシ」1巻、「マイナス」1~5巻といったところかな。山崎紗也夏氏作画の「マイナス」は90年代雑誌連載作品だから、けっこう古い漫画作品に入るかも知れないが。

 この中で面白かったのは「ギフトプラスマイナス」かな。「モンキーピーク」も「デストロ246」もけっこうあれよあれよと読ませて行くけど。この3作品は続きが読みたくなる漫画だったな。興味とか興奮を誘う。読んだ巻以降の続巻も出てて、僕はまだ読んでないんだけど。

 「ギフトプラスマイナス」は臓器売買をテーマにしたクライム劇画。臓器売買犯罪が一本の主軸でそれに関わる闇医師や犯罪組織、主人公になる、臓器提供者となる(無理無理臓器提供者にされる)、法の網をすり抜ける悪人を始末して臓器を抜き取るハンターの女子高生と、その協力者というかオーナーみたいなもんかな、ヤクザ組織のボンボンの若者。元刑事の探偵や警察サイドや中華マフィアなどが縦横に絡む、女子高生犯罪グロ劇画。

 「ギフトプラスマイナス」は2015年から週刊漫画ゴラクに長期連載されてて、コミックス既刊18巻で2020年4月現在も連載中という大長編犯罪アクション劇画。

 「デストロ246」は月刊サンデージェネックスに2012年から16年まで連載され、コミックスで全7巻で刊行された美少女アクション劇画。主な登場人物が全て女子高生の殺し屋という、拳銃·マシンガン·ナイフの殺し屋バトルアクション漫画。女子高生ロリコン·アクション劇画かな。こういうの好きな人には堪えられない、美少女コスプレ・ロリコン描写満載のバトルアクション漫画ですね。美少女描写も上手い。

 「モンキーピーク」は山岳サヴァイバル劇画かな。普通の山岳遭難ストーリーじゃなくて、復讐犯罪とモンスターが絡むサヴァイバルもの。「モンキーピーク」のモンキーが怪物なんだよね。極寒の高峰で怪物に襲われ殺されして、生存を懸けて、逃避·避難·戦闘を繰り返して行く山岳サヴァイバルコミック。週刊漫画ゴラクに2016年から19年まで連載され、コミックス全12巻で刊行された。

   

 「ロウヒーロー」は劇画タッチで描くギャグ漫画かな。今の時代、“劇画”って呼び方はしないのかも知れないけど。比較的写実的タッチというかリアルな画風のコミック。内容はコメディというかギャグ調が強い。下ネタも多いし。

 今の漫画家さんは、美術系大学や、大学のイラストレーション作画の専門学部やイラスト·アニメの専門学校出て漫画家の道に入った人が多いから、みんなけっこう絵が上手いですよね。描画の達者な漫画家さんが多い。青年コミックとか見てると似たような画風が多いですね。何か、皆さん絵が上手くて画風の方向性が似てると思うな。勿論、みんな個性はあるんですけどね。

 最近の漫画家さんはペンタブ·液タブ使ったりして、パソコン画面上で作画してる人も多いですね。

 「ロウヒーロー」は講談社の青年コミック誌イブニングに2018年から20年4月現在連載中。コミックス既刊4巻。

 「マイナス」も最初どうかなと思ったけど、読み始めたらけっこう面白くて、この漫画もあれよあれよと5巻まで全編読んでしまったな。この作品は90年代後半に週刊ヤングサンデーに連載された漫画で、上記で挙げた作品の中では比較的古いものになる。この漫画作品はピックアップしてまたの機会に感想記事を書くかな。とも思う。

 「ドクムシ」はゲーム殺人ものかな。閉鎖空間に数人の人間が閉じ込められて一人一人殺害されて行くジャンルのホラーもの。映画だと「キューブ」とか「ソウ」とかを思わせる内容。廃墟の学校の出入口や窓を全部鉄板で塞いで逃げられなくして、閉じ込めた数人に自然に殺し合いするように持って行く、誰か見えない支配者が殺人ゲームを楽しむ趣向のホラー·サスペンス。

