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ウルトラマン

 
 
 
 

 

          

          

 
 

 子供の頃、僕はTV の「ウルトラマン」を真似て「ビッグマン」という漫画を描いてた。漫画を描いてた、って子供が西洋紙に鉛筆で描く漫画だから知れてる。「ウルトラマン」がTV 放映されてたとき、僕は十歳だ。僕は六歳からほとんど毎日、漫画を描いてた。まぁ、言ってみれば落書きみたいな、鉛筆殴り書き漫画だ。鉛筆殴り書き漫画も毎日毎日描いてたら、才能がなくてもそれなりに上手くなる。十歳時はまだ鉛筆描きだけど、子供の描くものにしては割りと上手かったんじゃないかな。

 
 

 円谷プロ特撮の初代ウルトラマンが放送されてたとき、僕はウルトラマンに夢中だった。同時期、ピープロダクション制作の同じTV 特撮番組「マグマ大使」が放送されてたが、どういう訳かこちらはそんなに熱心に見てなかった。怪獣ものということで最初の方こそ見ていたが、後半はほとんど見てなかったと思う。再放送も見てないな。

 
 

 ウルトラマンが好き、というよりウルトラマンの番組が大好きだったんだな。あの時代、日曜夜七時の「ウルトラマン」は毎回喰い入るように放送を見て、子供の僕なりに感動してた。放送を見た後、自分一人だけでドラマを真似て「ウルトラマン」ごっこをしてた。何役かを一人でやって独り言セリフばかり言いながら。勿論、怪獣役も。

 
 

 「ウルトラマン」のTV 放送と連動して、講談社の子供雑誌、月刊誌「ぼくら」と週刊誌「少年マガジン」誌上に「ウルトラマン」のコミカライズが連載されてた。当時の僕は両誌とも毎号購読していて、どちらの漫画版「ウルトラマン」も大好きだったが、特に「ぼくら」の一峰大二・作画の「ウルトラマン」が好きで、月刊誌毎号を楽しみにしていた。

 
 

 月刊「ぼくら」の「ウルトラマン」は新連載の1966年8月号と10月号の掲載こそ、本誌巻頭カラー掲載だったが、その連載のほとんどは毎号、大型別冊ふろくだった。当時の月刊誌の別冊ふろくはだいたいB 6判だったが、「ぼくら」の別冊ふろくはB5や変型B 5判の大型別冊が多かった。A 5判もあったろうか。当時の「ぼくら」付録の「ウルトラマン」は毎回、本誌と同じサイズのB 5判の大型別冊だった。

 
 

 僕はこの時期、一峰大二版「ウルトラマン」を真似て、鉛筆描きだが「ビッグマン」という怪獣漫画を描いていた。「ぼくら」付録の真似だから、B 4西洋紙を二つ折りしてホチキス綴じし、B 5判の薄い冊子を作りそこにTV ドラマの「ウルトラマン」と同じ設定の、僕オリジナル漫画の「ビッグマン」を鉛筆で書き込んで行った。表紙と最初くらいは色鉛筆使ってカラーで、残りは全部黒色の普通の鉛筆描き。10歳当時はもう鉛筆もB や2B の濃いのからH や2H くらいの薄いのまで使って描き分けてたと思う。

 
 

 僕が六歳から毎日描いてた落書き漫画が、毎日、雑誌漫画と貸本漫画を真似て描いて行くことで、僕なりに進化して、十歳のときはもう僕独自のタッチと絵柄になっていた。まぁ、偉そうにタッチとか絵柄とか言うほど上手かった訳ではないのだが、子供でも、もの真似を毎日やってれば多少とも上手くはなる。「ビッグマン」は一峰大二先生とは全然違う、僕のタッチと絵柄でしたけどね。

 
 

 僕の「ビッグマン」は西洋紙を綴じた冊子で一冊20ページくらいで、13冊か14冊くらい描いたんだろうか。勿論、67年4月アタマに「ウルトラマン」の放送が終わるまで。「ウルトラマン」で透明怪獣ネロンガが出れば、僕の「ビッグマン」には“メロンガ”を登場させる。身体中に目がいっぱいあって、調度同じ頃TV 放送でやってた、水木しげる原作の漫画を実写特撮ドラマ化した、「悪魔くん」に出てた“妖怪百目”みたいな怪獣。ゴジラと百目の合体みたいな僕オリジナルの怪獣。「ビッグマン」この回のタイトルは「目の恐怖」。

 
 

 あとは僕の考えたオリジナル怪獣で、細菌爆弾というものがあるけれど、国際条約で使用禁止になってる兵器ですが、そこから考えたんだろうか、自分のことながら何しろ50年前の話だから詳細は忘れてるけど、口から細菌光線を吐く怪獣バクテリオン。これは僕の完璧オリジナルで、これを考え付いたときは、子供ながら自画自賛してました。他の怪獣はだいたい全部、円谷プロ特撮「ウルトラマン」の真似。海底原人ラゴンみたいな怪獣とかイロイロ。

 
 

 僕が子供の頃描いてた漫画は全部といっていいくらい、雑誌漫画と貸本漫画の真似ですから、中一くらいの年のときは、当時、月刊誌「ぼくら」でプロレス漫画「タイガーマスク」が大人気で、僕はこの当時、「タイガーマスク」をまんま真似て描いた漫画、「ザ・フェニックス」という僕のプロレス漫画を描いてました。この頃までまだ鉛筆書きでしたね。中一くらいの頃は墨汁や製図用インクに着けペンで描いてみてうまく行かなかったり、試行錯誤繰り返してたときですね。もともと僕は不器用なので、ペンにインクで描くのはなかなか慣れず、うまく行かなかった。中三の頃には少しインクでペン描きもできるようになってたかな。

 
 

 まぁ僕の描いた、「ウルトラマン」を真似て巨人を描いて、タイトルが大きい男で「ビッグマン」なんて、まんまやないかいっ、って芸のない題名でしたが10歳の子供の思い付いたタイトルですからね。

 
 

◆ウルトラマン Blu-ray BOX I 小林昭二 (出演), 黒部進 (出演), 円谷一 (監督), & 1 その他 形式: Blu-ray

 
 

◆ウルトラマン Blu-ray BOX II 小林昭二 (出演), 黒部進 (出演), & 2 その他 形式: Blu-ray

 
 

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◆「少年マガジン」「ぼくら」オリジナル復刻版 ウルトラマン画報 コミック – 円谷プロダクション (監修), 講談社 (編集)

 
 

◆ウルトラマン (第2巻) (Sunday comics) コミック – 一峰 大二 (著), 円谷プロダクション

 
 

◆ウルトラマンをつくった男たち 星の林に月の船 [DVD] 三上博史 (出演), 南果歩 (出演), & 1 その他 形式: DVD

 
 

 僕が「ビッグマン」に登場させたオリジナル怪獣、細菌怪獣バクテリオンですが、実はこの後、まぁ使い回したというか、この当時の月刊誌「少年画報」の企画で、TV 怪獣ドラマ「マグマ大使」に登場させる怪獣のデザインを募集してた。懸賞募集で、採用されると何か豪華賞品が貰える懸賞応募だった。僕は鉛筆描きだったけど、僕が考えた細菌怪獣バクテリオンを紙にカラーで描いて、紙の端に特徴も簡単な文章で書き込んで、少年画報社の企画部に送った。僕は“細菌怪獣バクテリオン”にかなり自信を持っていたけど、結果はかすりもせずに落選だった。寂しい思い出。結果を受けて、色鉛筆も使ったけど鉛筆描きだったのが落ちた原因かな、とかイロイロ考えたのを今でも憶えている。

