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「サイボーグ009」

 「漫画界遺産の相続者たちへ - 石ノ森、一生分 - ギネス級の全500巻!!、初単行本化210タイトル!!」という、角川グループ創立60周年記念企画、の「石ノ森章太郎萬画大全集」が、来年2月から刊行されて行くようです。お客様に直接お届け、書店店頭での陳列販売はいたしません、のだそうです。12期に分けて2008年末までに全巻刊行予定。予約注文自宅配達のシステムでいくんですね。まあ、本屋さん注文店頭手渡しなんかも出来るんでしょうけど。しかし全500巻はすごい!これ全巻揃える人っているのかな。いるだろうなあ、けっこう。コアな石ノ森マニア。作家筒井康隆さんの推薦文にもあるように、バラエティー性に富む天才漫画家の全作品を余すことなく全部読む、というのはこれから漫画を描こうという人には、プロのすごさ厳しさを思い知り、大変勉強になる、というようなことだそうで、過去の往年の大家達の中でも屈指のオリジナル漫画の天才の全作を身近に置いて、いつでも手に取れる、というのは確かに漫画家見習いにはとても貴重なことでしょうね。僕も、そう思う。それから石ノ森マニア達はやはり、書棚に、どーんと揃えて並べてみたいでしょうねえ、全巻500冊、石ノ森章太郎全部。2年間で500冊揃えたら、いくら掛かるんだろうなあ。お金に余裕のない、石ノ森マニアや漫画家見習いの人達には重要な問題ですが、009=島村ジョーの顔アップ絵デザインの、この新聞全一面広告に、総額値段、書いてねえんだよなあ。

 手塚治虫先生の講談社から出た「手塚治虫全集」は、第一期全300巻だったけど、当然第二期もあったろうし、作品数、原稿枚数では多分、石ノ森先生よりもずっと多かったろうし、あの、80年代末頃からだったか刊行され続けた手塚先生の全集は全部合わせたらいったいいくらくらいまで行ったんだろうか?何百巻?今回のこの石ノ森大全集がギネス級だっていうけど、作品全原稿枚数ではやはり手塚治虫先生の方が絶対多いと思うけど、何か、過去の漫画界全体での一番原稿枚数の多い漫画家は?といったら、やはり、さいとうたかを先生では、という気がする。徹底したプロダクションシステム、流れ作業の分業システムに携わったアシスタントさん等の数も多いだろうし、それは手塚プロも石ノ森プロもあったろうが、その徹底性でさいとうたかをじゃないかなあ?と思います。さいとう先生は健在だけど、その、一生分の作品原稿枚数では。

 で、この来年から新発刊される、多分愛蔵版の「石ノ森大全集」を僕が揃えて行くのかというと、多分買いません。子供の頃から大好きだった「サイボーグ009」はあらかた持ってるし、今までの人生で読んだ石ノ森作品も数多いし、今さら豪華愛蔵版だったりしても自分の部屋の書棚に並べて飾りたいなあー、とかは思いませんね。もう少し若い頃だったら気持ちは違っていたかも知れないけど。秋田書店から「サイボーグ009」等の豪華愛蔵版は既に出てますよねえ。僕は今はあんまし名作漫画コレクターなぞではないし。

 石ノ森章太郎作品で、僕が一番好きだったのは、やはり「サイボーグ009」だけど、同じくらい好きだったのが「ミュータントサブ」ですね。「サイボーグ009」は大長編で、何十年に渡り断続的に描き続けられた、長編話、短編、とエピソードのいっぱいある、やはり石ノ森先生の一番の代表作でしょう。「ミュータントサブ」は60年代後半の一時期に描かれた、短編連作です。どちらもSFで、前者はロボット機械人間系SFの戦隊ヒーロー、後者は超能力者系SFヒーロー。だいたい石ノ森作品にはSFが多い。勿論、天才石ノ森作品はバラエティーに富んでいて、あらゆるジャンルを描き分けていますが、初期中期の少年漫画は圧倒的にSFが多いという気がします。

 僕の好きな「サイボーグ009」の中のお話は、数多くのエピソードの中でも、やはり少年時代に雑誌連載でリアルタイムで読んだお話が忘れ難く、脳味噌の片隅に欠片の如く、残っていますが、中でも特に年齢が幼い頃のものの方が、その欠片の一部に楔を打ち込んだように、もうノスタルジーであって、だから、一番ポピュラーでロングセラーの秋田書店サンデーコミックス版では、第1巻から4巻くらいまでにあたる、誕生編が脳味噌の片隅の小さな欠片の、楔の打ち込まれた部分です。僕の子供の頃の雑誌連載では、登場新連載から初期の「週間(週刊)少年キング」連載時代。何故か、その次の、大長編第2エピソードにあたる、「地下帝国ヨミ編」の「少年マガジン」連載時代分は、あんましね。あんまし、何か好みでない。その次の「月間(月刊)漫画誌冒険王」連載時代の第3エピソードになると、何故かまたワシのノスタルジーが‥。「冒険王」では、「モンスターアイランド編」、「砂漠のモーゼ編」になります。みんな60年代ですね。

