ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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擬似国債 その2.擬似国債の解説

2011年04月08日 | 資産運用 
前回は、「年金でもらっているキャッシュフロー収入は、擬似国債を保有しているのと実質的には同じリターン(金利)とリスク(払ってもらえなくなるかも)を持っている」、というお話を差上げました。国債という資産ですから金利収入がコンスタントにあります。国が破綻しなければ、生きている限りは支払ってもらえます。

キャッシュフローあるところに債券あり
そして
債券にはリターンがあり、リスクがある

これがフィックストインカムの基本です。ちょっとわかりづらいので、もう少し説明します。

普通は国債や社債といった債券に投資すれば、毎年の金利収入があり、最後は元本が償還されます。そして債券投資にはリスクがありますが、年金のリスクは、国が払ってくれるか否かなので、国債を持つリスクと同じとみなせる、という理屈です。そして、金利から想定元本を逆算しました。

「でも、元本は返ってこないよね?」という質問が聞こえます。
「はい、返ってきません」
年に300万円のリターンをもたらす擬似国債は、元本がないので擬似国債なんです。
元本が返って来れば、それは国債になってしまいます。
擬似国債は償還期限がありません。これがとても大事です。生き続けるかぎり、ずっとリターンがもらえる素晴らしい債券です。死んだら元本はいらないので、元本など気にしなくてもいいのです。

「年金生活者にとって一番大事なのは、生きている限りもらえるキャッシュフロー」なのです。

英国には、永久債という債券があります。元本はもちろん決まった額がありますが、いつまでたっても返ってはきません。しかし金利は永久にもらえます。お金持ちの方が遺産相続したり、寄付するのに使います。現金だと使ってしまえばおしまいですが、これなら永久にキャッスフローが継続するからです。元本が返らないことに意義があるのです。

300万円の年金収入から逆算された想定元本は、金利が2%とすれば1.5億円もありました。
「元本のない想定は納得できない」という方は、元本を取り崩すのが収入だと考えましょう。すると元本の金額は、65歳から20年生きるという想定なので、

年300万円 X 20年 = 6千万円
となります。いや30年は生きるというかたは、30倍してください(笑)

さて、お話の最初に戻りましょう。

みなさんの代表である団塊の世代のDさんの資産構成はどうなっているか?
その把握が主題でした。

普通のファイナンシャル・プランナーの方に3千万円持っているといえば、じゃそれをどう分散投資するか、というお話になります。私の資産把握の仕方は全く異なり、Dさんは日本国債に近い擬似国債を1.5億円も抱えていて、その他に3千万円の現金を持っている、となります。擬似国債が絶対に安全であれば問題ないのですが、日本の財政は不安でいっぱいです。となると、

「虎の子の3千万円は、もっと安全なところに置かないとリスク分散にならない」となるのです。

擬似国債を抱えすぎのDさん、いったいどうしたらよいか?

次回に続きます。
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