 
 
 
 
 

■Kenの漫画読み日記。2011-05/30 漫画・・ 「ウルトラマン」..(1)

 
 

■Kenの漫画読み日記。2011-06/06 漫画・・ 「ウルトラマン」..(2)

 
 

■Kenの漫画読み日記。2011-07/16 漫画・・ 「ウルトラマン」..(3)

 
 

■Kenの漫画読み日記。2011-08/30 漫画・・ 「ウルトラマン」..(4)

 
 
 
 
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●漫画・・ 「忍法十番勝負」

 日本漫画史上初のリレー漫画作品、「忍法十番勝負」は1964年、秋田書店発行の月刊児童誌「冒険王」に連載されました。僕が8歳のときです。実は僕には、この「忍法十番勝負」 が日本漫画史上初のリレー漫画だという確証はないのですが、僕が漫画を読み始めた1962年暮れからこの作品まで、リレー漫画というものを見たことがないし、多分、日本史上初の試みだと思います。でも、ひょっとして1950年代や60年代初頭に別のリレー漫画作品があったのかも知れません。解りません。

 僕が中学生時の週刊少年マガジンでは、企画漫画として、19世紀末から20世紀初頭に活躍したイギリスの小説家、“サキ”のサスペンス・ミステリ趣向の強い各短編作品を、さまざまな漫画家が漫画作品として描いたり、同時期、週刊少年キングでは同じく企画漫画で、江戸川乱歩の小説をシリーズ連作として、いろいろな漫画家が漫画作品として描いたものがありました。また、同じキング誌上では、大正期から終戦時代までに活躍した、この時代の日本のミステリ作家としては非常に高名な小説家、小栗虫太郎の「人外魔境シリーズ」をさまざまな漫画家が漫画作品として描いたシリーズもありました。こういうのもシリーズ連作として、何週か連載が続いてましたから、“リレー漫画”といえばそうだと思います。こういったマガジンのサキものも、キングの江戸川乱歩や小栗虫太郎ものも、漫画作品としては一作一作完結している短編漫画です。

 「忍法十番勝負」が掲載されたのは、当時の月刊誌「冒険王」の1964年1月号から10月号までの十回連載で、十人の漫画家がリレー形式で描き繋いで行きました。この十人とも当時の超売れっ子漫画家ばかりで、この時代を代表した大人気漫画家のリレー作品です。

 一つ一つの作品は、一個の忍者漫画の、読みきり短編作品としても通用する形式ですが、連作十作品に一本通る太いストーリーの柱があって、舞台は戦国時代末期、秀吉が築いた大阪城に抜け穴がある、という情報を聞き付けた徳川家康が、配下に大阪城抜け穴を記してある絵図面を捜索して、自分のところへ持って来るように命じる。この絵図面を巡って、豊臣側に着いた忍者と徳川方の忍者が忍術合戦を繰り広げる、というテーマに沿って各漫画家が毎号、短編連作の忍者漫画を描き繋いで行ってます。

 この時代の児童漫画を代表する作家陣は、1月号・一番勝負・堀江卓、2月号・二番勝負・藤子不二雄A、3月号・三番勝負・松本零士、4月号・四番勝負・古城武司、5月号・五番勝負・桑田次郎、6月号・六番勝負・一峰大二、7月号・七番勝負・白土三平、8月号・八番勝負・小沢さとる、9月号・九番勝負・石森章太郎、10月号・十番勝負・横山光輝。一応ストーリーは十番勝負で完結する。

 ネックは、大阪城抜け穴があるのかないのか?家康はどうしてそんなに抜け穴の場所を知りたがるのか?大阪城の絵図面の取り合いで、豊臣側に着いたか雇われたかした忍者や忍者組織と、家康側に着いたか雇われたかした忍者や忍者組織が、命を懸けて絵図面を奪い合う。それを、十人の各漫画家が個々の作風と独自のタッチで、忍者同士の死闘を描いて行く。

 最終回、トリを務めたのは、忍者漫画「伊賀の影丸」の大ヒットで、この時代の少年漫画の忍者時代劇ジャンルの第一人者となった、横山光輝先生。この時代の忍者漫画では双璧の白土三平先生は何故か7月号とか中途半端な位置。

 ただ、同じ忍者漫画でも、横山光輝先生の忍者ものは内容が解りやすく、より子供向けの時代劇アクション巨編でした。もともと貸本漫画出身の白土三平先生の忍者漫画は、子供向け漫画にしては当時の「サスケ」など残酷描写が多く、物語で描かれる忍者も階級社会だったりリアルな舞台背景で描かれている。小学校低学年じゃちょっと難しい内容でしたね。小学校五、六年くらいの年齢でないと理解しにくかったんじゃないかな。

 

 「忍法十番勝負」が連載されていた当時、掲載誌の「冒険王」多分1964年8月号だと思うんだけど、何分にも50年前の話だから、ひょっとしたら記憶違いで別の号だったのかも知れないが、雑誌は「冒険王」で間違いないと思うのだけど、多分「冒険王」64年8月号だと思うので、64年7月6日に発売された「冒険王」8月号で話を進めるが、この時代、僕が街の書店で購入してた雑誌は、月刊誌は「まんが王」か「ぼくら」か「少年」で、ふだん「冒険王」を書店で購入して読むことはなく、この時代の月刊少年漫画誌「少年画報」「少年ブック」「冒険王」は近所の貸本屋で借りて来て読んでた。

 このとき、僕は珍しく「冒険王」を書店で買った。多分、「冒険王」8月号で、夏休み前の七月上旬、僕は余分に小遣いを持ってたんでしょうね。64年だと僕は八歳で、「冒険王」などの月刊誌はだいたい160円か170円だった。昭和30年代後半から40年代の物価上昇は、雑誌の値段は毎年だいたい10円づつ上がっていた。初めて僕が月刊児童漫画雑誌を購入したときは160円だった。このときは170円だったかも知れない。

 ふだんは貸本屋で借りて読む「冒険王」を書店で購入したのは、多分、付録に魅せられたのだろう。多分、付録のタイトルは「忍術セット」。「忍者セット」だったのかも知れない。薄いビニール製の黒い忍者マスクと厚紙製の手裏剣が多数着いていたのははっきりしている。忍者の黒装束の頭部の覆面は、本当は黒い布だろうが、漫画雑誌の付録はとても薄いビニール製だった。

 

 「忍術セット」の手裏剣の方は、固い厚紙を銀色にコーティングしていて、黒線で簡単な模様が入っている。厚紙に手裏剣型を嵌め込んだ形で、手裏剣はくり抜いて使う。この厚紙製手裏剣が、十方手裏剣他何種類かの形で全部で40枚着いていた。クナイ型はなく、全部丸い形の手裏剣だったと思う。紙製だから、まぁ軽いんだけど、固い厚紙製だから投げて飛ばせる重みはあったように思う。このときの「忍術セット」はビニール製マスクと手裏剣セットだけで他には何も着いてなかったと記憶してるんだが…。後は四、五冊のB6別冊ふろく。 

