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フィクストインカム投資入門 その3.債券の年限、金利、価格 ⑪ 

2011年05月10日 | 資産運用 
さて、SYさんの質問に戻ります。
金利のレベルが変わらないとすると、30年債を買っておいて、10年後と20年後の売却で、損得勘定はどうなるかでした。

計算結果は以下のとおりです。
ずっとイールド・カーブ(年限別金利のレベル)に変化がないと仮定した場合、

1.10年後の元本売却価格・・・115.0

2.20年後の元本売却価格・・・128.5

10年後に売却したとするとキャピタルゲインは、100で買ったものが115で売れるので、

115.0 - 100 = 15.0

20年後に売却したとするとキャピタルゲインは、同様に

128.5 - 100 = 28.5

これが元本だけの損得勘定です。金利が当初の投資時期と同レベルだとすると、20年で元本が28.5%も高くなるということです。これに20年間毎年4%の金利を得ていますので、両者をプラスする単純計算だと、

4% X 20年 = 80%

プラス分だけの合計は 

80 + 28.5 = 108.5

トータルでは当初の投資額の2倍を超えるリターンになります。

どうです、フィクストインカムの威力は、なかなかのものでしょ。


「残存年数の少ない、あとのほうがキャピタルゲインが大きいのは何故か?」
という質問が聞こえてきます。

もう一度当初の金利の前提を書きますと、以下のとおりでした。
10年;2%
20年;3%
30年;4%

30年債を買ったとして、計算していますので、
10年後、保有している30年債の金利はそのまま4%が継続、その時点の20年債の金利は3%で、差は4と3の差で1%です。

20年後の場合、残り10年の金利差は4と2の差で2%です。

保有している債券の金利が売却時点の金利(イールド)を上回れば上回るほどキャピタルゲインは大きくなります。なぜなら、将来得られるはずのより高い金利を売却でギブアップするので、その分が価格に上乗せされるからです。

「だったら、20年後の売却が有利か?」
という質問が次に出てきそうです。

次回はそれに回答していきましょう。
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