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「PLUTO - プルートウ -」 ・・・・第3集

 漫画の神様、手塚治虫先生の代表作のひとつにして、日本の国産アニメ第1号(長編連続)作品、手塚漫画として一番世間に知れ渡っている(多分世界的にも)漫画作品の「鉄腕アトム」の中で、一番人気が高かったお話、初出1964年、「地上最大のロボットの巻」を原作ベースにして、現在の漫画界の鬼才、浦沢直樹が未来SFとして、ロボットが進出共存する都市社会を克明に描いた、長崎尚志プロデュース、監修手塚真で送る、コミックベストセラー、「PLUTO(プルートウ)」の第3巻を読みました。



 2005年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞、第9回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞。小学館漫画賞はまだ取っていないのかな?浦沢直樹はこれは第48回で、「20世紀少年」で受賞しているからな。そんでもって、第2巻、3巻と新刊コミックスが出るたびに売り上げ1位の、ベストセラー。しかし今の子供はよく、こんな難しい漫画を読むよなあ。買ってるのは子供じゃないのかなあ?連載が「ビッグコミックオリジナル」だからなあ、青年層が買っているのかなあ。浦沢直樹は大人のファンも多いだろうからなあ。あの「YAWARA!(ヤワラ)」でがっちり当時の少年、青年のハートを掴み、「マスター・キートン」「モンスター」で青年から大人まで幅広い層の人気を掴んでるからなあ。古くは「パイナップルアーミー」も当時、受けたし。この間、TVドラマのスペシャルで、相武紗季が主演して実写で放送していた、「HAPPY!(ハッピー)」なんかも「ヤワラ」の後漫画で、当時の少年・青年に受けてるし。浦沢直樹は今の超売れっ子漫画家の一人だよなあ。そうしてこの新作「PLUTO」はちょっと難しゲな話の、未来SFでもまだ3巻まででベストセラーコミック。評論家もベタホメ。いや、すごい作品ですね。

01  今や、漫画のお話も複雑で、けっこう難解なものもありますよねえ。多分、昔は大衆小説がやっていた分野は、今はあらかた漫画(コミック)が引き受けているんでしょう。現に、今のTV放送ドラマの元本の、原作はほとんどコミックから、だもんねえ。活字離れがしているって、もうだいぶ前から言われるけれど、確かに、恋愛小説、推理小説などで、ベストセラーというのはいつもありますが、昔に比べれば、全体的な小説単行本の売れ行きは落ちているでしょうねえ(?)。小説専門の雑誌というのは売れているのだろうか?(売れてねえだろうなあ)。小説全体で、読者は、年追うごとにだんだん減っているような気がしますけど。まあ、確かに、ライトノベルと呼ばれる、電撃文庫やコバルト文庫のような、ヤング層対象の新たな活字分野が出ては来ていますけど。あれは、コミックで育って来た少年少女が、ヤング層入りした頃から読んでいるのかなあ?新しい小説も、若者ウケするものは、けっこうありますけど。子供の頃コミックから入って、例えば、恩田陸、小野不由美、宮部みゆき、京極夏彦…(あんまり知らなくて御免なさい)、などを中学から高校くらいの年頃で読み始めるヤング層もいれば、中学からライトノベルのファンになっちゃう若者も居るんだろうしねえ。その後、大人になって、小説は読むかなあ(?)。

2005082501  90年代初め頃は、漫画を読んでいる子供は小説もけっこう読んでいる‥なんて言われてたけど、90年代に入ってから、TVゲーム関係はどんどん進化して行くし、パソコンもwindowsが出現してからどんどん進化して行ってるし、子供も優れた機能の携帯電話を持つようになった。今の若者層があまり漫画を読まなくなった、って言われてるくらいだから、やはり今の若者は小説は読んでないだろうなあ。社会人も小説はあまり読まないだろうなあ。社会人は小説読むくらいだったら、もっと実生活に役立ちそうな活字本選ぶだろうし。といって、作家になりたいなどと思っている若者はけっこう多いんだろうなあ。実際、漫画家は大変だしね。今の漫画は一人じゃ作れないもんね。プロダクションの仕組みを作って、大勢で取り掛からないと出来ない。まあ、これはもし連載持てるトコロまで行けたらだけど。漫画(コミック)ではなくて、小説なら一人で出来る。簡単そうだ。それで、安易に小説家になりたいって若い人が多いんじゃないかなあ。克明に絵を描き込まなくてもいいし、文章だけなら誰でも書けそうだし。