 でもよく考えると、そもそも付録タイトルに「忍術セット」という名前は着いてなく、付録の一つ一つ個々に付録タイトルが着いていたのかも。一番目が「忍者マスク」とかで二番目が「手裏剣セット」だったのかも。手元に厚紙手裏剣付録が着いていた、1964年の「冒険王」を持っている訳ではなく、またネットでこの当時の「冒険王」の情報をイロイロ探してみたけど、雑誌表紙画像さえ見つからなかったんで、「忍術セット」付録に関することははっきりしたことは解りません。僕の記憶もそんなにはっきりしたものでもないから、ひょっとしたら64年の「冒険王」ではなかったかも知れないし。でも忍者マスクと厚紙手裏剣の付録が着いてたのは当時の「冒険王」で間違いないと思います。ただ64年ではなく65年だったのかも知れない。済みません、はっきりしません。

 当時、僕が毎日通っていた貸本屋には、少年月刊誌四誌の例月号が置いていて、厚紙カバーを縫った本誌と、3冊から5冊のB6別冊ふろくは厚紙カバーを掛けて一つにまとめて縫い合わせ、一冊本にしてありました。3~5冊の別冊ふろくが見掛け分厚い一冊本に製本してた。で、当時の月刊児童誌にはペーパークラフトみたいな、ほとんど厚紙製で部分部分に小さな金属やプラスチック、薄いビニールシートを使った組み立てふろくが着いてました。厚紙で作られた、戦車や潜水艦やゲーム盤、銃器などなど、コスト安価な紙製で、各社アイデアを絞り出して子供が驚き喜びそうな組み立てふろくを、別冊ふろくの他に毎号一つか二つ着けてました。

 当時僕が通っていた貸本屋さんは、この組み立てふろくを、欲しいと言うお客に売っていたようですね。その貸本屋の直ぐ近くに毛糸専門店の家があり、そこの息子が組み立てふろくをまとめて買っていたみたいですね。僕はその毛糸屋の息子と面識がなかったけど、貸本屋のおばちゃんが確かそんな話をしてました。それで、「冒険王」に手裏剣セットの付録が着いた月、どういう訳か貸本屋のおじさんかおばちゃんか、どちらかが付録の手裏剣セットを僕にタダでくれました。この月、僕は「冒険王」を書店で買って既に厚紙手裏剣を40枚持ってましたが、貸本屋の店主がくれたので、僕は紙製手裏剣を80枚手に入れました。多分、八歳だった僕は、80枚もの手裏剣を手に入れて踊るように喜びました。 

 

 僕が小学生時代に住んでた家の隣が、茶碗屋というか瀬戸物屋で、高齢のご主人が病気がちでよく奥の部屋で床に臥せてたりしてた。瀬戸物屋スペースは隅の戸だけ開けて開店休業状態で、奥さんは隣に一軒分設けて、そこで手芸教室をやって自分の編んだものを売っていた。何でもない僕のごく個人的な思い出だが、当時八歳の僕はこの冒険王付録のビニール頭巾を被って、茶碗を並べた広いスペースに侵入した。茶碗売り場は開店休業状態だから電気も点けてなく暗かったから、忍者が忍び込むのに調度良かったのだ。

 僕は忍者マスクを被っていたにも拘わらず、隣の部屋の奥さんに直ぐに見つかって、声掛けられ慌てて逃げた。奥さんは気持ちの良いおばさんで、座敷に上がってお菓子でも食べて行かないかと勧められたが、見つかった以上、忍者は退散するしかなかった。まぁ、忍術セットのごく個人的な思い出だな。このとき多分、腰には同じく冒険王付録の手裏剣セット何十枚かも、袋か何かに入れて腰に提げていたと思う。

 この隣の家には小さい頃よく遊びに入ってた。瀬戸物屋夫婦には子供が居なくて僕を可愛がってくれた。僕の住んでる家と隣家の間には大人の背の高さくらいの板塀があって、塀に沿って細長く隣家の庭があった。小さい頃の僕は高いところが大好きで、よくこの板塀の上を歩いていたが、細長い庭にも侵入してた。僕はスーパーマンにも憧れていたから、子供の頃はいつでもスーパーマンに変身できるように衣服の下に水泳パンツを穿いて、首にはマント代わりの風呂敷かバスタオルを巻いていた。この格好で同じように茶碗売り場に侵入したら、直ぐに奥さんに見つかって、短パンズボンの下に水泳パンツを穿いていることを見破られ、隣家の風呂に入って行けと誘われた。これも思い出として記憶している。

 それと憶えている僕の子供時代の間抜けなエピソードは、巷の子供たちに「伊賀の影丸」が大人気だった時代、当時、町内の友達がFT 君ちに集まってて、僕は腰にビニール袋提げて、そこには自分ちの庭の柴の木の葉っぱをいっぱい入れて、FT 君ちの前まで行って、窓から見てるFT 君やMM 君が「やってみろ」と言うから、僕は腰のビニール袋から掴めるだけ葉っぱを掴んで空中にばら蒔き、葉っぱが落ちる間にサッと横の電信柱の陰に隠れて、「伊賀の影丸」が得意な「木の葉隠れの術」を披露した。窓から見ていた友達はみんなで馬鹿にして爆笑した。FT 君もMM 君も学校の成績優秀な秀才だったし、まぁ間抜けな僕の馬鹿みたいな忍術披露の思い出ですね。あれって、初めみんなと一緒に居たけど苛めっぽく仲間外れにされて、悔しいから見返してやろうと、庭の葉っぱをいっぱい千切って持って行って、「木の葉隠れ」を披露したのかなぁ?そこだけ覚えているけど、前後のことをよく憶えてない。思えば俺は白痴的な子供だったな。

   

 僕の子供時代は、漫画もTVも、一大忍者ブームで、忍者ものがたくさんありました。僕の子供時代の漫画雑誌は、忍者時代劇漫画とSFヒーロー漫画が子供漫画の双璧でした。SF 漫画はスーパーロボット、スーパーサイボーグ、超能力少年、超能力宇宙人が大活躍する、SF ヒーローアクション漫画。忍者漫画も正義の忍者が幕府転覆を謀る悪の忍者組織と闘う、忍者ヒーロー漫画。主人公の少年忍者は一つ二つ、必殺の秘術を持っていて、悪の忍者組織の忍者たちは人間離れした怪物や妖怪みたいな忍者だったりする。

 この時代は忍者ブームだったから、現代が舞台の漫画でも“忍者”アイテムを入れるとウケるので、例えば現代劇のスパイアクション漫画でも、主人公のスパイ青年が現代の忍者だったり、野球漫画でも主人公の投手が忍者の子孫で魔球を投げたり、学園漫画で主人公の中学生少年が忍者の末裔で忍術を使える、なんて漫画もありました。週刊少年キングに創刊号から連載された「忍者部隊月光」は、太平洋戦争の戦時下で米軍と戦う一部隊が、全員忍者という設定の戦争忍者漫画というのもありました。僕ら当時の子供は“忍者”に憧れてましたねぇ。
   

忍法十番勝負 (サンデーコミックス) コミック 横山 光輝 (著), 石ノ森 章太郎 (著), & 8 その他

忍法十番勝負 (秋田文庫) 文庫 石ノ森 章太郎 (著)

忍法十番勝負 (秋田コミックスセレクト) 単行本 横山 光輝 (著)

伊賀の影丸 4(七つの影法師の巻)―長篇時代漫画 (復刻名作漫画シリーズ) コミック 横山 光輝 (著)

伊賀の影丸 コミック 1-11巻セット (秋田文庫) 文庫 横山 光輝 (著)

※Kenの漫画読み日記 2013-03/12 「影狩り」

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●小説・・ 「じじごろう伝Ⅰ」狼病編..(14)

14.

