ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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買ってはいけない、投資商品  その1 つづき

2011年05月20日 | 資産運用 

 このお粗末な投資のノウハウに、なんと当初買うだけで5%もの手数料が払われ、しかもこの先毎年0.8%ほどの信託報酬が取られます。買っただけでトータル5%とは、たいした信託報酬です。日本国債でいえば、5年分のすべての利子分を瞬時に取られるのです。複雑になればなるほど多数の関係者が介在して手数料を取りまくり、しかも何の手数料なのか、そのレベルは適切なのか、判断のしようがないのがこうした商品です。

 みなさんこうした商品の中身、しっかり理解できますか?私のようなプロでも、パンフレットをみただけでは理解できず、販売している証券会社に問い合わせをして、本当の姿がやっとわかる商品です。しっかりしているとはいえ、80歳を超えた方が、理解できるとは全く思えません。私が「なんでこんな複雑でリスクの高いジャンクボンド投信を80歳を超えた方に売るのか」と聞くと、証券レディーは、「ちゃんと説明しました」とのこと。ぜんぜん答えになっていません。儲けたいからとは決して言わないし(笑)、『理解していただきました』とも決して言いません。証券会社は顧客が理解なんかしなくとも、説明したことだけですべてが免責されるのです。説明を聞いた、という書面にサインをさせられ、それがすべてに優る免罪符です。

 ジャンクボンドの投信を一人暮らしの高齢者に売りつけることがファイナンシャル・アドバイザーの肩書きを持つ証券レディーの適切なアドバイスなのでしょうか。私なら良心の呵責に耐えられません。書いているうちに腹が立ってきて、すっかりN証の悪口になってしまいました。

 今はやりの毎月分配型に関するパフォーマンスの検証をしている記事がありましたので、おしらせしておきます。ちょっと古いですが、10年11月のニュースです。それまでの1年間に日本で設定された毎月配当型商品のなんと90%が、元本割れになっていてそれでも懲りずに毎月の配当を続けているというニュースです。投信評価では世界的に定評のあるモーニング・スター社が分析しています。買った瞬間に払った5%の手数料は考慮されていないでこの始末です。

どうしても毎月分配が欲しい方へのアドバイスは、
「自分で自分に配当しなさい!」、手数料分、確実に得します(笑)
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