 その中でも忘れられない1シーン、一つのセリフがこれ。秋田サンデーコミックス版では確か第4巻、秋田漫画文庫版では第8巻、にあたります、その中の、試作品00ナンバー改造人間達と、もうその次の改良アップグレード完成品達との、戦隊同士の戦い。敵完成品サイボーグ達は、ギリシャ神話に題材を取った姿形タイプ。主作科学者は違えど、どちらも死の商人ブラックゴースト団の製作兵器で、いわば兄弟。この場合、弟等の方が兄達よか相当出来が良い。ただし、精神性ではなく、能力ね。「少年キング」に連載された「誕生編」最後の方。

 死闘を繰り広げる009がいよいよ対決するは、ギリシャ神話サイボーグ隊のリーダー格の若者、強敵アポロン。改良完成品サイボーグ達は、試作00ナンバー達の基礎能力の上にさらに、身体にいろいろな武器を備える。お互いにレーザーハンドガンを捨てて己の身体能力だけで戦う事となるのだが、この時のやり取りのセリフ、アポロン「僕は摂氏3千度くらいの熱を出せるんだ。それではおまえの能力は?まさか加速装置だけと言うんじゃないだろうな。あとはどんな力を持ってるんだ?」、というアポロンの問い掛けに、009「あ、あとは…。あとは勇気だけだ!!」、という009の返す言葉。カアーッ、もうたまりませんでしたねえ、このセリフ。明らかに自分よりもぐんと能力の高い敵を相手にひるまず、この言葉を毅然と返す。「あとは勇気だけだ!」。もうホントに完璧、参ってしまうセリフです。この島村ジョー=009の「勇気」はずっと忘れられない、僕にとっての超名場面でした。


 30年以上も断続的にではあるが続いた漫画史に残る記念碑的SF名作「サイボーグ009」。敵の女性サイボーグ達との、お互いに見せるちらほらした恋愛感情的な気持ちの交錯も、また各編に見られ、そして00ナンバーの盟友の一人、紅一点、フランソワ=003と009島村ジョーは恋人同士だし、活劇SFだけではない、平和への願いやお互いを愛し合う気持ちと、お互いに殺しあう人間達の愚かさと、宿命的に戦い合う敵味方どおし、またそこにどうしても引っ掛かる思いのジレンマや悩み、平和を希求する心からの叫びと人間愛、などなど、作者石ノ森先生の持つ心の優しさも肌にじかに伝わって来ます。
 僕に取って、手塚治虫といえばどうしても「鉄腕アトム」だし、石森(石ノ森)章太郎といえばやはりこの「サイボーグ009」ですね。

◆(2005-09/28)「サイボーグ009」
◆(2008-12/12)漫画・・ 「アンドロイドV」
◆(2005-04/04)「番長惑星」
◆(2006-05/22)漫画・・ 「ミュータント・サブ」

    

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「鉄腕バーディー」 ・・・第10集

03 連続TVドラマ「女王の教室」が終わりました。意外な、というか予測通りのというか、後半終わり近くにどんでん返しを思わせる展開で、クライマックスからエンディングの盛り上がりを迎えました。僕はあんましTVの連続ドラマは見ない方なのですけど、この番組は2、3回外しただけでほとんど見ている、僕には珍しいケースです。連続、といっても今のこの手のドラマはだいたいワンクール13週近くで終了するので、これもまあ10回くらいで終わったんでしょうか。「金八先生」等から連綿と続く学園ドラマの小学生版、といったところか、小学校舞台の珍しいドラマですね。「金八先生」等とはお話の趣を異にしますけど、最後に感動を持ってくる学園学校ドラマの手法は同じですね。主演の天海祐希ふんする鬼教師ぶりが、メチャはまり役と話題になりました。ドラマ予告のキャッチフレーズの「このドラマは悪魔のような鬼教師に対する、あるクラスの子供たちの一年間の戦いの記録である…」ですが、前半、毎回時代を遡ったような真っ黒い衣装にすっぽりと身を包み、ミステリアスなたたずまいで容赦なく非情に子供達にあたる、天海祐希ふんする女教師は、そのミステリアスなたたずまいから悪魔そのものにも見えたものです。最後は、でもこの非情な女教師の真の思惑は違っていた…、というものですね。