 空には煌々と満月が照っている。月の周辺には少しだけ、細長いちぎれ雲が散っているが、薄闇の大空の、月から離れた外周には幾つも星が見える。くっきりとした満月の下には、真夏だというのに、大きめの長袖ブルゾンで上半身を包み、深々と帽子を被る、一人の男が立っていた。

 ブルゾンの袖から出る両手には手袋、顔は大きめのサングラス、顔の下半分は大きなマスクである。この男は全身を、まるで何かですっぽり包み込んだように、頭の先から足元まで余すことなく、隠してしまっている。体格が良くて身長もあり、成人の男性としては大きな方か。

 怪しい出で立ちの男が立つのは、満月の下の、雑居ビルの屋上である。夜とはいえ、夏真っ盛りの時季に、男は、暑くはないのか異様な出で立ちで、ビル屋上の端の鉄柵越しに、周辺を見下ろしている。この辺りは、ほとんどが四、五階建の雑居ビルが、密集して立っている。高くてもせいぜい、六階七階建のビジネスホテルが見えるくらいだ。西側に商店街アーケードの屋根が見える。この辺り一帯は、商業ビルが群立する繁華街なのだ。

 男は、五階建ビルの屋上から辺りを見回しながら、時間を待つように、ただ凝っと佇んでいる。顔を隠した大きなマスクの間からは、ふさふさと生えたような髭がはみ出して見えている。人の髭というより動物の体毛のように長い。濃い茶色の大型犬の体毛のようだ。

 「そろそろかな‥」

 男が独り言で呟いた。男はビル屋上の鉄柵を股越すと、二十センチの幅もないビルの淵に立った。風はないが、ビル五階の淵は、普通の人ならば怖気づいて固まってしまう高さだ。軽く勢いを付けて、片足でビルの淵を蹴る。フワリと浮いた身体は、繁華街の通りを越えて、真向かいの四階建てのビルに降り立った。下の通りは人が行き交っているが、上空を見上げる者などは居ない。ビルの屋上に軽々と着地した男は、またフワリと跳んだ。そのビルの屋上鉄柵の上に立つ。そこからまた軽々と跳んで、並びのビルの屋上へ移る。

 そうやって男は満月の夜の中、黒い影となって、牛若丸の八艘飛びよろしく、屋上から屋上へと四つ五つのビルを渡った。とても人間ワザではない。誰にも見つからず、男は目当てのビルの屋上に降り立った。

 男は着地した屋上で二、三度頭を巡らせた。四階建ての古ビルで、屋上を囲む鉄柵も錆び付いたところが目立つ。屋上の床面のコンクリも黒くくすんでいる。多分ビル壁面もところどころ剥げ落ちたりしてるのだろう。かなり年季の入った古ビルだ。もっとも、満月とはいえ月明かりだけの下では、そういったビルの状態なぞは見える訳がない。だがあたりを見回す男には、そういった細かなことも見えるようだ。

 「随分、古い物件を根城にしたもんだ…」

 男はまた独り言で呟いた。野太いくぐもったような声だ。聞きようによっては、野生の動物の唸り声のようにも聞こえる。やがて男はビル屋上から階下への降り口を捜した。男は手袋を嵌めた片手で、階下への扉のドアノブを握って引いてガチャガチャやったが、鍵が掛かっている。

 ドアに鍵が掛かっていることを知ると、男はドアを無理に開けようとはせず、ドアから離れた。目深に被ったハンチング帽にサングラス、顔にはマスクを掛け、ダボダボした長袖ブルゾンに両手袋で、この真夏の夜に完璧に正体を隠した男は、確かに鉄製のドアだが、こんな扉くらい力ずくで打ち破る自信もあった。しかし男は、ビル内に入るのに大きな音は立てたくなかった。

 男は振り返ると、表通りとは反対側の、ビルの裏側サイドに歩いた。屋上端の鉄柵まで来ると、フワリと鉄柵を越え、ビルの淵に立った。両手袋を脱ぐと甲にびっしりと毛の生えた、毛むくじゃらの手が現れた。指先まで毛に覆われ、指先には硬そうな長い爪が生えている。まるで野生の猛獣のような爪だ。男は手袋を丸めてブルゾンのポケットに突っ込んだ。

 男はビルの鉄柵側に向いたまま、ビルの端のコンクリから両足を離した。男は自然落下でビル壁面に沿って落ちる。が、直ぐに四階の窓ワクの壁面に指を掛け、ビル壁面にぶら下がった。ビル裏側の下には通りがあるようだが、路地の街灯もないようで暗くて見えない。

 男が淵にぶら下がった窓は、屈んだ大人の身体が入るくらいの大きさの窓だ。ビル四階のトイレの窓だろうか。男はするすると壁を伝い、雑作もなく窓ワクの端に立つと、窓を動かしてみた。窓は施錠されてなく簡単に開いた。

 男が窓からビル内に入ると、そこは男子トイレだった。四階建てビル内のトイレとしては広く、六畳間二つ並べたくらいの広さがあり、片方の壁面に沿って男子便器が六、七個並んでいる。反対側の面には、大便器だろうか、扉のある個室が三つほど並んでいる。

 男は先ず帽子を脱ぎ、マスクを取り、サングラスを取った。現れた顔は毛むくじゃらだった。吊り上って大きな目は鋭く、突き出た鼻と尖った耳は犬そのもので、半開きの口の中にはズラリと牙が並んでいた。そう、男はヒトオオカミだった。狼男だ。

 ヒトオオカミは、昼間の普段の姿は、ちょっと小太りめの穏やかそうな勤め人ふうで、そんなに大きな男でもないが、正体を表した今の姿は、衣服の上から見ても、鍛え上げた筋肉質のような体躯で、体格の良い、けっこう大きな男性だ。どうやら、昼間と月の出た夜とでは、身体がひと回り大きくなるようだ。

 ヒトオオカミがトイレ出口の扉に向かおうとして、立ち止まり、一歩後退して構えた。扉の向こうに何かを感じたのだろう。突然、ドアが勢いよく開けられた。男子トイレの中に、素早い動作で女が入って来た。赤い半袖シャツに黒っぽいスカート姿で、ロングにした黒髪。何処にでも居そうな若い女だ。だが、両目が異様だった。目が全面、充血したように真っ赤で、ちょっと見では瞳が判別できない。女が口を開くと、ヒトオオカミほどではないが、上下に並ぶ歯が全部、牙状に尖っている。女は今にも襲い掛からんばかりに、両手を上げて構える。両の手の爪も、固そうで長い。

