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宇宙少年ソラン

 「宇宙少年ソラン」は昭和の週刊少年マガジンの1965年20号から66年45号まで連載されて、当時小学校四年から五年生の僕は毎週欠かさずマガジンを愛読してたのでリアルタイムで連載を読んで、後に大人になってだいぶ経って、朝日ソノラマの豪華愛蔵版で再読しています。

 「宇宙少年ソラン」といえば一般的にはテレビのアニメ放送でしょう。勿論、当時子供の僕は見てましたが、毎週欠かさずというほど熱心には見てなかったんじゃないかと思います。多分、放送期間の前半は見てたと思うけど後半はあんまり見てないんじゃないかなぁ。そこまで大好きなアニメ番組でもなかったように思う。

 「宇宙少年ソラン」のテレビ初出アニメ放送は、65年5月から67年3月までとなっています。テレビ放送の終了前に雑誌コミカライズ連載の方が終わるのは珍しいことですね。週刊誌の45号とは晩夏か初秋頃の発刊ですよね。テレビ放送終了の半年くらい前に漫画の連載は終わっている。マガジンの「宇宙少年ソラン」の連載も後半は常に雑誌の後ろの方の掲載で、カラー扉もあんまりなかったように思うので、連載期間も後半からは漫画の方の人気もそんなに芳しくはなかったのかな。

 昭和の時代はテレビ放送のアニメ番組は、必ずソノシートという薄いビニール製レコード盤化して売り出されてました。ブックレットになってて16ページくらいの上質紙フルカラー印刷の冊子の間に、ソノシートの、薄いペラペラしたレコード盤が挟み込まれて、これはレコード屋さんではなく、だいたい書店で売られていた。アニメのソノシートは、両面録音していて片面は主題歌と挿入歌、もう片面には声優演技とさまざまな効果音を入れた10分から15分くらいのドラマが録音されてた。アニメ·ソノシートは両面録音だからソノシートでも割りと厚い感触だったかな。アニメの主題歌·挿入歌だけの普通のレコード盤もレコード屋さんに売ってましたね。

 僕は小学校三年~五年生時代に、当時のアニメ放送や特撮「ウルトラマン」のソノシートを十枚くらい買ってると思う。当時はソノシートも高くて僕の記憶では本屋で280円で売ってた。だから月刊誌·週刊誌の漫画本ばかり買ってた子供の僕の小遣いでは余裕がなく、欲しくてもそんなに買える代物でもなかったですね。

 僕は「宇宙少年ソラン」の朝日ソノラマ発行のソノシートを一冊持ってた。当時子供の僕はソランの主題歌も、挿入歌の♪バビューンとソランが走る~、という歌も好きでしたね。でもアニメ放送はそんなに熱心に見てなかった気がする。

 当時のソノシートはフルカラーの16ページくらいのブックレットに挟み込まれてたんだけど、今現物を持たないから、ひょっとしてもう少し厚くて24P くらいあったのかも知れないけど、この冊子の中のオールカラーの絵が綺麗で、「宇宙少年ソラン」の設定の簡単な解説と主題歌·挿入歌の歌詞と、ソノシートB 面録音ドラマの挿し絵というか、綺麗な漫画絵が何ページにも渡って描かれていた。

 僕は小学校一年生当時から自宅で独りで自分オリジナルの鉛筆書き漫画を、ほとんど毎日描いて過ごしていた。自分オリジナルって、雑誌や貸本の漫画を真似てオリジナル漫画を描いてたんですけどね。白い綺麗な西洋紙には色鉛筆カラーで、安い藁半紙には鉛筆モノクロで。

 小学校四年生当時、「宇宙少年ソラン」のソノシートを買って来た僕は、ブックレットのフルカラーの綺麗な絵に魅せられて、ソラン少年と相棒の宇宙リス·チャッピーを描く練習をした。練習って、もともと僕の鉛筆漫画は雑誌のプロ漫画の真似から始まってるから、多分直ぐ描けたんだと思う。割りとよく似てうまく描けたんで、「宇宙少年ソラン」の自分オリジナルの鉛筆漫画を描いた。

 「宇宙少年ソラン」は少年マガジンの連載で毎週読んでたし、テレビのアニメ放送で見てたんだけど、鉛筆漫画を描こうと影響されたのは、ソノシートのブックレットの綺麗な絵を見て刺激を受けたからですね。

