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「デスハンター」

9784775910191  ホラー映画の巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督によるゾンビ映画、「ランド・オブ・ザ・デッド」をDVDで見ました。面白かったです。ジョージ・A・ロメロ監督といえば、20年前、ホラー映画ファンの間で名作と名高い、ゾンビ映画の原点ともいえる「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」を制作した監督です。20年ぶりに手掛けるゾンビ映画の総決算。
  だいたいもう今のゾンビ映画では、そもそもどうしてゾンビなんてものが誕生するハメになったのか、ということはほとんど語られませんね。「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」以降数限りなくゾンビ映画が作られて来てますが、初めはどうして最初の一体が生まれることになったか、という理由が映画の最初の部分で語られていました。それが、最近のゾンビ映画では、ほんの3分間くらいで、コラージュみたいな画面にダーッて文字を流して説明するだけ。フラッシュ形式で何枚かその場面の写真が出る程度で、もう次の本編では即、ゾンビがうようよ跋扈して、少数派となった人類が一箇所に固まって、数限りないゾンビの次から次の群れに応戦して、サバイバルするドラマに入ってます。

B000bk4d1g09  今のゾンビ映画の初めの画面で文字で語られる「ゾンビ誕生秘話」は、ほとんど未知のウイルス説ですね。今はバンパイア(吸血鬼)だってウイルス説です。まあ、ウイルスというか未知なる病原菌のせいで、人間がゾンビ化する。ゾンビとは、病気なんですね。ある種ウイルスによる不治の病。で、ゾンビ化したゾンビ人間が、健全な人間を噛むと、多分傷口からウイルスなり病原菌が入って罹患し、噛まれた人もゾンビ化する。ゾンビとは、伝染病です。もう一つは、薬剤説。軍の新開発のガスなり液体なりの薬剤や兵器が、起こしてしまう副作用のような困った現象。病気治療の新薬の副作用の時もある。映画「バイオハザード」は、新兵器の開発トラブルからゾンビがうようよ生まれるハメになったものでしょ?あれは、スーパー肉体改造人間を作るための薬剤のトラブルが原因だったのかな?忘れた。まあ、今のゾンビ映画では、どうしてゾンビが出来てしまったか?というのはたいした事柄ではない。映画の主題は、圧倒的数に増えたゾンビ軍から、少数の人間達が如何に生き延びるか?なんですね。

 だいたい、ゾンビって何なのでしょうね?元々は中米のある国に伝わる、ブードゥー教の中の一つの事柄(儀式)で、ブードゥー教の戒律を破った信者が受ける罰、なんじゃなかったかな?戒律を破った者が、生きたまま死者にされるという(?)事じゃなかったか。確か昔、そういう事柄を解説した読物を読んだ記憶がある。細部は忘れたが、破戒者が罰として、生きた毒爬虫類の搾りエキス汁とか怪しいいろいろな薬草を混ぜて作った変な薬液を飲まされ、生きたまま土中に埋められていると、生きたまま死人になってそれがゾンビだとか‥(?)。そんなだったと思う(?)。ブードゥーの神に背いたからちゃんとした死人として天国に行けないみたいな‥。それで生きたまま死人でいなければならないという‥ね。まあ、事実は仮死状態でずっといる、という事でしょうけど。多分、麻酔薬のような薬剤効果で、身体は微動だに動かないが、意識はある、という状態にして、破戒者を苦しめるんじゃなかろうか?でも、本当のトコは僕は知りません。中米のある国のブードゥー教のこともほとんど、知識はありません。興味のある方はご自分でお調べください。昔の、ロジャー・ムーアが主演してポール・マッカートニーが主題歌歌った、「Live And Let Die」という007シリーズ映画の一作は、中米のこの国が舞台で、確か、ブードゥーの殺し屋が出てくるんじゃなかったかなあ?まあ、いいんですけど、映画のゾンビは、今やウイルス感染が主力です。

 「ランド・オブ・ザ・デッド」も、圧倒的な数に膨れ上がったゾンビ集団に囲まれて生きる、少数の人間達が、ゾンビが入って来れない要塞のような街を作り、そこで生活を営んでいる。都市階級社会が出来上がっていて、防衛軍隊が街を囲み、選ばれた一部クラス市民は整備された高層ビルに住み、昔ながらの都市生活を送り、その頂点には裕福な支配者が居る。大多数の下層民はホームレスのように地上で生きている。歓楽街ブロックもある。何ていうか、地上はスラム、高層ビル内は都市市民社会みたいな。で、少数の人間を囲む、うようよいるゾンビは、人間を捕らえては食べている。思考がなく、ただ人間を食料として先ずひと噛みするためだけに、彷徨うゾンビの群れ。噛まれただけなら健全な人間もやがてはゾンビ化する。噛まれて逃げ延びなければ、そのまま食べられる。あれ、ゾンビって、動く死体な訳ですが、うろうろ歩き回るだけのエネルギー確保には、生身の人間を食べなきゃいけない。もし人間捕獲できなくて何日も食べないと、どうなるんだろうか?一度死んでるけど、また死ぬのかなあ?今度は本格的な、微動だにしない死?まあ、作り事だから、そこまで考えなくていいのか。お話の中では、頭部を破壊したら完璧、死にます。