 女は数日前に、藤村敏数のアパートの部屋から消えて、行方不明になったままの、警察が殺人事件の重要参考人として緊急捜索している人物だった。城山まるみは、こんなところに居たのだ。

 怪物化している城山まるみが、怪物であるヒトオオカミに、諸手を上げて、今にも嚙み着かんばかりに大きく口を開いて、飛び掛って来た。咄嗟にヒトオオカミは左に身体をかわし、城山まるみの両手は空を掴んだ。目の前から消えたヒトオオカミを捉えようと、まるみが首を回すと、刹那、ヒトオオカミがブンッと腕を振った。まるみの斜め後方に位置するヒトオオカミが、プロレス技のラリアットと同じように、真横に腕を振ったのだ。ヒトオオカミのラリアットは凄い勢いでヒットし、普通の女性の大きさのまるみの身体は、その衝撃に、宙に浮いてふっとんだ。

 怪物化している城山まるみだったが、背中と後頭部を勢いよく、壁面にぶつけて落ち、トイレの床に倒れ込んだ。そのままピクリとも動かない。一撃でしとめたヒトオオカミは、床にうつ伏せ状態で失神した城山まるみに、特別関心はなさそうにさっさと、トイレの出口ドアに向かう。ヒトオオカミは、その毛むくじゃらで猛獣のような爪の伸びた手で、ドアの取っ手を掴んだ。

  ドアを開けると、音楽が聞こえて来た。低音を利かしたロックミュージックだ。ビートの利いた音楽に、英語であろうボーカルが乗っている。トイレのドアから出ると、薄暗い廊下だった。廊下の両側は、コンクリートが剥き出しの壁だ。廊下の数メートル先、突き当たりにドアがある。音楽はそちらの方から聞こえて来る。ドアの向こうで大きな音量で、やかましい洋楽曲を掛けているのだろう。

 音楽の聞こえる方へと向かおうとしたヒトオオカミが、立ち止まる。突き当たりのドアが開いた。同時に大音量のロック音楽が廊下に入ってくる。ヒトオオカミはうるさくて耳を塞ぎたかった。誰かが入って来たのだが、薄暗い中で顔までは見えにくいが、男性のようだ。こちらに近付いて来る。

 長袖ワイシャツを着て、首にはネクタイを結んでいるらしい。頭髪もそれ程長髪でもないが、少々ボサボサしている。風体からしてサラリーマンのようだ。ゆっくりとだがヒトオオカミに近付いて来て、三、四メートルか手前で止まった。薄暗い中で相貌が解りにくいが、両目の辺りが異様だ。両目が全体に真っ黒い。瞳や白目の判別が着かない。まるで両方に深い穴が開いているようだ。

 この、サラリーマンの格好をした男は、行方不明になったままの、ワカト健康機器株式会社の係長職に着いていた、吉川和臣だった。この異様に変貌した吉川和臣も、異様に変わり果てた城山まるみと同じように、ゆっくりと両手を上げて構えた。まるみと同じように、両手で掴み掛かり噛み付いて来る寸法なのか。ヒトオオカミは、相手が飛び掛かって来たら、城山まるみのときと同じく、体をかわして死角に入り、ラリアットかパンチか一撃を喰らわすつもりでいた。

 まるでぽっかり開いた二つの穴のような目には眼球が判別できず、いったい何処を見ているのか解らず、敵の顔を見ているヒトオオカミは、相手の表情から次の動作が読み取れず、ただその真っ暗い両穴に吸い込まれてしまいそうな気がした。敵が飛び掛かって来るのを待つ体勢のヒトオオカミは、諸手を上げたままで次の動作に入らない、目の前の男に怪訝に思った。

 ヒトオオカミが「どうしたんだ?」と思って、態勢を緩めて力を抜いた瞬間、目の前に立つ、変わり果てた吉川和臣の口が大きく開いた。これも、深く真っ暗い、底なしの穴のようだった。突如、その穴から何か、白いものが吐かれた。無数の糸。何百本何千本という白い糸が、前方に伸びて来る。間一髪、左へ体をかわしたヒトオオカミは、白い糸の固まりを直撃で身体に浴びずに済んだが、右腕から右肩に糸の固まりが少し掛かった。

  「おまえは蜘蛛人間か」

 思わず、ヒトオオカミから言葉が漏れる。まるで野獣が吠えるときのような、低くドスの利いたダミ声だ。ヒトオオカミは人間の姿のときは、全体的に丸っこい感じの、猫背で小太りのおとなしそうな中年サラリーマンという雰囲気で、背丈もそんなに高くもないし、控えめで柔和そうな顔つきのアジア系男性なのだが、今、狼男の姿になった、その身体は筋肉質で人間時よりも一回り大きくなっているように見える。そして顔そのものは、狼の精悍な野獣の相貌だ。

 右の肩から腕に掛かっている幾筋もの白い糸は、ネバネバして粘着力が強く、簡単には取れそうにない。幾筋もの糸の先は、今や蜘蛛男と化した吉川和臣の口の中へと続いている。ヒトオオカミは長袖ブルゾンを脱ぎ捨てた。まだ右手の甲に蜘蛛の糸がくっついたままで取れないので、ヒトオオカミは揉みくしゃにしたブルゾンを力ずくで引っ張ると、手の甲のもじゃもじゃ生えた毛が抜けた。痛みが走り、ヒトオオカミは一瞬顔をしかめた。

 黒いTシャツ姿になったヒトオオカミは、獣の両腕が剥き出しで毛むくじゃらだ。蜘蛛男と化している吉川和臣は、今吐いた蜘蛛糸が意味がなくなったので、口元でプッツンと糸を切った。ヒトオオカミの方を向いて猫背姿勢のまま、両手を顔のあたりまで挙げて構え、蜘蛛男は再び口を大きく開けた。第二段の蜘蛛糸を発射するつもりだろう。

 ヒトオオカミは瞬時に身体三つ分くらい動いた。蜘蛛男の視線が追い付かない。蜘蛛男がヒトオオカミを捉えようと首を回したときには、ヒトオオカミはもう一度素早く動き、やはり蜘蛛男の視界には居ない。ヒトオオカミを視界に捉えることに懸命な蜘蛛男が身体を回す。いつの間にか蜘蛛男との距離を縮め、蜘蛛男の死角に入ったまま、斜め横まで来ていた。右腕を思いきり振って、ヒトオオカミのラリアットが、蜘蛛男の首の付け根あたりに入る。トイレの部屋で、城山まるみを倒したときと同じ攻撃だ。

 城山まるみのときと同じく、蜘蛛男の身体は軽々と吹っ飛んだ。宙に浮いて飛び、壁にいやと言うほど頭と肩をぶつけた。そのまま壁伝いに床に落ちる。ピクリとも動かない。ワカト健康機器産業の会社員係長職、吉川和臣の変わり果てた姿だ。仰向けになって気絶している男の顔は開いた両目と口が、ぽっかりと三つ真っ暗い深い穴が開いたままだ。

 ヒトオオカミの標的は、ゾンビ化した城山まるみや、ここに倒れている蜘蛛男ではない。ヒトオオカミはよく承知している。こいつらはあの化け物から自分の意思をもぎ取られ、思い通りに動くしもべにされた、元は普通の人間の、哀れな犠牲者だ。この廊下の先のドア、その向こうにヤツが居るに違いない。ヒトオオカミはドアに向かってずんずんと進む。