 僕はもとから絵の才能があった訳でも何でもなく、小さい頃から独り遊びの好きな僕が毎日毎日、鉛筆書き漫画を描いてたら、年取るごとにそれなりに絵がうまくなって行った。漫画絵だけど。好きこそものの上手なれ、って何でも、あるレベルくらいまでは本当のことですからね。

 自分オリジナルの「宇宙少年ソラン」ったって、多分、悪い宇宙人かロボットか怪獣が現れて都市を破壊して回って、そこにソランが現れて悪い奴らをやっつけた、って単純なストーリーの鉛筆書き漫画だったんでしょうけどね。何しろ早生まれの僕の9歳10歳当時の落書きみたいな漫画だから。

 子供の頃、週刊少年マガジン連載リアルタイムで全編読んでるとはいえ、その後コミックス再読はしていなく、豪華愛蔵版コミックスで読んだのは、その朝日ソノラマ発刊の分厚い豪華版が初版発行された1999年で、僕ももう40代に入った年齢ですから、懐かしくて本を買ったものの、さすがにちゃんと読んではなくてざっと捲って行って目を通した程度の読み方でした。

 「宇宙少年ソラン」のコミックス単行本は85~86年に朝日ソノラマのサンワイドコミックスで全3巻で刊行され、99年の朝日ソノラマ豪華愛蔵版は全2巻発行ですね。60年代末の新書判コミックス化はなくて、85年のサンワイドコミックスが初の単行本化のようですね。

 僕も「宇宙少年ソラン」のお話は細部の内容などすっかり忘れてしまっていて、宇宙人の少年が地球にやって来て、その超人的な能力や発達した科学力で、地球の大掛かりな犯罪組織の強敵ロボットや地球侵略に来た悪い宇宙人たちを退治する、勧善懲悪ストーリーだとだけ思い込んでいました。

 ネットを回って調べると、「宇宙少年ソラン」のソラン少年は宇宙人じゃなくて、元は地球の人間の子供なんですね。地球よりもずっと進んだ文明を持つ宇宙人に育てられ、サイボーグ化されて強靭な肉体と超人的な能力を手に入れて、地球に戻って来た少年ヒーローなんですね。

    

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 「宇宙少年ソラン」の作画は宮腰義勝氏で、テレビアニメ·コミカライズなので物語の設定や原案·原作はTBS とTCJ で、一応原作のメイン担当は福本和也氏になってますね。漫画家·宮腰義勝氏の作品で一番有名なのは「宇宙少年ソラン」で、一応代表作とされてますね。

 ネットを回って調べてみると、宮腰義勝さんは最初に手塚治虫の虫プロダクションに1958年に入社して手塚先生のアシスタントをしていたようです。その後、横山光輝が64年に光プロダクションを作った際に参加しているので、宮腰義勝さんは昭和児童漫画の二大レジェンドの下で仕事をしていたんですね。

 宮腰義勝氏には貸本漫画の執筆作品もあるそうなので、虫プロダクションを61年に退社しているから、その当時貸本漫画も描いてたんでしょうね。 

 宮腰義勝氏は64年に当時の週刊少年サンデーに、塚本光治名義で「鋼鉄人間シグマ」を約一年間連載しています。これは後にサンコミックスでコミックス単行本化されてます。「鋼鉄人間シグマ」の原作担当は師匠格の横山光輝先生で作画が塚本光治氏です。ちなみにペンネーム·塚本光治の由来は、「手塚治虫」と「横山光輝」から字を取って着けてるようです(『鈴木光明』から取ったという説もあり)。しかし直ぐに宮腰義勝名義で作品を描いてますね。サンデーの塚本光治名義の「鋼鉄人間シグマ」の連載終了から二ヶ月後くらいに、マガジンに宮腰義勝名義で「宇宙少年ソラン」を描いてるんですからね。

 マガジンの「宇宙少年ソラン」の連載終了後も、宮腰義勝先生は少年漫画誌に作品を描いておられましたけど、読み切り短編なども多く、僕自身は目立った作品も見掛けなかったかなぁ。潮出版が65年に創刊した「希望の友」という少年雑誌があったのですが、66年頃かなぁ、この雑誌に宮腰義勝先生のサッカー漫画が連載されてたのを記憶しています。ただタイトルまでは覚えてません。

