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「宇宙Gメン」-1963年『まんが王』掲載-

 僕が子供の頃、モノクロTVで放送された、SFヒーローもの実写ドラマ「宇宙Gメン」は、1963年の8月から10月までゴールデン帯の30分番組として放映され、コミカライズの漫画作品の方は、当時の秋田書店発行の月刊児童漫画雑誌「まんが王」に連載されました。僕が小学二年生当時ですね。

 まぁ昔の遠い記憶になりますが、僕は当時、TV 放送のこの子供向けドラマをそんなに熱心には見ていない気がする。番組を見たことはあるんだけど放送を毎週逃さず、とかいう勢いではなくて何回か見た程度なのかな。だからTV ドラマの方は知ってるし見たことあるって記憶してるけど、内容はあんまり印象がなく、お話の詳細なんてほとんど覚えてない。

 それに番組自体も何でも視聴率が芳しくなかったらしく、本来ワンクール13回放送予定だったのが8回まで放送されて打ち切りになったらしい。だから放送も63年の8月から10月まで全8回だけなんだよね。ただしコミカライズの漫画の方はよく覚えている。

 僕は小学生時代の低·中学年時、月刊漫画誌「まんが王」をほとんど毎号購読していた。僕は子供の頃、SF ヒーロー漫画が大好きだった。だから漫画版「宇宙G メン」もよく覚えている。「宇宙G メン」は63年の「まんが王」12月号で連載が突然終わった。この、連載の突然の、お話の中途半端な終わり方も覚えている。TV ドラマは10月初旬に打ち切りで終わったが、漫画作品の方は11月アタマ発売の「まんが王」12月号で終わった。

  ドラマの「宇宙G メン」も記憶してたし、漫画版「宇宙G メン」もよく覚えてたが、長らく、漫画を描いた作者が誰だったか全く記憶になくて解らなかった。最近調べてようやっと解った。何と荘司としおさんだった。これはちょっと意外だった。

 荘司としお先生の漫画の代表作を二つ上げろ、と言われたら直ぐに思い浮かぶのは「夕やけ番長」と「サイクル野郎」。無論、荘司としお先生は昭和児童漫画界の超売れっ子漫画家の一人であり、60年代から70年代はまるまる、当時の少年漫画誌では月刊誌·週刊誌引っ張りだこと言っていいくらい、いつでも各誌に連載を持っていた。原作付きもオリジナルストーリーの漫画も描いていたけど、ジャンルはスポーツものや学園ものなどの少年熱血感動漫画が多かったと思う。印象に残るのは「夕やけ番長」のような学園漫画と野球·ボクシング·サッカーなどのスポーツ漫画。剣道漫画もあったと思う。「剣は道なり」は時代劇でした。「サイクル野郎」はテーマが少年の自転車での日本一周でサイクルスポーツ漫画でしたね。だから、SF ヒーロー漫画の「宇宙G メン」の作者が荘司としおさんというのは意外だった。

 もっとも、50年代末から60年代は、ストーリー漫画の当時の漫画家は、いろんなジャンルの漫画を描いていた。漫画家によっては本来ストーリー漫画の描き手なのにギャグ漫画を描いてみたり、本来少年誌専門だがときには少女漫画を描く男性漫画家も居た。だから荘司としおさんもデビューから何年かの間は、専門の熱血スポーツ漫画だけでなく他のジャンルの漫画も描いていたと思われる。当時のストーリー漫画の漫画家は連載の長編ばかりでなく、短編作品もいっぱい描いてたから、僕も60年代前半は荘司としおさんの短編読み切りのスパイものやアクション漫画を読んだ覚えがある。多分「宇宙G メン」以外にSF ものを描いたこともあるんだろうな。

 

  63年モノクロTV のSF ヒーロー実写ドラマ「宇宙G メン」の物語の内容は、南太平洋の孤島に作られた宇宙開発研究所で、宇宙船·アンドロメダ号の開発を進めているが、その開発を阻止せんとする悪の組織·デモン帝国があった。デモン帝国は次々と陰謀を企て、実験宇宙艇レダ号を1号·2号と宇宙で爆破などして、アンドロメダ宇宙研究所の実験·開発を邪魔して行く。レダ1号の爆破ごと殺された宇宙パイロットの親友の青年は、研究所専属パイロットの役目を引き継ぎ、宇宙船アンドロメダ号の開発に協力する。この青年こそ実は正義の味方·宇宙G メンであった。宇宙G メンは独自の宇宙艇を操り、悪の組織·デモン帝国の魔手と敢然と戦い、デモン帝国の破壊工作を次々と潰して行く。やがて宇宙船アンドロメダ号が出来上がり、招待客の科学者たちを乗せて宇宙へと飛んで行く。デモン帝国はアンドロメダ号を爆破せんと最後の戦闘を仕掛けて来たが、そこにはまたも、アンドロメダ号を守るため宇宙G メンが宇宙艇を操ってやって来るのだった…。···· 

