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フィクストインカム投資入門 その3.債券の年限と金利③

2011年04月22日 | 資産運用 
フィクストインカム投資入門 その3.債券の年限と金利③ 

債券のお話で、金利にはいくつかの言い方があるのに気づかれた方がいらっしゃると思います。
・金利
・クーポン
・クーポン金利
・利回り
・イールド
・利率

ほとんど同じような言葉なのですが、実はビミョウにニュアンスの違いがあり、フィクストインカムの専門家は使い分けています。この使い分け、実はとても大切なので、みなさんも是非およそのところを理解してください。それを解説します。

例;額面100万円
  クーポン利率 年3%
  最終利回り 年率3%

まず債券そのものには、元本とクーポンがあります。元本は例えば100万円というような切りのいい単位で、額面が印刷されています。購入時にはその額を支払い、満期(償還)時には同じ金額が返還されます。元本は、途中では価格に変化が生じます。それをわかりやすくするために、100として価格表示されます。これは投資のスタート時点の価格を100としたほうがわかりやすいので、そうしています。実は100%という意味です。ですから1億円額面の債券でもその価格を表示するのは100(100%)です。1%価格が上昇すれば、価格表示は101になります。


クーポンは、年限分だけの枚数がついています。10年物であれば10枚、もしくは半年毎の金利支払いがあるものだと20枚付いています。クーポンには利率が表示されています。たとえば10年物債券の金利が3%だとすれば、10枚のクーポンにそれぞれ3%と表示され、元本金額に3%を掛け算した金利が、毎年投資家に支払われます。半年毎の支払いだと、1.5%と表示されたものが、20枚付いています。
10年物国債を発行された時に100万円で買って、10年間保有して償還を迎えると100万円が返ってきます。元本は購入時点と償還時点では変化がありません。金利は3%だとすれば、3%のクーポンが10枚あるので、毎年3万円ずつ支払いがあります。すると、この債券の最終利回りは3%だ、ということになります。元本も金利も固定されていて、変動はありません。なのでフィクストインカムと呼ばれます。

ここまでの説明で私は、クーポン、金利、利率、最終利回りという言葉を使い分けました。それぞれの言葉のおよそのニュアンスの違いはおわかりいただけましたか?

クーポンは明らかですよね。でも金利と利回りは、ビミョウですよね。ただ、最終利回りという言葉からわかることは、利回りとは投資結果を表しているとお分かりいただけるかと思います。最終金利とは言いません。投資結果を表すのは、最終利回りです。そして、次のように使い分けます。「この債券のクーポンの利率は3%なので、金利は年3万円もらえる。償還まで保有すれば、最終利回りは年率3%だ」という具合です。

事を複雑にしてしまうのは、これに毎日変化する金利、あるいはイールドという言葉が加わるためです。この場合の金利とイールドは、同じニュアンス・意味で使っています。クーポンは10年間変化しませんが、金利は毎日変化します。金利には短期から長期まで様々な年限の金利があって、毎日それが少しずつ変化をしますが、概ね平行移動するイメージです。

米国債金利の例
4月20日はこうでした。
1年  5年  10年  30年  %
0.21 2.08  3.37  4.44

4月22日には5年以上が少し上昇
1年  5年  10年  30年  %
0.21  2.11  3.40  4.47

10年債を保有していると、金利が少し上昇したので、価格は少し下落しています。

金利と価格について別の角度から解説するつもりが、言葉の解説のみで終わってしまいました。次回は本題に絞ります。

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