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 今の時代、子供から成長していき、大人になり社会に出ても、壁にぶち当たる事に弱い子供達が多い。人生のこれからという初めで、次々と前に現れる壁に負けて挫折してしまう。要は子供時代に、この壁に対する免疫をつける事。精神力も体力も弱い子供時代に、毎日通う義務である学校の教師が、最初の大きな壁となって子供達に当たる。子供はこの壁に戸惑い悩み負けそうになりながらも色々と考えて行く。そうして子供達が知恵を出し合い協力して、この壁を打破したり乗り越えて行く。そうやってまだ小さな頃から、人生の壁に対する免疫をつける。つまりそういう事が主題だったドラマなんですね。終わりまで見ないと、この初めは見えない主題は解りませんけど。今の時代の親達は我が子に甘く優しく友達のように接している。幼き時期に誰かが昔の威厳があって怖かった父親の役目をしないといけない、という事なんでしょうか。でもドラマそのものはちょっと誇張し過ぎかな、やりすぎなんじゃないの、と思わせもしますけども。TVドラマにありがちなご都合主義も目立ちますが。けれども珍しいタイプの面白い良いドラマでした。鬼教師の名前、阿久津麻耶って、「つ」の字取ったら「悪魔やあ~」ってなるんですね。

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 これ見て、今の子役達はうまいなあー、と感心しました。特に天海祐希以外の主演級の子役、志田未来ちゃんというのでしょうか、うまかったですねえー。可愛い女の子でした。僕自身の好みでは、最初自分の世界に閉じ籠っている成績優秀なクールな子供を演じてた、進藤ひかる役の女の子の方が好きだったけど。この子も後半は殻から抜け出て明るさを取り戻す。ひかるちゃんは可愛かったなあー。こんな事書いてると、これ読んだ人に、Ken-mortimaというのはロリコンの変態だ、と思われるぞ。気をつけよう。私は変態ではありません。これでよし。

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「電車男」も次が最終回ですね。でもこのお話のマドンナ、エルメス役の伊東美咲は好きなタイプではないですね。女優の伊東美咲さん自体は嫌いではありませんが、ヒロイン、エルメスがあまりにも古典的なマドンナマドンナしていて、僕はこういうのダメですね。まだ脇役の白石美帆の方が人間臭い若い女でイイです。最終回を僕が見るかどうかは解りませんけど、現実のこういう人って同じような人達は出ていないのでしょうかね?つまりネットのチャットや掲示板の書き込みみたいので恋愛相談を求めてるヤツ。同じような二番手三番手のネットマニア。まあ、いいんですけど。若い人達の恋の悩みも良いですねー、青春していて。

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 僕は市販されている夢占いの本を二、三冊持っていて、よく眠りからの起きかけにその本を見て、今見たばかりの夢の意味を見ます。精神状態的に当たっているものもありますが、未来予知的な意味では当たらない事は多い。何ていうか見た夢の中で一番象徴的な事柄をキーワードにして、それを引いて意味をその本で調べるのです。三年くらい前のスピルバーグ監督の映画「マイノリティーレポート」では、未来社会の政府警察がプレコグと呼ばれる子供の、未来予知の超能力者達にこれから起こるであろうという犯罪を予知させて、未然に犯罪を防ごう、というものでした。物語はそこの管理官である主人公役のトムクルーズが皮肉にも未来の犯罪者として予知されて、やっても企んでもいない罪からの警察の追跡を逃れようと奔走するお話でした。以前、レンタルビデオで見てるのですが、どんな終わり方だったのかよく憶えてません。プレコグと呼ばれる子供達の予知方が夢でした。だから始終寝ていた。というか眠らされて夢ばかり見させられていた。僕は随分昔に、この映画の原作のP・Kディックの短編SFを読んでいるのですが、その中では確か膨大な夢の中から、本物の予知夢と何でもない夢とを取捨選択する作業があったような気がします。昔読んだので細かくはほとんど憶えていませんが。PK・ディックという作家は心理学者が興味を持ちたがるような作風ですよね。何か、読んでても、ちょっとこの人病んでるなー、という感じが伝わって来るようなお話の進行が多い。といっても物語構成がメチャクチャというような意味ではありません。立派な、一方のアメリカ文学だと思います。80年代に亡くなられていますが世界的に有名な作家さんだし、原作の映画化はいくつもあるし。