 「ドクムシ」はもともと小説で発表されたものをコミカライズした漫画作品ですね。双葉社アクションコミックスで全6巻。2016年に実写映画化されて劇場公開されてるんですね。

 この中で「ギフトプラスマイナス」と「デストロ246」は僕が、続きが読みたいなー、と思った漫画作品ですね。面白かったです。まぁ、ここに挙げた漫画はみんなけっこう面白かったから読んだんですけど。「モンキーピーク」もストーリーそのものは割りとシンプルなんだけど、あれよあれよと8巻まで読んじゃったし。

 漫画本ってやっぱ高いですねー。雑誌じゃなくてコミックス。コミックスは新書判で4百何十円から5百円、B6判で6百円台するでしょう。これが小説の活字本だったら千円台後半から2千円台、文庫本で数百円から千円ちょっとくらいの値段だけど内容が濃い。小説(活字本)は読むのに時間が掛かる。一冊の小説本読み上げるのに、読み手の速度にも寄るけどかなり掛かるでしょ。一冊の活字本でかなりストーリーが進む。一冊の小説本で長時間から何日も楽しめる。

 今の漫画ってビジュアル重視だから迫力ある画面を多用する。絵で見せるから大画面が多いですよね。昔の漫画って1ページに12コマから7コマあったけど、今のストーリー漫画は1ページに多くて5コマか6コマで、1ページ2コマとか3コマ、1ページまるまるひとコマで使ってることもある。中にはタマに見開き2ページひとコマもあるし。コミックス1冊読み上げるのが早い早い。若い読者なら1冊15分から20分で読むんじゃないですか。まぁ、30分くらい掛かる読者も居るかも知んないけど。ストーリーの内容にも寄りますけどね。割りとセリフの多い漫画とか。まぁ、今の漫画はできるだけ活字での説明を使わずに、絵の流れを使って読者に解らせるって傾向ですからね。

 だからコミックス単行本1冊で、ストーリーがあんまり進んでないことが多い。小説本だと前·後編全2巻の物語が、漫画のコミックスだと全10巻くらい掛かったりすることもある。

 コミックス単行本読んでて1冊が高いなぁ、って思うことは多い。1冊650円するとして全8巻の漫画読むと、物語読み終えるのに掛かる費用は5200円ですよ。それに雑誌の連載漫画は人気が出ると、出版社や編集者が引き延ばし引き延ばしするから物語がやたらと長くなる。人気漫画作品はどれもこれもコミックス10巻以上の大長編になってしまう。

 しかし、特にストーリー漫画ですけど、漫画原稿を描き上げる作業は、かなりハードワークですからね。漫画家一人で仕事すると1日に原稿せいぜい二枚か三枚くらいしか仕上げられない。だから多くのプロ漫画家はアシスタントを雇う。アシスタントの給料はその漫画家さん持ちです。

 週刊誌の人気作品や雑誌何本もの連載を抱える売れっ子漫画家さんは、大量の原稿を仕上げるためにアシスタントをいっぱい雇わなければならない。売れっ子漫画家は雑誌の原稿料だけでは赤字だと聞きます。

 漫画家さんはコミックス単行本で稼ぐんですね。漫画作家に取ってはコミックスの値段が安いと印税も少なくなるから儲からない。だからコミックスが高いのもある程度仕方のない面もあるんですね。

 だから紙の代金も印刷代も流通経費も掛からない電子書籍の値段がそんなに下がらない。紙製の実物本に対して電子書籍の値段って、せいぜい百円そこそこくらい安いだけでしょ。出版社の著作権料と作家に払う印税の問題で下げられないんでしょうね。

 電子書籍もサブスプリクションが増えて来たけどな。新しい漫画本はまだまだですね。高い。

 電子書籍はデータだけなんだから、紙製実物本の半額でもイイくらいだと思うが、半額が出版社や著者がキツいならせめて3分ノ2くらいの値段でもイイんじゃないのか。と思うな。電子書籍漫画サイトの漫画図書館Zとか4ページに1回くらい全面広告挟んで読書料タダにしてるじゃん。ああいうのも取り入れて新しい漫画作品の電子書籍ももっとずっと安くして欲しいな。ユーチューバーみたく著者に広告収入上げるようにして。

