世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

石造り町並みが多いヨーロッパで、ラウマは木造の町並みが世界遺産に登録されています(フィンランド)

2016-09-18 08:00:00 | 世界遺産
 パリ近郊に中世の町並みが残る町がプロバンスならぬ、プロバン(同じフランス国内で紛らわしいですね)でした。ヨーロッパの古い町並みは、石造りのためか、日本の木造民家に比べて保存性が良く、建てられた年代を聞くと随分と古いことに驚くことがあります。世界遺産に登録された、街並みも、この石造りの町並みが続くところが多いのですが、木造の建物が続く街並みが世界遺産に登録された町があります。それが、フィンランドのラウマで、今回はラウマの旧市街を紹介します。

 ラウマは、フィンランドの南西端、鉄道駅やスウェーデンとの間のフェリー港のあるトゥルクから北へバスで90km、1時間半くらいの町です。西側はバルト海沿岸に接していて、かつては造船業や海運業が盛んな町だったようです。17世紀に2回の大火に見舞われた後、18世紀に再建されたネオルネッサンスの木造建築群が600軒ほども残されています。

 
 
 旧市街は、バスターミナルの南東の、300m四方ほどで、このエリアの中にマーケット広場を中心に、木造の民家がずらりと並んでいます。マーケット広場では、野菜や果物それに色とりどりの花々などの露店市が開かれています。ヨーロッパでは、どこの町でも露店市が盛んで、日常的にスーパーで買い物をする感覚で利用されているようです。日本では、ややもすると産直ほど高いものはない、といった観光目的の高価格の朝市などとは違うようです。
 マーケット広場のそばには、旧市庁舎を利用した博物館があります。建物の中央に時計台とその上に鐘楼の乗った黄色の壁の色も素敵な建物です。展示の大部分は、ラウマの特産の一つになっているボビンレースで、数多くのボビンを気の遠くなるような複雑な操作をして作り上げるレースは、根気の缶詰のようです。

 
 
 
 
 
 
 木造の家屋群は、どれもパステル調のカラフルなものですが、美しさを保つためにはペンキの塗り直しなどの手入れが大変だろうと思ってしまいます。これらの家の中で内部を公開しているものがあり、一つは19世紀後半に建てられ大船主の家であったマレラ・ハウスです。さすがに、お金持ちの家らしく、どこかの宮殿を小ぶりにしたようなシャンデリアや調度類が並んでいます。もう一つは、18世紀に建てられた航海士の家であったキルスティ・ハウスです。こちらは、小さな小川を木の橋で渡った先にある、何の変哲もない小さな家で、内部は当時の生活調度が展示されています。航海士は留守なことが多かったため、表札のキルティというのは奥様の名前になのだそうです。

 
 
 
 旧市街の北側には、聖十字架教会が建っています。こちらは15世紀に建てられ、石造りの外壁に木の屋根が乗っています。内部には、16世紀に描かれたというフレスコ画が残っていて、パイプオルガンも置かれていました。この辺りは、水路に沿った並木があり、気持ちの良い散歩道になっています。

 ラウマまでのバスが出るトゥルクと首都のヘルシンキの間には、ペンドリーノと呼ばれる振り子電車の特急が走っています。このペンドリーノ、実はイタリアのフィアット製で、当然イタリアではバンバン走ってます。ところが、フィンランドの鉄道の軌間は、広軌の1,524mmで、イタリアはいわゆる標準軌の1,435mmとだいぶ違います。イタリアの車両の台車部分を履き替えて持ってきたのでは思いますが、ヨーロッパでは、軌間は標準軌でも電化の方式や信号方式など、国によってバラバラです。国際列車が機関車けん引が全盛の頃は、国境で機関車だけを付け替えればよかったのですが、現在はタリスなど、専用の編成の特急列車が国境を越えて走ってます。これらは、国境で、いろんなシステムを切り替えながら走ってるわけです。いっぽう、通信の世界では、あまりこのようなことはなく、国際標準を決める機関で、標準化がきっちりして、互換性が保たれています。ただ、標準化の競争に勝った企業が、その分野を独占する悪弊を招くことも多いようですが。


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