ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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擬似国債 その1.資産構成の把握

2011年04月06日 | 資産運用 
 Unknownさんからいただいた質問、「資産は分散投資すべきであると言われるが、米国債だけに投資するのは偏っていないか」という質問におこたえしていませんでしたので、これからそれに対する回答をさせていただきます。少し話が長くなりますが、フィックストインカムの基本ですので、じっくりと説明します。

 私の経験談で、R氏という裕福な退職者に登場いただきましたが、もう少し資産の少ない一般的サラリーマンの退職者に登場いただきましょう。名前を団塊世代のD氏としましょう。そしてD氏のプロファイルを以下のように想定します。
D氏
年齢;65歳、夫婦二人くらし、
不動産;持ち家あり
金融資産;退職金3千万円
収入;厚生年金、年間300万円

 普通、ファイナンシャル・プランナーと称する方に相談をもちかけると、金融資産や不動産などの全体像を把握し、そのうち金融資産の3千万円リスクの取り方を確認したうえで、例えば株・債券・不動産・金などに分散するポートフォリオを提案してきます。Unknownさんのご存知の一般的方法です。

 私はそれだけでは資産の全体像の把握は、できていないと考えます。一番大きな資産とリスクを忘れています。
それはなにか?

 厚生年金の資産価値とリスクの把握です。
フィックストインカムの基本が頭に入っていると、厚生年金を金融資産の塊として把握することができます。毎年フィックスされた300万円を国からもらうには、何の資産をいくら持っていれば可能か、と逆算して考えてみるのです。
 65歳の方が今後20年間それをもらい続けるということは、仮想の日本国債の20年物を1.5億円持っていると、金利が約2%ですから、毎年300万円もらえるのです。年金のリスクとは、国が払ってくれるか否かということなので、国債のリスクと同じと考えることができます。その仮想の国債を私は『擬似国債』と勝手に名づけています。

 擬似国債の資産額をもう一度計算しますと

D氏保有の擬似国債 1.5億円 X 金利2% = 年金年額300万円
となります。

D氏の保有金融資産は、3千万円の現金と1.5億円の擬似国債となります。

コンスタントなキャッシュフロー収入は、債券に置き換えることが可能。

言い換えると、『キャッシュフローあるところに債券あり』
これがフィックストインカムの基本原理です。

今日はここまでにしましょう。
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