ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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フィクストインカム投資入門 その3.債券の年限、金利、価格⑤

2011年04月25日 | 資産運用 
具体的な例をもとに、米国債の投資を考えてみます。

本日4月25日、ある大手の証券会社のHPで、外債投資の対象商品を見てみました。すると、年限5年程度の米国債の既発債(過去に発行され、流通している)リストの中に以下の2つの債券がありました。

米ドル        クーポン 償還日   年限    価格   利回り 
①アメリカ国債 1.250  2015/09/30  4年5カ月  97.99   1.72
②アメリカ国債 2.000  2016/01/31  4年9カ月  100.52   1.88


一方ブルームバーグ社のサイトで債券の状況を見ると、本日の5年の指標は以下のとおりです。
5年  クーポン2.250   償還日03/31/2016  価格100-20  利回り2.11

まず二つの債券の利回りを較べます。それが投資する側のリターンです。2つの債券の年限は4年5ヶ月と9ヶ月で4ヶ月の差です。それが利回りの1.72と1.88の差、0.16%になっています。ちなみに年限がもう少し長く5年になると、ブルームバーグの指標にあるように、利回りは2.11%に上がります。

しかしこの二つの債券のクーポンは1.25%と2.0%で、差は0.75%も違います。もらえるクーポンがこんなに違うなら、高いほう2%の②を買うのが得なように思えます。でも価格差が2.53とかなり違います。償還される時は両方とも100ですから、

①の債券を買うとキャピタルゲインは 100-97.99=2.01
②の債券を買うとキャピタルロスは  100.52-100=0.52

②はクーポンはたくさんもらえる分、ロスが0.52ある。 ①はクーポンが少ない分、ゲインが2.01ある。結果として両者の利回りはわずか0.16%と年限どおりの差なっています。

約5年の投資期間を考えているみなさんは、どちらを買いますか?

途中のクーポン金利が多い、つまりキャッシュフロー収入をたくさんもらいたいのであれば②を選び、キャピタルロスはいやだというのであれば①を選択するのがよいと思います。

そして、もうちょっと利回りをほしい方は、指標の銘柄に売り物が出てくるのを待つ、という選択もあるかもしれません。出てくる保証はありませんが。大手の証券会社のサイトなら、いつでもこうした外債の販売用債券リストを見ることができます。みなさんも直接見てみてください。

以上が具体的な投資例の解説です。ちょっと難しいですか?さらに解説が必要であれば、コメントでどうぞ遠慮なく質問してください。
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