 ゾンビって、あれなんでしょ、街にうごめくうようよ居る普通の人達のイメージなんでしょ?例えば、歩行者天国みたいな、巨大モールの中みたいな、休日の都市の街中のような、群集の動きのイメージから、作り出された怪物なんでしょ?だから、ゾンビの一形態種バタリアンというのが、即オバタリアンに繋がった。うわあー、懐かしいですね、オバタリアンて。巨大モールのバーゲン会場を闊歩するオバサン達の群れ。オバタリアンというのも、確か、漫画でヒットしたんですよね。ショートギャグ漫画で。今や、オバタリアンて誰も言わなくなった。ゾンビ映画って、ほとんどサバイバル映画ですよね。必死に逃げる美貌のヒロイン。僕、けっこう、ゾンビ映画好きなんです。



 私も、よく解らずに、中米のある国のブードゥー教などと書き込んでいるが、この間のデンマークの新聞に風刺漫画でイスラム教の預言者の顔を描き込んだ、ということで、宗教の冒涜であるという事と、表現の自由で、イスラム国家や西欧諸国間で、今大きな国際問題となっているが、宗教の問題は極めて難しく、恐いね。ヘタな事は書けない。日本人は無宗教の人が圧倒的多数だから、宗教問題はいまひとつピンと来ないけれど。まあ、日本国内でも、国内の宗教の事柄を書き込むのには、けっこう神経使った配慮が必要でしょうからね。信仰って、ある意味、怖いね。とにかく誰も人権があるのだから、異教徒の排除に暴力的手段を用いる、というのは絶対に止めて欲しい。僕等は、つい、まあ、いいじゃん、信者じゃないんだからあ、そのくらいの事で怒らず大目に見てよお~、と思いがちなんですが。信者の誰かが絶大に信奉する、その教団の象徴的人物を、信者でない人が、その人の行動行為に対して何か意見を言う自由はあるし、その事に対して反論意見以外の報復行為に出る事は、やはりいけない事ですよ。と思います。

30792344  と、いう訳で、ここから漫画ですけど、ゾンビ映画からですから、ゾンビの出て来る漫画。知らないんですよねえ、ゾンビ漫画。「ゾンビ屋れい子」というタイトルを見た記憶があるけれど、読んだ事無いし内容も全く知りません。確かに「ゾンビ屋れい子」という漫画はあるんだけれど、僕は全然解らない。ゾンビだとねえ、かなり古いけれど、SF作家、平井和正の小説で「死霊狩り」というタイトルの本があって、これが「死霊狩り」を「ゾンビーハンター」と読ませる。「死霊」という言葉の意味解釈にもよるけれど、ゾンビは一度死んだけれど怪物化して生きてるんだから、まあ、そういう解釈でもいいか、と。オカルト的には、死霊といえばまた別モノなんだろうけれど。

9784775910207  この平井和正「ゾンビーハンター」が原作の漫画作品が、僕の少年時代に、その当時、少年マガジンの弟雑誌、としてあった「ぼくらマガジン」に連載されていた、桑田次郎作画による「デスハンター」です。ただ、僕は平井和正作が、漫画原作が先なのか、小説が先なのか、よく知りません。50年代60年代と続いた児童月刊誌「ぼくら」が、週刊誌化されて「ぼくらマガジン」となり、多分週刊誌創刊号から連載されていたと思うんだけど、ええと、雑誌初出は、1969年の「ぼくらマガジン」誌上ですね。その後は確かサンコミックスからコミックス化されてますよね。調べたら、小説「ゾンビーハンター(死霊狩り)」の方は、72年初出ハヤカワ文庫で出版だから、漫画「デスハンター」の方が先ですねえ。当時の少年SF活劇コミックの黄金コンビ、平井和正原作、作画桑田次郎の、数ある名作の中の一つ。平井和正には、代表作の「幻魔大戦」など、先にコミック原作として創作し、後にノベル化した、小説作品が多い。

 僕は、漫画「デスハンター」はサンコミックスでは読んではいるんですけど、内容をよく憶えてはいないんですねえ。雑誌連載時でも、その、それ程、大好きな漫画作品でもなかったような‥。平井・桑田の黄金コンビでは、「エイトマン」「超犬リープ」「エリート」と大好きだった作品は多いんですけど。何故かこの「デスハンター」に限ってはそれ程の深い印象がない。漫画作品も平井和正の小説もだいたい同じストーリーです。小説は「ゾンビーハンター」と、ゾンビと読んでいますが、いわゆるアメリカ映画のゾンビとは違い、宇宙生物ですね。漫画版ではデスと呼ばれるけど、宇宙生命体、宇宙人ですよね。最初の導入では、これは対侵略宇宙人SFです。後半になって来ると、鬼才平井和正が単なる活劇SFでは終わらせない、隠れたテーマが出て来て、考えさせられてしまう‥、という展開が待っている。

 主人公は、レーサーであったが、事故で負傷し、レーサー廃業になる。やけを起こしているときにスカウトされて、孤島のデスハンター養成所へ。厳しい訓練に耐え、デスハンターとなる。侵略者デスに、最愛の姉と恋人を殺され、自らも片目片腕となった主人公は、復讐を誓い、宇宙生命体デスとの死闘を続け行く‥。というような内容のSFですね。桑田次郎先生の絵も、それまでの少年漫画作品とは違い、ベタ部分を多用した黒っぽい絵柄で、残酷描写も迫力で描き込み、なかなか見ごたえある絵の作品となってます。もう、僕も、この作品は随分昔に読んで、細部は忘れているから、もう一度読み返して、成程と、味わいたいですね。漫画ショップから上下全2巻で絶賛発売中です。はい。

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