2005082502  で、その、難しい、漫画ですけど。「プルートウ」は最初にプロデューサーが居る。長崎尚志さんっていう人がプロデュースで、多分、この人が最初に企画を立てて手塚プロダクションに持って行った人でしょうね。作画に浦沢直樹さんを起用したのもこの人だろうし。出版社雑誌編集者の、フリープロ版みたいな人なんだろうなあ。この人が立てた企画をどんどん進めて行き、構成編集をして行く。勿論、実際の作画で苦労しているのは浦沢さんだけど、浦沢さんが自分の考えでどんどん自由に描いて行けるように、手塚プロ等と話を着けお膳立てしたのがこの長崎さんなのだろうなあ(?)、と思う。今や、漫画作品の世界も、原作、作画の他に、プロデューサーが居る。まあ、これは普通なら日本の出版業界なら、編集者達がやっていることなんだろうけど。こういうのの、フリーのプロも現れて、職業として、コミック制作の一役を担っているんだ。ということなんだと、思う。出版社の社員が立てる企画を、外部で立てて段取りし、外郭を作りプロデュースし、出版社に持ち込むフリー企画屋さんが居る、ってことなんだろうなあ。まあ、ホントのトコは知らないんですけど。

Pluto2  でも、ここから、このフリーの企画屋の人が、大人気になった漫画作品の付帯事業に対して、小さな会社を立ち上げてもいいよね。TV放送化権、映画化権、グッズなどの、本作から派生する付帯収益に対して。でも、「プルートウ」は作風がシリアスだし、グッズとかにはなりにくく、原作の権利がある、手塚プロダクションとの兼ね合いもあるだろうしね。まあ、会社は「プルートウ」が終わったらすぐにたたんだっていいし。また新たな企画作品が波に乗ったら、新たに会社作ると。インターネットで株売買とかやって儲けるよりも、こういうことやって儲けた方が、よっぽど面白いだろうなあ。

T_atom6  漫画「PLUTO」は、監修は手塚真さんになっていて、この方は手塚先生のご子息で、ビジュアル関係の仕事をされているんですよね。映像CM制作?CMとかの監督か何か?済みません、よく知りませんが、TV放送の知識教養関係番組のコメンテーターとして出演してたりしてますよね。手塚真さんは、手塚プロダクションに在籍してるんだろうか?作画の浦沢直樹さんは上記で代表作を何点か挙げましたが、現在の第1級クラスの漫画作家です。今現在、超多忙の漫画作家でしょう。

 元作「鉄腕アトム」の中の、「地上最大のロボットの巻」は、手塚治虫が、それまで横山光輝が「伊賀の影丸」などでやって人気を得た、トーナメント方式の作風を、帝王手塚が自分の作品に持ち込んだものです。横山が「影丸」で行った、影丸他正義軍対悪者軍の倒し合いトーナメント戦。最終的に正義軍が勝ち、生き残るのは影丸のみか仲間一人くらい。今のゲームのはしり、みたいな構図の作風です。これが、今も昔も、男の子達は大好きで、「地上最大のロボットの巻」、それに続いた「ロボイドの巻」で大人気を博した。もっともストーリーテリングの天才、手塚治虫はこんな単純な構成のお話には満足していないようですが。

Img10001756943  この元作「鉄腕アトム」の中の、「地上最大のロボットの巻」を、おおまかな一本の大筋のストーリーはそれに沿って、細部を事細かに肉付けして行き、アレンジというよりも、これはもう細部を想像をフルに駆動して細かく描きこみ、枝葉末節をふんだんに肉付けした、いかにもリアルにシリアスストーリーとして、サスペンスタッチの重い話にしてしまったのが、現在のSF未来漫画大作にして、ベストセラー、「PLUTO-プルートウ-」です。難しいって、読めばそう難解なコミックでもないです。さすがは「モンスター」を描いた、鬼才、浦沢直樹の作品だと、思いますよ。3巻まで読んじゃうと、続きがどうなるのかワクワクしますよ。プルートウの謎に、ボラーの謎。アブラー博士の謎。もう、サスペンスSF。

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