ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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日本の投資家はどうか?

2013年08月17日 | 2013年からの資産運用
  やはり「山」さんとは「山ちゃん」でしたか。いつも私のブログをお読みいただき、ありがとうございます。そして決して回答の容易でない鋭い質問やコメントをいただき、誠にありがとうございます(笑)

  さて、ここまで現在の株式相場を動かす原動力である外人の動きについて、私の見方をお話ししてきました。8月9日の記事では次の様に書いています。

>本当に注目されるのは、8月7日・8日と2日間で800円の下げとなった今週(先週のこと)の動向です。そこでもさらに外人が売り越しているとなると、その後の展開も悲観的にならざるを得ません。

  2週連続の相対的に少額の売り越しのあと、暴落した7日・8日の週、外人はさらに大きく売り越していました。金額はそれまでとは1ケタ違う1千億円ちょうどです。それでも買い越しの10兆円と比べれば、わずか1%にすぎません。しかし一方的に買い越していた買い手がそうでなくなった衝撃は結構大きいものがあります。

  もちろん山ちゃんが書いていらしたように、出来高は少な目です。夏枯れの時期ですからちょっとした売りでも価格が飛んでしまうことはあるでしょう。

  そしてその売りに対して買い向かったのは、個人投資家です。なんと先週は1,970億円も買ってあげちゃいました。投資家のみなさん、私のブログを読んでいませんね(笑)。

  ここまでをまとめます。

「アベノミクス以降の相場変動は外人投資家しだいだ」

  簡単に言えばこれがまとめです。上げるのも外人、下げるのも外人、日本人でこの相場に乗ろうとしている投資家は、言葉は悪いですが、しょせんいわゆる「ちょうちん筋」にすぎません。ちょうちん筋とは、有力な投資家に同調して売買する投資家をさします。

  だからといって今回の相場での個人投資家の売買は、決してやみくもではありません。5月23日の暴落の時も外人が少し売り越し、大きく買い向かったのは個人でした。私が「あー、やっちゃいましたね」と書いていたのを覚えていらっしゃる方も多いと思います。

  下げたら買う、上げたら売る。株式投資と限らず、相場の参加者の大事な基本動作です。しかしそれはあくまで循環しながらも右肩上がりを前提にした買い方です。現在の予想PER(今期末の1株あたり予想収益と現在の株価の倍率)が15.3倍と計算されていることを考えると、まだ本腰を入れて買える場面ではないようです。

  日本の個人投資家にはこの相場に積極的に参加しているちょうちん筋と、超塩漬け株を「やれやれ」で売るバブルの残滓組がいることも忘れないようにしましょう。私の世代(団塊)より上の方は、ほとんどが「やれやれ」組です。

  それは日本の法人投資家にも言えることで、金融法人・事業法人の売買動向を見ていても、およそ個人投資家の「やれやれ」組と似た動きになっています。むかしむかしの持ち合い株は「やれやれ」でやっと売却しています。大企業はグループ再編に伴う売りを出し、私がコンサルタントをしている数社の中小企業などでも、「下請けイジメ」的な半強制持株会の保有株を解消しようとする動きが継続しています。

  そうしたことも踏まえ、じゃ、今後株式相場は長期的に見て右肩上がりが実現できるのか、やっぱり低迷が続くのか、今後はそのあたりの長いレンジで私がどう見ているかをお話ししていきます。

  ところで昨日山ちゃんからさらにコメントをいただきました。日経新聞の報道姿勢に対して疑義ありという内容です。日経新聞は株価とともに生きる新聞ですから、株式相場や経済の見方、そして政策については常に前向き、プラス志向だと「割引いて」見ておく必要があります。そう見ておけば、さほど気にすることもないのではないでしょうか。これが私の日経に対する見方です。


コメント
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