 ヒトオオカミが重いドアを開けた。廊下側は鉄製の頑丈なドアだが、廊下の向こうの部屋側ドア面は、クッションの入ったような赤いビニール張りで、ドアを開けたと同時にガンガンとうるさいロックミュージックが流れ込んで来た。重低音がズンズンと響く。

 部屋は広いフロアーで薄暗く、真っ赤い照明で統一され、部屋の中央の天井で、何か大きな照明が回転していて、真っ赤な空間で明暗がくるくる回っている。この広いフロアー全体に漂う、甘ったるい匂いがヒトオオカミの鼻を突いた。麻薬系の匂いだろうが、大麻ともマリファナとも違う独特の匂いだ。

 真っ赤で薄暗い室内は、クラブやキャバレーのように、何ヵ所かに分けた背の低い仕切り壁に沿って、幾つものテーブルとソファを置き、フロアいっぱいにたくさんのボックス席を作っている。ボックス席は半分以上が人で埋まっていた。突如部屋に入って来たヒトオオカミには誰も気が付かない。この部屋に居る者はみんな朦朧としているようだ。

 部屋の中に入ったヒトオオカミは、立ち止まったまま、しばしあたりを見回した。ボックス席の人間たちは、男と女がヘラヘラと笑いながらじゃれあっているが、みんな何かに酔っているように朦朧としていて、ゆっくりした動作でゆらゆらと揺れている。中には猛烈にキスしあっている男女も居た。

 全ての男性が客で全ての女性が店のホステスという訳でもなさそうだ。ホステス然としたドレス姿の女も居れば普段着姿だろう女も居る。男もサラリーマン風も居ればラフな格好の男も居る。だらしなく笑い、力が抜けているように身体を揺らす男女は、愉快そうにじゃれ合い、中にはキスしたり抱き合っている者たちも居るが、別に性行為までしている訳ではない。

 ヒトオオカミは室内を隅々まで見回したが、目指す者たちは居ないようだ。店内の奥に隠れているのだろう。奥に店の従業員が出入りするようなドアがある。そこに向かってヒトオオカミが一歩踏み出すと、一人の華奢な女がふらふらと歩いてこちらへ向かって来た。何処かのボックス席に居たのが立って来たのだろう。

 急に室内のBGMが変わって、それまで流れていた70年代から80年代頃までの、ボーカルがやかましくシャウトするロックミュージックが止まり、重低音の利いたダンスミュージックが流れ始めた。若者が踊りに集まるクラブなどで流される、洋楽としては比較的新しい、いわゆるEDMというダンスミュージックだ。

 黒い薄地のワンピース、茶髪の髪、濃い化粧。ヒトオオカミは思い出した。席を立ってヒトオオカミの方へと歩いて来る、この女は、さっき通りに居た女だ。夕方の飲み屋街で二人組の男の一人を誘導していた女。その男は催眠術に掛かったように、この女を追い掛けて歩いていた。その男を背の低いもう一人の方が必死で止めようとしていた。この女も、奴に使い魔のようにされて利用されているのだろう。

 ヤツの魔力で使い魔に改変された、この女は、男を性的に狂わせる力を身に付け、これと定めた男を、催眠術に掛けたように己れの意思を無くさせて、性的に惑わせ、操り人形のように歩かせてここに連れて来るのだろう。

 この女も、先程倒した二人のように、自分に攻撃をし掛けて来るのか?さっきの蜘蛛男は蜘蛛糸を吐いたが、この女も何か特殊な力があるのか? だが、自分の一撃で簡単に排除できるだろう。女はゆらゆらしながら近付いて来た。ヒトオオカミは特段力みもせずに女の前で構えた。

 室内には重低音の利いたEDMが流れ続ける。室内を支配する大きな音の音楽が変わったことには何の反応もなく、ボックス席を埋める男女はゆらゆらと緩慢に動きながら、お互い愛撫を続け合っている。女は赤色に染められた薄闇の空間の中、衣服を脱いだ。ブラジャーをしていない。女はなまめかしい表情をしながら、ヒトオオカミに近付き、両手を開いて抱き付いて来ようとする。

 馬鹿な人間だ。この、獣面の異様な怪物に対して、人間の女が色仕掛けで惑わそうというのか。華奢な身体に似合わず、たわわな両の乳房を揺らしながら抱き着いて来る女を、ヒトオオカミは片手で軽く払った。まるで紙で作られた木偶人形のように、重量感なく女の身体は飛んで行った。ヒトオオカミは女が飛んだ方を見向きもしない。

 また音楽が変わった。部屋を覆う大音量の音楽は、重低音で刻むリズムだけになった。それまで各々のボックス席で互いに愛撫し合いながら揺れていた男女が、全員がお互いに身体を離しゆっくりと立ち上がった。男女はボックス席から出て来ると、ジワリジワリとヒトオオカミに近付いて来る。全部で十四、五人は居そうな男女は、ヒトオオカミを包み込むようにやって来て、ヒトオオカミを囲った。

 ヒトオオカミが一声、猛獣のように吼えた。しかし催眠術にでも掛かっているのか、取り囲む男女は意に返さない。ロボットのようにジワジワと囲みを縮めて来る。四方前列の者が両手を上げた。ヒトオオカミに掴み掛かって来るつもりだ。ヒトオオカミは両腕を横に震い、前の二人を薙ぎ倒した。ロボットのようでも痛みは感じるのだろう、倒された者たちは悲鳴を上げる。次の列の二、三人も簡単に薙ぎ倒され悲鳴を上げる。

 三番目の列の二人は蹴り倒された。あっという間にロボット状の人間で作られた厚い壁は開かれた。両脇に倒れる男女は、ボックス席や通路で横になり痙攣している。ヒトオオカミの目指すドアがまた見えた。あそこに奴は居るに違いない。ヒトオオカミはドアに近付いて行く。

 キャバクラ店内の大フロアー、その部屋の隅にある一つのドアー。この向こうに追い続けて来た奴が居るのだ。今日こそ決着をつけてやる。長年追い続けて世界を飛び回った。いつも引き分けにされるか逃げられて来た。ここで殺して息の根を止めてやる。今こそだ。

 ヒトオオカミは興奮して身震いが来た。隅の小さなドアの前で、ヒトオオカミがドアの取手に向けて腕を伸ばす。

 そのとき、上方から何かが落ちて来てヒトオオカミを包んだ。ヒトオオカミは驚いた。何だ?? 網だ。太いロープを格子状に編んだ網だ。ロープの網にヒトオオカミは包まれてしまった。

 ぼんやりとした赤い照明の薄暗い空間の中、ヒトオオカミを包んだ網が引き上げられた。ヒトオオカミは太い格子状ロープの網ごと宙に浮いた。網の袋の中で丸くなっているヒトオオカミ。罠に掛かってしまった。そう気付いたヒトオオカミが必死に網のロープを掻く。

 ヒトオオカミの毛むくじゃらの両腕の先、硬く長い爪の生えた手が左右で網のロープを掻いて引っ張るが、ロープは強靭だった。ヒトオオカミの爪は少々な鉄線くらいならぶち切ってしまう。その、ヒトオオカミの爪が全く歯が立たない。かなりな硬度のワイヤーが芯に入ったロープのようだ。

