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紫式部の間がある石山寺は源氏物語ゆかりだけでなく多くのお堂も見どころ

2018-05-13 08:00:00 | 日本の町並み
 絶世の美女と言われる小野小町の生誕は秋田県の湯沢で、墓所は京都山科の随心院と言われていますが諸説があって、美人はわが郷土に関係ありと言わんばかりです。戸籍謄本や住民票の無い時代ですから、有名人であってもどこに住んでいたかは曖昧なところが多いようです。特に女性は、男性との関連でしかデータが残されていないことも多く謎めいています。平安時代の美女の代表が小野小町なら、妻女の代表は清少納言か紫式部と言ったところでしょうか。今回は、紫式部が源氏物語を発想したという伝説がある石山寺界隈を紹介します。

 
 
 石山寺は、JRの石山駅の南1.5kmくらい琵琶湖から流れ出る瀬田川の西岸にある伽藍山の麓に建っています。瀬田川沿いに走る道路に面して東大門があって仁王が門番をしています。山裾に建っている割には、門から本堂までは意外と懐が深く、参道に塔頭が並んでいます。石山寺の名前は、本堂が天然記念物の珪灰岩の上に建っていることからの命名だそうです。この珪灰岩越しに見える国宝の多宝塔は、よく写真で見る風景です。

 
 
 国宝の建物は他に本堂があり、本尊で重文指定の木造如意輪観音半跏像が安置されています。秘仏で33年に一回の開扉ですが、2016年に拝観することができました。本堂の周りには、毘沙門堂(県有形文化財)、蓮如堂、御影堂(共に重文)などが台地の上に所狭しと並んでします。他の堂は多宝塔を初め、裏山の傾斜地に建っていて、境内を一巡するのに意外と時間がかかるのは、高低差があって足が付いていかないからだったかもしれません。

 
 紫式部が源氏物語の明石と須磨の巻きを発想したというのは寛弘元年八月十五夜の日で、本堂には紫式部の間というのがあり、境内には紫式部の姿を映したブロンズ像が置かれています。また、紫式部の肖像だけで3幅、源氏物語絵巻など、源氏物語のお寺なんですね。源氏物語に限らず、枕草子や更級日記、和泉式部日記の作者も石山寺に参篭したようです。京都からさほど遠くなく、気分転換や隠れ家として好適なお寺だったのでしょうか。

 筆者は、不倫絵巻の源氏より、枕草子の方に好感を持ちます。日本人の美意識形成に影響を与えた、「あはれ」と「おかし」の二大文学ですが、現在の芸能界の不倫の横行は源氏が影響しているのではないかと思ってしまいます。一方の、枕の方は、自然界の持つ美しさの発見があってさわやかです。AIが進んでも、コンピュータは既存の美の基準は判断できても、新しい美の発見は難しいのではないかと思います。


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