 多分、夢は大昔から未来予知の占いとして使われて来たし、未来予測の超能力的にではなく、心理学にも応用されています。それを初めて公開でやったのが精神分析学の祖、フロイド博士(ジクムント・フロイト)でしょう。夢判断を学際的に実際に応用した初めての人、といったところでしょうか。もう昔の学者ですが、これは何かやたらSEXや性欲が大元の中心に語られるので、僕には、ちょっと聞きかじった限りでは辟易してついていけません。心理学ではその弟子で後に袂を別つユングの方が品が良く感じられて学者として尊敬できる感じ。ユングの四つの窓やタイプ論とか何か解りやすそうじゃないですか。香山リカさんのエッセイとか読んでいますと、ラカンとかラカン理論とかいう言葉が出てくるので、ちょっと調べたら、ラカンは精神分析学方面の学者さんで、フロイド(ジクムント・フロイト)と直接繋がっているのかどうかは解りませんが、ラカン理論というのはちょっと簡単にああ成程と理解できそうなしろものではないようでした。

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 僕も市販本で夢からの自分の未来予測して自分の毎日の指針にしようなどと真面目に思ってやっている訳ではなく、まあ、起きたばかりで気になる夢とか憶えてる夢をこの本でちょっと引いて見てみるという、一つの遊びかな。その後別に見た夢の事なんてたいてい忘れてるし。逆に、夢の未来予知なんて超能力があったらちょっとやっかいな気がする。夢関連で、昔ちょっと読んでやめたアメリカ作家の翻訳本で「誰でもSF作家になれる」みたいな題のいわばハウツー本があって、それには毎日見る夢を目覚めてすぐに記録しなさい、そしてそこに自分の書くSFの題材を求めなさい、というのがありました。何か馬鹿馬鹿しくて読むのやめましたが、昔TVの歌番組でキョンキョンが言っていました「プッツンもんの夢」、というような表現のしかたの夢、場面が急展開してありえない事が辻褄合わずに起きて話の読み解き不能、みたいな夢はけっこう見ますよね。あれって、僕はよく、自分が睡眠中の間の、起きて目覚めている部分の脳の部分が少量だから、脳の作り出している幻影に構成力を持たせられずに、あんな、キョン2いわく「プッツンもんの夢」を見てしまうんだろうなー、と思っていました。不快な夢を見る事も多いですが、空飛ぶ夢とか、一度見た宇宙船で木星付近まで行き宇宙空間に出て遊泳する夢は良かったですねー、忘れられません。気持ち良い夢は本当にイイですねー。こたえられません。

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 というところで漫画に行きましょうか。え~と、待ちに待った我らが「鉄腕バーディー」の第10巻が出ました。今回の表紙は宇宙のナイスバディー美女、バーディーの顔のアップ絵です。なかなか良いですね。ところでバーディーは見た目、大柄な若い女性ですが、年頃の女の人にある、異性に対する憧れや、若い男ほどではないにせよ女性にもある筈の性欲、なんてものは物語中、全然見せません。まるで関心がないみたいです。その、異性に対する恋心とか性欲などが。ただただ宇宙の警察官としての任務への思いだけしかないみたい。後、あるのはその任務遂行の為のエネルギーを得るための、かなり大きな食欲、ぐらいですねえ。もう仕事ひとすじ、みたいな、若い女の子。バーディーって若い美人のお姉さんですが、いったいいくつなんでしょうか?だいたい宇宙人っていうと、ウルトラマン世界だと、ウルトラの一族は、ウルトラマンが2万歳とか、その兄ゾフィーが3万5千歳だったり、ウルトラの父は10万歳、ウルトラマンキングにいたっては20万歳だったりする、そんな世界ですよねえ、M78星雲世界の年齢設定は。2万歳とかいう世界は、人類誕生くらいからですよね。西洋紀元2千年だし、中国4千年だとかいうし、だいたい人類が文化持ち始めてからせいぜい3千年くらい経つのだろうか。その前は原人の時代ですよ。人類の祖先というか人類そのもののクロマニョン人の登場がだいたい今からまあ3万年くらい前でしょう。ウルトラマンとかは個人一人で人類の歴史を生きてる訳ですね。身長40メートルの頭の脳味噌だから、巨大な脳の神経ネットワークが2万年分の記憶を蓄えているのだろうか。アニメや特撮の空想科学の世界を真面目に考え出したらきりがありませんね。だいたい、あのウルトラマンの登場の仕方ですけど、あの空中からの飛来、3万トンの身体が落下着地するやつ、あれだけでその辺一帯は壊滅的打撃を蒙るそうですが。落下着地のマグニチュードはたいしたことなくとも、実際の地震は例えばマグニチュード5でも、震源そのものは地下何十キロのところにある。だから地表面の街々はあの程度の被害で済んでる。だがウルトラマン着地はもうそのもの地表の街、震源がそこにある、というのはとんでもない大災害になるんだそうです、もう東京の町一帯が。