 山林で罠に掛かった獣よろしく、ロープ網ごと宙に吊り上げられたヒトオオカミ。網の中でどんなにもがいてもロープの網が空中で揺れるばかりだ。ヒトオオカミの喉から悔しさに溢れた獣のうめきが漏れる。

 ヒトオオカミが目指していた、フロアの隅のドアが開いた。出て来たのは怪物だった。胸をはだけたワイシャツに、下はスラックスを穿いて革靴を履いているが、顔はさらけ出している。ギョロリとした目、少々尖った口に、その上に爬虫類のように二つ開いた鼻の穴、鱗が覆うように見える肌。口にはズラリと牙が並ぶ。素顔のトカゲ男だ。

 トカゲ男は、網に捕らわれて中でもがくヒトオオカミを見て、笑っている。トカゲ男が左に除けて、ドアに向かってうやうやしく迎え入れるような仕草をした。ドアの向こうから次に出て来たのは背の高い痩せた人物だった。

 胸まで伸びる長い髪。部屋全体が赤い照明に支配されているから、何色かは解り辛いが、白色系統だろうと思われるドレスを着ている。長い髪は黒色であろう、光沢があってつやつやしている。顔にはサングラスが掛けられていて、その下の肌は首周りまで真っ白い。分厚く白塗りの化粧をして、耳の近くまで裂けているような口元は真っ赤な口紅を塗っている。

 網の中でもがくヒトオオカミは、その髪の長いドレス姿の人物を喰い入るように見詰めてうなった。背の高い厚化粧の女が笑った。甲高いが濁りのあるダミ声だ。口が耳元近くまで裂けて真っ赤な唇が目立つ。

 「あっはっはっは…。ヒトオオカミ、のこのこ出向いて罠に掛かって手も足も出ないとは、おまえも馬鹿な犬コロだな」

 網の中から、悔しげな獣のうめきが漏れる。背の高い女の隣のトカゲ男が低いダミ声で笑う。

 「ぐうっ…。化け物蛇女め…」

 ヒトオオカミが呻くような声で言った。

 「黙れ、野良犬!蛇姫様に何という口の聞き方だ」

 トカゲ男が怒鳴った。トカゲ男の声は、叫んでもダミ声だ。

 トカゲ男が蛇姫様と呼ぶ背の高い女が、右手を上げた。手袋をしている。真っ赤な照明の中で解りにくいが、これも白色だろう。その合図で、突っ立ったままだったフロアの大勢の男女が一斉に動き出した。それぞれが元の席に戻って行く。いつの間にか音楽がやんでいる。

 蛇姫様と呼ばれる女が降ろしていた方の左手を上げると、拳銃が握られていた。オートマチックの銀色の拳銃だ。それを胸の下あたりに構えた。

 「ヒトオオカミ。これが解るか。この銃には普通の弾丸は籠められていない。狼男のおまえには拳銃のタマなぞ効かないからな。唯一おまえを殺せる弾丸だ。この銃には銀の弾丸が籠められている」

 残忍そうに笑いながら蛇姫が言った。隣のトカゲ男もニヤニヤ笑っている。フロア·ボックス席の男女たちは、シンと静かにしている。このフロアに居る普通の人間たちは、蛇姫の力に寄って完璧に人格操作されているようだ。みんな意思の無い木偶人形そのものになっているのだ。そして指示があればロボットのように動く…。

 蛇姫が左手を伸ばして銃口を、天井から吊られた袋状の網に向ける。網の中のヒトオオカミは旋律した。狼男である自分はほとんど不死身と言っていい身体だが、唯一、銀の弾丸だけは弱点だ。しかも致命的な弱点。

 網の中のヒトオオカミは悔しくてたまらず歯ぎしりしながら唸り声を上げる。蛇姫のオートマチックの銃口がこちらを向く。網の中で身動き取れないヒトオオカミは、手足を身体の中心に寄せて精一杯、心臓の上など内臓を庇った。

 「無駄だ。この銃の口径は大きい。そんな手足で庇ったところで銀のタマはおまえの内臓をくり貫く」

 蛇姫はそう言い放ち、引き鉄をひいた。銃の音が響く。今の拳銃は射撃してもそれほど大きな音は出ないらしい。そこまで大きな音でもないが銃音が響いたのに、ボックス席の男女たちは無反応のままだ。

 宙吊り網の中でまるくなってるヒトオオカミは、懸命に自分の急所を庇っていたが、蛇姫の撃った銀の弾丸はヒトオオカミの両腕をすり抜けて、胸のあたり、内臓に撃ち込まれてしまった。

 ヒトオオカミが「うっ!」と声を上げた。歯を喰いしばる。どうやら銀弾は心臓のあたりにヒットしたようだ。ヒトオオカミには痛みは解らなかった。だが突然、苦しさが襲って来た。苦しい。苦しさがどんどん増して来る。呼吸ができなくなって来る。身体の力が入らず、網を掻きむしる力もない。息ができない。目の前が真っ赤になって見えなくなって来た。意識が遠のいて行きそうだ。意識が朦朧として来る。

 「俺は死ぬのか‥?」とぼんやりした頭の中で思った。ヒトオオカミは“死”を意識した。蛇姫が「山に埋めて来い」と命じる一声が微かに聞こえた。どんどん意識が失われて行く。もう何も見えず何も聞こえない。闇が迫る。突然、真っ暗になって、ヒトオオカミの意識が落ちた。

※「じじごろう伝Ⅰ」 狼病編(14)、終了。このお話は続きます。「じじごろう伝Ⅰ」 狼病編(15)へと続く。

◆2016-07/05 小説・・ 「じじごろう伝Ⅰ」 狼病編..(13)

◆2016-02/20 小説・・ 「じじごろう伝Ⅰ」 狼病編..(12)

◆2012-08/18 小説・・ 「じじごろう伝Ⅰ」 狼病編 ..(1)

◆2012-09/07 小説・・ 「じじごろう伝Ⅰ 」 狼病編 ..(2)

◆2012-01/01 小説・・ 「じじごろう伝Ⅰ」 長いプロローグ..(1)

◆2013-05/18 小説・・「じじごろう伝Ⅰ」..登場人物一覧(長いプロローグ・狼病編)

 

 

  

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ピカドンくん

 「ピカドンくん」を僕が読んでたのって、雑誌連載リアルタイムでは、当時の秋田書店発行の月刊誌「冒険王」1963年3月号までです。多分そうだと思います。多分、ムロタニツネ象先生のギャグ漫画「ピカドンくん」は「冒険王」の63年3月号で連載が終了したと思う。僕が漫画を読み始めたのは62年の暮れくらいから63年初頭で、僕が雑誌掲載分で「ピカドンくん」を読んだのは、「冒険王」62年12月号か63年1月号から63年3月号までの、わずか3、4ヶ月分の3、4回分だけだ。

 でも「ピカドンくん」は印象深く憶えている。それは多分、当時、僕が毎日通っていた貸本屋さんに、「ピカドンくん」のハードカバーの単行本が置いていて、それを借りて単行本で読んでるんだと思う。その単行本が秋田書店が出したものか、貸本出版社のきんらん社などが出した貸本向けハードカバーだったのか、そこまでは記憶していない。でも多分、きんらん社などの貸本出版社の発刊本だったと思うけど。

