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フィクストインカム投資入門 その3.債券の年限と金利①

2011年04月20日 | 資産運用 
債券を具体的に買うとなると、「何年の年限(償還期限)のものを買うべきか」、という質問をよくいただきます。それにお答えするには、以下の2つを押さえる必要があります。
1.何年間投資するのか?
2.リスクを取るか否か?

投資年限は長いに越したことはない、その方が金利が高いから、とだけ申し上げておきます。そして、リスクは取りたくなければ取らないにこしたことはありません。

債券の年限と金利の関係については、十分に知っておく必要があります。今回からそれを少しずつ勉強してみましょう。とてもわかりづらい部分です。

日米両国の国債金利は、年限別に以下のようになっています。先日お伝えしたブルームバーグのサイトで本日、4月20日に拾った数字です。

         1年  5年  10年  30年  %
日本国債   0.16  0.52  1.26  2.21
米国債    0.21  2.08  3.37  4.44

このように、年限が短いものほど金利が低い状態を、「順イールド」と呼びます。順当だ、つまりは当たり前の状態だということです。ごくまれに、「逆イールド」という状態もありますが、極めて例外です。日本では90年代の初め、バブルを押さえるため、公定歩合(短期金利の代表)をどんどん上げて、逆イールドになったことがあります。

この年限による金利の差について、投資家の立場から見てみましょう。投資に当ってまず考えるのは、いくらのお金を、何年くらい投資できるかです。1年後にお金を使う当てがあれば、1年の年限の債券に投資しましょう。当初の約束されたリターンがそのまま得られます。たったの0.21%ですが。

フィクストインカム投資とは、「決まった投資年限に対して、決まったリターンを確保できる投資」です。

でも、長期の金利が高いので長期債を買いたくなりますよね。10年なら3.37%ですから。
するとどうなるか?

ここでは10年物米国債を例に取り説明します。前提として、その国債に付いているクーポンは3.37%、また10年の金利レベルも同じ3.37%としましょう。
クーポンと金利レベルの違いは?

<復習>です。
クーポンは、債券を買うと付いている金利クーポンで、それは償還まで毎年同じ額のクーポンが、10年物であれば10枚ついています。
一方、金利レベルは毎日変動します。10年の金利レベルは、今日は3.37%ですが、明日は3.4%かもしれませんし、3.3%かもしれません。

米国債10年物を1年だけ投資して売却すると、1年後は元本の価格変動により得失の可能性が出てきます。米国債の10年物の債券を1年後に売却すると、その時には残存9年の債券に変化しています。5年後は残存5年の債券になっています。

売却する時の元本価格は、1年後ならその時の9年物の金利に左右され、5年後ならその時の5年物の金利に左右されます。ここでは、10年の金利とクーポンは同じと仮定しました。その結果は、

1.1年後の9年物の金利が、その債券の決まったクーポン金利と同じなら、価格は変動なし。つまり当初の約束どおりの利回りで終了となります。

2.9年の金利がクーポン金利より低いと、元本価格は上昇してキャピタルゲインが出ます。ということは、クーポンでもらった3.37%に加えて、キャピタルゲインの分がトータル・リターンになります。反対に金利がクーポン金利より高いと、キャピタルロスが出ます。

5年後も同様のことが起こります。

つづく
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