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 バーディーの話に戻らなきゃ。宇宙の婦警さん、バーディーシフォンの実際年齢は僕には解りません。でもいいんです、漫画の世界だから。何か毎回巻を追うごとに新たな登場人物が出てきますね。今回もまた地球に飛来して来そうなアルタ星人の、宇宙連邦では身分の高いところにありそうな女性が出て来てます。まだ宇宙船で飛んで来てる途中だけど。僕も最初の方から毎巻読んで来ていて、お話を何とか把握して、沢山の登場人物の繋がりも何とか解るんだけれども、これは物語を初めて読んで行く人達って、けっこう解り辛いだろうねー。登場人物が多過ぎてお話が複雑で、物語の把握に戸惑い手間が掛かるんでないかい?とかって思う。でも今の若い人達って漫画やSFの世界観を把握する力って僕らよりもずっとあるみたいだからなー。その、そういう方面の磨かれた感性がね。えっと、連邦の社会構成の中では人間姿形のアルタ人って、民族の階層は低いみたいですねえ。今回もわくわく面白いです、バーディーシフォンの活躍。「鉄腕バーディー」第10巻。

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 この間、TVの歌番組を見ていたら、ユンナという韓国の少女が出ていて、何とあの今や昔の人気アニメ「タッチ」の主題歌を、熱唱していました。なかなか良い声です。一緒にBOAちゃんも出ていました。ユンナちゃんが歌っていたもう一曲、「ほうき星」もCD欲しいような良い歌でした。中国の、古典楽器を用いた新しい音楽のミュージシャン達、女子十二楽坊の日本での活躍や、日本人歌手達の中国公演での盛況、日韓双方の俳優女優や歌手達のお互いの人気と行き来、などと前の戦争を知らない今の世代の文化の交流はうまく行っているように感じられますが、何故、今さら、この前の戦争の事なぞ全く知らない世代に、中国などは60年以上前の事を大袈裟にむしかえして、ワザワザ日本人に対して遺恨的憎悪を持たせるような教育をするのでしょうか。しかも、何も知らない世代に対して日本人を仮想敵と思わせるような教育です。今の世代はせっかく昔の人達のようなわだかまりも持たずにうまく付き合っていけているのに、そこへまた60年以上前の事を一方的に日本人を悪者にして、しかも遺恨的憎しみを持たせる情報を植え込む教育等。せっかくうまく行き始めた矢先に、それをぶち壊すような事を国策として行う為政者たち。何か理解出来ない感じ。

 それは先の戦争でも、日本人も中国、朝鮮に渡って、虐待行為をした日本人も多いでしょう。でもぶっちゃけていうと人類の歴史なんて戦争の歴史だし、ちょっと前のヨーロッパ人達は、アジア、アフリカ、北米、中南米の異民族達の国を土地を侵略し、虐待虐殺を繰り返して来たではありませんか。植民地主義時代はもう白人の虐待虐殺の歴史でしょう。中国そのものだって数々の王朝が入れ替わる度に戦争して、同じ民族どおし、あるいは隣の異民族を殺したり虐待して支配したでしょう。中国の国の歴史も戦争の歴史の筈です。確かに一時期の日本はアジアの国々を支配下に置いて、その国で優越民族としてふるまったのかも知れません。虐待も多分虐殺もあったでしょう。でも今さらもう昔の起こってた事は仕様がないではありませんか。日本だって、原爆を二個も落とされて、一般市民が何十万人と殺されているんですから。もう人類の戦争の歴史は、加害者被害者があっても、お互い様みたいなものでしょう。これから先はお互いに殺し合いはしないようにする、とかこれから先のお互いの事を考えて行かないと。自分のとこの国民達が不平不満を言わないようにする為には、日本人を恨ませ憎ませてたらそれで済む、なんてのその場しのぎの短絡的な、まるで思い付きみたいなおそまつな考えで、国そのものを引っ張って行く為政者たちのする事じゃないですよ。