 仮に面白い漫画、電子書籍で買って全10巻だったら、一冊仮に650円としても全10巻で6500円。6500円と言ったらけっこうな金額ですよ。小説一冊読み上げるのには普通かなり時間が掛かる。だが漫画本一冊読むのは早い。早い人は一冊10分~15分で読む。面白いから電子書籍次々購入する。あっという間に6500円。やっぱ高い。紙の実物本なら読んだ後、ブックオフみたいな新古書屋に持って行けば何分の1かは回収できるけど、電子書籍ではそれができない。また実物本は回し読みができるけど、電子書籍を回し読みしようとすればデバイスごと相手に渡すしかない。電子書籍デメリット多いのに高過ぎ。サブスプで90年代くらいまでの漫画が中には無料というのもあるけどね。

 「BIGIN」は、かつて90年代に数多くの熱狂的ファンを生んだ、名作「サンクチュアリ」の原作·史村翔-作画·池上遼一コンビによる、リアル味溢れる、思想的·政治性バイオレンス·クライムアクション劇画。

 今回の舞台は政治の熱き波動が渦巻く沖縄の地。一方の主人公は憂国のヤクザ者。同じく国の行く末を憂えるはみ出し者の警察官僚、沖縄ヤクザ、本土大組織のヤクザ、沖縄の大規模軍事基地を運営するアメリカ政府サイド高官、中国共産党高官や中国海軍、中国人犯罪組織、沖縄独立運動組織などが入り乱れて、沖縄政治の水面下で血生臭い暴力犯罪が多発する、フィクションの政治バイオレンス·クライムアクション劇画。

 「BIGIN」は小学舘の青年コミック誌「ビッグコミック·スペリオール」に2016年から20年初頭まで連載されて、ビッグコミックスで全9巻で刊行されました。昭和·平成の絵師·池上遼一先生の圧倒的画力で描き切る入魂の劇画。って僕はまだ2巻までしか読んでませんが。

 「蛍火の灯る頃に」は、異世界滑り込みパニックホラーとでも言いますか、山々に囲まれた僻地のような山村にやって来た家族たちが、その地域が閉ざされてしまい出られなくなってしまう。そこは正に地獄のような場所となり、夜ともなればさまざまな怪物が跋扈し、数々の災難が、その地に取り残された家族たち数人に襲い掛かる。異世界サヴァイバルホラー漫画ですね。

 この漫画読んでて、以前読んだ篠田節子さんのホラー小説「神鳥-イビス-」を思い出しました。一部だけど部分的に似た雰囲気がある。

 「蛍火の灯る頃に」は双葉社の月刊アクションに連載されてたのかな、アクションコミックス全4巻で刊行されました。

 あ、そうだ「ダイナー」も1巻だけ読んでるんだった。「ダイナー」は、2007年にこのミステリーがすごい!ランキングで第1位を取った「独白するユニバーサル横メルカトル」の作者で、日本推理作家協会賞や冒険小説協会大賞も取っている、ミステリー·ホラー作家の平山夢明氏の代表作の一つで、漫画版はこのサスペンス·クライムアクション小説のコミカライズです。

 漫画「ダイナー」は、2020年4月現在コミックス既刊10巻で、集英社の週刊ヤングジャンプ~となりのヤングジャンプに連載中です。「ダイナー」は2019年に蜷川実花監督で実写映画化されましたね。僕は小説も読んでないし、まだ映画版も見てませんけど。

◆モンキーピーク the Rock (1) (ニチブンコミックス)  コミック –  志名坂 高次 (著), 粂田 晃宏 (イラスト)

◆BEGIN (1) (ビッグコミックス)  コミック – 史村 翔 (著), 池上 遼一 (イラスト)

