世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

雁木のようなアーケードがどことなく優しさを思わせるベルン旧市街(スイス)

2007-05-27 17:23:13 | 世界遺産
 シギショアラの町のシンボルは小高い丘に建つ時計塔でしたが、時計塔のある都市は多く、中にはからくり人形が現れたりするものも多いようです。今回も時計塔がシンボルになっている首都の町、ベルン旧市街を紹介します。こちらの時計塔は丘の上ではなく、平地に建っていて、そばを路面電車が走っています。首都の旧市街が世界遺産になっている国は、イタリア、ハンガリー、チェコ、バルト三国など、ヨーロッパに多く見られまが、東京の旧市街が世界遺産に、なんてことは想像もできません。

 スイスと聞くと山や湖など自然にあふれているように思います。ところが、スイスにある世界遺産は6つありますが自然遺産はユングフラウとサン・ジョルジオの2箇所で、2000年までは4つの文化遺産だけだったことは意外です。ベルン旧市街その4つのうちの一つです。以前に紹介したポルトと似て、河岸段丘の上に市街地が広がっていて、両岸を背の高い橋が結んでいます。首都といってもチューリッヒやジュネーブより小ぶりで、東洋のどこかの国の首都のようなような喧騒さがありません。高い建物は教会の尖塔ぐらいだったような気もします。

 時計塔のある、旧市街の中心街は建物の1階部分がへこんでいて、アーケード状になっています。雪国の雁木のような感じがします。

この部分にも最寄の店屋が商品を並べていたりして、ちょっと歩きにくかったような記憶もありますが、雨宿りや日覆いにもなって、ゆとりのある建物の構造を感じさせます。道の中央には路面電車やトロリーバスが走っています。これらは、旅行者に優しい乗り物で、路線図が分かりやすく、景色が見られるので、下車する停留所も見当が付けやすいものです。もちろんエネルギー効率もよく、地球温暖化に対しても優しい乗り物といえるでしょう。ただ、無電柱の町に行くと、空がすっきりしていて、こんなに晴れ晴れしているものかと思います。路面電車の架線はなんとはなしにうっとうしいことは否めません。なかなか、すべてがいいことばかり、というのは難しいようです。

 ベルンはドイツ語で熊という意味だそうで、昔に狩で最初に捉えられた動物にちなんで命名されチャとか。町外れの橋のそばに熊牧場があって、名前の由来を語っています。熊牧場を越えて、対岸の小高い丘に登ると、ベルンの町がよく見えます。ずいぶんと緑が多いことに気が付きます。

文化遺産といえども、スイスと自然とは切り放せないのでしょうか。

 ベルンの時計塔も中に入って見学ができます。こちらでは、時計のムーブメントも間近で見学できました。時計の歴史は、正確さとの戦いだったわけで、かつては水の落ちる量や線香や蝋燭の燃える速度なども利用されたようです。振り子の等時性を利用してから、精度が飛躍的に高くなり、より高速度で振動する音叉や水晶が利用され、標準時を決める時計では原子の振動まで使われるようになりました。個人利用の時計にも、水晶時計が当たり前になり、電波を使って誤差を補正する電波時計も腕時計にまで普及しています。機能面からは、時を刻み機械である時計は正確さが命でしょうが、ゆったりと時間が流れるベルンの町並みを眺めていると、時計そのものも要らないような気持ちになります。


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