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 あ、そういえば「鉄腕バーディー」10巻に、登場人物の中の悪人の一人、これは人間ですが、氷川という男、スピリッツという宇宙魔薬を使い改造人間の兵器集団を作ろうと人体実験を繰り返している、怪しげな悪人なのですが、この男が、自分の執務室でよく戦争時代の亡霊を見ている。そしていつもその軍人姿の亡霊に話しかけているんですが、どうも前の戦時中の旧満州での軍隊仲間らしく、この氷川という男、その戦時中も何やら人体実験を行っていたらしく、その時代の旧満州地域で無差別に何か薬物の人体実験を行っていたらしい。ただこの氷川という日本人は年恰好は30代男性なんですね。前の戦争時の仲間の亡霊に同期の戦友のように話しかけながら。これも怪しい不思議な存在ですね、バーディーと千川つとむの敵として。
 また今年の春先かに読み上げたミステリ小説、典厩五郎著作「探偵大杉栄の正月」では、明治時代、時の日本軍が当時の台湾で細菌兵器の人体実験を行ったというエピソードが入っています。「バーディー」も「大杉栄の正月」もどっちもフィクションであり、作者の想像でしょうし、はっきりした事は僕なぞには解りませんが、戦争中だったり、植民地的な支配をしていれば、日本人もそれなりに当時は悪い事はしてるでしょうねえ。仕様がない人間の一部、なんだから。

※(2005-12/18)「鉄腕バーディー」第11集
※(2007-1/31)「鉄腕バーディー」第13集14集
※(2005-3/14)「鉄腕バーディー」⑧
※(2005-9/19)「鉄腕バーディー」第10集
※(2005-2/13)「鉄腕バーディー」
※(2006-5/1)「鉄腕バーディー」第12集
※(2005-06/19)「鉄腕バーディー」第9集

 

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「ジャイアント台風」

 

       

 プロレスそのものが下火になっていて、K-1やプライドといった格闘技が人気ですが、日本人というものはより真剣勝負感が好みなようで、アメリカンプロレスに代表されるショー興行味は肌に合わないようですね。プロレスも昔の頃のより真剣勝負味が強かった時の方がぐんと人気があり、プロレスそのものはショーである、という見方が定着した感のある此の頃では、リアルさの強いK-1やプライドに多くの格闘技ファンを取られています。日本人はあまり、格闘技をショーとして見るのには馴染めないようですね。かくいう私も、昔の猪木の全盛期には熱狂してプロレスを見てましたが、その前の時代の国際プロレスも馬場猪木BI砲黄金時代も、真剣格闘技としてプロレスを見ていましたが、今はもう、プロレスは出来レースであり格闘ショーである、と思い込んで見るから、どうしても本気で観賞できません。冷めた目で見てしまい、それ程興味が持てない。というか今はもうほとんどプロレスを見ていません。プロレスそのものを筋書きのあるショー興行そのものとして論じてしまうのはまた語弊があると思うのですけれど。

 80年代初め、アントニオ猪木の全盛期頃にベストセラーとなった、作家村松具視さんの好著「私、プロレスの味方です」の功罪は大きいですね。あれは何かプロレスというものを非常にファジーに捉えていて、なる程とよく解る説明で、説得力がありましたが、つまりプロレスは格闘技でもあるがショー興行であるのだ、と世のみんなに言って聞かせた本でした。あの本の好調売れ行きで村松さんの知名度がぐんと上がり、後に小説を書き、直木賞まで取っちゃう訳ですが、あの本が売れた後、あのベストセラー効果で今までプロレスに興味のなかった人達をファン層に取り入れたが、旧来のプロレスファンでプロレスから離れていった人達も作ってしまった、と当時は言われたものです。僕もプロレスは子供の頃から大好きで、猪木やタイガーマスクには熱狂しましたが、大人になって30歳くらいになるまで、どうして気が付かなかったのか、プロレスラーという人達はほとんど毎日戦っているのです。昔からプロレスと並んで二大格闘技として見られていたプロボクシングのボクサーはせいぜい三ヶ月に一度くらいしか試合がありません。仕事として毎日のように戦っているプロレスラーは身体が持つのか?という事です。真剣勝負する格闘技をいつもいつも戦っていたら身体がいくつあっても足りません。でもあの村松さんの好著「私、プロレスの味方です」で言っている事は、プロレスとは全部そのものが出来レースのショー興行のお芝居であるとは見てはいけませんよ、と教えてもいたんですよね。

 

 プロレスの力とは、あの鍛え上げられた肉体が誇る受身の力だといいます。ショーの要素が大きいからこそ、観客がびっくりするような大技を見せなければならない。勝敗よりも、大技を見せる事が優先する。だから相手の技は受けてやり、こちらの仕掛ける技も受けてもらう。そして何よりも職業人であり仕事としてプロレスをやっている。怪我をして身体を傷つけてプロレスがちゃんと出来なくなったら何にもならない。資本である身体はお互いに守らなければ、明日からの生活に困る。そういうものなのです。しかし大きな実力差をごまかすような試合はしない。ファンに夢を与える興行を行っていく。