◆マイナス 完全版(1) (ビームコミックス) コミック – 山崎 さやか (著)

◆ギフト±(1) (ニチブンコミックス) コミック – ナガテ ユカ (著)

◆ドクムシ : 1 (アクションコミックス) Kindle版 八頭道尾 (著), 合田蛍冬 (著) 形式: Kindle版

◆RaW HERO(1) (イブニングKC) コミック – 平本 アキラ (著)

◆蛍火の灯る頃に : 1 (アクションコミックス) Kindle版 竜騎士07 (著), 小池ノクト (著) 形式: Kindle版

 

(2023年1月)前に岡田斗司夫さんのYouTubeの切り抜き動画を見て、なるほどなぁ、と納得したんだけど、大量の紙代、印刷料、製本料、輸送費等々のお金が一切懸からない電子書籍と実物のある普通の紙の本の値段がほぼ同じ料金だというのは、電子書籍の値段をぐんと安くしてしまうと町にある本屋さんの実店舗がなくなってしまうからだそうだ。そりゃあ半額なら電子書籍で買うわなぁ。

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●漫画・・ 「ゴルゴ13」 -流星雨の彼方で-

 今回のゴルゴのミッションの舞台は、真空・無重力の宇宙空間です。今回の‥って、別冊ビッグコミックNo.192-7月13日号-ゴルゴ13シリーズの、巻頭第一話です。タイトル「流星雨の彼方で」。このお話の一面のテーマは、“スペースデブリ”ですね。スぺースデブリとは人類由来の宇宙のゴミです。タイトルにある“流星雨”もあるんですが、こっちはメテオロイドと呼ばれる、隕石群ですね。大小の隕石や、その欠片など宇宙塵と呼ばれる、もの凄い量の大小の宇宙の塵芥。ゴルゴ13は、宇宙空間での狙撃という、神ワザ・ミッションに挑む。まあ、ゴルゴの仕事はいつもいつも神ワザですけど。今回はゴルゴの仕事は「宇宙」です。

 米ヒューストン·NASA の一人の職員、ポールは仕事中に、日本人の仕事関係の友人、二人が見つけて教えてくれた、現在は粗大ゴミと化した古い人工衛星のコトを調べていたら、その古い衛星が、旧ソ連時代のキラー衛星であると突き留めた。そしてこの衛星を調べ続けて、ロシア宇宙局のネットの中まで入って探る内に、ポールは偶然、キラー衛星の制御パスワードを知ってしまう。もう長い間使われていなくて、宇宙のゴミとなっているキラー衛星は、実はまだ生きていた。制御パスワードさえ解れば、キラー衛星を操ることができるのだ。日本人の友達の忠告も聞かぬまま、ポールは思わぬものを手に入れて浮かれていた。キラー衛星とは、対衛星攻撃兵器だ。

 今はスペースデブリとなっている、旧ソ連のキラー衛星の起動システム浸入用の、制御パスワードを偶然、手に入れたNASAの一職員、ポール。ポールに近付く謎の白人美女。美女のハニートラップにいとも簡単に掛かり、美女とベッドを共にするポール。謎の美女·ルーシーは白人ながら中国側の工作員で、NASA に潜り込んでいた。ルーシーは中国工作員でありながらイラク国内のアルカイダとも繋がりを持っていて、もともとCIA からも目を付けられていて、イラク関連のスパイ事件の捜査線上に名前が上がっていた、CIA の要注意人物だった。

 ルーシーの籠絡にいとも簡単に落ちたポールは、ベッドの寝物語でルーシーに旧ソ連キラー衛星の暗号パスワードを話してしまい、その後あっさりとルーシーに毒殺されて始末される。CIA に終われるスパイ、ルーシーは焦り、我を失い事故死する。中国工作員であるルーシーが何故、盗んだキラー衛星の暗号パスワードをアルカイダに渡したかというと、アルカイダの目的は、キラー衛星を作動させて、国際宇宙ステーションIS をミサイル攻撃して宇宙テロを仕掛け、国際宇宙ステーションを軸に行っている、アメリカと西側諸国の宇宙開発に大きな打撃を受けさせて、アメリカ及び西側の信用を失墜させることにある。テロの犯人はアルカイダであり、その犯行に寄って中国に取ってはおいしい思いができる。中国に罪が掛かることはなく、あくまで宇宙テロの犯人はアルカイダである。だから本来、中国工作員であるルーシーの行動を、中国は黙って見ていた。