 というのが「宇宙G メン」のだいたいのストーリーですね。宇宙Gメンの宇宙艇対デモン帝国の宇宙船の、宇宙空間の空中戦場面なんかも多いのですが、何しろ昭和38年当時の実写版・特撮なので、今のCGもふんだんに使った特撮技術に比べると非常にちゃちい特撮(透明な細い紐で吊ったプラモ飛行機どおしがゆらゆら‥)に見えてしまう。まぁ仕方ないですね。50年以上前の実写·特撮ドラマだから。

 この実写ドラマ「宇宙G メン」には宇宙研究所のパイロット役で倉岡伸太郎という俳優が出ています。「宇宙G メン」での倉岡伸太郎さんは全く記憶にないけど、倉岡伸太郎という俳優は印象深く覚えています。それはこの時代の大ヒットTV ドラマ「姿三四郎」の主人公·三四郎役を倉岡伸太郎さんがやっていたからです。「姿三四郎」のドラマは人気が高くて子供の僕もけっこう熱中して見てた。また何度も再放送されてその都度見てたし。

 TV ドラマの「姿三四郎」というと有名なのはその後に放送された、主人公·三四郎を竹脇無我さんがやった方でしょうが、僕はどっちかというと僕が小学校二、三年生時に放送された、倉岡伸太郎版「姿三四郎」の方が印象深く記憶に残ってる。三四郎の恋人役と華族のお嬢様の一人二役をやっていたのは、調べたら佐治田恵子さんという当時の女優さんだった。竹脇無我版「姿三四郎」ではこのヒロイン役は新藤恵美さんだった。倉岡伸太郎版「姿三四郎」の主題歌は村田秀夫が歌ってた。竹脇無我版「姿三四郎」の主題歌は誰が歌っていたかどんな曲だったか記憶していない。僕はもともと子供の頃から演歌はあんまり趣味じゃなかったんだが、何故か村田秀夫の「姿三四郎」の歌と美空ひばりの「柔」の歌は好きだったなぁ。

 竹脇無我版「姿三四郎」がオリジナル放送されたのは1970年の1月から9月の間か。とすると僕は中二から中三だなぁ。倉岡伸太郎版「姿三四郎」から7年の間があったんだな。ストーリーの流れはほとんど同じですね。配役が違うだけで。「姿三四郎」の劇場版映画は1940年代から70年代までいっぱい作られてますね。最初のものはあの世界的レジェンド名監督·黒澤明作品ですからね。黒澤明版「姿三四郎」って制作年が1943年と続編が45年なんですよね。太平洋戦争真っ最中や末期のとんでもない時代によく柔道活劇映画が作れたな、と何か不思議に思う。

 

 

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 漫画版「宇宙G メン」が当時の月刊誌「まんが王」の63年12月号で連載終了したのはよく覚えてるんですが、「まんが王」の何月号からの新連載かはっきりしない。TV ドラマの放送開始が63年8月20日からだから、多分コミカライズの新連載も「まんが王」8月号からじゃないかなぁ。ひょっとしたら9月号からかも知れないけど。TV ドラマも8回で打ち切りになったから「まんが王」の連載も12月号で終わって月刊誌わずか5回か4回の掲載で終わった。

 「宇宙G メン」は月刊誌連載リアルタイムで読んだきりだから、内容も記憶してないが、ただ12月号の最終回のラストシーンは何となくぼんやり覚えている。多分、アンドロメダ研究所のある孤島だろうが、そこにデモン帝国の兵隊たちが襲撃を掛けて来て、あるいは何か“カニ”が印象としてあるのだが、無数のカニロボットが押し寄せて来て、宇宙G メンがそれらの敵と戦って、デモン帝国側に大打撃を与えて、そこの場面では宇宙研究所を守ってハッピーエンドだったような…。まぁ、あんまりはっきりしない、ぼんやり記憶だけど。