 僕が、少年時代から30歳くらいまで、ずっと憧れていた、大きくて強いプロレスラー達。少年時代、周囲の大人達は決まって解ったかの如く、プロレスは八百長だ、と言っていましたが、僕はそれは絶対信じませんでした。アントニオ猪木全盛期の猪木のストロングスタイルの闘魂試合。アクロバットのスーパースター、初代タイガーマスクの強さ。たまりませんでしたねえ、当時。特に猪木さんの試合には、やたら熱くなって、勇気やエネルギーを貰いました。本当にあの頃、猪木の試合を見る、という事が何か弱き自分の心に対する、エネルギー注入作業のようでした。まあ、今になってこそ、プロレスが筋書き付きの出来レースでショーなんだ、と言われても、まあそうかな、とか納得してしまいますが、あの頃の猪木さんや初代タイガーマスクさんにはお世話になりました。当時、営業の仕事をしていて、人見知りが強く人相手の交渉事の苦手だった自分が、嫌なお客のもとへ勇気を持って行けた時も、強きプロレスラー達の闘魂ファイトをテレビ観戦したおかげもあったでしょう。で、まあそのタイガーマスクですが、タイガーマスクは初代があまりに人気があったので、次々と不滅にずっと四代から五代目くらいまで入れ替わり、続いています。その大元、当時の猪木率いる新日本プロレスの初代タイガーマスクが、プロレス引退のきっかけになったのが、その初代タイガー、佐山サトル氏が書いた本、「ケーフェイ」です。

  

 

 「ケーフェイ」という著書は、当時、プロレス内幕暴露本として話題になりました。実は真剣に本当の格闘技の強さを追求する志の佐山サトル氏には、いつまでも漫画世界から躍り出た夢のスーパースター、タイガーマスクを長々続ける事は耐えられませんでした。佐山サトル氏はその後、真剣な格闘技団体というか新種の総合格闘スポーツ「修闘」を作り、また後に同じく新格闘技「制圏道」を創始する訳ですが、真面目に格闘技の強さを求める性格のために、昔からのプロレスの仕組みに反旗を翻すが如くに、内部告発的にやってはいけない禁を犯してしまったのでしょう。それが著書「ケーフェイ」の発刊です。何でも、ケーフェイという言葉はプロレス界最大のタブーの隠語であり、言ってはいけない事を言い、集団の掟を破った行為だったのでしょう。


 外人レスラー達が、シーッと指を立てながらよく使っている言葉、「ケッフェ」とか「ケーフェー」とかいう、悪巧みを意味するらしい言葉、出版元編集人が「フェイク=まがいもの」と引っ掛けた言葉、「ケーフェイ」。佐山サトル氏はこの著書「ケーフェイ」を出した後、プロレス界から永久追放になったという。理由は、絶対に門外に出してはならないプロレス界最高の機密を世間に知らしめてしまったからだという。多分、このケーフェーとはそれまでさんざん怪しまれて言われ続けていた、俗にいう「八百長」に関した言葉だったんでしょうね。この当時のプロレス界ではそれをはっきり認めてしまったら、自分達のプロレス界が存続出来なくなるような、そんな大きな危機感が持たれた、そんな超大事な事柄のキーワード、ケーフェイだったのでしょう。実は僕はこの本は読んだ事はありません。え~と、「ケーフェイ」の発刊は1985年ですね。あれ?新日本プロレスを佐山さんが辞めたのはもっと前ですね。調べてみよう。83年か。その後、スパータイガーというリングネームでUWFというプロレス団体で試合をするのが84年。その後なんですね、この本の出版でプロレス界永久追放となったらしいのは。そして、佐山さんは、よりスポーツ的武道的な新種の総合格闘技の創出に心血を注いで行く。修闘はシューティングとも呼ばれて、佐山氏が去った後も大きな団体となって残り、確か現在もあるのでは。修闘から枝分かれしたのがシュートボクシングでした。「ケーフェイ」って本、一度読んでみたいな。

 とここまで書いてくれば、これはもう、今回の漫画はプロレスものでしょう。佐山サトルさんの事を書き込んだから、漫画も「タイガーマスク」でもいいのですが、今回は日本プロレス史を飾る、王道のプロレスヒーロー、あの日本の英雄、ジャイアント馬場さんで、馬場さんの伝記漫画である、「ジャイアント台風」。