 「ピカドンくん」と同時期に秋田書店の「冒険王」の兄弟誌「まんが王」に連載されていた、同じくムロタニツネ象先生のギャグ漫画「わんぱくター坊」などは月刊誌「まんが王」連載が62年7月号までで終了している。でも僕は「わんぱくター坊」をよく憶えているから、「わんぱくター坊」も連載分をまとめた単行本を貸本屋で借りて読んでるからだと思う。大人になってからでも、「わんぱくター坊」の中に“おトラさん”という名前の巨大な猫が登場していたのをよく憶えてたくらいだし。

 「ピカドンくん」が雑誌「冒険王」のいつ頃から連載が始まったかよく解らないのですが、多分1958年頃からだと思います。ムロタニツネ象先生のギャグ漫画(当時はこのジャンルは総じて『ゆかい漫画』と呼ばれてました)「ピカドンくん」と「わんぱくター坊」が兄弟誌に同時代、だいたい同じ期間連載されていた。

 何年か前に僕がネットを回っていて、今の若い人が「冒険王」の別冊ふろくの「ピカドンくん」の表紙画像を揚げて、その漫画タイトルのネーミングに驚き、「今だったら絶対に使えないネーミング」だと書き込んでました。特に漫画の感想などは書き込んでなかったのですが、このタイトルへの驚きの一文を、僕は「2011年の後は特にそうかもな」と印象的に思いました。

 “ピカドン”とは即ち、原子爆弾の空中爆発を表す擬音ですからね。原子爆弾がアメリカ軍の飛行機から広島·長崎の上空で地上目掛けて落とされ、地上何十メートルかで爆発して、最初にピカッて光ってその後にドン!って大きな音がする。実際はもの凄い閃光と凄まじく大きな轟音だったんでしょうが、多分、爆心地からかなり離れたところで目撃した人が、後に「ピカドン」と擬音で表現したのでしょう。実際に爆心地近くに居た人は、最初の光で両目が焼けて潰れただろうし、身体ごと溶けてしまったか全身重度の大火傷を負ったでしょう。

 「ピカドンくん」が雑誌掲載されてた当時、僕は子供だったから、解らなかったといえばそうなんだけど、あの時代、誰も特に「ピカドンくん」というネーミングに反応しなかったな、と思う。大人でも漫画のタイトルに「ピカドン」などという言葉を使うのはけしからん!とか不謹慎だというふうに反応する人は居なかったと思う。勿論、あの時代の人は「ピカドン」という言葉が何を意味するか、みんな知ってたし、子供だってある程度の年齢の子は解ってたろう。

 1945年8月に広島·長崎に原爆が落とされ、もの凄い数の日本人が死に、爆心地近くで被爆した数多くの人たちはその後も長年苦しみ続け、原爆症に寄り毎年多数の人が死んで行ってた。「冒険王」に「ピカドンくん」の連載が始まったのは1958年か59年頃だ。原爆投下から13年か14年後。敗戦後直ぐ様アメリカに寄って占領され、日本全体がアメリカの支配下にあり、その後、サンフランシスコ講和条約の発効に寄りGHQ が日本を去るのが1952年。GHQ 撤退後も在日米軍は駐留するが、軍隊の規模はかなり削減されたろう。でも、1950年には朝鮮戦争が勃発するし休戦が53年だから、米軍のベースという役割で、52年のGHQ撤退以降も日本の各地には米軍はかなりの態勢は居たろうな。米軍のベトナム戦争介入が1964年か。52年53年以降、米軍はじょじょに日本から減っては行ってたろうけど、70年代初めくらいまではある程度の態勢は日本各地に駐留してたろうな。

 アメリカの占領下から解かれて、日本人が国内でかなり自由に物が言えるようになったって、1952年以降かなぁ。それまでは日本人は「原爆投下の非道さ」などの原爆否定の悪口は言えなかったろうな。敗戦後しばらくは全日本人は気持ち的にも疲弊しきってたし、アメリカに対しては何も言えず我慢するしかなかったろうな。何よりも「負けたんだ」という落胆感がしばらく続いていたんだろう。原爆に対しても大手を振って否定的なことは言えなかったろう。

 僕らの世代が子供の頃は、漫画の社会的価値がかなり低くて、漫画は子供の読むもので子供しか読んでなかった。だからイイ大人が子供の読むレベルの低い漫画のことなぞ相手にしなかった、というのもあると思う。子供雑誌の馬鹿馬鹿しいギャグ漫画のタイトルに、原爆を示す「ピカドン」という言葉を宛てても「くだらない」と一笑に伏す程度だったんだろう。でも被爆被害者の人たちに取ってはどうだったんだろうか。やっぱり良い気持ちはしなかっただろうが、レベルの低い当時の漫画のことでイチイチ相手にしなかったかな。

 児童漫画雑誌掲載のギャグ漫画「ピカドンくん」の内容には、原爆や原爆投下に関することは何一つ入ってなく、単にネーミングで「ピカドン」が使われただけです。漫画のお話の中には原子爆弾や米軍や太平洋戦争に関する事柄は一切出て来ない。漫画の内容は他愛もないお笑い漫画です。主人公や登場人物たちの馬鹿馬鹿しい騒動や元気良さ、そこから生まれる“笑い”に対して、「爆発的」というような意味を込めて、漫画の主人公の名前に「ピカドンくん」と着けたんでしょう。と、思う。

 50年代後半から60年代前半、児童漫画雑誌のギャグ漫画ジャンルで活躍した、漫画家ムロタニツネ象先生は、67年68年頃、週刊少年サンデーと月刊誌・少年で、怪奇漫画「地獄くん」を連載してから先、70年代以降はコミック雑誌で見掛けなくなったんですが、80年代以降は、学研や小学館、集英社などから発行された、シリーズものなどの漫画解説版の、歴史教養本や偉人解説本などの、主に児童向けに刊行された、漫画で優しく歴史や偉人を解説したシリーズなどを執筆されているようですね。

 それにしても、「ピカドンくん」「わんぱくター坊」のギャグ漫画家のムロタニツネ象先生が、不気味な主人公と異世界を描く怪奇漫画、「地獄くん」を連載されたときは、あまりにも違う作風に驚きました。タッチは似たものがあったのですが、黒ベタの多い画面に気味悪い主人公で、同じ作者がこうも違ったものを描くものかとびっくりしました。「地獄くん」も雑誌掲載リアルタイムで読んでますね。僕は小六から中一くらいかな。「ピカドンくん」雑誌連載時は僕は小一ですからね。

 昭和33年か34年頃から38年春先まで連載されたレトロ漫画、「ピカドンくん」はamazonのキンドル版で、1990年に刊行された「ペップおもしろ漫画ランド」全10巻に収録された1冊分が購入して電子書籍で読めます。あとはネットを回っていて、「マンガ図書館Z」というサイトを見つけ、ここに多くの「ピカドンくん」を見つけました。多分、この分は昭和30年代に刊行された数巻の単行本分でしょうね。マンガ図書館Z-ピカドンくん

※(2010-04/22)漫画・・「わんぱくター坊」

 

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