 宮腰義勝先生の作品は60年代末頃にはあんまり少年漫画誌で見掛けなくなったけど、僕自身は67年頃から作品を見なくなったけど、70年代には青年コミック誌や成人漫画誌に作品を描いてるんですね。僕は宮腰義勝氏の青年劇画や成人漫画は読んだことはありません。ネットを回っていて青年誌に掲載された作品の表紙絵を見掛けましたが、青年·成人漫画用のタッチになっていますが、児童漫画時代の面影はあります。

 1964年の週刊少年サンデーなら「鋼鉄人間シグマ」も連載を読んでるんでしょうが、僕は「鋼鉄人間シグマ」はあんまりよく覚えてないなぁ。「宇宙少年ソラン」の方の雑誌連載ははっきり記憶してますけど。

 「宇宙少年ソラン」の僕のごく個人的な思い出で、会社に就職してまだ新人時代の会社の何かの宴会で、緒先輩方に何か歌えと言われて、みんなの前で「ソーラン節を歌います」と立ち上がって♪宇宙少年ソラン の主題歌を歌ったら、その当時の若い社員はソランの歌を知ってて、けっこう“場”でウケたのを覚えてます。何かウケたのが嬉しかったなぁ。まぁ、どーでもいいよーな話ですが。

 「宇宙少年ソラン」というと、どうしても思い至るのが手塚治虫先生の“W 3 -ワンダースリー-事件”。同時期の週刊少年マガジン誌上にて手塚先生の新作SF 漫画「W 3 」が始まったが、直ぐに「宇宙少年ソラン」が同誌に連載開始されたので、怒った手塚先生がわずか6回で「W 3 」を打ち切って、少々設定を変えて新たに、ライバル誌·週刊少年サンデーに「W 3 」の連載を始めたという“事件”。

 僕はこの時代、週刊少年マガジンも週刊少年サンデーもほとんど毎週読んでたので、マガジン新連載で楽しみにしていた「W 3 」が急に連載がなくなったので、あれ?おかしいな、と思ったら急にサンデーで「W 3 」が始まったので驚いたのをよく覚えてます。この当時はこの「W 3 」のマガジンからサンデーへの移動にまさか「宇宙少年ソラン」が関係してたとは全く解りませんでした。

 僕がこの「W 3 連載移動事件」の真相を知ったのはそれから10年くらい経ってからでしょうか。真相を知ったと言っても、せいぜい「宇宙少年ソラン」に出て来るレギュラーキャラの宇宙リス·チャッピーのアイデアが、当初、手塚治虫が「W 3 」で考えてたボッコのキャラだった、という話くらいでした。

 「宇宙少年ソラン」には手塚治虫作品のアイデアが盗用されている、と手塚治虫が疑って、結局、手塚がマガジンから「W 3 」の連載を引き上げたんですね。つまり「W 3 」の主要キャラの一人、“ボッコ”は初めは“リス”の姿形の設定だった。それが「宇宙少年ソラン」が始まってみると、手塚が考えていた“リス”がソランの主要キャラクターに使われていた。それで、盗用だと手塚が怒ったんですね。

 ネットを回って「W 3 事件」について調べてみると、この件は単純に「W 3 」のボッコと「宇宙少年ソラン」のチャッピーだけの問題じゃなくて、もっと複雑に絡んでいるようです。講談社·少年マガジン編集部、「W 3 」のスポンサーのロッテ、「宇宙少年ソラン」のスポンサーの森永製菓などイロイロ。アニメ企画「ソラン」のコミカライズ担当に抜擢された漫画家、宮腰義勝氏もとばっちりを受けて当時は相当困惑されたみたいですね。

 何でも「W 3 」のアニメ·テレビ放映の企画が出る前から、虫プロダクション内では情報漏洩の疑いが持ち上がってたらしくて、虫プロ内部に産業スパイ的な存在が居るんじゃないか?と騒ぎになってたようですね。この騒動で虫プロ·スタッフの中で、「W 3 」事件前後に何人か退職者も出たんだとか。

 また、「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」後の虫プロ制作アニメの企画には、集英社の月刊誌「日の丸」に連載されてた「ナンバー7-セブン-」も上がっていたんですね。それが二転三転して結局「W 3 」に決まった。

 「ナンバー7」は僕は月刊誌「日の丸」の末期に雑誌で読んでます。大人になってから手塚治虫漫画全集版で全編読んだけど。「ナンバー7」にアニメ化の話もあったとは全く知りませんでしたね。

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