 このキラー衛星を何とか始末せねば、国際宇宙ステーションISは、生き返ったキラー衛星にミサイル攻撃されて、爆破されてしまい、アメリカ及び西側諸国の宇宙開発が台無しになってしまう。キラー衛星を狙撃して大気圏に落として消滅させる、という仕事に、アメリカ首脳部はゴルゴ13に白羽の矢を立て、ゴルゴの狙撃に西側諸国宇宙開発の命運を託す。宇宙空間での狙撃という難問を引き受けたゴルゴは、日本JAXA打ち上げのロケットに乗船し、宇宙空間へと向かう。

 あ、済みません、僕の読み違いです。旧ソ連のキラー衛星·チェルノボクからミサイル射撃するんでなく、衛星自体を地上から誘導して、国際宇宙ステーションIS と衝突する軌道に乗せるんですね。これがアルカイダの目論む宇宙テロで、ゴルゴは秘密裏に、種子島から発射される日本JAXA の補給機HTVに搭乗する。HTV は表向きの本来の任務である、国際宇宙ステーションIS への必要物資補給を行い、その後再びIS から離れて宇宙空間に浮かび、浮かび、ってHTV 自体も宇宙の速度で軌道上を移動してる訳ですが、ゴルゴはハッチを開けたHTV に立ち、キラー衛星·チェルノボクが近付くのを待つ。一瞬のチャンスを逃したらチェルノボクはIS に衝突し、アルカイダと影に隠れてテロを見守る中国の思惑は成功し、アメリカと西側の宇宙開発に於ける威信は失墜する。 

 ゴルゴは、このミッション用に特別に誂えた銃器と弾丸でチェルノボクの燃料タンクを狙い、真空の無重力空間で見事撃ち抜いて、キラー衛星·チェルノボクは地球の大気圏内に落下する。人工衛星そのものはスペースデブリでも比較的大きな宇宙ゴミなので、大気圏で燃え尽きはせずに、地球上の太平洋に落下することになる。

 ミッションを成功させたゴルゴ13だったが、ゴルゴの乗るHTV が地上からの制御不能のトラブルに陥る。散らばったスペースデブリがHTV の軌道に入って来た。その内の小さなスペースデブリが一つだけだがHTV の機体に直撃し、HTV のメインコンピューターを破壊した。地上からの制御不能に陥ったHTV は、このままでは地球の地上に帰還できない。危うし!ゴルゴ13。

 ゴルゴはHTV 船外へ命綱付きで出て、宇宙空間からHTV の液体酸素タンクを狙撃、タンクからのガス噴射でHTV をコントロールして帰還軌道に乗せる。ゴルゴの奇跡の神ワザで、ゴルゴはHTV から吐き出された帰還カプセルに乗って、地球大気圏に再突入。ゴルゴを乗せたカプセルは無事に地上のオーストラリア広地に着陸する。

 というのが、ゴルゴ13-「流星雨の彼方で」のお話です。今回のお話で気付くことは“スペースデブリ”の脅威です。自分たちで蒔いた災いの種とはいえ、これからの人類の宇宙開発に取ってとても大きな障害です。人類由来の宇宙ゴミ、スペースデブリは全部でだいたい、大小50万個はある、と言われています。

