ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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世界の中央銀行

2013年08月07日 | 2013年からの資産運用
  前回まで「さわかみファンド」の澤上氏について書いてきました。彼は「インフレが来るぞ、株を買え」と言い続けて、今回のアベノミクスでやっとそれが実現する可能性がでてきました。しかし私は次のような懸念を抱いていると申し上げました。

① 金利上昇=割引率上昇⇒株価下落

② 財政状況の悪い国では、 インフレ⇒金利急上昇⇒財政破綻懸念⇒株価下落 


となる恐れもあると申し上げました。

こうした懸念に対してアベチャンとクロチャンのコンビは、「日本を取り戻す」の標語のもと日銀という公器を使って、賭けに出ています。そのれは金利を無理やり抑え込む
ため、長期国債を買いまくるという賭けです。

  私はそれに対して、大きな警鐘を鳴らしておきたいと思います。

  私が警鐘をならすと、どうもろくなことはないようです。REITに続いて豪ドルへの警鐘がまた当たってしまいましたね。なので警鐘を鳴らすのが、実はちょっと心配です。

  リーマンショックとユーロ危機を経て、経済運営に政府が中央銀行を巻き込んで大きな役割を担わせる、という世界的潮流が出来上がりました。従来の中央銀行の役割を逸脱し、危機対応の名のもとに莫大な資金を供給し続けるという方策です。

  たしかにユーロ危機は昨年7月にドラギ総裁の「できることはなんでもする」という一言で小康状態を保っています。しかも実際には資産買入れは発動されていませんので、口先介入の効果は抜群です。

  一方アメリカはこのところQE3の出口議論が出てきていますが、FRBはゼロ金利を継続し、毎月8.5兆円の国債・住宅債券を買い入れています。そしてその資金供給が世界のカネ余りを引き起こし、金融市場を左右すると言われています。それが証拠にバーナンキが一言いえば、世界の株価が乱高下するほどのインパクトを持っています。

  「FRBは実質的に世界の中央銀行だ」と言えます。

  日本はどうか。日銀もFRBよりはるか以前からゼロ金利と量的緩和を続けていました。そこにさらにクロちゃんが出てきて規模を拡大しています。その国債購入規模は毎月7兆円にのぼります。この額絶対値でアメリカとたいして違わない規模です。

  日本とアメリカのGDPの規模は約3倍の開きがあります。ということは7兆円のインパクトはアメリカの規模に引き直すと3倍の21兆円にもなるのです。しかし、日銀の量的緩和が世界に及ぼすインパクトは、ほとんどナッシングに近い。

  株式市場への影響を見ても、クロちゃんの言う異次元緩和の効果は5月22日までの1ヶ月半で賞味期限を迎えました。

じゃ、今後の日本の株式市場をどう見るか?

次回からは、私の株式相場の見方をお知らせしていきます。
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