 漫画「ジャイアント台風」は、この度米国南部を襲ったハリケーン、カトリーナの事では勿論ありません。って、馬場の伝記やて先に書いとるやないかいっ。あれって、タイフーンもハリケーンもサイクロンも嵐ですが、場所で呼び名が違うんでしょうね。モンスーンは季節風か。岡村孝子の歌の題名にもあった、え~と、あれや、ミストラル。ミストラルって名前の、確か四駆の車もあったよな、どこかの。ミストラルも季節風の事か。大型の嵐や強風は地球の発生する場所場所で呼び名が違うみたいですね。僕には気象関係の知識はありませんので、タイフーンの話は「ジャイアント台風」の馬場さんの話に戻りましょう。日本プロレス史といえばもうこの三人、戦後の日本プロレスの父、力道山、そしてその直系の弟子、馬場、猪木でしょう。本名、馬場正平さん、身長209センチ、体重は時代によって145キロ135キロ。血液型O型でみずがめ座、格闘者らしからぬ温和で優しげな性格。力道山亡き後の日本プロレス協会を背負って立ったエース、それから自ら全日本プロレスを設立、最後まで社長に納まり、プロモーターとしても海外のレスラー達から尊敬されていました。確か何かの本に書いていた記事ですが、レスラーだったかプロレス関係者が言っていたそうですが、若い頃は猪木のようにやり、ある程度歳を取ってからは馬場のようにやるのが、理想的。なんだそうです。馬場さんが生前言っていた言葉に、僕は喧嘩をしない主義なんだ、というのがあります。喧嘩をせずに、全日本プロレス興行の社長業をこなし、プロモーターの仕事も優秀に行う。人柄が窺えますね。人徳に恵まれていたのでしょう。馬場さんが亡くなられたのが平成11年。現役のまま師力道山の元へと行ってしまいました。まだ若かったですよね、享年は61歳になるのかな。その頃の雑誌に載っていた一枚の写真、馬場さんが履いて使っていた大きなリングシューズを真ん中に、三本ロープのリングの中、往年の海外の大レスラー達が靴を囲む形で花束を持って立っていました。今でも憶えている、追悼10カウントゴングの、一枚の写真の風景です。

 「ジャイアント台風」は僕の少年時代、少年画報社の週刊漫画誌「少年キング」に好評連載されまして、後に同社新書判ヒットコミックスで多分11巻くらいでまとめられました。そして時が経ち、馬場さんが亡くなられて追悼版の意味もこめられて、99年に朝日ソノラマから分厚い全三巻にまとめられまして復刻されています。作画は「タイガーマスク」の辻なおきさん。原作は勿論、この時代の漫画のスポ根物語王、梶原一騎さん。この「G台風」では「明日のジョー」などと同じく高森朝雄名義ですけど。日本のプロレス王、ジャイアント馬場さんの若き日の修行時代の物語です。投手として入団した読売巨人軍を利き腕の怪我で追われて、力道山の元、日本プロレスに入団、厳しい修行に明け暮れて、孤独な海外遠征武者修行、世界プロレスのライバル達との激しい試合の数々。ちなみにこの全三巻に登場する世界の名レスラー達は、オールドプロレスファンには懐かしい名前が並びます。魔王ザデストロイヤー、人間発電所ブルーノサンマルチノ、黒い魔神ボボブラジル、人間空母ヘイスタックカルホーン、墓場の使者キラーコワルスキー、人間ジェット機エドカーペンティア、荒法師ジンキニスキー、生傷男ディックザブルーザー、破壊屋クラッシャーリソワスキー、人間摩天楼スカイハイリー、ミイラ怪人ザマミー、殺人医師ビルミラー、アラビアの魔王ザシーク、黒い死神アーニーラッド、そして最強の鉄人ルーテーズ。あ、プロレスの神様カールゴッチは馬場とは遭遇していないんですねえ。猪木の師匠ゴッチ先生は馬場派プロレスには似合いませんものねえ。

 僕は年齢から、力道山のプロレスを見ていません。見ていたとしても全く記憶がありません。馬場のプロレスは僕の育った地方では放送されず、11歳か12歳頃に当時のTBSが放送を始めた国際プロレスで、グレート草津、サンダー杉山、戦艦豊登、人間風車ビルロビンソン等の試合を見ていました。中学生の時に、アントニオ猪木メイン試合放送のNET系ワールドプロレスリングが始まり、猪木VSドリーファンクジュニアの試合などに興奮していました。僕は20代にテレビを持ちませんでしたが、プロレス放送だけは会社に遅くまで残って会社にあるテレビを見たり、猪木とタイガーマスクの試合だけは何処かのテレビで必ず見ていました。
 いや~、アントニオ猪木さんには、若き日、精神面でいろいろお世話になったって感じですね。あ、馬場の話してたんだったか。

 

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