 このBLOG の2013年7月の記事、「砲神エグザクソン-1-」の中で、“宇宙エレベーター”のことを書き込んでますが、宇宙エレベーターの終点は静止衛星ですから、この先、未来の宇宙エレベーター開発でも、スペースデブリは大きな障壁になりますね。考えただけで相当難しそう。地球の周りをぐるぐる回る50万個のスペースデブリに比べたら、宇宙塵=メテオロイドの危険頻度は知れてると言えるくらいのものでしょうね。宇宙開発に関しての悩みの種、スペースデブリの除去を真面目に考えている人たちも、当然ながら存在するようですが。まあ、僕も人類の宇宙開発関連のことは、そんなに知っている訳でも理解している訳でもありませんから、あんまりイイ加減なことは言えませんが。

  2013年制作のアメリカ映画「ゼロ·グラビティ」は、ある面、人類の宇宙進出に於けるスペースデブリの脅威を描いたものです。メテオロイド以外のスペースデブリは、人間の自業自得です。人間による宇宙汚染で、これからの宇宙進出に際して、人間にとって自分が蒔いた障害な訳です。スペースデブリとは宇宙ゴミであり、メテオロイドは四方八方の遠い宇宙から飛んで来る、小さな隕石や、隕石の欠片ですね(微細な隕石は“宇宙塵”とも呼ばれます)。地球に降り注ぐ隕石や、その欠片と言った方が良いかな。よく、何とか座流星群とかいう、あれもメテオロイドですね。たいていのメテオロイドは、大気圏突入時に燃え尽きてしまう。まあ、幾らかは地球の地上·海上に落ちてもいるんでしょうけど。ごくごく少数なんでしょうが。スペースデブリは、人間が打ち上げた衛星やロケットの、大小のゴミですね。使われなくなった衛星そのものから、切り離された燃料ロケットの部分や、衛星やロケットの破片から何から、塗装や微細なゴミまで、地球のはるか上空の宇宙空間で軌道上をぐるぐる回っている、大小の人間由来のゴミですね。これが何と、大小全部入れたら50万個以上ある。しかも、このゴミは、地上では考えられないような猛スピードで飛んでいる。秒速8キロから10キロ、って言ったかな。

 秒速8キロという速度を解りやすく時速換算すると、何と時速28800キロになる。一時間に3万キロくらい進んでしまう。宇宙空間だから音速でいうのはおかしな話だけど、マッハ3(マッハ30か)近い猛スピードでふっ飛んでるんですね。地球一回り、地球の円周が約4万キロですからね。一時間半掛からないで地球一周回っている。

 この、人間のこれからの宇宙開発に取って大きな障害となる、自分たちで宇宙にバラ撒いたゴミ、スペースデブリもこの先、何とか除去して行かないといけない。勿論、世界中の宇宙開発関係者は考えているでしょうが、何せ地上からの上空何万メートルの、真空の宇宙空間での仕事ですから、とても困難な話でしょう。放って置いたらスペースデブリは増殖する。どういう意味かと言うと、もう使われなくなって粗大ゴミとなっている、衛星どおしが自然に軌道上で衝突する現象が起こっているらしい。大きいけど二個だったものが衝突してバラバラに砕け、何十~何百個というゴミになる。

 ネットを回っていて、スペースデブリ関連のコトが書かれてるブログやサイトを幾つか覗きました。そのサイトの一つに、スペースデブリ除去作業を仕事とするチームを起業して、誰かがやらなければならない難問に敢えて向かい、宇宙のゴミを取り除いて今後の人類の宇宙開発に貢献しようという、とても画期的な目標を書き込んだページがありました。そのチームの名はSPACE SWEEPER 、直訳して“宇宙の掃除人”です。そのサイトは、タイトルに「危険な「宇宙ゴミ」を大気圏に引きずり込んで燃やす 宇宙の掃除人『スペース・スイーパー』がすごい」と入ったサイトで、Space Sweeper の代表になるのかな、岡田光信さんという方へのインタビュー記事で、宇宙空間でのスペースデブリの除去方法まで語っています。

