●漫画・・ 「わんぱくター坊」

　あれ？「わんぱくター坊」の雑誌初出の連載期間は、58年から62年までだ。僕が漫画を読み始めたのは、63年の初頭からだと思っていたけど、どーも、62年の終わり頃からのよーだ。まあ、あんまり変わりはない話だけど。「わんぱくター坊」は、当時の月刊児童漫画雑誌「まんが王」の、58年6月号から62年7月号までの連載となっている。62年7月号なら、僕はまだ読んではいない筈だ。62年の初夏頃はまだ僕は字が読めない。そしてまだ“漫画”そのものにも関心を持ってない筈だ。

　と、すると、後に、貸本版の単行本で読んだのか(？)。確か、“きんらん社”という貸本向け出版社から単行本が出ていた筈だから、その、「まんが王」連載をまとめた分を、後に、貸本屋から借りて来て読んだのかも知れない。それか、何処か、床屋とか歯医者の待合で、ちょっと古い月刊誌の付録冊子で読んだのか。幼少時の僕はあんまり、友達の家に遊びに行く、ということはしなかったからなあ。人の出入りの多かった僕の家には、歳の離れた兄貴の友達も含めて、友達はよく遊びに来ていたけど。

　何だか、僕の記憶では、「わんぱくター坊」は、僕が漫画雑誌を読み始めた頃の「まんが王」に掲載されていたように思うんだけど、記憶違いらしいな。「まんが王」と同じく秋田書店から発行されていた兄弟誌「冒険王」には、同じ作者の同様の子供生活ゆかい漫画、「ピカドンくん」が連載されていた。「ピカドンくん」の連載もだいたい同じ時代の同じくらいの期間だったと思うが、「ピカドンくん」の方は、月刊誌「冒険王」の63年初頭例月号まで連載があったと思う。つまり、確か63年「冒険王」1月号か2月号（3月号？）くらいまで掲載されていた、と記憶している。最終話は、雪山での、子供たち(ガキ大将チーム)同士の大掛かりな雪投げ合戦で、劣勢のピカドンくんチームが一夜の内に雪で固めて、札幌雪祭りよろしく、全面全部雪製の（巨大！）戦艦大和を作って、逆転勝利するお話だったと思うんだけど。確か、そんなお話だったよーに記憶するんだけど、どーか。さっぽろ雪まつりの歴史は古く、この時代既に自衛隊の協力によって大掛かりな雪像を造っていたので、ひょっとしたら作者は、この最終話のアイデアを“雪まつり”から得たのかも(?)知れない。

　作者のムロタニツネ象氏は、デビューが53年となっている。60年代前半までは子供生活ゆかい漫画のジャンルで活躍していたけど、代表作のように有名なのは、怪奇漫画の「地獄くん」ですね。「地獄くん」の初出は週刊少年サンデー67年1号からの連載で、後に、67年の、末期の月刊漫画誌「少年」に読みきり掲載されています。このえらい違いの作風チェンジには、子供の頃の僕も驚きましたけどね。あの当時は、マガジンの「墓場の鬼太郎」～「ゲゲゲの鬼太郎」と、少年キングの「猫目小僧」の大ヒットに影響されてでしょうか、ギャグジャンルに居たムロタニツネ象氏に「地獄くん」という怪奇漫画を描かせました。ストーリーとしては、現世の悪いヤツラ、冷酷な鬼畜みたいな悪人たちを、地獄の死者「地獄くん」が異界に引きずり込んで懲らしめるお話、かな。ホラー味全開のグロテスクなタッチと驚異の恐怖アイデアで、話題としては後世まで残り続けている作品ですね。

　その後のムロタニツネ象氏は、僕自身は、雑誌漫画では全く見なくなったんですが、70年代以降は学習漫画的な、歴史漫画を多く描かれて活躍されているようですね。日本史の歴史漫画や史上偉人の伝記漫画などの作品が多々あるようです。

　そういえば僕の記憶では、月刊誌「ぼくら」の連載で憶えているんですが、TVアニメになった「かみなり坊やピッカリ・ビー」が、66年の週刊少年サンデーに連載されていますね。これはギャグジャンルですね。その後に、同じくTVアニメ化された「ファイトだ！ピュー太」というのが68年の週刊少年サンデーに連載されているそうです。これは僕は全く記憶にありません。TVアニメも「かみなり坊やピッカリ・ビー」は憶えてますけど、「ファイトだ！ピュー太」なんて全然知りません。

　昭和30年代のほのぼの子供ゆかい漫画、「わんぱくター坊」には、おトラさんという、実物の虎ほどもある大きな猫が登場していました。それは憶えています。猛獣大の大猫ですが、のんびりゆったりした性質の優しい、表情はいつもニコニコしているよーな、ター坊ん家のペット猫でした。ネットを回っていて、古漫画サイトをあちこち覗いていて、その何処かの情報で知ったんですが、「わんぱくター坊」はター坊の家庭の男兄弟の弟で、「ピカドンくん」はピカドンくん家の兄弟の兄なんだそうです。掲載誌の秋田書店の「冒険王」が兄貴格で「まんが王」の方が、もう少し対象読者年齢を幾分低くしてある、いわば弟分ですしね。