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霊峰大山の南に彼岸花が美しい日向薬師と静かな登山基地の蓑毛

2006-09-24 14:04:51 | 日本の町並み
 秋のお彼岸頃になると真っ赤な花をつけるのが彼岸花です。彼岸という名前と強烈な赤の色から忌み嫌われることも多いのですが、この彼岸花があぜ道に咲き乱れる日向薬師(ひなたやくし)と、かつて大山詣でにぎわった蓑毛と関東の霊峰大山の山塊の南に位置する町を紹介します。

 彼岸花は別名を曼珠沙華(まんじゅしゃげ)と呼ばれます。これは天井の花という意味で、おめでたいことが起こる前兆には空から真っ赤な花が降ってくるという仏典から命名されたものだそうです。縁起が悪い花のように思われていますが、実は曼珠沙華の名前からは縁起の良い花だったようです。忌み嫌われる理由の一つは、その球根に含まれるリコリンと呼ばれる毒のせいかもしれません。かつては、この毒性を利用してふすまや障子を彼岸花の球根から作った糊で貼ると虫がつかないといわれ手いたのを覚えています。万葉集に出てくる「秋の七草」は、クズ、ハギ、キキョウ、オモナエシ、ススキ、ナデシコ、フジバカマですが、昭和の秋の七草というのがあって俳人などが7種類を選んでいます。この中に、斉藤茂吉が選んだ花として彼岸花が入っているそうです。

 日向薬師は小田急の伊勢原からバスで30分の終点から急な石段を15分ほど上ったところにあります。

本尊はなた彫りの薬師如来で日本三薬師の一つといわれていますが、諸説があるようです。日向薬師の参道はバスを下りて右手の山に登って行くのですが、彼岸花が咲く頃には、ほとんどの人が逆の左の農道のほうに降りて行きます。田んぼのあぜ道の両側やのり面が彼岸花で真っ赤になるからです。

彼岸花の群生の量の点では、西武池袋線の高麗川から近い巾着田がおそらく日本一ではないかと思います。幅が30~50mで長さが1kmにも及ぶベルト状の群生は圧倒されるボリュームで、見ごたえがあります。一方の日向薬師の彼岸花は、量の点では巾着田に遠く及びませんが、干された稲や田んぼのあぜなどの背景に咲いている姿に風情があるように思います。

 一方、蓑毛は、伊勢原から少し小田原よりの秦野からバスで20分ぐらいの終点あたりの町並みで。かつての大山詣での参道としてにぎわったようですが、現在ではケーブルで上る人が増えたため忘れ去られたような静かな町になっています。

もちろん歩いて登山という方々にとってはルートの一つになっているようです。バス停近くには大日堂や宝蓮寺があって、かつてはなかなか広い境内を持つお寺だったようです。蓑毛の途中には鎌倉幕府三代将軍の実朝の首塚があり、公暁に暗殺された後に三浦氏によって葬られた場所だそうです。

 彼岸花の赤色は鮮烈ですが、この赤色を出すための顔料というのはなかなか良いものが無いのだそうです。青色は銅やクロムの化合物から鮮やかな色の顔料が得られるようですが、鮮やかな赤に発色する鉱物化合物がなかなか手に入らなかったためではないでしょうか。一方、発光ダイオードの分野では、逆の現象で、波長の長い赤色に発光するものが最初に作られ、顔料では簡単だった、青色のものはなかなか作れませんでした。中村修二氏の青色発光ダイオードの発明によって発光ダイオードを使った自然色の表示器が可能になり、次世代のDVDも実用化されたのはご存知の通りです。顔料と発光素子、減法混色(絵の具の混色)と加法混色(光の混色)との差なのでしょうか。


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