 軌道上までマザーと言われるロケットを打ち上げて、ロケットになるのか無人衛星になるのか、そのマザーからボーイと呼ばれる小機体が6個出て来て、このボーイがスペースデブリに取り付く。ボーイがスペースデブリを大気圏まで引き摺り込んで、大気圏で燃やす、という仕組みらしい。詳しいことは解りませんが、ボーイといえどある程度は大きい物でしょうから、ボーイが除去するスペースデブリは、使われなくなった古い衛星そのものとか、壊れた衛星の比較的大きな部分とか燃料タンクとか、ある程度大きな宇宙のゴミでしょうね。多分、小さなゴミまでは取り去ることはできないのでしょう。軌道上に於いては小さなゴミでも、もの凄いスピードで飛んでますから、宇宙のゴミは小さな物でも脅威です。映画「ゼロ·グラビティ」の中でも、宇宙空間で衛星の回りで船外作業をしていた乗組員が、小さなスペースデブリの集団に襲われるシーンがありますが、真空に浮かぶ一人の宇宙飛行士のフルフェイス·ヘルメット状の頭部カバーを突き抜けて、宇宙飛行士の顔がくり貫かれているシーンは印象的でした。何しろ小さな欠片でも、時速2、3万キロでぶっ飛んでますからね。船体そのものでも当たれば影響を受ける。

 スペーススイーパーというチームは多分、一応何らかの会社組織なんでしょうね。マザーを軌道上まで打ち上げるとなると莫大な費用が掛かるでしょうが、ブログ記事を読むと、スペーススイーパー関連で何らかのビジネスで稼いでいるらしいし、これから宇宙進出しようという世界中の国や企業や団体に取っては、宇宙開発の大変な脅威と障害であるスペースデブリを少しでも除去してくれる仕事は、とても有り難いことでしょうから、世界の宇宙開発関係のトコから資金提供や寄付もあるんでしょうね。

 「ゴルゴ13」のお話の中で、ゴルゴが宇宙へ行く話は、今回の「流星雨の彼方へ」の前に、2作ほどあるらしくて、最初に宇宙空間でのミッションで行ったのは、だいぶ前になりますが、1978年発表の第137話が最初らしいですね。78年、まだ昭和ですね。その次が、2003年で第436話「一射一生」というタイトルのお話で、このエピソードは、ゴルゴが宇宙空間で弓矢を使ってスパイ衛星を狙撃する、ということで数あるゴルゴ13のお話の中でもマニアには有名な話らしいですね。そしてゴルゴの宇宙ミッション第三作目が、この「流星雨の彼方で」です。ゴルゴの宇宙ミッションは、過去に行われた三つとも、無人衛星の狙撃のようですね。

 1978年のタイトル「軌道上狙撃」は全く記憶してませんが、2003年の「一射一生」は読んだ記憶があります。内容も微かに覚えてます。ゴルゴが宇宙ミッションのために、日本の弓道の達人の女性に弓を習いに行く。そこで会得した極意を宇宙空間で生かして、スパイ衛星の弓矢に寄る狙撃を見事成功させる。他の細部は覚えてませんが。

 ちなみに、宇宙空間での狙撃に対する疑問なんですが、昔読んだ柳田理科雄さんのベストセラーシリーズの「空想科学読本」の、初めの方の巻で、多分シリーズの一巻か二巻の中で、「宇宙戦艦ヤマト」を例に出してたんじゃなかったかな、と思うのですが、済みません、今手元に件の本を置いてなくて、記憶だけで書き込んでいるのですが、無重力·真空の宇宙空間でもし砲撃したら…、という話だったんですけど、確かヤマトだったと思うのですが、宇宙空間でミサイルなり爆撃なり、宇宙船から爆弾を前方に向けて発射すると、つまり砲撃すると、無重力空間では発射した力と同じ力が逆方向にも働いて、ミサイルとすると、ミサイルを撃ったヤマトは前方へ飛ぶミサイルと同じ力で、ヤマト自体が後方へ飛んで行く、というコトが解説してあったと思うのですが。