 荘司としおさんの「宇宙G メン」はその後コミックス単行本化はされてないと思います。ひょっとしたら昭和38年の漫画だから貸本で単行本化されたのカモ(?)。ただ、TV ドラマ版の「宇宙G メン」が1990年にVHS ビデオ化されて売り出されたとき、特典付録として荘司としお先生作画のコミカライズ「宇宙G メン」の、月刊誌「まんが王」63年11月号別冊付録のまるまる復刻版が着いた。勿論、僕はこの復刻版を読んでおりません。

  荘司としおさんの代表作というと先ず上がるのが「夕やけ番長」と「サイクル野郎」だが、荘司としお先生は師匠·貝塚ひろしを離れて独立、デビュー以来、60年代70年代と少年誌各誌に連載を持ち続けた、昭和漫画界の売れっ子漫画家の一人だったから、他にも作品は山ほどある。

 その中でも印象に残ってるのは、少年ジャンプが創刊して間もない初期ジャンプ、多分まだジャンプが週刊誌になる前の月二回刊の頃から連載が始まったと思うんだが、熱血学園漫画の「俺はカミカゼ」、主人公の少年が剣道をやっていて強くて、不良たちとの喧嘩や格闘、剣道の試合なども入った学園漫画、あの「俺はカミカゼ」も印象深く覚えてるなぁ。連載が終わってジャンプコミックスで全3巻で刊行された。全3巻だから長期連載でもなかったんだけど、何か記憶に残ってるなぁ。転校して来た主人公の少年が平屋一軒家の家の庭で土の上を裸足で剣道の練習していて、「俺の剣道は板の間で練習する生ぬるい剣道とは違う。もっと厳しいものだ」みたいなセリフを吐いていた。まぁセリフの文言は確かじゃないが、何かそこだけ記憶してる。

 「宇宙G メン」にまつわる僕の幼いときの思い出は、小二当時、僕は「まんが王」を学校に持って行ってて、ランドセルの中にひそめていた。小学校時代は一学年中何度も席替えがあったが、小学校のときの生徒の机は二人一つでくっついていて、横長の一つ机に生徒二人が並んで座って授業を受けていた。小二時のあるとき男子どおしで、僕とKN 君が並んだ。僕もKN 君も背が高い方で、一番後ろの席だった。

 僕は授業中にコソコソと「まんが王」を取り出してKN 君に見せた。KN 君は「まんが王」の中の「宇宙G メン」に反応して机の下で嬉しそうに見てた。KN 君はTV で放送されてる「宇宙G メン」が好きで毎週見てるらしい。授業中に一番後ろの席で僕とKN 君は机の下でコソコソ「まんが王」のやり取りをしてお互い楽しそうに含み笑いをしていた。

 小学校二年生時の思い出。何故かこの数十年前の一シーンを今でもよく覚えている。別のとき今度はKN 君が「鉄人28号」の載った一年前の「少年」を持って来て授業中にコッソリ見せてくれた。KN 君には三つくらい年上のお兄さんが居たから、多分そのお兄さんの漫画本だったのだろう。KN 君と机が一緒になったのはそのときだけであとは女子生徒と横並びになってた。

 KN 君とは小学校·中学校·高校と同じ学校に通った。同じクラスになったことも別のクラスだったこともある。小学校のときは小一·小二だけ同じクラスだった。成長すると僕とKN 君は全く性格の違う少年になった。KN 君は運動部に入って活発にクラブ活動をやって主将になったり、進んで中学や高校の生徒会長に立候補して生徒会長としてリーダーシップを発揮する行動派の少年だった。少年なりに人望も厚くみんなが慕っていたと思う。子供時代からオタク性格で内向的な面も強い僕とは、KN 君は真反対のキャラクターだった。

 だから僕とKN 君は小学校·中学校·高校と特段仲の良い友達でもなかった。校内でも放課後でも一緒に遊ぶことなどほとんどなかった。たまに会話するくらいで一緒に居ることもない。でも何かタマに会うとお互いニコニコしながら冗談を言ったりする仲だった。リーダーシップがあり常に仲間と居るKN 君は活発な行動派で根は優しいユーモアもある良いヤツだったな。「宇宙G メン」というとKN 君を思い出す。

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