 我々が地上で拳銃を撃つとき、無論僕は拳銃なぞ撃った経験はありませんが、例えば拳銃を撃ったとすると、反動というのが来るでしょう。大型の拳銃だと素人が撃つと手首を骨折することもある、と聞いたこともありますけど、拳銃撃ったら強い反動が自分に来る。けれども地上では空気抵抗や地上の重力があるから、撃った人も反動にもちこたえる。せいぜい後ろへ後ずさるか倒れるくらいでしょう。でも何の抵抗もない宇宙空間に浮かんでる状態だったなら…。

 宇宙空間に浮かぶ宇宙戦艦からミサイル撃ったら、その反動をモロに船が受ける。反動にもちこたえる重力も空気抵抗もない。だからミサイル発射と同時に、ミサイルは前方へ、船は後方へ飛んで行く。何となくそう説明されれば解るような気がするけど、ただ、両方に同じ力が掛かるから、前方に飛ぶミサイルと同じ速度で撃った戦艦も後方へ飛んで行く、というのは、同じ速度で船も後方へ飛ぶというのがなかなか理解し難いけど、無重力空間では物体の重量はあんまり関係ないんでしょうね。惑星くらいに質量があれば重力が発生するけど、宇宙船とミサイル弾では宇宙空間の無重力ではあんまり大差ないんでしょうね。

 と、書き込んで来たけど、今「空想科学読本」を見ながらこれを書いてる訳ではないので、記憶だけで書いてるから解説の確かさは、正直今一つはっきりしませんが、多分、そういうことが解説してあったと思う。前方へミサイル撃ったら、撃った宇宙船本体も後方へ同じ力でぶっ飛んで行く、という無重力空間での解説。

 ゴルゴ13は宇宙でのミッションでも射撃する訳ですが、撃ったゴルゴにも反動が来るんだろうな、と思って。「一射一生」のお話で弓矢を使ったのは、銃撃に対してかなり反動が少ないからかなあ?エピソード細部を記憶してませんが。

 前にスペースデブリのことを知ったとき、何々座流星群などと呼ばれるメテオロイド集団のことも含めて、国際宇宙ステーションIS はどうなんだろう?と疑問に思ったコトがあります。地球上空何万メートルの軌道上をぐるぐる回っているIS は、スペースデブリやメテオロイドの危険にさらされているのではないか?とそう思いました。何しろスペースデブリだけでも軌道上に50万個以上もあって、IS はその中に居るんですからねえ。スペースデブリは秒速8~10キロというメチャクチャ速いスピードで地球の周りをぶっ飛んでいる。

 でもよく考えると、IS もスペースデブリと同じ軌道上に居る訳だから、同じようなスピードで地球の周りを回っている。同じ軌道上を似たような速度で回っているならば、相対的にはIS もスペースデブリも、極端な話、止まっているように見えるのではないか。IS から見た近くのスペースデブリは止まって見えるのでは?並んで走ってるよーなもんですから。でも地球の軌道上は一つではなく、北極から赤道まで、赤道から南極まで、地球自体も地軸が傾いてるし、周回速度やらイロイロ違いがあり、軌道上も便宜上、数で分ければ何百種類何万種類(通り)あるもんでしょうし。イロイロ、素人考えですが。ここの文は識者が読んだら笑われるようなコトを書き込んでいるのかも知れませんが、素人の素朴な疑問です。

 国際宇宙ステーションIS は、軌道上にただ浮いてるだけだと思ってたんですけど、浮いてるだけって、もの凄いスピードで地球周回をぐるぐる回ってるけど、イメージ的にただ浮いてるだけと思ってた。スペースデブリどおしの衝突に寄るお互いの破壊で、破片がバラバラに飛び散ることもあるし、流星群もある。いったいこれらの障害にどう対処してるんだろう?

 何とISは自分で動けるんですね。あらかじめ地上の管制センターでイロイロ計算して、隕石群やスペースデブリの危険を察知し、地上からIS に知らせてる。IS は自ら動いて軌道を変えたりして、隕石やスペースデブリを回避している。確か、そういうコトだったと思います。前にネットを回ってて、そういう解説をしているサイトを見つけて読んだ。多分、そうなんだと思います。 

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